ブルーアーカイブを、もう一度。   作:トクサン

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誤字脱字報告に感謝いたしますわ~!
今回は13,500字ですの、文字数的に次は三日後ですわ。


明日を待って

 

「――先生ッ、先生!」

 

 誰かが、私の名前を呼んでいる。暗闇に閉ざされた視界の中で、その声だけが鮮明に聞こえていた。

 揺れ動く車内、重く響き渡るエンジン音、ストレッチャーに寝かされた先生は重く、微かに震える瞼を押し上げる。たったそれだけの事だと云うのに、酷く時間を要した。捻じれ、歪み、不鮮明な視界――そこに映る、ヒナの姿。

 直ぐ脇に、縋り付くようにして叫ぶヒナは、目尻から大粒の涙を流し、その目元は腫れ上がってしまっていた。

 

 ――酷い恰好だ、(先生)も、彼女も。

 

 傷だらけで、砂利に塗れて、普段の凛とした姿とは雲泥の差。自身の肩を掴み、顔を寄せて必死に呼びかけるヒナに、先生は口を開こうとする。けれど、口から漏れ出るのは吐息だけで、声は僅かも発せられない。小さく、震える息が唇を湿らせる。

 もう指先一つ――動かす事が出来ない。

 

「セナっ、セナッ! 早く先生を――!」

「今は兎に角止血を! 現在トリニティの救護騎士団の元へ急行しています!」

 

 ヒナが運転席に向かって叫ぶ。自身と彼女を引き込んだセナは、現在運転席に座り車両を走らせていた。悪路が続いているのか、時折強い振動が車両を襲う。その度にヒナが先生ごとストレッチャーを押さえつけ、不安げに顔を覗き込む。

 

「声を掛け続けて下さい、それと衣服や毛布で暖を……ッ!」

 

 声が途中で途切れる、代わりに装甲車の外から銃声と何かが当たる硬質的な音が響いていた。銃撃を受けたのだ。車両が揺れ動き、ハンドルを握るセナが額に汗を滲ませながら呟く。

 

「ッ、どこもかしこも敵が……何と面倒な! 今は一分一秒が惜しいというのにッ……!」

「――私が敵を引き付けます」

 

 運転席上部、ルーフに張り付いていたワカモが窓から運転席を覗き込み、告げる。片腕で射撃を敢行しながら周囲を見渡す彼女の視界には、今現在も無数に出現するユスティナ聖徒会の姿を捉えていた。

 

「如何にあの亡霊共と云えど、郊外区画を抜ければ追っては来れない筈です、中央区には既に防衛隊が詰めている筈ですから」

 

 最初と比較して、その数をどんどん増やしているユスティナ聖徒会。彼奴等には謎が多い、その出現できる数に限りはあるのか? 消滅したとしても何度でも復活できるのか? また出現できる位置に制限はあるのか? 少なくとも、古聖堂近辺では何処でも出現出来る様子だった。そして隣接する郊外地区も然り――しかし、トリニティ中央区ではどうか。

 現在高速で移動する緊急車両十一号を先回りする様にして現れるユスティナ聖徒会だが、彼女達がどうやって目標を識別、移動ルートを割り出しているのかも不明。であればこそ、対象が別れた場合はどちらに比重が置かれるのか――賭けに近いが、やってみる価値はあった。

 ワカモは静かに立ち上がり、弾薬(クリップ)を愛銃に押し込みながら覚悟を決める。

 

「トリニティ本校舎にて、合流致しましょう」

「……お気を付けて」

 

 セナは静かに頷き、ワカモは一瞬、後部ストレッチャーに寝かされているであろう先生の方に視線を向け――緊急車両十一号、そのルーフから飛び出した。

 僅かな衝撃と共にワカモの影は宙を舞い、着地の間に銃声が鳴り響く。降車したワカモに向けて、群がる様に出現するユスティナ聖徒会。その背中はどんどんと遠ざかり、セナはサイドミラーでその様子を確かめながら、静かにアクセルを踏み込んだ。

 

「ぅ……」

「っ、先生!」

 

 先生の口から、呻き声が漏れる。

 ヒナがその事に気付き、声を上げれば、僅かに震えた唇が息を吸い込む。大きく、口に含むように繰り返される呼吸。

 

 急速に――視界が黒に染まる。

 

 目を見開いている筈なのに、瞼は開いている筈なのに、視界が、光が、奪われる。

 それは慣れ親しんだ感覚、幾度となく経験した結末の訪れ。それを予感しながら、先生は必死に言葉を紡ごうとする。息を吸い込み、肺を動かし、けれど喉が上手く働かない。

 

「ぁ……ひ――……」

「先生、私の事分かる? 今、治療できる所に向かっているからッ……! だからっ……!」

 

