「リーダー、傷は」
「大丈、夫だ……」
狭く鬱屈とした裏路地に響き渡る足音、水の張ったアスファルトを駆けるそれが周囲に響き、それに混じってサオリの苦し気な呼吸音が耳に届いた。息を弾ませ、腹部を抑えながら駆けるサオリにミサキは声を掛ける。サオリはそれに首を振って答えるが、明らかに動きは精彩を欠いている様に見えた。
「と、とてもそうは見えませんが……」
ヒヨリが不安げに呟き、隣り合った先生を見る。ヒヨリの背から降り、自身の足で駆ける先生は彼女の視線にひとつ頷きを返すと、前方にあった廃墟を指差し告げた。
「一旦身を隠す、そこの廃墟に入ろう、ミサキ、一応中の確認をお願い」
「――了解」
先生が指差した建物は、廃棄されたテナントビルの一階だった。外観は錆びれ、路地の中でひっそりと佇んでいる。入り口は木板で封鎖されており、人が寄り付かなくなって長い時間が経過しているのか苔と蔦の類が外壁にびっしりと生え揃っていた。封鎖された入り口は迂回し、横合いにあった小窓から中を覗き込もうとするミサキ。
「……全然見えない」
しかし、汚れた窓硝子越しでは中を覗き込む事が出来ず、ミサキは小さく溜息を零すと自身の拳で軽く窓硝子を叩く。なるべく音が出ない様に罅割れを起こし、そこから指先でそっと窓硝子を押し込む。多少硝子が砕ける音が響いたが、その程度であれば雨音に紛れる。内部の鍵を器用に回すと、窓を開けそっと中を覗き込む。
内部の空気は淀んでいて、かなり埃っぽく感じた。ぐっと顰めそうになる表情を制御し、ミサキは無言でマスクを摘まみ口元を覆う。
「先生、一応大丈夫そう」
「ありがとう――サオリ、中へ」
「……あぁ」
最初にミサキが窓枠を飛び越えて中に踏み込み、それにサオリが続く。先生も窓枠に手を掛けると、通りを監視している最後尾のヒヨリに声を掛けた。
「ヒヨリ、追撃の様子は?」
「えっと、姿は見えません、追っては来ていないみたいです……この暗さと雨ですし、潜伏すれば早々見つかる事はないかと思います」
「分かった、なら中で一旦小休憩を挟もう」
「は、はい……!」
その声に頷き、ヒヨリは静かに先生と共に建物の中に踏み込む。床に着地すると、散乱した硝子片が鈍い音を立てた。内部は何か倉庫の様な場所で、備品の類が乱雑に積まれていた。部屋の片隅に腰を落とし、壁に寄り掛ったサオリは大きく息を吐き出す。
「窓は、此処だけかな?」
「そ、そうみたいですね」
「でも廃墟だし、何処かに穴があっても可笑しくはない」
「それなら、光源は対策なしで使わない様にしないとね……サオリ、怪我の具合は?」
先生はタブレットを懐に仕舞い、壁に寄り掛ったまま深く息を吐き出すサオリに問い掛ける。サオリは気だるげに手を挙げると、緩く首を振ってみせた。
「ふぅ――問題ない、ダメージは抜けきっている」
「……そんな顔を顰めながら云われても、説得力ないよ、お腹も青痣になっているし」
ミサキの云う通り、サオリの剥き出しの腹部にはくっきりと青痣が浮かび上がっていた。どうやらかなり強烈な一撃だったらしい、それに加えて爆発を受けた彼女の外套は所々煤けている。
ふと、ミサキがヒヨリに顔を向け背嚢を指差す。
「ヒヨリ、確か鎮痛剤、まだ残っていたよね」
「あ、はい、そう云えばまだ一つ残っていた気がします……!」
ミサキの声に頷き、その巨大な背嚢を降ろした彼女はその中に手を突っ込んで漁り始める。様々な物資が詰め込まれた彼女の背嚢、その中からヒヨリはくしゃくしゃになった箱を一つ取り出した。パッケージの文字は掠れて読めず、中には幾つにも分けられた空のPTPが詰まっている。
その中に、一つだけ錠剤が残っているものがあった。
「さ、サオリさん、これを使って下さい」
それをパッケージから抜き出し、サオリへと差し出す。
「鎮痛剤です、最後の一個ですけれど……」
「――助かる」
差し出されたそれを手に取り、サオリは錠剤を取り出すと一息に呑み込んだ。直ぐに効果が出るとは思わないが、これで多少なりとも痛みがマシになれば良い――そんな風に思いながら周囲に視線を飛ばす。
「それにしても、これからどうしましょう、まさかゲヘナの生徒まで私達を追っているなんて――」
「……元より分かっていた事だ、それよりも私達には時間がない、直ぐ、出立しよう」
「いや」
壁に寄り掛りながら、数分としない内に再び動き出そうとするサオリに、先生は手を突き出して制止の声を上げた。暗闇の中で、サオリの驚いた視線が先生に向けられる。
