ブルーアーカイブを、もう一度。   作:トクサン

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誤字脱字報告に感謝致しますわ!
今回一万四千字ですの!


(あなた)は、先生(わたし)だから。

「嘘でしょ――なんて、数を……!」

「先生、あれはもう駄目、色彩に呑まれている……!」

 

 目前に並ぶ影と化した生徒達、その眼光と感情の波に気圧された銀狼とミカは、薄らと冷汗を滲ませながら一歩後退する。言葉を尽くせば戦闘を回避出来る可能性もあったが、残念ながら顕現した彼女達に理性は存在しない。

 忘れられた神々の秘めた神秘は裏返り、恐怖となった。その生徒の本質が剥き出しになった今、彼女達は心の奥底から求める願望に突き動かされている。今の彼女達は本来顕現する生徒と同じ手順を踏んでおきながら、全く異なる存在としてこの場に立っていた。

 

『そ、そんな、こんな、一体、どうやって――!?』

「っ、来るぞッ!?」

「先生、私達の後ろに居てッ!」

「ぐッ……!」

 

 矢面に立つはずが、生徒二人に庇われ先生は後方へと押しやられる。抗うだけの力も出ず、先生は蹈鞴を踏んで数歩後退した。全身を襲う堪え切れない苦痛、綯交ぜになる胸中、頭の奥から響いて来るような不快感、それでも意識を保っているのは彼の精神力が並外れた強固さを誇るからに他ならない。

 だが、逆に云えば意識を失っていないだけだ――先生の精神は今、強く打ちのめされている。

 

「射撃で抑える、突出した奴をやれッ!」

「分かった……!」

 

 銀狼が素早く銃口を構え叫び、ミカは頷くと同時に飛び出す。一斉に影が駆け出す中、特に突出した一名が視界に入る。その生徒に向けてミカは一瞬で肉薄すると、此方を一瞥もしない彼女に向けて思い切り拳を握り締めた。

 

「はァッ!」

 

 拳を振り被り、顔面目掛けて振り抜く。風切り音と共に拳が顕現した生徒の頬を打ち抜き、打撃が直撃し顔面が弾け飛んだ。その威力に影は簡単に崩れ落ちる。それどころか、ミカの拳は生徒の頭部を貫通し、後頭部へと突き抜けていた。その状態にぎょっと目を見開き、ミカは慌てて後方へと飛びずさる。瞬間霧散する影、生徒の輪郭は崩れ落ち残滓として虚空に消えていく。

 

「――脆い?」

 

 呟き、ミカは信じられない心地で自身の拳を見下ろす。先生のカードを使って顕現した生徒であるのならば、自身の拳の一発や二発程度では倒れないと踏んで拳を放ったが、予想に反し一発で霧散してしまった。耐久度だけで云えばユスティナ聖徒会以上、バルバラ未満。見れば影に塗れた生徒達は銃器らしい銃器も持っておらず、存在そのものが不安定であるように見えた。

 そう、まるで強大な力を無理矢理分け与えられたかの(既に埋まった枠を無理矢理広げた)様な、酷く歪な在り方だった。

 

 一瞬、そんな思考に意識を奪われ、動きが止まる。その隙を捉えた影があった。

 横合いから踏み込みの音、ミカが気付いた時、彼女の脇腹に強烈な蹴撃が叩き込まれた。防御する暇も無く、武骨なブーツが彼女の肋骨を強かに強打し、その表情が大きく歪む。受けた衝撃が骨の髄まで響く、今までとは別種の打撃だった。

 

「ぎッ――!?」

 

 大きく吹き飛ばされ、ミカは地面を跳ねながら辛うじて踏み留まる。小さく咽ながら顔を上げれば、蹴撃を放ったまま此方を睨みつける影がひとつ。長い髪にロングスカート、背中に見えるのは翼か――辛うじて輪郭を捉えられる影は、ミカを真っ直ぐ見据えながら罅割れた、ノイズ混じりの声で告げた。

 

【――戦場に、救護の、手を】

「っ、この……見た目は影みたいなのにッ、実体がある……!」

 

 口元に滲んだ赤を拭い、吐き捨てる。見た目は朧気、まるで幽鬼の如く。しかしきちんと殴れるし、殴られもする。ひとりひとりはミカの想像よりもずっと弱い、けれど対峙する数が余りにも多すぎる。静かに構え直し、拳を握り締める生徒の影――彼女は地面を踏み砕き、凄まじい勢いでミカへと肉薄する。

 咄嗟に右腕を立て、防御を固める。瞬間腕に着撃する相手の拳、ミカの身体が揺すられ一歩蹈鞴を踏む。ジン、と筋肉に響く痛みと衝撃、口元を歪めながら同時に肌を焼く感覚に声を上げる。

 

「肌を伝わるこの感じ、神秘じゃない、もっと別の――ッ!?」

「一人に拘るな、抜けられるッ!」

 