 喘ぐ様に口を動かし、先生は吐息を漏らす。駄目だ、まだ駄目だ、そう心の中で叫んでいるのに、徐々に、徐々に全てが奪われていく。

 真っ暗になった視界の中で、唯一残ったのは音だけだ。自分がもう、何処に居るかも分からない。駄目だ、心配させるな、元気づけろ、気丈に振る舞え、何でもないかのように装え――そう思っても、上手く体が動かない。

 肉体が、云う事を聞かない。

 

 急激に力が抜けていく。

 瞼を持ち上げる事も、呼吸をする事も、視線を動かす事も――出来なくなる。

 遂に、聴覚すら碌に働かなくなって。

 少しずつ音の間隔を広げていく自身の鼓動を聞きながら、先生はくしゃりと、顔を歪めた。

 それは先生の胸の内に残った、最後の感情だった。

 

「ご――………」

 

 声が、絞り出される。

 それは肺に残った空気全てを使って紡がれた、最後の声。

 悲しそうに、悔しそうに、皺くちゃになった先生の顔を見下ろしながら、ヒナは目を見開いた。掴んだ先生の右手が、小さく握り返される。

 ほんの僅かな、赤子の様な力で。

 

「ご、め――……んね……」

 

 そうして、先生は。

 その瞼を――ゆっくりと落とした。

 

「せ、先生――……?」

「――………」

 

 反応は、無い。

 ヒナが先生の手を握り締めたまま、そっと問いかける。手を強く握っても、肩を揺らしても、先生は目を開けない。何の反応も示さない。この手を、握り返してくれない。

 徐々に、ヒナの胸の内を黒色が支配し始める。立ち上がり、先生の肩を抱いたヒナは至近距離で先生の顔を覗き込む。閉じられた瞼、冷たい頬、変色した唇――先生は何も答えない。

 

「ねぇ、先生……先生ったら」

 

 涙を零しながら、静かに呼びかける。手を握って、肩を揺らして、耳元で声を張る。大丈夫、大丈夫だと自分に云い聞かせて。鳴り響きそうになる歯を噛み締め、泣いているのか、笑っているのかも分からない表情で、ヒナは呼びかける。呼びかけ続ける。

 声は、無様な程に裏返って、涙に塗れていた。先生の手を握る、何度も、頬に手を添える、冷たさを誤魔化すように。

 それでも、先生は何も答えてくれなくて。

 

「先生……先生、ねぇ、先生ッ……先生ぇッ!」

「――ッ!?」

 

 その叫びに、セナは最悪の事態を予感した。

 車両を急停止させ、運転席を飛び出す。最早、周囲の状況を云々している場合ではないと判断したのだ。

 後部座席に移った彼女は、先生に縋りつき、必死に叫ぶヒナの肩を掴む。

 

「委員長、下がってッ!」

「せ、先生、先生ったら! ねぇ、先生ッ!」

 

 狂乱し、理性を失っている風紀委員長。先生に縋りつくその腕には、凄まじい力が込められていた。その姿に心を痛めながら、セナは渾身の力でヒナを先生から引き剥がす。半ば押し出されるようにして剥がされたヒナは、車内の壁に体をぶつけ、呆然とした表情を浮かべた。

 セナは先生を見下ろすと、その状態を見ただけで察する。慌ててその胸元に手を当て、同時に呼吸の確認を行い、戦慄と共に呟いた。

 

「ッ――心肺、停止……ッ!」

 

 心臓が、止まった。

 その事実に、セナはこれ以上ない程の悪寒を覚える。棚に備え付けられていた人工蘇生システムのボックスを掴み、セナは叫ぶ。

 

「心肺蘇生を行いますッ! 委員長、ハンドルを取って、早くッ!」

「っ、ぅ、ぁ……!」

 

 この場で処置を行わなければ、先生は確実に死亡する。しかし、仮に息を吹き返したとしても輸血を行わなければやはり助かる確率は低い。誰かが車両をトリニティ中央区まで運ばなければならない。迅速に、少しでも早く。

 オートパルスによる人工蘇生、ライフバンドで胸部を覆い、胸骨圧迫を行うシステム。それをセッティングしながらヒナを見れば、しかし彼女は震えた指先を先生に伸ばしたまま硬直していた。心理的な衝撃、圧迫感、迫りくる不安と絶望。それを前に、ヒナは思考が、身体が、正常に稼働しない。

 それを見たセナは歯噛み、表情を歪める。

 

「ッ――このままだと本当に先生が死にますよッ!?」

 

 思わず、怒鳴り付けるような声で叫んだ。取り出したライフバンドを横に、ヒナの肩を掴んで思い切り車内の壁に叩きつける。視線を彷徨わせるヒナに向かって、セナは鬼気迫る表情で言葉を連ねた。

 

