今日は七千五百字ですの。
【第二十話】
「あはははっ! ほらほら、もっと派手にやろうよ!」
「あだっ、いだっ、あひッ!?」
縦横無尽に走り回るアスナの影に、ゲーム開発部の面々は翻弄される。彼女は兎に角足を止めない、遮蔽に隠れたとしてもそれはリロードの行う間の数秒のみで、常に的を絞らせず地面を蹴り、壁を跳ね、天井スレスレを飛び回る。その姿はまるで兎か飛蝗か、だと云うのに放たれる弾丸は悉く目標に命中し、特に前衛を張っていたモモイに降り注ぐ。
弾丸の飛来する予測線は見えているのだ。しかし避けたと思った先にまた弾丸が置いてある――それが彼女の狙い通りなのか、それとも偶然なのか。モモイは自身の肌を強かに叩く弾丸に悲鳴を上げながら遮蔽に転がり込む。
「お、お姉ちゃん!」
「も、モモイ、下がって!」
集中砲火を浴びるモモイを援護すべく、引き金を絞るミドリ。銃口が火を噴き、弾丸は駆けるアスナに向かって伸びる。しかし着弾の瞬間、まるで来るのが分かっていたとばかりに身を反らすアスナ。長髪を掠めた弾丸は背後の壁に突き刺さり、弾痕を刻んだ。自身の背後に着弾した弾丸を一瞥し、アスナは笑みを深くする。
「あはっ、惜しかったね!」
「な、何で、弾が全然当たらない……! こっちには先生のサポートだってあるのに――!」
スコープを覗き、アスナの駆ける軌道を予測しながら丁寧に、正確に発砲を繰り返す。しかし笑みを零しながら駆け回る彼女に直撃する事はなく、悉く回避を許す。彼女の動き、その予測は視界に表示されている、その通りにも動いている――しかし着弾の瞬間、唐突に足を止める、上体を逸らす、飛び上がるなどして回避する。
――何なんだその超人的な危機への嗅覚は、ミドリは思わず悪態を吐きたくなった。
「これはお返しだよ――ッ!」
壁を蹴り、空中で逆さになったアスナが銃口をミドリへと向ける。瞬間ミドリはハッとした表情を浮かべ、即座に横合いへと身を投げた。
「おっ?」
良い反応だ、アスナは内心で零す。彼女が発砲する頃にはミドリの身体は回避を完了し、弾丸は床を穿つのみに留まる。
「モモイッ!」
「――っ!」
先生が叫び、モモイが即座に応えた。着地の瞬間、遮蔽に身を潜めていたモモイが飛び出し、愛銃を腰だめに構える。
アスナは彼女が着地を狙っていたのだと分かった。恐らく先生の判断だろう。
――思っていたよりも、全然悪くない。
勿論、C&C基準からすれば戦闘能力は高いとは云えない。射撃技術や身体能力、体捌き云々などは一般的か、それより少し優れている程度。ただチームとしての動きは及第点、先生の支援もあるのだろうけれど一瞬ひやりとする場面が幾つもあった。
「いいねっ! 何だか良い感じっ!」
「ちょッ――!?」
着地、同時に加えられるモモイの射撃。
アスナが接地した瞬間に放たれた弾丸は、しかしアスナの頭上を掠めるのみ。彼女は接地の瞬間に体を倒し、そのままスライディングするように床を滑ったのだ。上体を狙った複数の弾丸は彼女の髪と肩を掠めるに留まり、お返しとばかりにアスナの銃口が火を噴く。予想外の反撃と回避に慌てて再び遮蔽に身を隠すモモイ、隠れた支柱の隅が削り取られて行く。
だが、其処に走り込む影があった。
「速いけれど、範囲攻撃なら――ッ! レトロよ、永遠であれっ!」
「んっ?」
床を転がり、体勢を整えたアスナが駆け込んで来たユズに気付く。彼女はアスナからやや遠い位置より愛銃を構えると、そのまま引き金を絞った。
ポン、という空気が抜ける様な音と共に放たれる影、アスナはその音に目を見開く。
――グレネードランチャー
ユズの放ったソレが即座に爆発を伴うものだと理解したアスナは、一瞬その表情を真剣なモノに切り替え――敢えて体を前に倒し、加速した。
「えっ――!?」
その行動に面食らうユズ。彼女が狙ったのはアスナの手前、つまりこのまま進めば直撃コース。しかしアスナはその驚異的な直感により、凡その着弾地点を感じ取り、そのまま飛び越える様にして地面を蹴る。
瞬間、着弾と爆発。
「ひゃっほ~ッ!」
アスナの背中で爆発した炎が周囲の暗闇を吹き飛ばす。同時に爆風が彼女の背中を押し、アスナは勢いをつけ一気に距離を詰めて来た。