「時間が無い事は分かっている、その上で進行ルートを変更するべきだと私は思う」
「先生、それは一体……」
「此方の通る予定だったルートが露呈している可能性があると、そう思ってね――そうじゃなくても念には念を入れてルートを吟味すべきだよ、戦闘は極力避けたい、消耗は少ない方が良いからね」
体力的にも、物資的にも――そして心情的にも。
美食研究会、そして
彼女達の食物に関する情報網は驚異的だ、一体どこからそれらの情報を仕入れているのか先生には見当もつかない。しかし、今回ばかりは違和感が残った。
「サオリ、先程云っていたあと九十分というのは――」
「……アリウス自治区に向かうには、トリニティ地下のカタコンベを通過する必要がある」
先生の問い掛けに、サオリは淡々とした口調で答えた。
それはこれからの辿るルートの最終地点、つまりアリウス自治区に侵入する為の『入り口』に対する問い掛けだった。
「そのカタコンベの入り口は判明しているだけでも約三百ヶ所、その中の『本当の入り口』は限られていて、残りは全て偽物だ」
「い、入り口を間違えれば、延々とカタコンベを彷徨う羽目になります」
「だから私達は普段正しい入り口と、そこからアリウス自治区に通じるカタコンベ内部のルートを暗号という形で伝えているんだ、カタコンベの内部は一定周期で変化するからな」
「……聞けば聞くほど、摩訶不思議な場所だね」
「この前通った道が行き止まりに成ったり、或いは方向を見失ったり、いい迷惑だよ、どんな仕組みかは分からないけれど、カタコンベは全容が明らかになっていない迷宮だから、足を踏み入れる度にルートと入り口が変わるの」
「アリウスを離反した今の私達では、どこが正しい入り口か分からないんです、その、もう暗号を教えてもらっていないので……」
「――逃げ出した猟犬に、帰り道を教える必要はないからな」
吐き捨てる様にサオリは嘲笑を零す。彼女自身、まさか再びアリウス自治区に赴く事になるなど考えていなかっただろう。
「でも、まだ一つだけ使える入り口が残っている」
「あぁ、万が一通信手段が無くなった際の、緊急時避難経路――しかし、それも今日の日付変更までだ、緊急避難経路の変更は一定周期、その閉鎖までの時間があと九十分、時間が経過すれば其処も閉鎖される、そうなれば……」
「アリウス自治区には戻れない」
全員の視線が先生に集中する。もしこの時間に間に合わなければ救出が始まる前から計画は頓挫する、そういう事だった。
「アリウスの生徒から他の入り口を聞き出すにしても、通路がブロックを跨いで存在した場合、時間的にアツコを救助する事は叶わないだろう――実質、その通路が閉ざされたら私達の負けだ」
「……分かった」
先生はその言葉に重々しく頷いて見せる。この一分一秒が、スクワッドの進退、延いてはアツコの安否を左右する。その自覚をもって、先生は動かなければならなかった。
「ヒヨリ、緊急避難経路、その入り口の場所を教えて欲しい、此処からのルートを割り出すから」
「あ、は、はい」
先生はヒヨリに手招きをし周囲を見渡すと、部屋に設置されていた荷物に塗れたラック、その影に屈む。埃っぽく不衛生であったが、窓側の死角に転がっているそれは遮蔽として利用出来る。そのまま外套を広げ即席の天幕とし、シッテムの箱、その光量を最低限まで落とした状態で電源を入れる。ぼうっと、微かな光が周囲を照らす。それを遮りながら先生はヒヨリに問い掛けた。
「どう、そっちから視認出来る?」
「いえ、光は漏れていません」
「良し」
頷き、先生は周辺マップを開く。ヒヨリは先生の直ぐ傍に屈むと、画面を覗き込みながら指差した。
「えっと、現在位置が此処なので、北の方角に進んで、確か――此処です、この辺りに私達の目指す入り口があります」
「思ったより遠くは無いね」
ヒヨリの指差した位置をマークし、現在位置からその場所まで通じるルートを割り出す。現在位置から伸びる複数のルート、アロナの演算機能によって導き出されたそれを突き詰め、各ルートを辿った場合必要な時間を計算する。
残された時間からすれば余裕はある、最短ルートで駆け抜ければ三十分前後で到着する事も叶うだろう。しかし、そのルートは却下だ、万が一姿の見えない誰かが自分達の目的地を知っていた場合、最も狙われるのは最短ルートだろう。時短であればある程、リスクの振り幅は大きくなる。
考え過ぎだろうか? しかし、備えるに越した事は無い。先生は比較的戦闘発生確率が低く、尚且つ時間的に多少の余裕が出来るルートを構築する必要があった。