「直ぐにでもちゃんとした医療設備の在る場所に運ばなければならないんですッ! 委員長ッ! 確りして下さいッ!?」

「ぅ、あ、ぁ……ッ!」

 

 ――心肺停止に陥った後、蘇生処置が一分遅れるごとに、救命率は十%低下する。

 時間との勝負だ、それは先程までも同じであったが、これからは更にそれが加速してしまう。セナに怒鳴りつけられたヒナは、蒼褪めた表情のまま唇を何度か動かし、「わ、分かっている……分かって、る」と頷いた。覚束ない足取りで運転席へと駆け出すヒナを見送り、セナは素早く先生の身体にライフバンドを巻き付ける。

 システムの電源を入れモニタを覗き込むと、セルフチェックテストが行われ正常に稼働する事が確認された。動作の振動で装置が外れない様、固定ベルトの装着を確かめ、セナは操作パネルをタッチする。するとライフバンドが先生の胸部に合わせて調節され、適切な圧迫深度検索が開始。この準備まで、凡そ三十秒前後という所。

 

「先生、戻って来て下さい……!」

 

 冷たく、物云わぬ状態となった先生に、セナは懇願する。

 その瞳に、隠しきれぬ不安と焦燥を抱えて。

 

「絶対に、死なせませんから――ッ!」

 

 ■

 

「ああああァアアッ!」

「………」

 

 叫ぶ、咆哮する、自身の中にある熱を、渦巻く感情を発散する様に。

 愛銃を構え、射撃を敢行しながら距離を詰める。閃光が瞬き、銃声が轟く。次々と飛来する弾丸を、サオリは軽く身を捩る様にして避ける。強い視線と感情はアズサの狙いを容易に悟らせ、射線の予測を簡単にしてしまっていた。だからサオリはアズサを見つめ、ただその殺気が通る場所を避ければ良い。そうすれば、弾丸は掠りもしない。

 

 周囲のユスティナ聖徒会は何もしない、ただ棒立ちのままアズサとサオリを見つめるのみ。

 アズサには何か策がある訳ではなかった。何か狙いがある訳でもなかった。ただ目の前の人物に、サオリに、自身の怒りをぶつけなければどうにかなってしまいそうだったから。

 だから彼女は我武者羅に、遮二無二、馬鹿正直に突貫を繰り返す。

 必死の形相で、その愛銃を振り回す。

 

「――相変わらず、未熟だ」

 

 そんなアズサの様子を、サオリは冷徹に見つめていた。

 

「正面からの突撃など正気の沙汰ではない、お前の長所は周囲の環境と兵装を生かしたゲリラ戦、その中で敵の意表を突く事だろう、私と正面から戦って勝てると思ったのか?」

 

 呟き、一向に引き金を絞らなかった銃口をアズサに向ける。怒り狂いながらも繰り返した訓練の記憶が、アズサに咄嗟の回避を選択させた。

 素早く射線上から身を反らすアズサ。しかし、それはブラフだ。突き出した銃口が火を噴く事はなく、代わりにサオリの足元から何か硬質的な音が響いた。

 

「あぐッ……!?」

 

 次の瞬間、瞼の上に衝撃が走る。思わず目を瞑りよろめくアズサ。見ればサオリはブーツの先で足元の石礫を蹴り上げ、アズサの顔面に見事命中させていた。ただ逃げている様に、回避に専念している様に見せて、つぶさに地形を観察し利用出来るものを探している。そうだ、本来であればコレこそがアズサの持ち味であり、唯一サオリに勝る点である筈だった。

 しかし、それは怒りに目の曇ったアズサでは困難で。

 

「以前の様な絡め手も」

 

 一瞬、たった一瞬の怯み。

 顔に石礫が当たってよろめいた、その程度の時間でサオリはアズサの懐に潜り込む。彼女が再び目を開いた時、直ぐ目前に、サオリの色を喪った瞳が迫っていた。

 

「奥の手も無い」

「っ、このォッ!」

 

 目前に迫ったサオリに、アズサは咄嗟に愛銃のストックを繰り出す。銃口が下がった状態から手首を返し、横合いからコンパクトに突き出される一撃。サオリの首から顎先目掛けて放たれたそれを、彼女は予測していたと云わんばかりに肘で叩き落とした。強い衝撃にアズサの肩が落ち、姿勢が崩れる。見開かれたアズサの瞳に、能面の様なサオリの表情が映った。

 

「ぐ、ぎッ!?」

 

 顎を襲う、強烈な打撃。

 サオリの掌打が下から掬い上げる様にアズサの顎をかち上げ、脳を揺らした。思わず足元から力が抜け、意識が混濁する。それでも倒れなかったのは彼女の意思が為せる技か。

 しかし、一発を堪えた所でどうなる訳でもない。

 続けて放たれる胸への肘打ち、腹部への膝蹴り、鈍い音を立てて突き刺さったそれがアズサの身体をくの字に折り曲げ、骨が軋み息が詰まる。堪らず膝を突いたアズサの後頭部目掛けて、サオリは踵を振り下ろす。

