ブルーアーカイブを、もう一度。   作:トクサン

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強襲作戦

 

「いやぁ~、まさか勝っちゃうなんてね、ヘルメット団もかなりの覚悟で仕掛けて来たみたいだったけれど」

「ん、三十人何て大勢は初めて、いつも十人とか、多くても十五人とかだったのに」

「まさか勝っちゃうなんて、じゃありませんよホシノ先輩……勝たないと学校が不良のアジトになっちゃうじゃないですか」

 

 部室に戻って来たアビドスの面々は、愛銃をガンラックに立てかけながら深く椅子に腰掛けた。戦闘自体はほんの一時間足らずの出来事だったが、流石に鉄火場となると神経が擦り切れる。それでも、補給の心配がなくなったというのは大きい。シロコはエネルギー食であるスティックメイトを頬張りながら、先生を見る。

 

「先生が居てくれて助かった、多分私達だけだったら対処しきれなかったから」

「そうですね~、本当に素晴らしいサポートでした」

 

 シロコとノノミの言葉に、全員の顔が先生に向いた。

 その脳裏に過るのは、戦闘時に受けた先生のサポート、そして言葉にされずとも視界に表示される先生の指示。いつ、どこに居て、誰を狙い、どう動くべきか――それが視界の中でポイントされた敵であったり、強調表示された銃や土嚢であったり、或いは矢印で表示された場所であったりと、様々な形で生徒を導いていた。

 

「確かに凄い指揮だったわね、あのサポートもそうだったけれど……大人って皆こうなの?」

「いえ、流石にそれはないかと――やはり連邦生徒会長に特別指名される先生だからではないでしょうか?」

「うへ、凄いんだね、先生って」

「そんなに褒められる事でもないさ、それに、これくらいしか出来ないからね」

 

 どこか苦笑いを浮かべたまま、そう告げる先生。生徒達はそれを謙遜と受け取った。尤も本人からすれば謙遜でも何でもなく、本当にそれしか出来ないと思っているのだけれど。

 椅子に座っていたアヤネは先生に向き直り、背筋を正すと真剣な口調で告げた。

 

「えっと、改めて御礼とご挨拶を、先生――私達は」

「アビドス対策委員会、だろう?」

 

 遮る様にそう口にすれば、アヤネが目を瞬かせる。

 

「シロコ、アヤネ、セリカ、ノノミ、ホシノ……全員の名前と、現在の状況は把握しているよ――この学園の生徒が君達五人しかいない事、住民が殆ど居なくなってしまった事、物資が殆ど枯渇している事もね」

 

 そう云って頷く。既に先生はこのアビドスの状況を、少なくとも書類上の事は把握している――無論、それ以上の情報も、実情も知っているし理解しているけれど。

 何せ、実体験なのだから。

 

「そうだ、少し空いている教室を貸してもらえないかな? 置きたいものがあるのだけれど」

「? この隣の教室は空き教室なので、其処なら大きなものでも運び込めると思いますが……」

「分かった、ありがとう」

 

 アヤネの言葉に頷き、タブレットを数度タップする。画面に表示された表記に笑みを浮かべ、そっと呟いた。

 

「アロナ、頼む」

『はい先生! クラフトチェンバーより生成物の固定化を開始します!』

 

 瞬間――隣の教室より大きな物音が響いた、次いで電子音。周囲の電子機器が一瞬ノイズを走らせ、隣に座っていたセリカが飛び上がる様にして立ち上がった。

 

「わっ、なに、何の音!?」

「隣の部屋から……?」

 

 音に驚き、皆が慌てて隣の教室に飛び込む。

 するとそこには――教室の半分を埋め尽くす程の補給物資が積まれていた。

 唐突な物資の出現に、生徒達は目を見開き思わず棒立ちとなる。

 

「す、すごっ、なによこれ!?」

「これは、大量ですね~☆」

 

