ブルーアーカイブを、もう一度。   作:トクサン

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友と明日の為に

 

「う……ぐ――」

 

 大きな揺れで、セリカは意識を取り戻した。

 最初に見えたのは薄暗い車内、そして頬に張り付いた冷たい床と、四方を囲まれた狭い空間。暫くの間、そうやって床に横たわったまま振動を感じ続け、自身の意識が徐々に鮮明になっていくのを感じた。

 

 ――こ、こは……。

 

 一体何処なのか、自分に何が起こったのか。そんな思考を続け、不意にセリカの目が見開かれる。

 

「ッ、そうだ、私っ……!」

 

 思い出し、立ち上がろうとして失敗する。見れば両手はきつくケーブルで拘束され、両足は自由であるものの末端に痺れが残っていた。どれだけ気を失っていたのか、今どこに居るのか。まるで分からない。

 

「これ、人員輸送車? あいつら、私を何処に……」

 

 呟き、壁に肩をこすりつける形で何とか立ち上がる。車両の揺れは酷く、車内の扉、その小窓が目についた。唯一光が漏れ出ているそこに、目を近付ける。

 

「外……見えるかな」

 

 揺れに何度か肩を擦りながら、そっと外を覗く。

 すると、其処にはセリカにとって見慣れぬ風景が広がっていた。

 

「砂漠――線路?」

 

 一面に広がる広大な砂漠、所々に埋まった建築物。気を失ったのは夜半であった筈だが、今はもう日が昇り周囲は明るさを取り戻している。そして不意に見えた、埋もれかけの線路。それを目にした途端、セリカの顔が蒼褪めた。

 

「線路があるって事は、ま、まさか……此処、アビドス郊外の砂漠!?」

 

 ――膨大な広さを誇るアビドス。その中でも大部分を占めるのが砂漠地帯であり、嘗てはその広大な土地を移動する為に幾つもの線路が引かれていた。しかし、砂漠に埋まった現在は使用されておらず、アビドス内でも運行している列車はごく僅か。故に、砂漠に埋もれた線路はアビドス高等学校から遠く離れた、砂漠地帯の象徴であった。

 思わず、セリカは力なくへたり込んでしまう。

 

「……そ、そんな、ここからじゃどこにも連絡が取れない、もし脱出したとしても、対策委員会の皆にどうやって知らせれば――」

 

 セリカは自身の体を見下ろし、思わず呻いた。愛銃は当然没収され、荷物のバッグは見当たらない。ポケットに入っていた端末も、取り上げられている。一体どうやって逃げ出せば良いのか、セリカにはまるで見当もつかなかった。

 トラックを奪う? 現実的じゃない。銃器すら奪われた状態で、それも一人で、どうやって。なら端末を奪えば? それも難しい、砂塵の影響で電波の乱れるアビドス砂漠はただですら通信が乱れやすく、圏外になる領域が殆ど。中継器の設置、管理もされておらず、また仮に助けを呼べたとしても救助にどれだけの時間が掛かるのか予想もつかない。

 

「………」

 

 唇を噛み、セリカは俯いた。何をどう考えても、碌な未来が見えない。意識を奪われ、こうして車両に担ぎ込まれた時点で自身の出来る事など皆無に等しい。

 

 ――このまま、何処かに埋められちゃうのかな、誰にも気付かれない様に……。

 

 ふと、そんな考えが脳裏を過った。真正面からではアビドスに敵わないと思ったから、一人ひとり屠る形に変えたのかもしれない。それは何とも、有効な手段に思えた。人数はあちらが圧倒的に上だ、各個撃破に切り替えられたらひとたまりもない。実際、自分はこうして捕まってしまっている。

 

 ――連絡も途絶えて、他の子達みたいに、街を去ったと思われるんだろうな。

 

 今までも、こういう事は珍しい訳ではなかった。

 ある日突然、連絡が途絶える。学校に来なくなる、住所を訪ねても――蛻の殻。律儀に学校を去る旨を伝える生徒は少なかった。少なくとも、セリカの元には。

 少しずつ、本当に少しずつ、人が消えていく。

 そうして残ったのが、対策委員会の五人。

 

「裏切ったって――思われるのかな」

 