「ば、爆風で加速ッ……!?」
「なにその出鱈目っ!?」
想定外の行動に面食らうゲーム開発部。相手の攻撃、爆発を利用して勢いをつけるなんて、仮に思いついても実行しようなんて思わないだろう。だが、だからこそ相手の盲点を突ける。驚愕は硬直と意識の停止を生み出す。
しかし後方に佇む先生だけは取り乱す事無く、冷静に戦局を見据えていた。
「――モモイッ! もう一度!」
臆せず懐に飛び込む判断、ゲーム開発部に白兵戦を行える生徒は存在しない。距離を詰めて一気に制圧するというアスナの判断は、決して間違いなどではない。
しかし。
「っ、お願いだからどれかは当たってよ~ッ!」
視界に表示される先生の指示、同時に声を受けたモモイは反射的に銃を構え乱射した。まるで広範囲を薙ぎ払う様な一撃、狙いも大雑把で数を撃てば当たるを体現したような行動だった。
「わっ、っと、っと!」
アスナは爆発で加速しながら、しかし即座に反撃を敢行したモモイの射撃を受ける。空中では咄嗟に回避も出来ない。故に彼女が出来たのは銃を脇に抱えながら腕で頭部をガードし、攻撃を凌ぐ事のみ。空中にあるアスナの身体を強かに叩くモモイの弾丸、ガードによって視界が奪われる。
「ミドリッ! 今だッ!」
「っ、はい――!」
着地まで数秒、しかし確実に当たる今なら十分。
ミドリは愛銃であるスナイパーライフル――フレッシュ・インスピレーションを構え、サイト中央にアスナを捉えた。落下の勢い、加速、着地地点、全て予測が表示されている。
「これでッ――!?」
――絶対に外さない。
その意気と共に引き絞られた引き金は、しかし銃弾を発射する事は無かった。
ミドリの視界に表示されるアラート、それは自身に迫る脅威の検知。
咄嗟に彼女が身を捩った瞬間、その頬を掠める様に銃弾が通過した。思わず悲鳴を呑み込み、尻餅をつくミドリ。弾丸は傍の支柱を砕く勢いで削り、そのまま後方の壁へと突き刺さる。
「そ、狙撃っ!? 何でッ!?」
「こ、これ、カリン先輩の――!」
唸る様な銃声、同時に目を見張る様な威力。
その攻撃には覚えがある。
最悪の予感が脳裏を過り、思わず叫んだ。
「まさか、ウタハ先輩が……!?」
■
「……む、私は一体――?」
ウタハは頭部に感じる鈍痛と共に目を覚ました。
彼女の身体は地面に横たわっており、冷たい床が彼女の温度を奪う。自身の背中に感じるずっしりとした重さに、ウタハゆっくりと背後を向いた。すると彼女の視界一杯に柔らかな臀部が映り込み、思わず気圧される。
「この大きなお尻は、一体誰の……」
「……悪かったな、大きくて」
尻が喋った――ウタハは一瞬、本気でそう思った。
しかしそんな筈もなく、よく見ればウタハを尻に敷き、そのまま愛銃を構えるカリンの姿。彼女は僅かも狙撃姿勢を崩す事無くウタハを一瞥すると、そのまま淡々とした口調で告げる。
「ごめん、手加減する余裕はなかった」
「あぁ、そうか、私は……負けたのか」
「頭部に一発撃ち込んだ――まだ額が痛むだろう?」
「いいや、この位は平気だとも……しかし、よもやあの猛攻の中、私を正確に射貫いて来るとは、爆炎と煙で視界も悪かっただろうに」
ウタハは自身がカリンとの戦いに敗北した事を知り、思わず脱力する。彼女が憶えているのは降り注ぐ砲弾の中、爆炎と粉塵に塗れた彼女に集中砲火を浴びせている光景。戦いは常にウタハが優勢であり、また自身が撃たれたという意識も無かった。
恐らくあの爆炎と煙の中、カリンは正確に狙いを付け自身の頭部を撃ち抜いたのだ。故に意識を奪われたのは一瞬の事で、倒された瞬間の記憶さえない。その絶技にウタハは純粋に尊敬の念を抱く。
「視覚を奪われるだけで戦えなくなるエージェントは、C&Cに存在しない」
「C&Cの評価に偽りはなかった様だね……しかし、何故私はこんな体勢に?」
「もう一人の協力者、その砲撃を防ぐ為だ、こうすれば先輩想いの彼女は砲撃を撃ち込めないだろう?」
「……成程、合理的だね」
「理解したら大人しくして欲しい、私もあまり乱暴はしたくない、心が痛むからな」