 一名の生徒に釘付けにされるミカ、彼女を見て銀狼は叫ぶ。既に銀狼は弾倉一つ分を撃ち終えており、近付いて来た生徒の影に蹴りを浴びせながら素早く再装填を済ませると、腰だめに銃を構え狙いも付けずに引き金を絞った。乾いた銃声が連続して響き、先頭を駆けていた生徒が数名、弾丸の直撃を受けもんどり打って倒れる。それで霧散する生徒も居れば、腹部を押さえたまま這いずって尚前へ進もうとする生徒もいる。

 その背後から複数の生徒が駆け抜け、先生に向かって手を伸ばした。

 先生はその光景を銀狼の背中越しに目視する。

 彼女達の黒ずんだ唇が告げる。

 

【――せん、せ……】

【先生……!】

【せんせっ!】

「ッ……!」

 

 その唇は、先生の名を紡いでいた。

 

「邪魔ッ!」

 

 周囲を取り巻く生徒の影を拳で薙ぎ払い、掻き消すミカ。彼女は顕現した生徒達の動き、その奇妙さに気付いていた。敵中に飛び込んだ自分、決して無視している訳ではない。しかし、それ以上に明確な動きがあった。

 それは先生だ――彼女達は只管に、先生に向かって足を進めようとしている。憎悪や殺意を滾らせ自身に向かってくる生徒も少なくないが、それ以上に先生へと向かっていく生徒が余りにも多い。放たれる拳、蹴り、タックル、それらを一つ一つ正確に、しかし素早く捌きながらミカは叫ぶ。

 

「こいつら、まさか先生を『あっち側』に連れ去ろうとしているの!?」

「恐らく本人にそのつもりはないッ……!」

 

 再び空になった弾倉を地面に投げ捨て、迫り来る生徒の波を辛うじて押し返しながら銀狼は叫ぶ。銃床で顎を跳ね上げ、足払いで先頭を駆ける生徒を転がし、ステップを踏みながら弾倉を装填する。倒す事よりも兎に角足を止める事、自身の背後に回らせない事を優先し目紛(めまぐ)るしい速度で変化していく戦況を把握しながら、銀狼は生徒の波を捌いていた。

 生徒の影は幾ら倒されようとも、掻き消されようとも、続々と後続から現れては突撃を繰り返す。倒れた同胞を乗り越え、時には狡猾にも影に紛れ、必死に駆ける。 

 ただひとり――先生(望む人)へと視線を向けながら。

 

「彼女達はただ、先生を求めて手を伸ばしているだけだ……っ! 見た限り私達なら触れられても問題ない、しかし先生に接触すれば何が起こるか分からない!」

 

 ミカや銀狼が生徒の影を殴りつけても、その身体に影響はない。万が一先行したミカが浸食される様子であったら、一も二もなく先生を担いで逃げるつもりだったが、幸いその心配はなかった。銃器も、彼女達の手には存在しない。だがモノには限度がある、素手とは云え百名を超える生徒をたった二人で抑え続けるのは困難だった。

 

【――どうして、私達じゃないの?】

「っ、ぐ……!?」

「この、声は……!?」

 

 唐突に、声が響いた。

 それは実際に発せられたものではない。先生には聞こえない、生徒にのみ伝わって来る怨嗟の声。脳に響く様なそれに一瞬顔を顰め、苦悶の声を漏らす。直ぐ傍の人影、爛々と輝く瞳が語り掛けて来る。

 

【どうして貴方達は救われて、私達は救われないの?】

「ッ――!」

 

 振り被った拳が震え、思わず動きを止める。ミカは目を見開き、自身の頭の中に響く問い掛けに呟きを返した。

 

「これって、(生徒)の声――?」

「耳を傾けるな……ッ!」

 

 ミカの直ぐ目の前に立っていた影の頭部が弾け、掻き消える。見れば銀狼が銃口を向け、必死の形相で叫んでいた。

 

「真面に耳を貸せば、身体の前に心が死ぬぞ――ッ!?」

 

 その声を、問い掛けを掻き消す様に銀狼は回廊全体へと銃声を轟かせる。額に滲んだ汗が顎を伝い、動きと共に虚空を跳ねる。ほんの一瞬、気を緩める事さえ許されない極限の状態。銀狼の瞳は充血し、一手一手で辛うじて均衡を保つ。

 

【私達に、やり直す機会はないの? 二度目は、与えられないの?】

 

 銀狼の言葉に従い、動きを再開するミカ。しかし脳に木霊する言葉に、辛うじて振るわれていた拳が精彩を欠く。ミカの顔が歪み、痛みとは異なる吐息が漏れた。四方から繰り出される拳と蹴撃、それらを受け、躱し、時折被弾を許しながらも彼女はその場に踏み留まる。繰り出される拳が痛い、物理的なものではない、もっと奥底に響く様な――それは、心の痛みだった。

 

「ッ、ぅ――!」

「消えろッ!」

 