 口にした途端、ぎゅっと胸が締め付けられた。

 裏切り――あの仲間たちに、軽蔑した視線で見られる、或いは嫌われる、心無い言葉を口にされる。そう思われる。

 それを考えた途端、セリカの瞳に光が宿り、四肢に力が籠った。

 

「誤解されたまま、皆に会えないまま死ぬなんて……嫌だッ!」

 

 叫び、立ち上がる。走行する車の中で、ふらふらとバランスを取りながら、唯一の出入り口となる扉に向かって、全力で体当たりを敢行する。当然、そんなもので破壊出来る筈もなく、弾き飛ばされ、硬い床に転がった。ぶつかった肩が熱を持ったように痛い、思わず唇を噛み締める。

 

「っ、ぐ……そんなの、ヤダよ……ッ!」

 

 再度立ち上がり、扉に向かって飛び掛かる。しかし、再び硬質的な音が鳴り響き、セリカの体が後方へと弾かれた。悲鳴を上げ、床に叩きつけられるセリカ。内界と外界を隔てる鋼鉄の扉は、相変わらず微動だにせず存在している。

 セリカは両手を床に叩きつけ、呻いた。

 

「う、う、ぐぅ……!」

 

 涙が流れそうだった、自分の無力さに、自分の惨めさに。これから起こるであろう絶望的な未来を考えるだけで、セリカの胸内には暗闇が巣食った。

 しかし、零れそうになる涙を懸命に堪える。

 泣くもんか、泣くもんか、と自身に叫び、歯を食いしばって立ち上がる。扉に叩きつけた肩が酷く痛んだ。まるで熱を持ち、焼ける様だ。けれど、この肩が砕かれようと、腕が千切れようと、セリカは止まるつもりなどなかった。何回でも、何百回でも、何千回でも挑んで見せる、足掻いて見せる。

 

 諦めない、何が何でも――絶対に生きて、皆に会うんだッ!

 

 決意を新たに立ち上がり、扉を睨みつける。胸内で叫び、口からは荒い息が漏れた。「負けるもんか」と、呟いた。呟きは小さかったが、籠っている感情は痛烈で、強固であった。それは心を支配しようとする暗闇に打ち勝つ為に、無意識に出たものだった。

 もう一度、扉に体をぶつける為に小さく腰を落とす。

 そして駆け出そうとした瞬間――車両に一際大きな衝撃が走り、セリカの体が宙に浮いた。

 

「え、ッ、うわぁぁああッ!?」

 

 突然の爆音、そして衝撃。あちこちに体をぶつけながらセリカは訳も分からず叫び、頭を覆って衝撃の波をやり過ごした。そして十秒か、もっとか、頭を抱えて丸くなったセリカは、周囲に立ち込めた砂塵と煙に咳き込みながら周囲を見る。

 

「かはッ、けほッ! けほっ……! な、何!? 何なの……!?」

 

 見れば先程まで微動だにしなかった扉が半開きになり、車両が横転していた。先ほどまで床だった場所は壁となり、肩を預けていた内壁が足の下にある。体の節々の痛みに呻きながら、セリカはゆっくりと立ち上がる。

 

「攻撃? 事故? どうして突然――」

『セリカちゃん発見! 生存確認!』

「えっ……ドローン――まさか、アヤネちゃん!?」

 

 不意に声が聞こえた。

 見れば車を覗き込むようにして飛ぶドローンが一機、その小型スピーカーから聞こえる声に、セリカは俯いていた顔を上げた。

 

「こちらも確認した、半泣きのセリカ発見!」

「っ~~!?」

 

 一拍遅れて、シロコが愛銃を抱えたまま車両の扉を蹴り飛ばし、中を確認する。そこには彼方此方擦り傷を負ったセリカが、呆然とした表情で佇んでいた。

 

「なにぃ~!? うちの可愛いセリカちゃんが泣いていただと! そんなに寂しかったの? ママが悪かったわ、ごめんねーッ!」

「う、うわああぁあ! う、うるさいッ! 泣いてない、泣いてないからぁっ!」

「嘘は良くない、この目で確り見た!」

「泣かないで下さい、セリカちゃん! 私達が、その涙を拭いて差し上げますから!」

 

 シロコが必死に目元を擦るセリカを掴み、外へと引っ張り出す。するとそこには銃撃を行いながらセリカを守る為に横転した車両に駆け寄る皆の姿があった。

 