 ノノミとセリカが積み上がった物資を見上げ呟き、シロコは僅かに警戒する仕草を見せながら物資の傍に寄ると、徐にコンテナボックスの一つを開封した。中に入った代物を一つ一つ手に取り、確かめる。

 

「弾薬に、レーション、IFAK、イヤープラグ……これ、もしかして補給品?」

 

 手に持ったそれを戻し、背後の先生を見るシロコ。先生はその視線に応え、静かに頷いて見せた。

 

「先生、一体どうやって――」

「状況は把握しているって云ったでしょう? 必要なものは大体揃えたと思うよ」

 

 肩を竦め、「これも大人の力って奴さ」と誤魔化す。

 クラフトチェンバーに関しては、連邦生徒会の中でもごく少数のみが把握している代物。残念ながら、生成物だけならばまだしも、その存在そのものを知られる訳にはいかなかった。

 クラフトチェンバー(製造装置)で創り出す事の出来ないものは、恐らく『生物』と『質量が大きすぎる物』を除いて存在しない。食料だろうと、家具だろうと、銃器だろうと、弾薬だろうと、教材だろうと、須らく生成する事が可能。

 必要なのは核となる『キーストーン』と、『生成に必要な対価物質』のみ。この対価物質というものが中々に便利で、先生にとっては塵同然の代物でさえ食料や弾薬に変えてくれる――他所から見れば正に夢の装置だった。

 

 尚、予め素材さえ投入しておけば、シッテムの箱を通じて『生成地点』をポイントする事が出来る。試したことはないが、キヴォトス内であればどこであってもポイント可能だろう。今回は出張前に予め製造予約を行い、完成品をこの場に生成した、という事になる。

 唯一欠点を上げれば、生成物を選んで取り出す事は出来ないという点か。一度ポイントし、取り出せば、生成物は全てその場に転送されてしまう。

 もし選択して生成出来るのであれば、アビドスの住宅街で彷徨っても食料と水に困る事はなかっただろう――先生は少しだけ遠い目をした。

 反対にシロコは補給物資を両手に持ちながら、輝いた瞳を先生に向けている。

 

「凄い量の物資と装備、それに戦闘指揮にサポートまで――大人って本当に凄い」

「シロコちゃんの大人のハードルが凄い事になってそうだね、先生責任取りなよ?」

「えっ、私のせいなの」

「いやいや、先生困っちゃうじゃん! ちょっと委員長!?」

「あはは、でも凄い助かっちゃいますね、弾薬とか物資の類をアビドスまで搬入するとなると、かなりの重労働ですし」

「そうだねー、補給品も底をついていたし、流石に覚悟したよ~、ほんと、良いタイミングで来てくれたね、先生?」

「間に合って良かったよ……特にノノミの銃は、弾薬の消費が激しそうだもんね」

「そうなんですよ~☆ やっぱり分かっちゃいますか」

 

 舌を出しておちゃめな顔を見せるノノミ。そりゃあ、ミニガンなんて担いでいればそうなるだろう。寧ろ今までどう工面していたのか気になるところだ。

 ともあれ、当分戦えるだけの準備は整った。

 後は――。

 

「さて、これで物資の問題は当面解決、それと今回の襲撃は何とかなったけれど」

 

 皆を見渡せば、共通認識なのか――これで終わりだという意識は見えない。

 シロコとセリカは分かり易く顔を強張らせ、吐き捨てる様に云った。

 

「カタカタヘルメット団だよね、攻撃を止める様な奴らじゃない、きっとまた来る」

「私もシロコ先輩に同意見……しつこいし、諦めが悪いもの、あいつら」

 

 彼女達の云う通り、カタカタヘルメット団を名乗る不良達は戦力が揃い次第、またこの校舎に攻めて来るだろう。先の大攻勢で大半の戦力を失ったとは云え、不良達は何もカタカタヘルメット団だけではない。何より言い方は悪いが、その手の不良はこのアビドスに掃いて捨てる程存在している。ヴァルキューレや自警団の手が伸びない辺鄙な場所であるからこそ、彼女達にとっては天国ともいえる環境なのだ。