なるべく人目が付かず、広く知られていない道、或いは狭く、細く、大人数が一斉に戦闘出来ない様な通路。待ち伏せの可能性、周囲の建物から射線が広く通る場所は避ける、そんな風に頭を悩ませる先生を真剣に見つめるサオリは、不意に口を開いた。
「先生、参考までに聞いておきたい」
「何だい?」
「今回の件、私達の道中に立ち塞がる可能性のある生徒はどれだけ存在する?」
「………」
その問い掛けに一瞬、先生の画面を操作する指先が止まった。
「それ、聞くだけ無駄じゃない、リーダー?」
「み、ミサキさん……」
溜息を零し、そう告げるミサキ。その表情にはどこまでも面倒そうな色が滲んでいた。彼女からすれば、サオリの問い掛けは意味のないものに聞こえた。それこそ潜在的な敵性存在など、このキヴォトスには文字通り掃いて捨てる程存在するだろう。
「私達は先生に取り返しのつかない怪我を負わせた、シャーレの知名度はキヴォトスの中でも群を抜いている、先生を慕う生徒は多い、エデン条約の最後でそれは実感した筈でしょ」
「……あぁ、その通りだ」
「
キヴォトス全部が敵――そう考えた方が良い。
その呟きにサオリは反論する術を持たない。潜在的な敵となれば文字通り、キヴォトス全てと云っても過言ではない。だが目下サオリが気に掛けているのは、このアツコを救出する計画の道中に立ちはだかる可能性が高い生徒についてだった。学園規模の動員となれば、相応に時間も必要だろう。ミサキの言葉に頷きつつ、彼女は重ねて問いかける。
「確かに私達の潜在的な敵は多い、しかし今回の件を嗅ぎつけた生徒はまだ少ない筈だ……私が警戒しているのは、そういった少数の生徒に限る」
「さっきの、美食研究会みたいな連中の事?」
「そうだ、学園規模で動くには時間が掛かる、多くの生徒が今回の件を嗅ぎつける前にアリウス自治区に辿り着き、姫の下へと急行する――その間に立ち塞がる可能性がある生徒が知りたい」
呟き、サオリは脳裏に現在自分達を襲撃して来た生徒を思い浮かべる。
「……少なくとも私が確認した限り、災厄の狐、あとは忍術研究部とやら、そして美食研究会が先生を取り戻そうと動いている、或いは私達が把握していないだけで、他に動き出している所もあるかもしれない」
「……学園規模で動員されたら、私達に勝ち目はないね」
「で、でも、それも時間の問題ですよね……?」
「だろうね、明日の陽の出までに、万が一上手く姫を助け出せたとしても、アリウス自治区は多分――」
呟き、ミサキは口を噤む。
今のアリウスに他自治区とやり合うだけの余力はない。少なくともエデン条約調印式襲撃により、その戦力と装備の半数以上は失われていた。頼みの綱であった
――或いは、
頭を振って、ミサキはその思考を断ち切る。自身の離反した元母校がどうなろうと、ミサキはどうとも思わない。あそこは痛みと苦しみの象徴だった、それが滅びようと、どうして悲しむ事が出来よう。
それに今回の件、先生がどう主張するにしろスクワッドが先生を拉致した様に見られるだろう。或いはその善意を利用し、良い様に使ったとみられるか。どちらにせよ大差はない、アリウスから生きて帰ったとしてもスクワッドに居場所はない。
自分達がどう生きようと、その未来が茨の道である事は確定している。
そう考えれば実に些細な事だと、ミサキは自身に云い聞かせた。
「ひとり」
不意に、先生が声を漏らした。
全員の視線が先生に向けられ、当の本人は画面を操作しながら言葉を続ける。
「此処に来る可能性が高い生徒に、心当たりがある」
「……それは、誰だ?」
その声は少し強張っている様に聞こえた。
訝し気なサオリの問い掛けに、ミサキは脳裏に浮かんだ生徒の名を呟く。
「もしかしてトリニティの、あの浦和ハナコって生徒?」
「さ、最後に戦った、あの指揮を執っていた方、でしたよね?」
ヒヨリが指を立て、そう答える。聖園ミカと浦和ハナコ、トリニティを率いて最後までスクワッドと戦闘を続けていた主戦派の生徒だ。その彼女の姿はスクワッドの記憶に深く刻まれている。
もし、彼女が動いてるとすればかなり厄介な事となるだろう。浦和ハナコの観察眼、指揮能力、何よりその頭脳をスクワッドは高く評価していた。あんな生徒が特に注意すべき生徒として周知されていなかったのだから、堪らない。
「いや、今回彼女は動かない可能性が高いと考えている――ナギサやサクラコが、それを望んでいないから」
しかし、先生は浦和ハナコの参戦を否定した。