「セリカァァァァッ! パパも居るぞぉォオオッ!」 

 

 遅れて、タブレットを掲げながら叫び、走り寄る先生。傍にはそんな先生の頭を掴み、必死に姿勢を低くさせようとしながら並走するアヤネの姿。

 セリカは思わず、顔を赤くしながら叫ぶ。

 

「あーもう、うるさいってばッ! 違うったら違うのっ! 黙れーッ!」

「先生、危険ですから頭を出さないで下さいッ!」

「ご、ごめんアヤネ……!」

 

 先生とアヤネが合流し、皆が先生とセリカを守る様に布陣する。横転した車両の周囲には幾人かの生徒が斃れており、また護衛の為なのか二両ほど、同じように転がった車両が遠目に見えた。

 

「というか、一体私の位置、どうやって……!?」

「そこはまぁ、先生の力でちょちょいと、ね」

 

 ホシノが銃弾を盾で防ぎながら、車両の影に隠れる先生を見る。同じように視線をセリカが向ければ、とても良い笑顔で先生は親指を立てた。

 

「ストーカーと呼ばれたのは伊達じゃない!」

「ば……ばっ……! ばっかじゃないの!?」

 

 思わず叫んだ。顔はきっと、酷く赤かったに違いない。

 

「あ、あとで絶対ぶん殴るからね! 絶対だからッ!」

「うへ、元気そうじゃーん?」

「ん、ほらセリカ、手を」

「えっ、あ、うん……」

 

 勢い良く先生に食ってかかろうとすれば、シロコがナイフで両手を拘束していたケーブルを切断する。そして肩に担いでいたセリカの愛銃を手渡した。

 

「これ、運転席に転がっていたセリカの銃、あとこれ、アビドスから持ってきた弾倉」

 

 背負っていた背嚢から弾倉を取り出し、セリカへと差し出す。セリカはそれを受け取り、愛銃に装填しながら、余った弾倉を制服のポケットに詰め込んだ。愛銃は手の中に戻った、仲間だって傍に居る――もう恐れる事など何もなかった。皆の横に並びながら、周辺に疎らに見える不良達を睨みつける。

 

「さて……問題は此処からだね」

「ん、戦術サポートシステムで車両は制圧したけれど、敵陣のど真ん中で孤立無援」

「まー、敵さんも怒り狂って攻撃して来ているし、増援が来る前に逃げ出したいねー」

「包囲されたら終わり、ですね――ッ、ドローン映像、前方にカタカタヘルメット団、多数!」

 

 アヤネの言葉に車の影から顔を覗かせれば、二台、三台と車両が集まり、次々と降車する不良達の姿が見えた。どうやら襲撃に備えて迎えを送っていたらしい。アビドスの動きを読んでいたのか、或いは――。

 

「襲撃が読まれた?」

「重火器確認、それにあの動き……包囲網を構築するつもりです!」

「敵ながらあっぱれ、それじゃー、まぁ、囲まれる前に突破して帰りますかぁ」

「……気を付けて、奴ら、改造した重戦車を持っているわよ」

 

 セリカが吐き捨てる様に云えば、遠くから重低音を鳴り響かせ走行して来る戦車が見えた。先行していたのか、或いは別車両なのか――それはセリカを砲撃した戦車と一致する。

 

「知ってる、Flak41改良型」

「……不良集団が持っていて良い装備ではありませんね」

「数は一両のみですが、正面から相手をする訳には……それに乗って来た車両を破壊されては逃走が困難になります、難しいですが破壊するか、行動不能にする必要があるかと」

「ノノミのリトルで抜けたりしない?」

「んー、正面は無理ですけれど、背面なら多分抜けますね、側面なら暫く撃ち続けないと」

「――ま、大丈夫でしょー、ね、先生?」

 

 難しい表情を浮かべるアビドスの面々に反し、ホシノは笑みすら浮かべて先生を見る。先生はどこか期待と信頼の籠ったそれに、にっと歯を見せる事で応えた。

 

「――戦車には一度、痛い目を見せられたからね、対策はバッチリさ」

 

 告げ、先生は背嚢の中から、白と青いラインの混じった球体を取り出す。それはアビドスからすれば酷く奇妙な代物で、皆は物珍しそうに先生の掌に握られたそれを見つめた。

 

「借りるぞ、ハレ――ッ!」

 