 その意見に賛成なのだろう、アヤネの表情が曇り、顔が俯く。

 

「攻撃はいつまで続くのでしょうか……ヘルメット団以外にも沢山問題を抱えているのに」

「まぁ、先生のお陰で当面戦えるだけの体裁は整ったけれど、やっぱり元凶を何とかしないとね~」

 

 ホシノはだらんと曲がっていた背筋を正し、不意に笑みを零しながら云った。

 

「そういう訳で、ちょっと計画を練ってみたんだ」

「えっ、ホシノ先輩が!?」

「うそッ……!?」

 

 ホシノの言葉に、明らかに驚いている顔をするアビドスの面々。その反応を見たホシノは、心外だとばかりに頬を掻いた。

 

「いやぁ、その反応はいくら私でも、ちょーっと傷ついちゃうかなー……おじさんだって、たまにはちゃんとやるんだよ?」

「いえ、それはまぁ、知っていますけれど……」

「……で、どんな計画?」

 

 セリカは腕を組みながら、明らかに不審そうな顔で問いかけた。そんなに信頼ないかなぁ、おじさん~……と呟きながら、ホシノは自身の考えを生徒の皆に明かす。

 

「ヘルメット団は再編を終えてまた攻撃してくる筈だよ、この所ずっとそういうサイクルが続いていたし、今回はちょっと大きな攻勢だったけれど、それで諦める連中なら、とっくの昔に諦めているでしょ」

「それは、まぁ、そうね」

「だから今、このタイミングでこっちから仕掛けよう、奴らの前哨基地を襲撃して損害を与えれば、暫くこっちに手を出す余裕もなくなるだろうし」

「えっ、い、今からですか!?」

 

 ホシノの唐突な襲撃提案に、アヤネは目を見開いて声を上げた。他の面々も、驚いた表情を隠せない。此方から攻勢に出る――それは今までアビドスが一度も考えていなかった、否、考えついても出来なかった行動だからだ。

 だからだろう、必ず刺さるという確信がホシノにはあった。

 

「そうそう、今、敵の出払っていた戦力がガタガタで、こっちは補給を済ませて万全の態勢、何なら先生も居るし、負ける要素ないでしょ? どうせ向こうはこっちが補給している事も知らないだろうし、物資がカツカツだと思っている中で攻勢に出るなんて想定していないでしょーし」

 

 ホシノの提案にアヤネは少し不安そうな面持ち――慎重で情報を重んじる彼女からすれば、ホシノの提案は唐突過ぎて余り歓迎出来ないのだろう。反して、シロコやセリカ、ノノミと云った面々はどちらかと云えば賛成寄りの雰囲気であった。

 

「なるほど、ヘルメット団の前哨基地は此処からそう遠くないし――行けない距離じゃない」

「良いと思います、あちらもまさか即日反撃されるなんて、夢にも思っていないでしょうし」

「んー……まぁ、アリ、かも?」

 

 積極的賛成がノノミとシロコ、セリカはホシノの提案という事でやや疑る気配があるものの、理屈自体は通っていると賛成の気配。取り残されたアヤネはあわあわと忙しなく皆の顔を伺いながら、ぐるぐると目を廻した。

 

「そ、それはそうですが……先生は如何ですか?」

「んー」

 

 アヤネが不安そうな面持ちで先生を見る。先生は腕を組み、多少の算段を付けた所で頷いて見せた。このまま当たったとして、まず負けはない。アビドスの面々、その素の戦闘能力が高いというのもあるが、不良達は今大幅に戦力が削がれた状態――仮に先程と同じ規模の不良達と戦闘になったとしても、撃退自体は可能だろうと判断。

 

「逆撃を加えるなら確かに、ベストなタイミングだと思うよ? 皆が出発するなら同行しよう、サポートと作戦指揮は任せて欲しい」

 