或いは、自身が見誤っているという可能性もあるが――それでもシスターフッドやティーパーティー、その矜持が許さない筈だと、先生はそう考える。ハナコは聡い子だ、自分の行動がどの様な影響を齎すかを十分に理解している。その上で動くのであれば、恐らく裏方としてだろう。彼女の名前が表に出る事は決してない筈だ。
「そ、それなら一体誰が……?」
「――まさか」
ヒヨリが疑問符を浮かべ、沈黙していたサオリはハッとした様子で顔を上げた。その思考に掠めた、ひとりの生徒の姿。
先生は彼女の思考を見透かしたかのように、その名を告げる。
「――聖園ミカ」
その名前は、スクワッドの面々に重々しく受け取られた。サオリが顔を強張らせ、ミサキは露骨に表情を歪める、ヒヨリは顔から血の気が失せ恐怖に肩を弾ませていた。
彼女の残した爪痕は、余りにも大きい。
「あの女が? でも、今はトリニティで監禁中の筈じゃ……」
「……だが、納得は出来る、聖園ミカは私達に強い執着と憎悪を抱いていた」
ミサキの疑問にサオリはそう答え、彼女に折られた腕を静かに擦る。既に傷は完治した筈だった、しかし当時の痛みはその心に深く刻まれている。彼女の拳から抱いた憎悪が伝わって来るような、そんな感覚が未だに燻っていた。
「何より先生の言葉だ、あくまで可能性に過ぎないが、留意しておくべきだろう」
「……了解」
「わ、分かりました」
サオリの言葉に頷くミサキとヒヨリ。もし本当に聖園ミカが自分達の前に立ちはだかったとしたら、果たして自分達は彼女を退けられるか。
そんな不安を抱きながら思考を巡らせていたサオリは、沈痛な面持ちで佇む先生に気付いた。液晶に照らされ、暗闇の中で浮かび上がる彼の表情は未だ嘗てない程に苦り切っている様にも見える。
「その……先生の方こそ、大丈夫か?」
「………」
思わず反射的に問いかけた後、サオリは自身を内心で罵倒した。
大丈夫な筈がないだろう、と。
先生は今、心と体を擦り減らしながら此処に居る。元々先生には自分達を助ける様な義理も理由もない、本来であれば先生に罵倒され、殴り倒される関係性なのだ。それでも尚、先生がこうして自分達を手助けしてくれているのは彼の善性と信念によるもの。
自分達はその善意に縋っているに過ぎない。
本来彼が寄り添うべき生徒達と敵対する事は、非常に強いストレスを与えている事だろう。それを思い、サオリは顔を俯かせる。
「すまない、先生、失言だった……私のせいで、先生は――」
「いいや」
そんなサオリの言葉を遮り、先生は声を上げた。
「これは、私が決めた事だ」
声は力強く、サオリの鼓膜を震わせる。俯いていた顔を上げると、シッテムの箱を見つめる先生は精悍な顔をしていた。
そう、これはスクワッド云々の話ではない。
先生が、先生で在り続ける為に必要な行いだった。
例えどれ程スクワッドとの関係が悪化していたとしても、或いはこの腕、片目だけではない、両手両足すら失う結果になっていたとしても、先生は彼女達に手を差し伸べていただろう。
それを、他の誰かが望まないとしても――その在り方だけは曲げられない。
生徒の命が懸かっているのであれば、尚更。
勿論、思う所がない訳ではない。
想いは、尊いものだ。
彼女達の自身に向ける想い、それを考えれば胸が痛む。それは善性の発露だ。彼女達の持つ、光の側面そのものだった。
先生は、中立でなければならない。
何処かの一組織、一学園、一グループを贔屓する事は出来ない。それは逆に云えば、どんな学園の生徒であろうと平等に見ていると云う事に他ならない。自身にどれだけ協力的な生徒であろうと、或いは自身の四肢や五感を奪い去った生徒であろうと、先生は平等に、同じように導き、寄り添う。
先生は、遍く生徒の味方だ。
――その言葉は、相応の重さを伴う。
「私は、私の夢見た理想の為に、この手が届くあまねく生徒に寄り添うと誓った、それが彼女達の望まぬ行いだとしても、私は私の信念を曲げられない……だから、これが終わったら精一杯謝るよ、誠心誠意、心の底から」
しかし、それは彼女達を不安にさせたり、心配させてしまった事に対する謝罪だ。スクワッドに手を貸した事、それが過ちであると先生は思わない。
その選択が彼女達を傷付ける、或いは苦しめる道であると理解して尚。
先生は全ての生徒の未来を諦める事が出来ない。
きっと、私が私である限り――
それを思い、彼は苦笑を零す。
「許して貰えるかは、分からないけれどね」
「先生……」
「……ルートは割り出した、そろそろ出立しよう、他の生徒が駆け付けて来るかもしれない」