それだけ告げ、再びスコープを覗き込むカリン。こうしてカリンがウタハを押さえつけ尻の下に敷いている間、ヒビキが砲撃を撃ち込む事は出来ない。つまり今のウタハは人質であり、彼女にとっての盾である。一瞬力技で脱出する事も考えたが、技術屋である自身とC&Cという精鋭に並ぶカリンでは身体的にも技術的にも後者が勝る。
ウタハは小さく溜息を吐くと、カリンに向けてやや云い辛そうに口を開いた。
「あー……不躾で申し訳ないのだけれど、一つお願いがある」
「――?」
何やら含みのある口調にカリンは振り向く。すると視界に何とも云えない、困った様な表情を浮かべるウタハが見えた。
「ほんの少しで良いから離れて貰っても良いだろうか? その、この状態だと君のお尻が近すぎて、ちょっと困る」
「なっ!? それなら、こっちを見なければ良いだろう!?」
■
『先生、別動隊がやられた、狙撃手の抑えが利かなくなる――!』
「分かっているよ……!」
ハレからの連絡に、先生は支柱に身を隠しながら苦々しい声で以て答えた。先程までの攻勢が嘘のようにゲーム開発部は遮蔽に身を隠すしかなくなり、C&Cの連携に押し込まれる。初めから分かっていた事だが、C&Cの戦闘能力には舌を巻くしかない、単純な個人戦闘能力は勿論、チームを組めば更に強くなるなど。
特にアスナの直感――殆ど未来予知か何かと思ってしまう様なソレは、時に理不尽と思えるほどに凄まじい働きを見せる。一手一手、丁寧に詰めたとしても『何となく』で全て引っ繰り返されるのだから、堪らない。
天性の直感による被弾を抑えるアスナ、それを破るにはゲーム開発部の連携を生かすしかなく、しかしカリンの狙撃がそれを許さない。戦線は膠着状態、突破するにはどちらかを攻略するしかないが――。
『せ、先生、後方より凄い数のロボットが来ます! それに生徒さんの反応も――これは、恐らくユウカさんと、アカネさんです!』
「――!」
アロナの声に、先生は顔を上げ背後に視線を向ける。
想定よりも早い、もう少し時間は稼げると思っていたが、殆ど同時に別動隊が突破を許した。
遅かった、時間切れだ。
先生は内心で自身の想定の甘さを悔やむ。直ぐに彼女達はこの場所へと殺到して来るだろう。ゲーム開発部が差押品管理所を目指している事は、既にセミナーの知る所である。
「あははっ、この様子だとこっちが優勢って感じかな? 流石のご主人様でも、此処から挽回するのは難しいんじゃない?」
「うぅっ……!」
「せ、先生……」
未だ健在のアスナが余裕の笑みを浮かべながら告げれば、ユズとミドリが不安げな声を漏らす。同時に背後から足音が響き、振り返ると複数の影が此方に駆けて来るのが分かった。
「はぁっ、ハァッ! よ、漸く見つけたわよ……!」
「げっ、ユウカ――!」
最初に辿り着いたのはユウカ、彼女は愛銃と携帯端末を片手に息を切らせ、ゲーム開発部を睨み付ける。モモイは露骨に顔色を青くし、身を縮こまらせた。
「全く……! セミナーとC&Cを相手にして、ここまで状況を引っ掻きまわした事については褒めてあげるわ……!」
「わ、私達だってやる時はやるんだよっ!」
「……こんな状況では聞きたくなかった台詞ね」
モモイの言葉に彼女は肩を竦め、溜息を零しながら告げる。
「でもそれはそれ、これはこれ――ここまで被害を出したなら、もう悪戯じゃ済まされないわよ、罰として無条件一週間停学、拘禁位は覚悟しなさい!」
「てっ、停学!?」
「拘禁って……!?」
「そ、そんな、一週間も経ったらミレニアム・プライスが終わっちゃう……!」
ユウカから告げられた今回の一件に対する罰に、彼女達は思わず絶句する。精々説教されて正座一時間とか、奉仕活動一日とか、その程度の罰を予想していたのだろう。蒼褪めるゲーム開発部を前にユウカは愉し気な笑みを浮かべる。
「アリスちゃんも今は反省部屋に入っているわ、ひとりだけで可哀そうだったけれど、貴女達も一緒ならきっと喜ぶでしょうね」
「うぐぅ……!」
このまま捕まれば直反省部屋行き、無条件の一週間停学――もとい拘禁が確定してしまう。そうなればもう、ミレニアム・プライスへ出展するゲーム開発は出来ない。
「ふぅ、やっと到着しました、こんなにも息が切れるなんて、まさか本当に体重――いえ、そんな筈は」