 頭部を襲う、強烈な衝撃。頬が地面に叩きつけられ、身体全体が硬直する。冷たく、硬いアスファルトに押し付けられながら、アズサは立ち消えそうになる意識を必死に繋いだ。

 

「……今のお前は、只の弱者だ」

 

 アズサの後頭部を踏みつけながら、サオリは告げる。

 そこには何の感情も込められてはいなかった。

 いや、僅かに含まれているとすれば、それは。

 

 ――憐憫(憐れみ)か。

 

「リーダー」

「さ、サオリさん」

「………」

 

 アズサのものではない声が響く。サオリが視線を向ければ、大通りを歩いて来る複数の人影。同じ校章を刻んだ制服、コートに身を包んだ生徒達――アリウス・スクワッド。

 ヒヨリ、ミサキ、アツコ()。三人の姿を認めたサオリは、アズサの頭部を踏みつけたまま静かにマスクを外す。

 サオリの足元に蹲るアズサを見た三人は、それぞれが異なる反応を示した。

 

「……本当に来たんだ、アズサ」

「お、お久しぶりですねぇ」

「………」

 

 ミサキは僅かな驚愕と呆れを。

 ヒヨリはどこか懐かしむように。

 アツコはマスクで顔を隠したまま、無言を貫く。

 

「全員揃ったか――ヒヨリ、ミサキ、報告を」

「あ、アビドスの皆さんは一度撤退しました、ゲヘナとトリニティではない学園なので、ユスティナ聖徒会も能動的に追撃は行わない様でして……」

「トリニティの正義実現委員会は粗方片付けた、肝心のツルギとハスミには逃げられたけれど、取り巻きは戦闘不能――あぁ、あと、シスターフッドの連中もか」

「構わない、主目的であったETOの確保は出来た」

 

 三人の背後に佇むユスティナ聖徒会を横目に、サオリは頷く。確かにトリニティの主力であるツルギ、ハスミの排除は優先事項。しかし、何もこの場で確実に葬れるとは考えていない。第一にETOの確保、そして連中が負傷した状態の内に速攻を仕掛けて学園諸共圧し潰す。僅かでも戦力を削れたのならば、それで良い。何せこちらには、決して斃れぬ不死身の兵士が居るのだから。

 

「サオ、リ……」

「………」

「一体、お前は――……ッ!」

 

 サオリに頭部を踏みつけられたまま、苦し気に声を上げるアズサ。その表情を見下ろしながら、彼女はミサキに問う。

 

「ミサキ、残りの時間は」

「そろそろ両学園の予備兵力第一波が到着するから、それまでの時間なら五分、予測地点のETOを(けしか)けて撃退を考えない交戦なら三十分前後、撃退込みで動かすなら一時間は稼げるかな、流石に再編後は無理だけれど……」

「十分だ――コイツを起こせ」

「あぐっ……!」

 

 アズサの頭部を軽く蹴飛ばし、サオリは告げる。

 ヒヨリとミサキがアズサの武器や背嚢を引き剥がし、両腕を掴み取るや否や無理矢理上体を引き起こすと、ひざまずかせる様に足を差し込んだ。項垂れたアズサは顔に張り付いた雨水をそのままに、サオリを睨みつける。

 

「お前が態々来てくれて手間が省けた、裏切りによって多少計画にズレは生じたが、所詮は誤差の範囲内、危険分子のナギサも、潜在的な脅威だったシスターフッドも、一度に纏めて排除できるとは予想外の成果だったよ――おかげで後の掃討作戦が随分と楽になる」

 

 跪き、自身を見上げるアズサを見つめながら、サオリは淡々とした口調で言葉を紡ぐ。愛銃を担ぎ、マスクを片手に持つサオリは張り付いた前髪を軽く拭い、一歩を踏み出した。足元の水溜りが跳ね、アズサの制服を汚す。

 

「何が起きているのか全く分からないという顔だな、アズサ? あぁ、ならば教えてやろう――私達は、『エデン条約』を奪い去ったのだ」

「っ……!」

「条約が締結される古聖堂に爆撃を行い、一帯を制圧した後、条約の内容を捻じ曲げた、我々に都合の良い様にな」

「どう、云う……ッ!」

 

 思わず、声が漏れる。

 エデン条約を奪った? 条約を奪うとは、一体何だ。アズサは顔を顰め、困惑を露にする。そもそも、そんなものを奪った所で一体何の役に立つと――。

 

「……アズサ、忘れた? 私達にはトリニティとしての資格がある」

「もう随分、古い話ですけれどね……」

 

 そんな彼女の困惑を感じ取ったのか、ミサキは横目でアズサを観察しながら告げる。ヒヨリもまた、苦笑を浮かべながら相槌を打った。

 

