最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう 作:勝てなくても努力して勝つのが好き
前回のユウとアリサの話から数日後、くらいの時間軸です。
事務研究業務に加えてシオの教育に専念すること数日。
とうとうディアウス・ピターが発見されたらしい。
そろそろだろうな。とは思ってたけどいざ見つかるとなると意外と早いと感じがする。シオの教育は順調で、専門用語はともかくとして日常会話位なら出来るようになった。私の言うことの遵守もほとんど完璧で、我ながらうまく調教が出来てるなぁという感じだ。
最近はなぜか『ママ』と呼んでくるので、『ニーナ』あるいは『先生』と呼ぶように矯正しようとしてるんだけど、なかなかうまくいかない。でも調教に失敗してるのは今のところこれくらいだから、順調なのは本当だ。
第1部隊の皆にはちょっと前から接触禁止命令を解除していて、人類の善性を浴びせさせているところだね。原作より皆とコミュニケーションを取るようになったソーマだけど、私が話した内容が効いてるのかシオ相手にはほとんど原作と変わらず警戒を続けているように見えた。
あるいは私がシオに構いすぎて嫉妬しているのかもしれない。
……これは流石にないか。
シオは幸いにもリンドウさんと出会ったことについては何も話してないので、この調子で思い出させないようにしたいところだけど、ディアウス・ピターの討伐後開かれる葬儀で話に上がったら捲れそうだよね。
それまでは一旦リンドウさん用の食料類とか必要な物はフェンリルの慈悲に混ぜ込むことで榊博士とは調整がついて、中に手紙も入れといたから大丈夫でしょ。榊博士が余計なことをしなければだけどね。
となると、ヨハンさん曰くノアの完成はもう少しかかるらしいし、リンドウさんの再合流はディアウス・ピター討伐後の全体葬儀が終わったらで半ば確定かな。そのタイミングなら私がかつて榊博士に説明した士気の懸念部分は一区切りがついて立ち直ったで説明が付いちゃうし。引き伸ばし作戦してもいいけど、シオの奪取が出来なくなるかもだからあくまでここは自然と協力する必要があるよね。まあ合流したところでシオと同様隔離だろうし、この前確認した範囲ではアラガミ化した腕で多少は戦えても、神機形状に変化させることは出来てなかったから、合流したところでサクヤさんやアリサちゃん辺りに使いやすい人質が増えるだけだ。
問題はいつヨハンさんに言ってなかったけどリンドウさん実は生きてるんですよ~っていう報告するかなんだよね。後回しにしすぎて爆発したら開き直ろうかなとまで思ってるまである。そもそも蒼穹の月の件を私に相談しなかった支部長が悪くないですか⁉と自己弁護を立てておく。リンドウさんが合流すればサクヤさんとアリサちゃんが部隊抜けすることは無くなって、エイジスに無茶な潜入しなくなるだろうから、支部長の悪が捲れるけど、その辺りは私も支部長赦せねぇよ側にしれっと混ざりこめば表面上は解決だ。
支部長を失脚させるためのリーサルウェポンの証拠品はディアウス・ピター討伐中に私が破壊しておけばいいだけだしね。
それより気にすべきなのはツバキさんだ。
……ツバキさんのことをどう対処するかそろそろ考えないといけない。あの人が居るだけで、折れそうな人が折れなくなるだろうし。やっぱりアリアを使って保護のお願いかな。私が反対派の立場を取るフリをして私が第1部隊と一緒に戦う代わりにロケットにアリアと乗ってもらう。
……これが丸そうか? いや、でもそれはカノンちゃんとか別の人に役割を押し付けて、本人はアナグラに残ろうとするだろうし。う~ん、ツバキさんは本当にいい人なんだけど、引退してなお”邪魔”だなぁ。リンドウさんを人質にしたら大人しく言うこと聞いてくれたらいいけど、そういう質でもないだろうし。
閑話休題
それで、ディアウス・ピター討伐作戦にて私は勿論待機なわけだけど、神機がそもそもまだ振るえるのかは絶対に確認しないといけない。というのが上の方針になったらしい。
仮に第1部隊が討伐に失敗したら現状だと勝てるの私くらいだろうし、妥当な判断ってやつだ。それに私としてもまだ戦っていいのかは気になるところではあったから棚ぼたってやつだね。
ヨハンさん、榊博士をオペレーター、バイタル等各数値の測定要員にリッカちゃん、現場にソーマとエリック君だけ呼び出して私がまだ神機と仲良くできるかの安全確認会が愚者の空母で行われることになった。ちなみに普通に特務なので、他の皆にはエリックとソーマによる異常アラガミの討伐作戦ということになっている。
理論上は私の適合率が高すぎる位に高いので捕喰されることは無いはずだけど、あくまで理論は理論。アラガミ化と言っていい程に、人体のオラクル細胞転換が進んだ上で自我を残している私という例は類を見ない。そのため大丈夫かの確認と、いざというときに私を殺す係として抜擢されたのがこの2人ってわけだね。