 銀狼が咆哮し、一帯を薙ぎ払う様にして射撃した。連続した銃声、マズルフラッシュが影を照らし弾丸が嵐の如く飛来する。その殆どは躱されてしまうが、幾人かの生徒が被弾し、ノイズ混じりの声と共に膝を突く。

 しかし、頭に響く声は消えない。

 

【ずるい】

 

 寧ろ、それは益々力を増して、銀狼とミカの意識を揺さぶり始めた。

 

【ずるい、ずるい、ずるい――ッ!】

 

 意思が、怨嗟が、嘆きが、彼女達の精神を穿つ。語り掛けられるそれは彼女達の持つ無念、後悔、絶望の表れ。自身がこうして影に塗れ、恐怖に反転し、見るも無残な結末を、未来を辿ってしまったと云うのに。この世界は、彼女達は生きて、今を歩み続けている。

 先生の隣で、自分達の失ってしまった幸福を抱きながら。

 その事に対する嫉妬、絶望、羨望、そう云った感情が噴き出し、繰り出される打撃は別種の重みを齎す。

 

 ずっと続く未来を手に出来た世界があるかもしれない。

 もっと別な結末に辿り着けた世界があるかもしれない。

 こんな風に上手くやれた未来があるかもしれない。

 

 でもそれは――私達(失敗した一週目)じゃない。

 

『先生――先生……っ!』

「ッ、アロ、ナ……!」

 

 アロナの声が、自失していた先生の意識を引き戻した。自身の手に灯る光はまだ消えていない。視界には今なお必死に抗う二人の背中が映っており、やるべき事は明らかだ。一体自分は何をしている、今からでも直ぐに彼女達を助けなければならない。

 そう、助けるのだ――それが今、自身のやるべき事だ。

 握り締めた(輝き)、アロナが画面の向こう側から先生を見上げる。苦渋に満ちた表情、彼女が何を云おうとしているのかは明確であった。その判断は、決して間違いなどではない。彼が切り札を切った以上、自身もまた奥の手を切らなければ圧し負けるのは明らかだ。

 相手が切った以上、自身もコレ(カード)を切らねばならない。

 

「っ、ぅ――……!」

 

 だが――だが、だが……ッ!

 

【先生――】

【せんせ――】

【せんせいっ――】

 

 (生徒)が一斉に手を伸ばし、その名を囁く。

 記憶に焼き付いた数多の生徒、その(人影)を象りながら、酷く濁音の混じった声を上げ視線を寄越す。必死になって先生に向かって、健気に、懸命に、一心に手の伸ばし続ける(生徒)達。

 

 それを見つめる先生の表情が――歪む。

 

 痛い程に歯を食い縛り、目を見開き、僅かに痙攣する目尻からは今にも涙が溢れ出しそうになっている。ぐしゃぐしゃになった表情で影を見つめる先生は、抱えた手に秘める光、それを握り締める指先が震えている事に気付いた。兎に角息苦しかった、肺に鉛でも詰まったような心地だった。それは余りにも痛々しい姿で、大人の矜持など何処にも見られない。

 それでも尚、彼は膝を折る事を許されなかった。

 

「ぅ、ッ、ぐぅ――……!」

『先生――ッ!』

 

 震えた拳を、胸元に抱き締める。この手に秘めた光。これを掲げるだけで良い、先生の意思一つで大人のカードはその効力を発揮し、秘めたる奇跡を現実のものとするだろう。それはほんの数秒、十秒もあれば為せる事だ。何も難しい事は無い、そうだ、難しい事など無いのに。

 

 腕が、上がらない。

 指先が、ほんの僅かでさえ動かない。

 それは肉体的な理由ではない。心の、先生の精神の痛みから齎される葛藤だった。

 光が揺らぐ――心が、揺らぐ。

 

「先生ッ!」

「っ……!?」

 

 視界の端で、ひとりの影が二人の防衛線を抜けた。

 次々と迫りくる人影に、たった二人で対応するのは困難を極める。影は他の影と比較し一際素早い動きで二人を躱し距離を詰め、身構えた先生目掛けて飛び込む。壁を蹴り、まるで三角飛びのように軽々と宙を舞った彼女は、両手を広げ抱擁する様に迫った。

 

『先生、回避をッ!』

「―――」

 

 アロナの叫びが先生の背中を押し、その身体が沈み、回避の為に両足が稼働を開始する。接触すれば何が起こるか分からない、銀狼のそれは正しい言葉だと云える。故に先生の、そしてアロナの判断は至極当然だった。間合いはまだ遠い、今直ぐ横合いに体を投げれば指先を掠める事すらなく完全に回避できる。その感覚は正しく、何度も修羅場を潜って来た先生の身体は反射的に横合いへと身体を傾ける。

 けれど飛来するその影が――彼の知る生徒に酷似した影が、口を開く。

 

【主殿――】

「――……」

 