 先生がそう言い切ると、アヤネは先生が云うならという表情をして、「分かりました、私も賛成します」と頷いた。

 皆の意見が纏まり、全員の顔に戦意が灯る。

 

「よっしゃ、先生のお墨付きも貰った事だし、この勢いでいっちょやっちゃいますかー」

「ん、善は急げって奴だね」

「はい~、それではしゅっぱーつ!」

「やるならギッタンギッタンのボコボコにしてやるわ!」

「あっ、ちょっと、まだ準備が――!」

 

 部室に愛銃を取りに戻る皆の背を見ながら、アヤネは強襲に必要な装備一式を整えねばと駆け出す。先生もまた作戦を想い、静かにタブレットを握り締めた。

 

 ■

 

 というのがほんの数十分前の話。

 

「うぉぉおお、シロコ、ちょ、ま、待って! 早い! 早い!」

「でも兵は高速を重んじるって、本に書いてあった」

「それを云うなら拙速! いやまぁ、本質的には間違っていないだろうけれども!」

 

 アビドス高等学校を出発して早数十分、先生は現在シロコに背負って貰ったまま移動を行っていた。

 人の居ない公道を爆走するアビドスの面々は、それなりの重量を持つ弾薬やら銃器やら装備やらを纏ったまま、時速四十キロ程の速さで駆け抜けている。

 人間の百メートル走の速度が凡そ三十キロ後半であるが、彼女達の場合は速度でそれを凌ぎ、更に全力疾走のまま何十分も走り続けることが出来た。勿論、個人差はあるが。

 アビドスにやって来た時も、こうしてシロコに背負われていた訳だが――速度はあの時より速い、正直恐ろしい。下心とかそういうものを抜きに、純粋な命の危機に全力で先生はシロコに抱き着いていた。

 

 尚、この時シロコは内心で、先生に全力で頼りにされている事、自身の気分一つで先生の表情を操れる事、涙目で縋り付く先生が存外可愛く見え、昏い愉悦に目覚めかけていた事を自覚し――そっと頬を染めていた。

 

 また、先生の事をおんぶして全力で走ろう。

 何か理由を付けて、絶対やろう。

 シロコは背中に張り付く先生を時折チラ見しながら、内心でそう決心した。

 

「す、すみません先生、学校には移動用の車両が無くて……前は一台確保していたのですが、前回の戦闘で大破してしまって」

「まー、爆薬を搭載して突っ込ませればそうなるよねぇ」

「いやいやいや、というかあっても君達運転免許持っていないでしょう!?」

 

 隣を涼し気な表情で並走するアヤネの言葉に、先生は叫び返す。

 例え後方支援が得意な生徒であっても肉体的なスペックは人間を遥かに凌駕する為、運動性能のみならば先生はキヴォトス内最弱クラスである。体育の授業は自習、これは肉体的に仕方なし。

 先生の言葉に、シロコは頭上に疑問符を浮かべ問い返す。

 

「? 車の運転に、免許って必要なんだ、初めて知った」

「嘘でしょう!?」

「でもヘルメット団の連中、普通に戦車とか運転しているわよね? あいつ等って免許持ってんの?」

「………」

 

 セリカの今更な疑問に、先生は口を噤んだ。そう云えばそうだ、そもそもワカモ騒動の時に出て来た戦車も、あの生徒達はきちんと免許を持った上で操縦していたのか。いや、多分持っていないんだろうなぁ――先生は遠い目をしつつ、キヴォトス内に於ける免許という存在の無意味さに絶望した。

 

「先生? なんだか顔色が悪いですよ? 少し休憩しましょうか? シロコちゃん、先生を背負う係変わりますよ」

 

 不意にノノミが横から覗き込み、先生の絶望顔を見てそう提案する。彼女は一等大きい愛銃(ミニガン)を抱えて尚、余裕そうな表情で走り続けていた。その時に跳ねる双峰に先生は目を吸い寄せられそうになるが、そこは先生の意地で何とか堪える。少なくとも本人は堪えた気になっている。真実は定かではない。

