ジャンルごちゃ混ぜ百合   作:昼瀬七

1 / 5
ウマ娘より、グラスワンダーとトレーナーさんの話。

なお、こちらは以前privatterにて投稿した作品のリメイクとなります。盗用などではございません。


私だけのトレーナーさん【ウマ娘】

その瞳が私以外に向いているだけで、心の中は大きく乱れてしまう。そんな邪な感情を抱いてしまうのは褒められたことではない。それが例え私じゃなくても。

 

分かっていても、どうしても考えるのを止められない。

 

 

きっかけはなんだったか。スペちゃんのお昼ご飯の話から?みんなで減量に付き合うことになったと、世間話の一環として話したような気がする。正直なところ、私はそれを自主練習のひとつとしてトレーナーさんの許可を貰いたいだけだったが。

 

 

「グラスって本当細いよねえ、ちゃんと私の言う通りにご飯食べてる?」

 

「食べていますよ。それに、私とてウマ娘ですので、トレーナーさんの倍は摂取するんですよ〜?」

 

「うーん、頭では分かってるんだけどね。太りにくいのかな、グラスは。可愛いねえ」

 

「……私からすれば、よっぽどトレーナーさんの方が折れてしまいそうで少し怖いくらいです」

 

「へ?」

 

「いえ、何でも。それより、会議があったのでは?」

 

「あっ、もうこんな時間!!ごめんグラス、トレーニングは……」

 

「いつものですよね。大丈夫です、お気をつけて」

 

 

再度ごめんねと謝ってから、トレーナーさんは資料を手に慌ただしく部屋を出ていく。

 

 

さて、トレーナーさんが戻るまで何をしようか。宣言した通りいつものメニューをこなすか、それとも今日は黙って休んでしまおうか。そうしたらきっと、心配そうに顔を覗き込んでくれるだろう。

 

 

スペちゃんの話をしていたトレーナーさんの表情が、頭からずっと離れない。ライバルを観察するあの表情に、私のことは1ミリでもあっただろうか。

 

 

彼女に触れられた手首がまだ、じんわりと熱を持っているような気がする。お返しとばかりに掴んだトレーナーさんの手首だって大差無い細さだった。

 

 

もういっそ、その足でも折ってしまおうか。

トレーナーさんが私しか見れなくなるように、トレーナーさんが私だけに笑いかけてくれるように。

 

 

我ながら子供みたいだ。大好きな人に見ていて欲しいなんて、エルやみんなを窘めておいて、私だって欲には抗えない。彼女といると強欲になっていく、そんな自分が少しだけ嫌いだった。

 

 

私が本当にトレーナーさんを折ってしまったら、トレーナーさんは、いの一番に私を頼ってくれるだろうか。それとも申し訳なさそうに笑って、私の元から離れてしまうだろうか。

 

 

考えるのは止めよう。あるかもしれない"もしも"より、あるはずの今の方が断然幸せだと分かっている。だから早く、戻ってきて下さいね。私はあなたの担当ウマ娘で、あなたは私の、大好きなトレーナーさんなのだから。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。