ウマ娘、トミノブッピガン!! 作:左舷砲手、弾幕薄いぞ、何やってる!?
暇だ。
大事をとって、昨日今日と休みで、オマケに学園も休みとなれば、私がすることは無い。だから久しぶりに、あの土手沿いの草原に来て、のんびり寝転んでいる。コースの方はいつも通り賑わっているみたい。
寮に戻れば待っているのは宿題だ。数学のワークに英語のノート、しかし、やる気が無い。
薄い筋のような雲が、青空を無為にたなびいている。
その時、視界が影に沈んだ。私の頭の前に、誰かが来たのだ。
「……」
珍しい来客だ。会いにくることなんて無いと思っていた。
カサカサと音が鳴って、私の隣に腰掛けたそいつ__ビタークレスは、いつになく穏やかで、平和に見える。
「いつも狂犬みたいにしてるんじゃないんだな」
「こう何も無いと、骨も抜けるさ」
会話が続かない。でも、居心地が悪いかと言われれば、そんなこともない。互いが空気みたいで、何もない。ただ、二人で穏やかな日差しにあたる。
すると、ビタークレスの方が進んで静寂を破った。
「あの時、オレは改めて、お前とオレは似たもの同士だと思ったよ」
「……」
「初めは同族嫌悪だったが、今は気になるんだ、お前のことが」
そう言うビタークレスの顔には、やはり険がとれているように見える。
私も、そうなんだろうか。
そんなことを考えていると、徐に、枯れ始めた草むらに立ち上がったビタークレスが、再び私を見下ろし、
「暇なんだろ、少し付き合えよ」
「……なに?」
予想外の展開だ、コイツがそんなことを言うなんて。付き合え?
「どこへ……」
「時間潰しだ、遊びに行くんだよ」
今、私はどんな表情をしているのだろう。
それから、あれよあれよと言う間に手を引かれ、いつの間にやら、私とビタークレスは、トレセン学園から一番近い、狭い通りに辿り着いていた。
上を見上げれば、電線ケーブルが行き交い、所狭しと雑居ビルが立ち並んで、ウマ娘だけじゃなく、多種多様な人が往来して、肩がぶつかりそうになるくらいのこの場所で、私たちは立ち尽くしていた。
「……お前が連れてきたんだろ」
「そう言ったって……大体こういうところに遊びにくるもんなんだろ」
「どうするんだよ……!!」
「今更帰れないだろうが……!!」
なんでかわからないが、こんなところまで私たちは似ていたらしい。
いや、計画性だけは私のほうがある。あるったらある。
路地裏から吹いてくる生暖かい風に戦々恐々としながら、私たちは通りの中腹あたりにある、煌びやかで目に毒なゲームセンターに入った。目に毒とは言ったが、まるで見たことのない光景に頭がついていかなくて、驚いているだけなんだろうが。
それは向こうも同じみたいだ。
「お前は、こういうところに行っているイメージだったんだけどな」
「トレセン学園にどうしても入りたかったんだ、暇なんてあるかよ」
「……」
UFOキャッチャー、音ゲー、コインゲーム、シューティングゲーム。取り敢えず、私たちは順番に回っていくことに決めた。
「噂には聞いていたが、なんなんだこれは……!!」
「ハッ、ざまぁないなぁトミノ!!」
「やってみろよ!」
「金の無駄になるのがわかりきってるのに、やれるかよ!」
よくわからないファンシーなぬいぐるみのUFOキャッチャーに、完膚なきまでにボコボコにされたり、
「このっ……」
「ぶふっ」
「笑うなよ!」
音ゲーを一番簡単な難易度でプレイしているのに、ぎこちない動きで苦戦しているアイツの姿があんまりにもおかしかったり、
「コインが……溜まり続けていく……?」
「おい!」
たった百円分から、収拾がつかなくなっていったり、他にも、シューティングゲームの店内レートのトップを、アイツと私で独占したり。
そして、ゲームセンターを出た私たちは、近くのファミレスに入って、大して動いたわけでも無いのにほでった身体を冷やすために、お互いにジュースをストローで啜っていた。
「……」
目の前で疲れたようにストローを咥えている奴のことを、昨日までの私はよくわからなかったことが、よく分かった。
噛みついてくる虚飾の奥の根底は、マヤノだったり、テイオーだったり、アイツらと何も変わらないのかもしれない。
多分、あのレースがなければ知りたいとも思わなかっただろうが、今は。
「……暇は潰せた。ありがとう」
「そうかい。……」
なんとなく、目の前の奴が考えていることがわかる。
「オレは、未勝利戦を制して、“ホープフル
ゲームセンターは楽しいが、結局そこまでってことだ。
一度レースに出てしまった私たちには、あまりにも足りない。
「そして、今度こそお前に勝ってやる」
やっぱり、どこまでも私たちは似ている。
そのことが、今はとても嬉しく感じる。