 シロコはそんなノノミの提案に、一瞬目を細めながら、ふいっと顔を反らして拒否の態度を貫いた。

 

「――大丈夫、私は疲れていない、先生も問題ない、先生は私の汗の匂いが好きだから、疲れる筈がない、寧ろ回復する」

「えっほ、ぶおっほ!」

「わぁー☆」

 

 唐突な先生へのダイレクトアタックに、思わず大量に息を吸い込み咽る。隣のノノミは面白そうに笑っており、先生は慌てて首を横に振った。

 

「部室に来た時のシロコちゃんの言葉、本当だったんですねぇ」

「ち、違うんです、誤解です」

「えっ、何、先生ってそういう趣味なの?」

 

 後ろを走っていたセリカが少し引いた顔で呟く。違う、違うよ、誤解なんだ、そう云いながら周囲を見渡す先生。アヤネとホシノの方に視線を向ければ、二人共似たような表情で先生を見ていた。

 

「……まー、人の趣味は人それぞれだから」

「ホシノさん? ちょっと、こっちを向いて云って頂けます?」

「あ、ははは」

 

 アヤネが笑って誤魔化す。いや、誤魔化し切れていない、どこか雰囲気が、「うわぁ」と言いたげなものだった。先生はそっとシロコの背中で涙を流した。違う、誤解なんだ、確かにシロコの汗は嫌いじゃない、けれど私だってTPOは弁える。戦いの前に生徒の髪に顔を埋めて深呼吸するような変態ではないのだ。そういう事をする時は、もっとこう静かで、二人きりで、ムードのあるような――。

 しょげた先生を慰める様にシロコはそっと先生を揺らした。

 

「ん、大丈夫、先生がどんな趣味をしていても私は気にしない、それに何だかんだ云って皆、先生の事は信頼している」

「そうですよー☆ 要らぬ心配ですよ、先生」

「そ、そうです先生、私達アビドスの声に応えてくれたのは先生だけなんですから!」

「そこは、まぁ、そうよね……で、でも、信頼しているのは戦闘指揮に関してだけだから!」

「んー……まぁそうだねぇ」

 

 涙目でシロコの背中に蹲る先生に、ホシノは仕方なさそうな顔で云った。

 

「少なくとも先生は、私が思っていた悪い大人じゃないみたい――疑ってごめんね、先生」

 

 その声色に、僅かな悲しみが籠っている事に先生は気付いた。彼女はずっと疑ってきたのだ、先生だけではない、ありとあらゆる大人を――それがアビドスを守る為だというのは明らかだった。彼女の行動や言動を、自身は責める事は出来ない。少なくとも理解しているし、納得も出来るのだから。

 先生は体を起こし、真っ直ぐホシノを見た。生徒に背負われている姿では、全く以て恰好は付かないだろうが、そんな事はどうだって良い。ただ真摯に、気にしていないと、自分は最初からすべてを受け入れていると――それを彼女に伝えるのが先決だと、そう思ったのだ。

 

「まさか、私が逆の立場でもそうしたさ……そうやって、今までアビドスを守って来たんだろう? なら、ホシノがやってきた事は正しい、今こうして皆がアビドスの生徒で居られるのも、ホシノが頑張って来た結果だ――その一端が見られて、私は嬉しい位だよ」

「―――」

 

 真っ直ぐ瞳を見て放たれた先生の言葉に、ホシノは面食らったような顔をして。

 それから左右に視線を散し、照れたように髪を掻いた。

 

「あ、その……たはは、いやぁ、そう真正面から云われると、何だか照れるねぇ」

 

 俯き、頬を緩ませるホシノ。

 生徒が――子どものままで居られる場所。それを守るのが大人の役目。

 もう、彼女達の未来が絶たれるような結末は、見たくないから。

 

 先生が決意を新たにする中、不意に、アヤネが表情を変えた。

 

「! 見えました、カタカタヘルメット団のアジトですっ」

 