「この条約は第一回公会議の再現なのだ、あの時までは各派閥がそれぞれの権限を持っていた、そして公会議当日、全ての派閥が集まって新たなトリニティ――今のトリニティ総合学園と成った歴史がある……排斥された私達、『アリウス』を除いてな」

 

 アズサを見つめたまま、どこか高揚の滲んだ声で語るサオリ。

 トリニティ総合学園の前身、それは幾つもの分派、分校の集合体である。あらゆる分派が連合を組み、出来上がったのが現在のトリニティ――つまり、アリウス自身はトリニティに所属する権利自体は有しているのだ。

 

「我々アリウスは数百年前から何も変わってなどいない、形式として、トリニティの一員としての権限を保有している――ならば、アリウスはエデン条約に介入する余地がある」

 

 全くの第三者が条約を捻じ曲げる事は難しい、儀式・契約・調印、それらは厳格で綿密な理解と規則、戒律の元に存在する。一ヶ所を変えれば全体が変化するような、そんな面倒で、複雑で、だからこそ絶対的な効力を持つ代物なのだ。

 しかし、元々トリニティの一員であり、その権限を持つアリウスならば、その条約を湾曲、或いは僅かに変化させる事はそう難しい事ではなかった。このエデン条約に於いてアリウスは云わばトリニティの身内――条約の内側に存在する組織なのだ。

 

 ――トリニティとゲヘナ間に於いて紛争が発生した場合、『エデン条約機構』(ETO)がそこに介入し、紛争を解決する。

 

「それが本来のエデン条約、我々は其処に、【エデン条約機構は、アリウス・スクワッドが担う】と書き添えた――ただ、それだけ」

「そ、それだけでは大して意味が無い様にも思えますが、戒律は本物なので複製(ミメシス)さえ出来れば……」

 

 ETO(エデン条約機構)を動かすにはゲヘナ首脳部、及びトリニティ首脳部、両学園の同意が必要となる。しかし最後の一文、【エデン条約機構は、アリウス・スクワッドが担う】という部分が、その権限の有無を全て無意味なものに変貌させた。

 本来であればETOは意志を持たぬ武力組織、ゲヘナやトリニティが協議して初めて動く部隊だが、その部隊そのものに、『アリウス』という意識が宿ってしまった。自身で判断し、自身で行動する完全な独立した武力集団に権限など何の意味も持たない。

 そして、アリウス・スクワッドがETO(エデン条約機構)を担うのであれば、それに対する攻撃行為は全て――戒律違反となる。

 

「ユスティナ聖徒会、戒律の守護者にしてトリニティの伝説的な武力集団――正確にはその複製(ミメシス)だが、戒律を守護する存在に違いはない、彼女達は我々『ETO』を助ける不死身の軍団だ」

「トリニティとゲヘナの私達アリウスに対する敵対行為は、神聖なる戒律への違反行為――つまり紛争の対象であり、鎮圧対象となるって訳」

「ゆ、ユスティナ聖徒会にとっては、戒律は絶対ですから、それを破る者には容赦しません、例え複製であっても……こ、心強いですね、へへっ」

「――最初から」

 

 アズサはその話を聞き、思わず歯噛みする。

 エデン条約、それはゲヘナとトリニティの和平条約――事の本質は、そうであると思っていた。しかし違った、それはゲヘナとトリニティを闊歩出来る、新たな武力集団の誕生を意味していたのだ。

 そしてそれを、それこそをアリウスは欲していた。

 その権限を――条約の名の下に、両学園を排除出来るその云い分を。

 

「首脳部を狙った、攻撃じゃ……なかった、のか……!」

「そうだ、この兵力を確保する事が私達の目的だった」

 

 エデン条約調印式に介入し、その条文を書き換える事。

 そして、それを利用しユスティナ聖徒会――その複製を手に入れる事。

 それこそが、アリウスの本当の目的。

 

「そして次なる目標が――シャーレの先生、その排除」

「ッ……!」

 

 その言葉に、びくりとアズサの肩が跳ねた。

 彼女の瞳に、再び憎悪と敵意が宿る。

 ぐっ、と。アズサの腕を掴むヒヨリとミサキの手に、強い力が込められた。

 

「マダムからの直々の指示でな……あの大人は危険だった、お前の意思を、想いを、直ぐ傍で煽っていたのだろう? この世界の真実を隠し、事実を歪めて嘘を教える――悪い大人だ」

 

 アズサの目線に合わせる様にサオリは屈み、その瞳を覗き込む。自身を睨みつける紫掛かった瞳、その向こう側に覗く怒り、憎しみ、悲しみ。その負の感情を確かめながら、サオリは口元を歪め云った。

 

「だが、その悪い大人も、もう消えた……だから後はゆっくりと教え直せば良い」

 