 声は、確かに先生の鼓膜を叩いた。

 彼の目が見開かれ、瞬間、地面を蹴ろうとした両足が縫い付けられたように微動だにせず、大きく震えるだけに留まった。曇天を裂き、微かに差し込んだ陽光が飛び込んで来た人影を照らす。影に覆われた表情、けれど確かに垣間見える瞳の煌めき、見覚えのある罅割れたヘイロー。特徴的な和装が揺らめき、その髪に添えられた狐面のアクセサリーが目を惹いた。薄暗い視界の中でも決して見間違う事のない、黄金色の瞳。それはじっと、ただ先生だけを見つめている。

 至近距離でその声を聴いた時、その照らされた姿を見つめた時、先生の唇が戦慄き、息が詰まった。たった一言、たった一言耳にしただけで先生は身動きが取れなくなってしまう。

 その言葉に込められた深い、何処までも深い感情。溢れ出る激情に呑み込まれ――彼女の面影を強く感じてしまったが故に、足が止まった。

 先生の瞳から幾つもの涙が零れ落ちる。生徒に決して見せまいと、自分を偽ってまで堪えていたそれが頬を伝う。

 

 彼女達を。

 彼女達を、見ていると。

 

「イ、ズナ――……!」

 

 

 どうしても――心が鈍るのだ。

 

 

「が――ッ!?」

【―――】

 

 飛び込んだイズナの両腕が、先生を捉える。けれどそれは想像以上に優しく、柔らかな抱擁だった。何の苦痛も、衝撃も齎さない――先生の口から漏れ出た苦悶の声は、別の要因から齎されるものであった。

 先生の腕に、肩に、足に、腹に、影は全力で縋り付く。その黒が先生に触れる度に、純白であったシャーレの外套、その表面が朽ちていくのが分かった。無論それは制服のみに留まらない、先生の肉体そのものが黒に浸食され、内部の肌が黒ずみ、罅割れる様にして穢れていく。その浸食が齎す痛み、そして苦しみである。

 

「先生ぇッ!?」

 

 その姿を見た瞬間、ミカは焦燥に塗れた表情で悲鳴を上げた。しかし、彼は動かない――動けない。

 僅かに生まれた隙、動揺の間隙、それを縫う様にして再び人影が二人の合間を抜ける。銀狼が咄嗟に手を伸ばすも、するりとそれを抜けた人影は先生へと容易く肉薄した。その腹部に顔を埋める様に飛び込んだ人影は、涙すら滲ませて彼へと抱擁を行う。

 

「ぐ――ぅう、うッ!」

【――先生】

 

 自身を力一杯抱きしめ、その名を呼び続ける生徒の影を前に、先生は動く事が出来ない。それはどのような感情から齎されるものか、憐憫か、同情か――違う、断じてそのものではない。

 この(生徒)達は、先生の罪悪そのものだった。先生が此処まで歩んで来た、その罪の証なのだ。それを背負うと自身は云った。故に歩みを止める事は出来ないと、自身は知っている筈だった。

 けれどその罪悪が形を為し、その足に縋りついた時――彼は振りほどく事が出来なかった。

 

 その罪悪(積み上げた生徒達の想い)は先生の歩みを止めない為の代物だった。どれ程の苦難であっても、どれ程の痛みであっても、彼女達を想えば耐えられた。歩みを止める訳にはいかなかった。だが同時に、唯一その足を止め得るのは、その罪悪(積み上げた生徒達の声)でもあった。

 一人、二人、ならば耐えられたかもしれない。真正面から向き合い、その声を聞き届け、歯を食いしばり、その重すぎる罪悪に圧し潰されそうになりながらも――それでも全てを呑み込んで、噛み締め、先生は再び足を動かせたかもしれない。

 

 けれど、目前に広がる無数の罪悪は――それ全てが先生の歩んで来た道そのもの。彼の手が届かなかった、『あまねく世界の可能性』。

 

 それを直視させられた時、先生の心に大きく、強く、決して消えない傷が刻まれ、罅割れる音がした。それは余りにも強大で、存在そのものを圧し潰さんとする、罪悪感(自身の無力の証明)そのもの。振り払う覚悟が持てない、その影が、その声が、その形が、先生の精神を、肉体を穿ち、侵し、離さない。

 

「っ、先生、先生ッ!?」

「クソッ、数が多すぎる……! 其処を、退けェッ!」

 

 先生の元へと駆け付けようとする銀狼とミカ。しかし纏わりつく様に行く手を阻む生徒達、焦燥に精彩を欠いた動きは読まれ易く、その足は遅々として進まない。それがより一層、彼女達の心に焦りを生む。

 

『先生ッ、何をしているんですか!? 早くっ! 早く脱出を――ッ!』

「ッ、ぅ、ぐ、ぁあ――!」

『彼女達はもう先生(あなた)の生徒ではありませんッ! あの光に触れ、浸食され、変貌した存在(可能性)は、もう――ッ!』

 

 懐のシッテムの箱から声が響く、先生にとってそれが酷な選択であると分かっていた。だが敢えて、彼女(アロナ)はその様な物云いをした。そうでなければ先に先生が、その肉体が朽ちてしまうと理解していたからだ。