 先行させていた偵察ドローンからの情報だ。どうやら視界に不良達の基地が映ったらしい。全員の顔が引き締まり、足が止まる。

 

「敵のシグナルを多数検知、まだ此方には気付いていません! 先手、獲れますッ!」

「良し、シロコ、一旦此処で下ろしてくれ」

「ん」

 

 先生の言葉に従い、シロコが先生を下ろす。その表情が微妙に残念そうだった事に、先生は気付かない。

 数十分ぶりに地面を捉えた足を何度か踏みしめ、先生は周囲を見渡した。通りは、殆ど寂れた建築物ばかり。近場に出入り口の少ない雑居ビルを見つけた先生は、そこを指差し告げる。

 

「アヤネと私は建物に潜んでサポートを行う、指示は追って視界に表示させるから、無理せず、自分の役割をこなしていこう、編成は前衛がホシノ、中衛がセリカとシロコ、後衛がノノミだ」

「はい、先生☆」

「やってやるわ!」

「任せて」

「まぁ、程々に頑張ろっか」

 

 先生の言葉に呼応し、銃器を掲げた皆が、力強く頷いた。

 





 本編の何と不細工な文章か、毎日更新の大変さを痛感してしまう……。
 それはそれとしてサオリに土下座してASMRとってきて欲しい。最初は「ASMRとは、何だ、新しい銃器か」とか云って、詳しく説明すると凄く嫌そうな顔をしてから、「声が低いからいやだ」とか、「なんの意味がある」とか、結構ゴネるのだけれど何だかんだ必要とされるのに弱いし、先生がそこまで必要とするのならと渋々取ってくれるんだ。
きっと録音になれていなくて、棒読みだったり雑音が入っていたりするだろう。けれどその新鮮さが先生のペロロ様をペロロジラに変貌させるんだ……。
 アリスに頼んだら多分その辺のネットからASMRを勉強して、「アリスはASMRスキルを習得しました!」とか云ってクオリティの高い作品を仕上げて来るのだろうな。
 でも最後に、「楽〇カードマァァァアン!」まで入れてきて先生の鼓膜バイバイになる未来が見えるので遠慮します。

 あー! ヒナをデロデロに甘やかしてあげたいなぁ、私もなぁ!
 誰にも褒められずワーカーホリックになるまで頑張っている子だから、本当に日常の些細な事で褒めてあげたい!
 早起き出来て偉いね、書類仕事頑張って偉いね、野菜も全部食べられて偉いね、今日は早めに寝れて偉いね、今日も元気に登校出来て偉いね、呼吸出来て偉いね。何かと理由を付けてゲヘナに通って、ヒナちゃんの仕事している姿を脇から笑顔で見つめながら、なにかする度に褒めたい。

 そして何だかんだ最初は、「先生やめて、私、そんな子どもじゃない」と云いつつ、不意に書類仕事の最中に褒められた事を思い出して、口元が緩んだりするんだ。慣れてくるとまんざらでもない気持ちになって来て、段々と先生に褒められたくて頑張るようになって生き甲斐を見つけてくれるんだ。

 そしてヒナが褒められ慣れて気力が充実して来た頃に、今度はそんなに頑張らなくて良いよ? 辛いときは休んでね? 先生に頼って良いんだよ? と心配する素振りをしつつ褒める回数を減らしていきたい。

 何となく褒められる回数が減っている事に気付いたヒナが、不意に不安になって、ちょっと無理してでも先生に褒められたくて仕事を頑張り続け、その果てにオーバーワークで倒れた所に、「何でこんなに頑張ったの!?」って恐ろしい剣幕で怒ってあげたい。

 多分怯えと申し訳なさと後悔とが混じった泣き顔を見せてくれるんだ。きっとそれは素晴らしいじゃないわこれなんか胸が痛くなってきた駄目だわDVだコレごめんねヒナちゃん私が悪かったわ本当に申し訳ない(B級映画感)。
 代わりに先生を爆発させるから、返り血浴びてそっちで泣き顔見せてね? 
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