そう云って、先生は立ち上がる。話を切り上げようとしているのは明らかであった。それがスクワッドに対する思いやりなのか、それは定かではない。
兎角ルートの割り出しは終わり、最終的な道筋が立った。スクワッドの面々も小休憩が出来ただろう、時間に制限がある以上此処に留まる理由は無い。そう判断し、サオリは小さく頷いて見せる。
「……あぁ、そうだな」
一拍置いて愛銃を手に取り、静かに立ち上がる。先生はシッテムの箱、その画面をサオリに向け告げた。
「先にルートを共有するから、先導をお願い」
「あぁ、勿論だ――ヒヨリ、先生の護衛を、ミサキは私の後ろに付け」
「わ、分かりました」
「……了解」
夜空を見上げれば雨はまだ止まない――冷たい雨粒が先生の頬を濡らし、厚い雨雲が星々を覆い隠している。
窓枠に手を掛け、身を乗り出した先生はそっと呟いた。
「行こう――まだ、立ち止まる時じゃない」
■
「ナギサ様……!」
「ただ今戻りました」
トリニティ自治区、本校舎――ティーパーティー執務室。
今日の公務を全てキャンセルし学園へと帰還したナギサは、何処か焦燥した様子の行政官を横目に泰然とした姿勢を崩さず口を開いた。
それは彼女なりの処世術に近い。トップが右往左往すれば下も不安になる、このような振る舞いは慣れたものだ。内心がどうあれ、それを極力殺す様に彼女は努めた。ゆったりとした動作で執務机に腰掛け、重なった報告書を横目に彼女は問いかける。
「それで、セイアさんは――」
「既に救護騎士団の病棟へと搬送されています、ミネ団長に診て頂いておりますが、容態はその、あまり」
「………」
セイアの容態は芳しくない、その報告にナギサは組んだ両手に力が籠るのを自覚した。
「今回の件で、サンクトゥス分派からの声が大きくなっています、元々セイア様が席を空ける事が多くなってから不穏な動きが見受けられましたが、先程の一件でミカ様に対する糾弾の声が更に活発なものに――それに呼応して、パテル分派との衝突が学園各地で頻発していると報告が多数、現在も総括本部に寄せられています」
「分派間の対立が遂に表面化しましたか……もう数週間は抑え込んでおけると思っておりましたが、まさかこの様な事態になるとは――正義実現委員会への対応要請は?」
「既に、しかし事が事なので騒動の収拾には暫し時間が必要かと」
その素早い対応に、ナギサは一つ頷いて見せる。
普段から細々とした嫌がらせや争いは続いていたが、どうやら本格的に両陣営の対立が目に見える形で始まってしまった。
セイアの不調はナギサとて把握していたが、此処まで一気に悪化する要因は一体何なのか? 大まかな報告は既に受けていた、ナギサはミカがセイアに対して何らかの害を齎す行為をしたとは全く考えていない。そもそも彼女は口ではどうこう云いながらもセイアを友人と考えており、先の事件ではセイアを傷付けた、延いては彼女を殺してしまったと思い込んだ事が彼女の突っ走った、そうせざるを得なかった一因であると見ていた。故に、彼女が再びその手の間違いを犯すとは考え難い、友人と云う贔屓目を抜いてもそう判断出来る。
ならば偶然――彼女がセイアと接触したタイミングで偶々病状が悪化した? だとすれば何とタイミングの悪い。
いや、原因に対する思考は後で良い、今はこの騒動の収拾が先決、ナギサは思考を切り替える。
「そうですか、ならば結構です……それで肝心のミカさんは何処に? 独房に居るのであれば建物周辺の警備を厚くするよう指示を――」
「……セイア様の病室を出た後、自身の武装を手に学外へ、行政官の制止を振り切ってスクワッドの捜索に向かったとの報告が」
「スクワッド――? 待って下さい、どういう事ですか? ミカさんが学外に……?」
「は、はい」
思わず声が強張った。それは、まだ彼女の耳にしていない報告であった。てっきりミカは独房に再収監され、大人しくしているものだと思っていたが――想定していなかった事態に心臓が早鐘を打つ。
どういう事だ、何故そんな事になる? ミカとて現在の自身の立ち位置を理解している筈だった。大人しく独房に戻り、騒動の収拾を待つのが賢い選択だろうに。
「何故、その様な事になったのですか」
「病室を後にする際、ミカ様は先生がスクワッドに狙われていると仰っていました」
「……! その情報は、一体どの様にして――」
「セイア様からの、
その言葉に、ナギサの表情に理解の色が灯った。
何故ミカがそのような暴挙に出たのか、その切片を掴んだ気がした。