 彼女達の縋る箇所から、黒はどんどん浸食を果たす。先生の肉体を、その生命を蝕んでいく。不完全な存在であるからこそ、その器が破損し本質が剥き出しとなっているのだ。それこそ、ただ触れるだけで塗り替えられてしまう程に。

 だが――。

 

「ち、がう――……ッ!」

 

 先生は苦痛に塗れて尚、シッテムの箱から響くアロナの声に首を振る。血と苦痛の滲んだ声だった。大粒の涙を流し、後悔と悲壮と罪悪と自己嫌悪に塗れながら、先生は声を絞り出した。

 

 自身に縋り、名を呼ぶ生徒達。その手が先生の首筋に触れ、滲み出る黒が彼の皮膚を汚し始めた。その掌、指先から伝わる冷たさに顔を歪める。冷たい手だ、到底生きている者の暖かさではなかった。そうだ、当然の事だ、何を今更と彼は胸の内で零す。しかし、その事実ひとつひとつが先生の心を蝕み、堪え切れぬ感情を滲ませた。

 噛み締めようとした歯が浮き上がり、代わりに情けない嗚咽が漏れた。震え、力ない先生の指先。既に掻き消えた光は先生の心の内を表している。零れ落ちた涙が、先生を見上げる生徒の頬に跳ねた。

 

「違う、んだよ、アロナ――! 彼女、達は、いや……! 彼女達も――ッ!」

 

 先生は自身に縋る生徒、彼女の頬に――ゆっくりと右手で触れる。

 途端、指先に広がる黒色、罅割れる様に浸食を開始する闇。痛みと冷たさ、それらを感じながらも先生は手を離さない。

 先生に頬を撫でられた彼女()は一瞬、驚いた様にその目を見開いて。

 けれど触れられたその手に、頬を擦りつけながら。

 

 穏やかに、幸せそうに――笑って見せた。

 

「彼女達も、私の――ッ!」

 

 文字通り腹の底から絞り出したような、苦悶に満ちた叫びが漏れた。次々と流れ落ちる涙は止まらず、しゃくり上げるような呼吸が繰り返される。黒が上る、先生の肉体を引き摺り込もうとする。

 出来ない、彼女達を拒むことが、その手を突き放す事が。

 だって――。

 だって、彼女達は。

 彼女達も、私の。

 

 生徒で在った筈なのだ。

 

 □

 

 

 ――だい、じょうぶ。

 

 

 □

 

「ッ――!」

 

 声が響いた。

 おどろおどろしく、ノイズの掛かった声だった。しかしそれは、全ての者に聞こえた訳ではない。はっと、先生は声のした方向へと顔を向ける。黒に侵され、罅割れた頬をそのままに、彼は目を見開く。

 視線は真っ直ぐ、暗闇の向こう側に佇む異形()を捉えていた。

 流れ落ちる涙が頬を伝い、顎先に流れる。

 

 ――だい、じょうぶ、だよ……。

 

 声は、もう一人の(先生)が発したものであった。その内容は、アロナでさえ聞き取る事は出来ない。異なる世界の存在とは云え、同一人物である先生だからこそ感じ取れる言葉(意志)。異形はただその場に佇み、罅割れたシッテムの箱を抱えたまま俯いている。

 その姿は不気味で、悍ましく――けれど声は余りにも穏やかであった。

 そこには何か、汲み取る事の出来ない強い想いが秘められているように思う。

 

 ふと、隣に佇む(生徒)が異形の外套を引っ張った。

 それは(異形)の呼び出した影のひとり――顔も、形も定かではない誰か。先生の経験して来た無数の世界(キヴォトス)、そんな中から無作為に選ばれたひとり。異形は自身の裾を引っ張った生徒を見下ろすと、そっと背を曲げ、彼女の頭を包帯に塗れた手のひらで、優しく撫でつけた。

 (生徒)は自身の髪を優しく撫でる異形の手を包み、嬉しそうに笑っていた。

 笑っていたのだ。

 其処にはいつか、自分が彼女達にそうしていた様な日常があった。幸福があった。今尚生き延びていれば得られたかもしれない、そんな何の変哲もない、光景が。

 自身の生徒を優し気に撫でつけながら、彼は云う。

 

 ――かな、らず……助け、て、みせ……る、から。

 

 そうしてゆっくりと顔を上げ、先生を見た。

 真っ直ぐ、その冷たい鉄仮面越しに。

 濁り侵され、奪われて尚微かに残る色を覗かせながら。

 

 ――だっ、て……。

「っ……!」

 

 □

 

 

 (あなた)は――先生(わたし)だからね。

 

 

 □

 

 それは。

 それは、何と残酷で。

 何と、虚しく。

 そして、何と悲しい言葉であったか。

 

