朽ちた方舟より   作:逆風

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おはよう方舟!

 ぱっと目を開けると、青紫色の空が目に入った。

 ぼんやりする意識のまま起き上がると、なんだか視点が低い気がした。

 

 見慣れない空に何事だと思って両手を見下ろすと、すべっすべのお肌の手と……多分髪であろうぷるんとしたものが目に入った。

 

「……はい?」

 

 どーゆーことじゃいと思いつつ、髪らしきものを触る。触られてる感覚がある。

 

 吸盤のあるそれは髪と言うよかは、ゲソ。酢だこにしたら美味しそう……じゃなくて。

 

 

 ここはどうやら海に浮かぶ構造物らしく、おおよそ3段のピラミッド型。変なポッドみたいな置物もある。

 

 周囲を見渡せば、アスパラガスやらみたいなウキが浮いており、スペースシャトルのようなものが海に突き刺さっている。

 

 

 知っている。ここは確か……

 

 

「朽ちた方舟ポラリス……?」

 

 

 

 


 

 Splatoonというゲームがある。現在3作品目まで出ている人気アクション……陣取り?ゲームだ。

 

 プレイヤーはイカやタコが進化したキャラクターで、インクを塗りあってバトルする。

 ゲームには魚介類たちがキャラとして登場していて個性的で。

 

 で、Splatoonの中には2から登場した『サーモンラン』って協力モードがある。通称バイト。

 それは4人で協力して、シャケって相手を倒して金イクラってアイテムを集めるモードだ。報酬もおいしい。

 

 バイトのステージはいくつかあり、そのうちの一つで2最後の追加ステージであるのがここ、『朽ちた方舟ポラリス』だ。

 

「えっと……夢?」

 

 

 私は人間だ。さっきまでスプラ3のヒーローモードをやっていたはずだ。ならば今見ているこの光景は、現実であるとおかしい。

 

 が、このゲソを触る感覚も、つねった耳も確かにある。

 

 

 いやまさかねと思いつつ、海辺までゆっくり降りて水を覗き込めば、そこに映るのはタコガール。

 

 アカシックコートにレジェンドのぼうし、靴はマッドラバーと見事に2に登場するクマサン系ギアを身にまとったタコガールだ。ゲソ色は紺の目の色は赤青。オッドアイじゃないよ。

 

 

「ええ……」

 

 まさか転生?いや死んでないしなと思いつつ、それならそれでまあいいかと謎の納得も同時に行う。

 

 

 さてそれならば1つ大問題がある。

 

 

「とりあえず街に行きたいとこだけど……」

 

 どーやって行こう。

 確かイカタコはそのままでは水を泳げない。今入水すれば、間違いなく自殺だ。

 

 仮にバイトの船に載せてもらうとしても、この辺にシャケが移動してこないとバイトは行われない。今どの周期かも分からない。

 

 

「どーしよーかなあー!」

 

『………キュ』

 

「ん……?」

 

 浜辺に寝転がって青紫の空を見た時、何か鳴き声が聞こえた。

 

 なんだあ?と思うものの、もし敵対的なシャケだったらどうしようとも思う。

 私は今、ブキなんて持っていない。リスポーンの使い方なんか知らないし、襲われれば一巻の終わりの可能性の方が高い。

 

 

 が、やることもマジでないのも事実。

 

 恐る恐る、鳴き声のする方へと歩みを進めた。

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