 側面に設置されたスイッチを押し込み、先生は叫びながら球体を空に向かって投げる。

 すると球体は一拍遅れて青白い光をラインに沿って放ち、空中で静止――そして駆動音を搔き鳴らすと、そのまま正面の戦車に向かって突貫した。

 飛来するそれに対し、戦車の機銃が慌てて火を噴くも、球体の大きさは野球ボールよりやや大きい程度。左右に不規則に揺れながら迫り来るそれを捉える事は難しく、射程圏内に戦車を捉えた球体は強力な青白い電磁パルスを撒き散らし、自壊。

 ――周囲の端末が一瞬、ノイズを発し沈黙した。

 

「あれ、もしかしてEMPドローン?」

「ヴェリタスの皆に作って貰った逸品だ、後でユウカにしこたま怒られる領収書付き! 暫く先生、御昼はコッペパンだけかも!」

「えっ、あれ経費で下りないんですか!?」

「安心して下さい先生、御昼は私が御馳走しますよ☆」

「ともあれ、チャンスだねー、皆、準備は?」

「いつでも!」

 

 ホシノの声に応え、皆が愛銃を構える。戦車はEMPの直撃を喰らい制御不能、こうなってしまえばただの硬い的に過ぎない。壊すも奪うも思いのままだ。増援の車両から降りて来た生徒も――凡そ十五人程度。

 アビドスの皆と先生の力があれば、突破は容易。

 

「それじゃ――先生?」

 

 ホシノが先生を見る。

 頷き、先生は進路を指差し号令を掛けた。

 力強く、皆と一緒に帰る為に。

 

「信じているぞ皆、誰一人欠けることなく、学校に帰るんだ――アビドス、出撃!」

「おーッ!」

 


 

 休日なのでいつもより投稿時間早めです。

 ストックが出来てちょっと余裕が出たともいう。

 毎日投稿は投稿五分前まで必死こいて書いていたのでマジ毎日が風紀委員(ゲヘナ)でした。

 投稿管理カンペキ~! うぅ、ユウカ私の代わりに推敲して投稿しておいて……。

 

 コタマのあのストーカー気質なところは結構好きなんですよ、絶対愛が重いから。先生の私物に盗聴器を仕掛けようと試行錯誤して、何なら先生の通信を傍受して盗聴したりしている訳で、ぶっちゃけ私の中ではワカモに迫る程のヤベェ奴認定です。でもそんなコタマを許して、何度盗聴器を仕掛けられても説教程度で済ましてくれちゃう先生、なんという好循環、素晴らしいですね。

 

 その内全く懲りずに先生の盗聴を行うコタマに辟易として、仕事の内容以外なら別に良いと私生活エリアの盗聴を許可して、コタマを喜ばせてあげて欲しい。コタマ自身も駄目だ駄目だと思いながらも、ついつい止められず続けていた盗聴を認められて、きっと涙を流すほどに喜んでくれるのだ。その内コタマは学校が終わった後に、先生の生活音を聞くのが日課になるに違いない。

 

 先生は何をしているのかな、どんな一日を送っているのか、と。何なら自室のスピーカーから先生の生活音を流して、然も自分が先生と同棲生活しているかのような雰囲気に浸ってご満悦になるんだ。

 

 その内、先生の日常音だけでは満足できなくなって、もっとディープな部分まで踏み込む決意をして欲しい。先生から許可を得たからと自分に言い訳して、先生の自室だけでなく、お風呂や寝室にまで盗聴器を仕掛け始める気がする。流石にこれは駄目じゃないかとか、バレたら嫌われてしまうかもとか、色々思いながらも結局誘惑に負けて、日直の日にそれとなく仕掛けて、夜な夜な一人で楽しんでいるんだ。

 

 それで先生は、そんなコタマの盗聴に気付きながらも、「まぁ私だけなら別に良いか、でも他の人にはやらない様に釘を刺しておこう」と、翌日ほくほく顔で現れたコタマに説教して欲しい。

 

 てっきり先生に知られたからにはとんでもない事になるに違いないと、先生に寝室・風呂場の盗聴がバレていると知るや否や蒼褪め、声もなくぽろぽろと涙を流すコタマを先生に慰めて欲しい。号泣しながら、「ご、ごめんなさい、すみません、き、嫌いにならないで、せ、先生……!」と縋り付くコタマに、「他の人にやったらだめだよ?」と先生は優しい笑みを浮かべるんだ。