「セイアさんの予知――そういう事ですか」
呟き、ナギサは腕を組みながら険しい表情で自身の腕を指先で何度も叩く。
先生との連絡が取れない事は既に報告を受けていた。行政官、学園、個人的なメッセージも含め全て返信がないらしい。
思考が巡る、病状の悪化したセイア、独房に戻らずトリニティを飛び出したミカ。スクワッドと連絡の取れない先生、それらの断片的な情報、互いの関係を踏まえた上でナギサは一つの結論を導き出す。
「混乱の収集は急務、しかしミカさんがそれらを押し退け外へ出たと云う事は……」
――本当に危険なのか、先生が。
セイアの予知、その精度の高さは良く理解している。
恐らくセイアは先生がスクワッドに殺害されるか、無視できない何かを行う未来を見たのだ。その予知によって大きく体調を崩し、運悪くそれがミカの来訪と重なり――その状態でミカに予知の内容を話し、先生の護衛を頼み込んだ。
状況から察せられる真っ当な流れはこんな所だろう。ナギサは自身の推察が強ち間違いでない事を確信していた。
しかし、それが本当ならば実に厄介な状況であった。
騒動の収拾、混乱を沈める事は急務。しかしスクワッドを探しに行ったというミカを放置する事も出来ない。それが先生に関わる事であるというのならば尚更――私人としても、公人としても、先生の安否は無視できない。
だが騒動を放置すれば、ミカへの糾弾の声は益々強くなるだろう。その声を看過できないパテル分派と全面的な抗争状態にでもなれば目も当てられない。議会でも不利な意見が多発する可能性がある、感情としては理解出来る、しかし政治的な面から見れば今回のミカの行動はかなり危ういものだ。
せめて一声、或いは自身の到着を待ってから動き出してくれたのなら――そう思考し、ナギサは歯を食いしばる。
考えれば考える程、腹の奥から煮え立つ様な感情が沸き上がるのを彼女は自覚した。
スクワッド、スクワッド、スクワッド――……!
「何度も、何度も、羽虫の様に、良くもまぁ――……」
騒動の影には必ずこの名前があった。
エデン条約前から暗躍し、調印式当日には数多の損害を被った。更にはシャーレの先生への暴挙、加えて漸く学園の再建がひと段落し最後の後始末に掛かろうとしたところにこの事件。
彼女らしからぬ不穏な気配を滲ませ、自身の腕を握り締める彼女の表情は正に憎悪と憤怒に塗れていた。その片面を見る羽目になった行政官は思わず悲鳴を呑み込み、視線を足元に下げる。
「――先程、救護騎士団のミネ団長はセイアさんに付いていると仰っていましたね」
「は、はい……その通りです」
「正義実現委員会も学内の取り締まりで手一杯、であれば――」
学内の主要な戦力は動かせない、少なくとも自身が騒動を収拾させるまでは騒動を抑え込んで貰う必要がある。各派閥への根回し、同時に協力要請は必須事項、しかし政治的な手回しだけで済ませるにはミカと先生の安否が怖い。
であれば比較的手透きな組織に先んじて動いて貰う必要がある。
正義実現委員会、救護騎士団は動かせない。
しかし、もう一つ――トリニティには動かせる戦力がある筈だ。
「シスターフッドに使いを出します」
「シスターフッド、ですか……?」
「えぇ」
ティーパーティーの権威が失墜し、その求心力は衰え他派閥の介入を許すほどに弱体化した。しかし、それは同時にトリニティ総合学園として動く場合には一丸となれるだけの余地を残した。
ティーパーティーとシャーレの会談にシスターフッドと救護騎士団が同席した事実は既に周知されている。学園内部に於いて、彼の二大組織は既に学内運営に携わる存在として認知されている筈だった。
「シスターフッドと救護騎士団に協力を要請し、私達は正義実現委員会と協力し学内の混乱を収拾します、救護騎士団はセイアさんの護衛と治療、及び負傷した生徒の回収で手一杯でしょうから、セイアさんの容態が安定次第此方に手を貸して貰う様配慮を、シスターフッドにはミカさんの追跡と先生の捜索を依頼します」
「し、しかしシスターフッドがその様な要請を受け入れるでしょうか? 確かに最近は以前の秘密主義然とした様子は見られませんが……」
「協力して貰わなければ困ります、サクラコさんとて先生の安否は気にしている筈ですから――私達の仕事は、派閥間の対立を可及的速やかに収める事です」
「えっと、その、具体的な方法は……?」
「――皆さんの抱いている感情の矛先を、本来在るべき相手に向ければ良いのです」
告げ、ナギサは静かに吐息を零した。