 その一言が、先生にとってどれほどの衝撃であったのか、きっと他の誰にも分からないだろう。

 ただ目を見開き、瞳孔すらも広げ、涙を流しながら嗚咽を零す先生を見れば、彼にとって決して逃れられない、その根底を指し示す言葉である事は間違いない。

 真意を、言葉に込められた意図を十全に理解したのは、ただの二人だけ。同じ存在であったからこそ理解出来た、込められた想いを受け止められた。愕然とした表情のまま、自身に縋る(生徒)を見下ろす先生。

 ぎこちなく揺れ動く視線、見上げたその先に入る、無数の(生徒)、その罪悪の証。今なお戦い続ける、生徒(ふたり)の背中。

 

【先生】

「――ぁ」

 

 そう、()は先生だった。

 先生、なのだ。

 彼女達がそう呼ぶように、彼がそう告げた様に。

 

 胸中に渦巻く激情、切なさ、羞恥心、憎悪、後悔、無念、空虚さ――そう云ったものを纏めて噛み締め、先生は勢い良く顔を上げた。流れた一筋の涙。零れ落ちたそれが、自身を見上げる(生徒)の頬を再び濡らした。

 

「あ、ああぁあアァアア――ッ!」

 

 叫ぶ、全力で。

 恥も外聞も無く、喉が張り裂けんばかりの声で絶叫する。

 それは慟哭だった、どうしようもない感情をただ吐き出し、自身の罅割れた心を固める為に必要な行為だった。自身に縋り、見上げ、語り掛ける影を前にして、先生はその震える右手を今度こそ掲げる。

 罅割れ、黒々しく変色した指先に光が灯った。

 

 自身の背中には、生徒達の夢が、未来が、希望が託されている。

 そしてそれと同じ分だけ、生徒達の願いが、慟哭が、祈りが、呪いが――積もっている。

 時を重ねただけ、その比率は偏っていく。

 止まる事は許されない。足を止める事は許されない。諦める事は、許されない。積み重ねて来た罪悪に報いる為に、ただ自身の願いの為に、あの日誓った、掴むと決めた明日の為に――それでもと叫び続けた成れの果てが、自分達(私達)なのだから。

 

 ――切り札(カード)を、切る。

 

 掲げた指先に集う、凄まじい光。黒と青の混じった世界の中で、純白と蒼が交差する。途端強烈な光は周囲の影を晴らし、先生に縋っていた生徒の影は光の中に溶けて消えた。靡く髪がはためき、その光量は世界を覆い隠してしまうのではと錯覚する程。

 光を掲げる先生の肌が急激に罅割れ、古傷が再び浮かび上がっていく。その目から、鼻から、口から、隠しきれない赤を垂れ流しながらも彼は覚悟を決めた。血に塗れた瞳を異形へと向け、彼は涙と血を流しながら叫んだ。

 

「アロナァアア――ッ!」

『――ッ!』

 

 ――その血を孕んだ慟哭が、最後の決断を下した。

 

 地面が罅割れる程の強烈な衝撃、それが先生を中心に発生し輝きはより一層強さを増す。突き上げた右腕より立ち昇る光の柱、煌めく黄金の意志――その手に握り締めた大人のカードが天を貫き、遍く全てを照らす。

 

 その本流の只中(ただなか)、鋼の如き覚悟を以て起立する大人の姿が一つ。

 

 嵐の如き風が吹き荒れ、先生の制服をはためかせる。舞い上がった髪が覆っていた目元を露にし、その全身という全身に光が差し込み、薄暗い聖堂の中で彼だけが光の中に包まれていた。

 覆われていた彼本来の姿が暴かれる。全てを白日の下に晒す。掲げた最後の切り札(最後の手段)が先生の傷と云う傷を浮かび上がらせていく。

 

 その首元に、頬に、指先に、額に、目に見える形で浮かび上がる――古傷(罪悪)の証。

 

 それら全てが全て、彼の歩んで来た世界の軌跡に他ならない。寄り添おうと、救おうと、何度も何度も何度も何度も何度も手を伸ばし、慟哭し、這い蹲り、傷付けられ、その果てに失意と共に沈んだ証明。

 彼はそれを背負って生きて来た、その全てを受け入れ歩んで来た。彼に纏わりついた影は、その生徒の罪悪(願い)は、呪い(祈り)は、先生にとっては決して目を背けてはいけない善意(優しさ)の記憶だった。

 

 だから――。

 

「ごめん――ッ!」

 

 先生は降り注ぐ(輝き)の中で幾つも涙を流す。

 

「ごめんっ、ごめんッ……! 皆、すまない、本当にすまないッ! 私は――私はッ、君達をッ!」

 

 涙を流し、その表情を苦悶に歪め、先生は叫ぶ、心の底から叫ぶ。

 これから行う事は、彼女達の善意を踏み躙る行為に他ならない。今までそう在ったように、先生はその在り方を変える事が出来ない。それが彼女達の心を裏切る行為だと、その善意を踏み躙る行為だと、その願いを顧みない行為だと理解して尚――彼はこの道を選んだ。