 雨に濡れた互いの瞳が交差する。

 アズサの血の滲んだ口元、その赤色を指先で拭ってやったサオリは言葉を続けた。

 

「トリニティでは楽しそうだったな、アズサ」

「………」

「あの学園での生活は楽しかったか? 好きな人たちと一緒に居られる事、お前を理解してくれる人達と一緒に居られる事、何の憂いもなく、暖かな陽射しの差す場所で日々を謳歌する毎日――……」

 

 段々と声に混じる、昏い色。

 彼女が裏切るまで、何度も重ねていた報告。ひと月の間に変化していた、アズサの表情、感情、心情――その胸元にぶら下がる、濡れた小さな(補習授業の)人形を見つめ、サオリは吐き捨てた。

 

「――虚しいな」

 

 そんな世界(もの)は、まやかしだ。

 

「思い出せ、お前を理解して受け入れてくれるのは、私達だけだ、此処(陽の当らぬ場所)がお前の居場所だ……お前はその真実から目を逸らし、甘い嘘に目が眩んだ、そしてその弱さがお前をこうして敗北させている」

 

 サオリの指先が、アズサの瞳を指す。

 その場所の居心地の良さを知らなければ。

 その暖かさを知らなければ。

 アズサはこれ程までに目を曇らせる事はなかった筈だ。

 感情に振り回され、地面に這いつくばる事もなかった筈だ。

 その優しさが、暖かさが、甘い夢が――彼女を弱くした。

 

「私達が憎いか、アズサ?」

「ッ、当然、だろう……!?」

 

 その問い掛けに、アズサは吼える。

 今にも噛み付いてやらんとばかりに身を捩るアズサは、至近距離でサオリに殺意の籠った視線を投げながら叫んだ。

 

「お前は、先生を……ッ!」

「ならば、私のヘイローを破壊してみせろ」

 

 感情を露にするアズサに反し、サオリは酷く落ち着いた声でそう告げた。

 ヘイローを、壊す。

 人を、殺すという事。

 自身の頭上に浮かぶ円環(ヘイロー)を指差し、彼女は云う。

 

「条約の主体である私達が存在する限り、この戒律は永続していく、ヘイローを破壊(私達を殺し)でもしない限り、エデン条約機構(スクワッドと聖徒会)はアリウスの手足となって戦い続ける」

 

 だから、止めるにはヘイローを壊す(殺す)しかない。

 条約を担うスクワッドが全滅すれば、エデン条約機構は文字通り消滅するだろう。

 或いは、もう一度条約を書き替えるか。

 しかし――。

 

「だが、お前には無理だよアズサ――お前に私は殺せない」

 

 弱くなった(陽の暖かさを知った)、お前では。

 

 サオリはそう、どこか嘲る様な表情と共に言葉を放った。

 手に持っていたマスクで再び口元を覆い、立ち上がる。コートを靡かせ踵を返した彼女は、地面に転がったアズサの背嚢を拾い上げた。

 

「セイアもこの後直ぐに見つけ出す、お前の後始末はこっちでしてやろう、だからお前は――」

 

 アリウス自治区へと連れ帰る。

 そう口にしようとして、ふとアズサの背嚢に何か、妙なものが入っている事に気付いた。外側からでも分かる膨らみ、柔らかさ、設営用のテント幕――ではない筈だ。ならば防寒着か何かかと中を覗き込めば、そこには白い妙な物体が詰め込まれていた。

 

「……何だ、これは」

 

 取り出し、サオリは目を細める。白くずんぐりとした輪郭に、羽の様な手と黄色いヒレ足。開いた口元からは舌が飛び出し、左右に散らした瞳の上には眼鏡が被せられていた。

 サオリには全く馴染のないものだ。妙に柔らかくて、何とも云えない不気味さもあって、戦場には不釣り合いの――。

 

「……縫い包み?」

 

 瞬間、銃声が轟いた。

 飛来した弾丸はアズサを掴んでいたミサキの左肩に命中し、衝撃で彼女の身体が後方へと流れる。痛みに顔を顰めたミサキは、数歩蹈鞴を踏みながら苦悶の声を上げた。

 

「ッ――!」

「ミサキ!? 狙撃……どこからっ!」

 

 即座に背嚢と縫い包みを地面に投げ捨て、愛銃を手に取るサオリ。素早く近場の障害物に身を潜めた彼女は、直ぐ傍の建物、その屋上に立つ小柄な人影に気付いた。

 四階建ての古風な建築物、その屋上に立つ彼女は愛銃のトリックオアトリックを担ぎながら、その大きな鞄を振り被る。

 その眼光が、降り注ぐ雨の中で赤い軌跡を描いた。

 

「――あんなの見ちゃったらさぁ、もう……」

 