幸い、まだこの騒動は外部に広く知れ渡っていない。動くならば早い方が良いだろう。
政治的な面から見ればミカの軽挙はマイナスとなるが、しかし何も全員が全員打算で以て動いている訳ではないのだ。誰かに対する憎しみや怒りといったものは、それ以上に憎む【対象】が存在するのであれば、そちらに擦り付ける事も出来る。ましてやそれが実際に多くの損害を齎した存在ともなれば、感情の矛先を変えるのは容易いだろう。
彼女の軽挙はいの一番に学園の敵へと立ち向かった勇気と、そして大恩ある先生を守る為に急いた為だったとすり替えれば良い。
その手の根回しは、実にナギサの得意とする所だった。
今回に限っては特に容易い。
何せ、
「良い加減終わらせましょう、エデン条約から始まったこの騒動を」
とん、とナギサは執務机を指先で叩く。
その音は何処か寒々しく、ナギサはその黄金色の瞳を絞り、告げた。
「――
■
「ごッ――!?」
口から、悲鳴染みた声が漏れた。壁に叩きつけられた瞬間、まるで身体がバラバラになったかのような錯覚を覚える。背後のコンクリート壁が罅割れ、破片が零れ落ちる音が耳に届いた。そのままずり落ちる様にして這い蹲った生徒は、自身の腹部を抑えながら嗚咽を零す。
「う、げェ……ごほッ、ぅ――……」
口から零れる赤色、鉄の匂い、唾液――顔を覆っていたガスマスクは剥ぎ取られ、直ぐ傍に転がっている。臓物が裏返り、呼吸が整わない。苦しみがずっと腹に蓄積されているような感覚。
直ぐ傍から、足音が響く。
咄嗟に手を突き出し、呂律の回らない舌で叫んだ。
「ま、待っへ! しゃ、喋る、から――た、たす、け……!」
しかし、無情にも人影が足を振り上げ、彼女の顔面を踏みつけた。頭部に加わる逆らえない力、額が地面と衝突し頭蓋が軋む音が響く。周囲に鳴り渡る轟音、砕けた破片が頬を打ち、鼻から血が噴き出した。
「ぉ、ご――……」
「あっ、ちょっとやり過ぎちゃった?」
びくりと、大きく痙攣し一切の動きを止めた生徒を見下ろし、彼女は驚いたような声を上げる。廃墟に囲まれたその場所で、彼女の声は良く響いた。
「あれ、おっかしいなぁ、大分手加減したつもりなんだけれど……」
目前で点滅するヘイロー、消えかけのそれは倒れ伏した生徒が気を失いかけているという証明に他ならない。彼女としては手心に手心を加えた一撃であったが、腕と足ではやはり
徐に屈むと、倒れ伏した生徒の襟を掴み、強引に上体を起こす。ぼたぼたと、潰れた鼻と口から血を噴き出す生徒を持ち上げ顔を覗き込むと、その頬を軽く叩きながら声を上げた。
「ほら起きて! 寝ていちゃ駄目だよ、ちゃんと二人は居ないと情報の擦り合わせが出来ないじゃん! ねぇ、起きて、起きて――よッ!」
「おぶ――ッ!?」
その頬を気持ち強めに叩けば、生徒の顔面が弾け血が周囲に飛び散る。同時にヘイローが再び灯り、その目が開かれた。左右に揺れる充血した視線が周囲の景色を捉え、血を流しながら生徒は咳き込む。
「がはッ、ごほっ、はッ、はっ、ハッ……! う、うぅぁ――……?」
「あっ、良かった! 喋れそうだね? 良し良し、それじゃあちょっと待っていてね、先に隊長さんから話を聞いて来るから☆」
そう云って彼女は掴んでいた生徒の衣服を手放し、地面に転がす。支えを失った生徒は力なくその場に崩れ落ち、か細い呼吸を繰り返しながら項垂れる様にして口を噤んだ。
「ば、馬、鹿な、こんな、簡単……に――」
そんな生徒に対する暴力を眺めていた、意識の在るもうひとりの生徒――倒れ伏すアリウス生徒、その小隊長は愕然とした様子で呟く。
罅割れたガスマスク、その目元の部分からは見開かれた瞳が覗いており、自身に歩み寄る彼女を見上げながら声を荒げる。
「三十人は、居たんだぞ……!?」
「あははっ、無理無理☆ 私を相手にするなら、もっと数を揃えてくれないとさぁ、こんなんじゃウォーミングアップにもならないよ!」
そう事も無げに告げ、アリウス生徒の直ぐ傍に立つ人影。彼女を見上げ、戦々恐々とした様子で唇を震わせる生徒。
たったの一人で彼女の受け持った小隊を壊滅させた怪物、否、文字通り彼女にとっては準備運動にすらならないのだろう。それ程までに、彼我の戦力はかけ離れていた。
「ふふっ、それにしても探す手間が省けて良かった! あなた達、まだ
「み、聖園ミ――ぅぐッ!?」
彼女の名を呼ぼうとし、しかしその声が最後まで続く事はない。彼女――聖園ミカは徐にアリウス生徒の喉元を掴み、宙づりにしたのだ。首元を締め付ける万力の如き力、それに骨と筋肉が軋み、悲鳴を上げる。アリウス生徒の顔色が一気に蒼褪め、必死に彼女の腕を掴んで逃れようと足掻く。