 自分のそんな汚い面すらも受け入れ、許してくれる先生に対し、きっとコタマは涙交じりに安堵と敬愛と情愛と信頼の籠った、本当に嬉しそうな笑みを浮かべるに違いない。

 

 ここで先生がコタマではない生徒を寝室に連れ込んで、『ハナコッ!』(エッチなのは駄目! 死刑!)をした場合のコタマの顔も見てみたい気もするけれど、今回はもう少しマイルドにしたい。

 

 はー、コタマが盗聴している最中に先生の頸を締めて殺してぇ~。

 

 盗聴だから音しか聞こえない状態で、助ける事も出来ずその場で凍り付くコタマの顔が見てぇ~。

 いつも通り学校が終わった後、シャーレの盗聴を行っているコタマの耳に、突然先生が誰かに襲われている音が聞こえてくるんだ。何かが斃れる音、硝子の割れる音、それから発砲音。

 

 コタマはそのただならぬ様子にきっとヘッドホンを付けたまま、部屋を飛び出すに違いない。先生に何かあったんだ、誰か先生を襲っていると、蒼褪めた顔で恐らくヴェリタスか、生徒会辺りに駆けこもうとするのではないだろうか。

 コタマ自身、自分が荒事に向いているとは思っていない。自分が一人で救助に向かった所で、先生を守り切れる自信が無い。だから少しでも早くこの事を知らせて、シャーレに救助隊を送らねばと考えるんだ。

 

 そんな彼女の耳に鳴り響く銃声、響く先生の呻き声。

 

 その音に、「ひっ!」とコタマが身を竦める。コタマの頭の中で、撃たれた先生が地面に崩れ落ちるイメージが浮かぶ。必死の形相で生徒会室に辿り着き、そこで会計作業を行っていたユウカに、飛びつく勢いで縋り付いて欲しい。

 

 突然生徒会室の扉を凄まじい勢いで開け放ち、驚愕を張り付けたユウカに掴みかかるコタマ。「えっ、ちょちょ、な、何!? 何なの!?」と混乱するユウカに、蒼褪め、涙すら流し、がちがちと歯を鳴らすコタマは云うんだ。「だ、誰かが、誰かがシャーレを襲撃しています! せ、先生が、先生が危ない!」と。

 ユウカはその言葉だけで意識を切り替えて、セミナーとの権限を使ってシャーレ近辺のミレニアム生徒に緊急招集を掛けるに違いない。その間、床に座り込んだコタマの耳元で、先生の呼吸音だけが響くんだ。

 

 誰かの足音、それから僅かな衣擦れ、そして先生の暴れる音と苦し気な声。

 最初は力強かったそれが、段々と小さくなり、呼吸音すら掠れ、宛ら小さな管に吐息を吹きかける様な音に変わった時、ほんとうに、本当に小さな声で、「こたま」と呟いて欲しい。

 

 きっとコタマは床に這い蹲ったまま鬼気迫る顔で、「先生ッ! せんせいっ!」と叫ぶに違いない。声が届く筈もないのに。

 

 涙は止まらなくて、何も出来なくて、先生は傍にいないのに、録音機材は良質なものを揃えたばかりに、まるで隣で先生が絞殺されているような臨場感の中で、コタマは叫ぶんだ。何度も何度も、先生の吐息が聞こえなくなるその瞬間まで。

 

【ブルーアーカイブ】 先生ASMR~あなたの息吹をこの手に感じて~

 先生の許可を取り、その生活音を毎日聞く事が日課のあなた(コタマ)。耳元に聞こえる呼吸音、打鍵音、先生の独り言。そんな先生の何て事のない一日を楽しんでいたあなただったが、ある日そんな先生の様子がおかしい事に気付き……?

 

 こだわりポイント♪

 ・すぐ傍で先生が首を絞められているかのような臨場感。

 ・作業の小休憩にピッタリなドタバタ感。

 ・あの憧れの先生があなたの傍でそんな声を!?

 

 これはこぞって生徒達が買い求めるやろなぁ……。需要に応じてこんな製品を出せる先生は大人の鑑。

 キヴォトスの生徒の性癖を全力で捻じ曲げて行け!

 

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