 選ばざるを得なかった。

 夢見た明日に、彼女と共に誓った未来に、生徒皆が笑い合う世界(遥か彼方のハッピーエンド)へと至る為に。

 その、積み上げた無数の命に報いる為に。

 

「でも、それでもッ……私は……――ッ!」

 

 ――この罪悪(その骸)を背負って、この道を歩き続けると決めたのだ。

 

 強烈な閃光に似た光が全てを包み込み、世界(先生)世界(先生)がぶつかり合う。その余波は凄まじく、周囲のステンドグラスが罅割れ、粉砕し、地震に似た振動が周囲を襲っていた。先生の古傷から血が滲み出す、全身という全身から赤が滲み、先生の衣服が赤に塗れる。

 その様子を地面に這いつくばり、嵐の如き風に耐えながらも見守る事しか出来ない銀狼とミカ。先生を目指し駆けていた(生徒)も同じように、余りの光に顔を背け、地面に伏せている程であった。

 

「先せ……ッ! くぅッ――」

「こ、この光、この強さはッ……――」

 

 過去、未来合わせて見た事も無い、凄まじい光量――まるで空の彼方まで文字通り照らすかのような輝きを前に、銀狼は戦慄する。一体どれ程の力を込めたのか、どれ程の規模で奇跡を起こそうとしているのか見当もつかない。

 

 ただ、その代償が――決して取り返しのつかない代物となる事だけは理解出来た。

 

 第六感が叫ぶ、全力で警鐘を鳴らす。

 これは駄目だ、これだけは駄目だ。この瞬間、先生を止めなければ即座に全てを失う。一体なんだ、何を代償に捧げた? 分からない――分からない事が酷く恐ろしい。

 その恐怖に突き動かされ、二人は懸命に息を吸い込み叫ぶ、その手を伸ばし先生に向かって必死に伸ばすも――その指先が届く事は無い。

 

 先生の掲げられた手が、大人のカードがより一層輝きを増す。拮抗していた世界が塗り替えられ、曇天に覆われた空が晴れ、何処までも透き通った青が周囲より顔を覗かせた。奇跡の出力は捧げられた代償によってその力を増す、この場合は先生の代償が【彼】に勝っている事になるが――それはつまり、この戦いの果てに待っている結末を暗示していた。

 

 この一戦が終わった後、先生という存在がどの様な姿に成り果てるのか。

 

 それを予感し、先生は強く歯を噛み締める。軋んだ口元から血が滲み、涙と共に顎先を伝った。肺が焼ける様だ、骨が軋み古傷という古傷が酷く痛む、だがそれも徐々に、徐々に感じられなくなっていく。それは捧げられる代償の強大さに、生物としての本能が上げた最後の悲鳴だった。

 けれど――それを顧みる事はしない。

 

 今、此処で止めなくてはならない。

 この存在を――()を。

 是を非としても(どんな代償を支払う結果となっても)

 

 大人のカードを突きつけ、先生は叫ぶ。

 有りっ丈の覚悟と、意思を込めて。

 

「あなたは此処で――この場所で止めるッ! 止めなくてはならないッ! 私が、他ならぬ私自身がッ!」

 

 吹き抜けた青が生徒達と先生を包み込む。彼の周囲に幾つもの光が集い、その輝き、収斂した莫大な神秘は軈て人型を象り始めた。

 その数は、一人、二人、三人――いいや、まだだ。

 五人を超え、六人を、超え、七人を超え――まだ、光は灯る。

 十人、十一人、十二人。

 光は続々と数を増やす。先生の全力、己の持つ全てを費やしても構わないという覚悟の元に行われる全力顕現。その光が一つ、また一つと増える度に空間を軋ませるような力の波動が増していく。

 

 その果てに象られた光の数は、総勢二十四名――文字通り全てを費やした一斉顕現。

 

 先生の周りに出現した人型の神秘、その数にミカと銀狼は目を見開く。とても今の先生が耐えられる数ではない、それは殆ど確信であった。

 

「――此処(この場所)で、私の全てを使い切ってもッ!」

 

 先生の掌から光が弾ける。象られた人型の神秘が輝きを発する。切り札(カード)の使用が、確定されようとしている。

 

「ッ、駄目、先生ぇっ!」

「いけない、お願い、やめてッ……!」

 

 風音に紛れた二人の叫びが先生の鼓膜を揺する。背後から囁く様な、罪悪の声が聞こえて来た。また生徒達をおいていくのか、また一人で抱え込んで――消えていくのか、と。

 だが、直ぐ其処に、生徒とキヴォトスを救える選択肢が、ほんの手を伸ばせば届く距離にあるのだ。まだ見た事のない未来、自身が辿り着けなかった結末。

 最善は最早望むべくもない、だがこの擦れた命ひとつでこの苦難を退けられるのなら。

 その場所に――自分が居ないとしても、きっと。

 