しかし、ミカの体幹は微動だにしない。
「あ、ぐ――ッ、ぅ、ぁ……!」
「私、面倒な事って大嫌いなの、さっきみたいに一々気を失わない程度に加減して殴るのも疲れるしさぁ、ね?」
分かるでしょう? そう云わんばかりに笑顔を向け、問いかけるミカ。しかし、応える気力も、体力も無い。掴まれた彼女の胸中にあるのはただ一つ――恐怖だ。
星が煌めく様な彼女の瞳、それに射貫かれた生徒は歯を鳴らし震える事しか出来ない。
「だから、さっさと吐いてくれると嬉しいな☆」
告げ、生徒の目の前で見せつける様にして拳を握り締めるミカ。閉じられたそれから、ミシリと軋む音が鳴る。周囲に倒れ伏したアリウスの仲間達、血を流し昏倒したそれらを背に、
「――アリウス自治区への入り方、教えてくれるよね?」
どこまでも無邪気に、微笑みを湛えて。
彼女はその拳を振り被った。
■よくわかる! 現在のトリニティのメタ政治事情! ナギちゃん編
サンクトゥス
「お前ん所のリーダーがセイア様を……許せない!」
パテル
「は? ミカ様はそんな事しないが? お清楚なんだが? 証拠あんの?」
サンクトゥス
「逃げたじゃん! 学外に出ていったじゃん!」
パテル
「溢れ出るパトスからアリウスぶっ飛ばしに行ったんだし、云いがかりはやめてよね」
フィリウス
「うわぁ、分派間で争ってる、怖、近寄らないでおこ……」
ナギちゃん
「このままだと内部分裂が……ティーパーティーの求心力が低下している事を実感します」
「此処は救護騎士団とシスターフッドに応援を要請しましょう」
「まさか先生と一緒に会議した事実も周知されているのに、拒否したりしませんよね?」
救護騎士団
「救護ォオ!」
シスターフッド
「見て、サクラコ様が過酷な表情をしていらっしゃるわ……!」
ナギちゃん
「良く分からないけれど兎に角ヨシ!」
「皆さん聞いて下さい! 実はかくかくしかじかで、嘘もちょっと織り交ぜて、何かそれっぽいカバーストーリー作って、然もティーパーティー、救護騎士団、シスターフッドの三大勢力が手を組んだっぽく語って……」
フィリウス
「ナギサ様の云っている事ならきっとそうに違いない、サスガダァ」
パテル
「やっぱりミカ様はアリウスをシバきに行ったんだ! 私達も殴りに行こっ!」
サンクトゥス
「嘘ですわ! 絶対信じませんわ! あいつは魔女なんですわ!」
ナギちゃん
「それ救護騎士団とシスターフッドとシャーレ(事後承諾)とティーパーティーの前でも云えます?」
救護騎士団
「は? 対立? 負傷者が増えるでしょうがッ!! 救護ォオッ!」
シスターフッド
「見て、サクラコ様が酷く透明な表情で微笑んでいらっしゃるわ……!」
正義実現委員会
「まぁ、私達はティーパーティーの麾下なので」
サンクトゥス
「………」
ナギちゃん
「よし、対立は鎮火しましたね! 一時的だけどヨシ! このまま勢いで怒りの矛先を捻じ曲げればかんぺき~」
ナギちゃん
「これも全部アリウスって奴が悪いんです! 全ての元凶はアイツ等です!」
「セイアさんが体調悪化したのも、学園がこんなになったのも、先生が怪我したのも、私達が仲たがいする羽目になったのも、全部全部あいつらが悪いんです!!」
「今現在、先生とは連絡が取れていません、きっとアリウスが先生を危険な目に遭わせようとしているのです!! セイアさんがそう予知しました! 単身で勇敢にもアリウスに向かったミカさんに続いて皆さんも立ち上がる時が来たのです!」
フィリウス
「ナギサ様の名の下に!! 愛を以て正義を為しましょう!!」
パテル
「殺せ! 殺せ! 殺せ! 力こそ正義!! ついでにゲヘナもぶっ壊せ!!」
サンクトゥス
「セイア様をアリウスが傷付けたのは事実だし、セイア様の予知なら……」
シスターフッド
「……今、何より優先すべきは先生の安否、否やはありません」
救護騎士団
「救護が必要な場に救護を! 動けなくなるまで殴ってから
正義実現委員会
「しゅ、出動~!!」(モブちゃんわちゃわちゃ)
「何か良く分からないけれど、皆そう云っているしそれに倣おっと! アリウス嫌いだし! 殺せ~! 殺せ~!」
ナギちゃん
「今こそ、諸悪の根源を焼き尽くしましょう!!!」
各分派
「おーっ!」
トリニティ総合学園
「いけ~のりこめ~^^」
アリウス自治区
「は???」
大体合っている様な合っていない様なそんな感じですわよ。