いずれ明かされることだしってことで、メンバー選抜されたエリック君とリッカちゃんにもソーマと同じような説明をして、今適合率めちゃ高いらしい! ということを要約して伝えた。滅茶苦茶に怒られた。
本当はここにユウ君も呼ぶかってなってたけど、流石に味方殺しの可能性がある舞台に配属1年未満の子を呼ぶのはちょっと……となって2人を呼んでる形だね。まぁ、他の人じゃ私が仮にアラガミ化した時に勝ち目ないだろうし、呼ぶだけ無駄というやつだ。
『こちら今回の特務作戦責任者のヨハネスだ。声は届いているだろうか』
ヨハンさんからの通信に目で2人に確認すれば、頷いてくれたのでまとめて返事をする。
「こちらニーナ、ソーマ、エリックともに聞こえています」
『結構、今回はニーナ君の現状把握を主な目的としている。
1段階目で神機と接続。
2段階目で神機の励起。
3段階目で小型アラガミの討伐
4段階目で捕喰の実施
5段階目でヴァジュラ討伐を行ってもらう。
段階ごとに自己申告及び測定のリッカ君から異常があれば即時中断。ソーマ、エリック両名は榊博士から支給された鎮静剤とニーナ君の専用偏食因子を打ち込み、鎮圧後の回収となる。
……なにか質問は?』
「特になしです。ここらの人払いのコストもありますし、本来のオペレーター業務の回線1つ潰しちゃってるんで早くやりましょう。ここ2週間出撃してないのでずっと空腹なんですよ」
「なんでお前はそんなに呑気なんだよ。一応命懸けだぞ」
「まったくだ。なにかったら僕達が華麗に助けるのは前提だけど、ニーナ君にはもう少し周囲に心配をかけているという自覚をもってもらいたいね」
『そうだよニーナさん! 次ふざけたことしでかしたらアリアちゃんにも言っちゃうからね!』
『加えて、今回で問題が無かったとしてもキミの出撃が許されるわけではない。ということは覚えておいてくれよ』
「チェッ、反省してまーす。てか、コレ本当に私が悪いの?」
皆からの波状口撃に拗ねたように返事をすれば、周りのピリッとした空気が弛緩した。一応まだ笑ってくれるらしい。
何も言わずに受け止めてくれるのは最早ヨハンさんだけだよ。こんなにもみんなの為に文字通り身を粉にしてるのに味方が少なすぎるよね。
『さて、みんなの緊張もほぐれたところで早速始めようか。ニーナ君、神機への接続を頼むよ』
榊博士の指示に従って、アタッシュケース状になっている神機を本来の剣の形に変更。今回は私が暴走する可能性を鑑みて、動きを遅くするためにバスターブレード、タワーシールド構成だ。接続するまでがクソ重いので、台車で転がしている。
ソーマはよくコレを普段から持ち歩いてるな? 見た目によらずマッチョ……そういえば着痩せしてるだけだったや。
そういえば、いつもはうるさい程話しかけてくる神機が今日は欠片も喋らないな。……2週間アラガミ喰べてないから餓死したか? いや、流石に餓死は冗談にしても省エネ中ってやつかな。
まあ、こんなもんは接続すればアラガミを喰う時間として勝手に目覚めるでしょ。仮に目覚めないんだとしたら、今後ディアウスピターから回収されるリンドウさんの神機ことレン君に余計なことを話さなくなるわけで安心材料だしね。
軽い気持ちで腕輪と神機を接続すれば、黒いコードが神機と腕輪をつなぐ。接続されたことで、ぶん回しやすくなるというか身体に馴染むおかげで台車から簡単に上げることが出来た。
……未だに神機からの声は無い。
「こちらニーナ、神機との接続完了です」
『こちら測定班、異常なしです』
「エリック、ソーマの現場両名から見ても異常は見えないよ」
『実に結構だ。ではニーナ君、神機の励起に移ってほしい』
「了解です」
神機のグリップをしっかりと握り変形機構を起動、アタッシュケース状から刀身と盾がある状態まで展開する。
一息入れた後、神機を励起した。
「──神機、
『久々ダナ』
励起した瞬間、バチリという火花が散るような音が神機の声と共に私の脳内に響く。眼前の一瞬がスロー映像になるほど自意識が加速し、神機を持つ右腕から頭蓋にかけて電流が奔る。抵抗する間もなく、私の現実が暗転した。
次の話は多分早めに投稿されます。
みんなはハッピーエンド好きですか?
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ハピエン厨ですけど
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どっちでも美味しく食べれます
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いや、バッドエンドの曇り顔が輝くね