「アロナ……ッ!」

『っ、ぅ、う――……!』

 

 先生の声に、アロナはその肩を跳ねさせた。先生の行使させようとしている力、その奇跡がどれ程の代償を必要とするのかを――彼女は良く理解している。これ程大規模な奇跡の行使、もしこのまま()に打ち勝てたとしても、その後先生は恐らくカードを切った代償として破滅を迎える。直ぐにという事にはならないだろう、それが数日後か、一週間後か、或いは一ヶ月後なのか、それは分からない。

 しかし、此処でカードを切ればその未来は確定されてしまう。先生の生命維持、その一切を任されているからこそ分かる事だった。

 

 先生の肉体は、既にカードの全力行使に耐える事が出来ない。

 その綻びは、必ず生まれる。

 

 アロナは恐怖と不安を滲ませ、先生を見上げた。其処にはただ真っ直ぐ此方を見下ろす、空色の瞳があった。瞳に一切の恐れはない、一切の絶望はない。

 ただ強い、余りにも強い意志があるだけだ。

 

『ッ、さいご、まで――!』

 

 歪んだ唇で、彼女は言葉を紡ぐ。涙が滲み、その終わりを理解しているからこそ彼女は涙を呑み、応えた。

 

『最期の、その瞬間まで……アロナが、先生をサポートしますッ!』

 

 声は確かに先生へと届いた。シッテムの箱から響くそれに、先生は薄らと笑みを浮かべる。そして再び前を見据えると小さく、囁く様な声で告げた。

 

 ――ありがとう。

 

 声には、万感の想いが籠っていた。

 

『……先生』

【―――】

 

 強烈な力の波動、先生の抜き放ったカードを前にA.R.O.N.Aは彼の名を呼ぶ。異形(先生)はただ静かに頷き、A.R.O.N.Aはそっと目を伏せる。

 そして再び目を見開いた時、そこに一切の色は存在しなかった。

 

 『先生』と【先生】――二人の持つ、シッテムの箱が青白い光を発する。

 

『データ解析完了、個別パターン承認、回路形成、先生から生徒へ、相互パス構築――完了! 情報転送開始しますッ!』

『データ解析完了、個別パターン承認、回路形成、生徒から先生へ、供給回路構築――完了、情報転送開始します』

 

 二人の手元が輝きを帯び、顕現した生徒達に青白い光が伸びる。それはシッテムの箱を利用したリンク、先生と生徒を繋げる青の軌跡、生徒達に行われる本気の戦闘支援。異形()より伸びたラインが(生徒)のヘイローへと繋がり、その動きが一瞬止まる。

 

 同時に先生の呼び出した生徒達、彼女達の輪郭が徐々にはっきりとし始める。出現したヘイローにノイズが走り、同時に空間そのものを圧し潰す様な重圧が醸し出されていた。

 対峙する(生徒)(生徒)、その背後に佇む二人の先生(異なる世界の大人)

 

「此処が、あなたの終着点だ……ッ!」

【―――】

 

 生徒の顕現(出現)が、終わりを告げようとしている。

 切り札の使用が確定される。

 手のひらに零れ落ちる光を握り締め、先生は天を指差し叫んだ。

 

「――色彩の嚮導者(プレナパテス)ッ!」

 

 その掲げた指先に、致命的な亀裂が生じる瞬間を銀狼は目撃した。

 

 

 

 

「――いいえ、先生、あなたはこの様な場所で斃れる(終わる)べき人ではない」

 

 


 

 先生が激やばクソピンチの時に颯爽と現れる先生大好きクラブ、一体、何服なんだ……?

 

 因みにちゃんと本来の展開通り、プレナパテスと共に世界を渡って来た生徒が一人います。A.R.O.N.A(プラナ)ちゃんの云う彼女とは、その生徒の事です。ただ、彼女は最終編まで登場はしませんわ、多分。

 プレ先の顕現生徒がスペックダウンしていたのは、本来『二十四名』という最大枠を無理矢理拡張して召喚してしまった為。プレ先がカードを使って『この世界の先生と逢いたい人~』って募集掛けたら、ほぼすべての生徒が殺到した為、無理矢理枠を増設した感じ。なので召喚された生徒は影のように黒ずんで、輪郭はあやふやで、存在がハッキリとしていない。スペックも神秘を用いない本来の肉体強度(ただしキヴォトス基準)、筋力そのままで銃器も無し。本来二十四人分しかない力を百名以上に分配したので仕方ないのですわ。尚、召喚された生徒の中にはモブ生徒ちゃんも混じっておりますわ。モブ生徒の中にだって先生を慕ってくれている子は沢山いる筈ですもの。

 最大召喚数が二十四人なのは、本来のゲーム編成部隊がストライカー四名、スペシャル二名で一部隊。それが四部隊まで編制できるから。

 最終編ではちゃんと文字通り全力全開の大人のカードをたった一人の生徒に集中させるので、文字通り超人が出来上がります。先生の愛は重いですわね。

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