 白く靡く髪。普段の様に、「くふふっ!」と笑う事は無かった。

 ただ、その額に青筋を浮かべ、開いた瞳孔をそのままに――彼女は叫ぶ。

 

「ぶっ殺すしかないよねぇッ!?」

 

 投擲――地面に向かって放り投げられた黒く、大きな鞄。

 サオリは咄嗟に反応し、頭上のそれに狙いを付け、銃撃を敢行する。弾丸は寸分違わず飛来した鞄に着弾し、爆発を巻き起こした。

 

「ぐッ……!?」

 

 爆風、爆炎、肌を焼く熱波と噴煙が周囲を包み込み、雨の寒さを一瞬だけ文字通り吹き飛ばす。爆発の衝撃で周囲の硝子が割れ落ち、サオリの後方に立っていたアズサ、ヒヨリ、アツコもまた吹き飛ばされる。

 アスファルトの上を転がりながらも、アズサは必死に手を伸ばし背嚢とペロロ人形を掴んだ。そのまま抱き込むようにして爆炎から人形を守る。

 

「クソっ……一体どこの部隊――」

「うわァアアアアアッ!」

 

 悪態を吐き、体勢を立て直すサオリ。そんな彼女目掛けて爆炎を裂き、突貫する影が一つ。直ぐ横から響いた叫び声に、サオリは素早く拳銃を抜き放ち、射撃。閃光が瞬き、弾丸は寸分違わず人影へと着弾した。

 着弾した筈だった。

 だというのにその影は微塵も怯む事をせず、速度を落とさずにサオリへと肩から突っ込んだ。凄まじい衝撃と勢いにサオリは地面から足を浮かせ、そのまま地面に叩きつけられる。

 一瞬、視界が歪む。そして倒れたサオリに突きつけられた銃口から、閃光が瞬いた。咄嗟に顔を逸らせば、発射された散弾がアスファルト舗装された地面を抉る。飛び散った破片が、サオリの頬を傷付けた。

 

「ぐぅッ!?」

「死んでッ、死んで死んで死んで死んで死んでェえッ!」

「何だ、コイツは……!?」

 

 サオリに圧し掛かり、銃口を突きつけながら狂乱する生徒――ハルカ。

 大粒の涙を流し、赤く充血した瞳をそのままに凄まじい力でサオリを地面に押し付ける。とてもマトモな状態とは思えない、精神的に不安定だとひと目で分かる相手を前に、サオリは思わず顔を顰めた。

 

「――動ける?」

「っ……!?」

 

 背嚢とペロロ人形を抱き締めたまま蹲っていたアズサは、噴煙が漂う中で自身の愛銃を視線で探していた。そんな彼女の肩を叩く人影。大きく肩を震わせながら振り向けば、そこにアズサの銃を片手に差し出しながら佇む生徒が居た。

 

「お前は……」

「自己紹介の暇はないから、動けるなら手伝って」

 

 そう云って彼女――カヨコはアズサの愛銃を押し付ける。普段よりも数割増し、恐怖を感じさせるような眼光で周囲を見渡し、彼女は自身の愛銃デモンズロアを抜き放った。

 その銃口の先には、一体のユスティナ聖徒会。同じように銃を構えた相手は、アズサとカヨコを狙っている。少し距離があった、それを確認したカヨコは小さく呟く様な声で云った。

 

「社長」

 

 呟きと同時に、銃声が木霊する。立ち上る噴煙を切り裂き、飛来したそれは今しがた二人に銃口を向けていた聖徒会の頭部に着弾し、上半身を消し飛ばした。

 そして炎と煙を肩で切り、甲高いヒール音を響かせながら現れる――彼女達のリーダー。

 

「……ホント、最悪の旅行だね」

「――えぇ、本当に」

 

 羽織った外套を靡かせ、瓦礫に足を乗せ周囲を見渡す――陸八魔アル。

 便利屋68を率いる彼女は、その不機嫌な表情を隠す事無くアリウス・スクワッドの前に立ち塞がった。

 

「ふーッ! ふぅううッ!」

「こ、のッ……! いい加減離れろッ!」

 

 ハルカに押し倒されていたサオリは、その腹部を強かに蹴り上げ拘束を抜け出す。かなり強烈な蹴撃だったというのに、ハルカは数歩蹈鞴を踏むだけで悲鳴の一つもあげない。ただ口元を一文字に結んだまま、即座に銃口を向け、発砲。散弾がサオリのコートを掠め、ステップを踏みながら距離を取ったサオリは愛銃を構えながら叫んだ。

 

「全員無事か!?」

「なんとかね……」

「うぅ、び、ビックリしました……」

「………」

 

 ミサキ、ヒヨリ、アツコ、爆発に巻き込まれた彼女達は健在。その無事を確かめたサオリは、小さく胸を撫でおろしながら改めて目前の敵を見据える。

 中央に赤髪の女、妙なカリスマと重圧を感じさせるその生徒は、左右に爆弾を投擲した小柄な生徒と、先程自身に突貫して来た情緒不安定な生徒を引き連れている。そしていつの間にか救助されたのか、アズサを連れた凄まじい形相の生徒――殺意を滲ませるその眼光に、サオリは僅かに顔を険しくさせた。

 

「貴様は――」

「便利屋68、陸八魔アル……アナタ達に名乗りたくなんて無かったけれど、冥土の土産に教えてあげるわ」

「便利屋――そうか、ゲヘナの」

 

 その名前に、憶えがあった。

 ゲヘナ自治区に存在する、幾つもの違法サークル。学園に認められていない部活、その中でも特記戦力として記されているのが、「美食研究会」と「便利屋68」の二つ。正確に云えば部活とも呼べない集まりではあるが、その実力は本物である。風紀委員会とも正面切って戦争を仕掛け、それでいて逃走をも成功させるという武力集団。

 サオリの銃を握る手に、力が籠る。

 

「私達の経営顧問に、随分と手荒い真似をしてくれた様ね」

「……経営顧問?」

「――シャーレの先生だよ」

 

 サオリの疑問に対し、殺意の籠った視線を寄越す生徒、カヨコが云った。声には確かな苛立ちが込められていた。

 

「せ、先生が、あ、あなたにッ、う、撃たれ……撃たれてッ!」

「全部見た訳じゃないし、遠目だったからハッキリとは分からなかったけれどさぁ……あんな血塗れになって、やってませんは通用しないよねぇ?」

「………」

 

 アル以外の面子が、涙を湛えて、憎悪と怒りを込めて叫ぶ。その弾劾にサオリは無言で以て応え、静かに銃口を向けた。便利屋68と対峙するように、アツコが、ミサキが、ヒヨリが、サオリの傍へと足を進める。

 背後に続々と出現するユスティナ聖徒会(ETO)、その影を酷く冷めた瞳で見下ろしながら、アルは言葉を紡ぐ。

 

「先生には色々とお世話になっているし、私達の経営顧問として、そして信頼出来るクライアントとして、大切に想っているの、だから――」

 

 そこまで口にして、アルは小さく首を横に振った。

 

「いえ、建前は必要ない……よくも私達の先生に傷を付けたわね?」

 

 その指先で肩に掛かった髪を払い、彼女は足元の瓦礫を強く踏みつける。

 僅かに血の滲んだ唇を震わせた彼女は、有りっ丈の敵意と怒りを滲ませ、担いでいた愛銃――ワインレッド・アドマイアーをアリウスに突きつけた。

 その瞳が、真っ直ぐサオリ(標的)を射貫く。

 

「お礼に――鉛玉をくれてやるわ」

 

 その宣言と共に、再び銃声が鳴り響いた。

 


 

 この負傷で記憶障害が起こって、奇跡的に生還した後に涙を流しながら喜ぶ生徒に、「えっと、君達は……誰だい?」ってなって血の気の失せた顔で見つめられる先生とか見たい。

 その後、先生抜きでアリウスと戦って、キヴォトス全域巻き込んで全学園vsアリウスみたいな形で辛うじて勝利を収めるんだけれど、ボロボロになったスクワッドの前に先生が立ち塞がって、「私には何が起こっているのか分からないし、これは正しくない事なのかもしれないけれど……でも、彼女達、ボロボロなんだ」って呟く。先生を戦いに巻き込む訳にはいかないと、あれやこれやと説得を重ねる生徒達に向けて、けれど先生はスクワッドを庇ったまま動かなくて、生徒の説得を前に、「()()として、見て見ぬ振りなんて出来ないよ」って云って申し訳なさそうに笑って、愕然とする生徒達とスクワッドの皆が見たい。

 

 記憶を喪っても先生としての、大人としての責務を忘れない先生は素晴らしい。ただし生徒達の心情は無視するものとする。腕捥いで眼球抉って、身体に何発も鉛玉ぶち込まれた挙句に命懸けて救われるスクワッドとか涙が出ますわ……。更にそんな先生の為に戦っているのに全く報われない生徒達も可哀そうですわ……。先生ってそういう所あるよね。生徒みんなが笑い合える世界とは程遠いッ! でも先生の死に際に少しでも安心して欲しくて、泣き笑いをする生徒達を見れば、「生徒皆笑っているな……ヨシ!」ってなりますわ。これが強制笑顔って奴ですの? 世界は広いですわねぇ~。

 まぁ本編ではやりませんが。

 こんなになっちゃった……。

 こんなになっちゃったからには、もう……ネ。(ちいかわ)

 

 カルバノグ新章来たので早速明日にでも読みますわよ!

 プロット破壊が起きませんよーにッ! お願い致しますわ~ッ!

 

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