「――おっ、やっと来たね!」
「アスナ先輩、何度も通信を試みましたのに……せめて電源位は入れて下さい」
「あれ、入れてなかったっけ?」
「えぇ、オフラインになっていましたよ」
次いで合流を果たしたのはアカネ。彼女は弾む息を自覚しながら何かを憂う様な表情を見せる。そして天真爛漫なアスナを見て小言を漏らし、肩を落とす。
「アカネ、そっちは片付いたのね?」
「えぇ、お二人は丁寧に拘束させて頂きました――そして」
ユウカの言葉に頷きを返しながら、アカネは視線をゲーム開発部、そして先生に向ける。その表情は朗らかで優し気に見えたが、目だけは決して笑っていなかった。
「今度こそ本物の様ですね? ゲーム開発部の皆さん」
「C&Cの、アカネ先輩……」
「ふふっ、ご主人様も――どうやら大変な一日を過ごされた御様子で」
「……まぁ、そこそこね」
アカネの一言に苦笑を浮かべる先生、否定は出来ない。
「先生も、今回の件についてシャーレに抗議文を送りますからねっ!? そこの所、分かっていますか!? 流石に今回は看過できません!」
「ははっ、これは一気に仕事が増えてしまうね……また暫く徹夜かな」
「せ~ん~せ~い~ッ!?」
その仕事を手伝うのは誰になると思っているんですか? もしかして、他所の学園の生徒に手伝って貰えば良いとか考えていますか? 良いですか先生、会計処理もそうですけれど、ひとりで家計簿も付けられない人がですね――と一気に捲し立てるユウカ。
どうやら彼女の小言は長くなりそうだと早々に悟りを開く先生。しかし次から次へと先生に対して如何に自身が有能で心優しいか、シャーレの運営に欠かせないか力説するユウカは周囲の視線に気付き、頬を赤くすると咳払いを一つ挟み話を戻す。
「んんッ! 兎も角! もう、どちらにせよもう終わりです、諦めて下さい! C&Cは再集結、各セクションのガードロボットも此方に集合させました、もう先生達に勝ち目はありません!」
そう発言するユウカの背後に集結するガードロボット。銃口を左右に取り付けた特徴的なロボットが続々と集合する。点灯するグリーンランプが先生達を照らし、絶望的な劣勢を視覚的に表現していた。
「さぁ、大人しく投降を――」
「いいや、まだだよ」
しかし、ユウカの声を遮る様に先生は答える。
緩く首を振った先生は、シッテムの箱を握り締めたまま告げた。
「まだ終わっていない――諦める必要なんてないんだ」
「? この状況で、何を……」
ユウカは疑る様な視線を先生に向ける。カリンを足止めしていたエンジニア部は動けず、アカネを担当していた二名も同じ。ゲーム開発部をバックアップしていたハレも精々出来るのは電子的な支援のみ。現在ゲーム開発部は孤立無援、既に万策尽きている。
C&Cの全戦力が集結し、ユウカの持つガードロボットも揃っている。この状況で何故そう云い切れるのか、ユウカには理解出来ない。そしてそれは、アカネも同じであった。
「―――」
しかし、唯一アスナだけは先生を凝視していた。超人的な直感を持つ彼女は、何か云い表す事の出来ない予感を先生に覚えていたのだ。
先生はこういう時、決して諦めたりしない。そして、それには根拠がある――どんな時だって、先生は自分をわくわくさせてくれる。
自然と、アスナの口角が上がっていく。
「ねぇ皆、ゲームで強い技って聞くと、どんなものが思い浮かぶ?」
「……えっ」
「げ、ゲーム……?」
先生は項垂れ、半ば諦めかけていたゲーム開発部に問い掛けた。その口調は穏やかで、楽し気で、同時に力強かった。先生の言葉に、ゲーム開発部の三人は落としていた顔をゆっくりと上げる。
■
『大丈夫です、先生の支援バフにより全部見えています……!』
■
唐突に問いかけられた内容、ゲームで強い技。三人は顔を見合わせ、おずおずといった風に口を開く。
「えっと、避けられない攻撃、とか? 当たり判定が大きくて……」
「が、ガード不能?」
「こ、高火力の、一撃で倒せる技、でしょうか」
各々が得意とするゲームに出て来る技、或いは一般的に強いとされる技。それらを脳裏に浮かべながら口にした回答は、どれも明確に強いといえるものだ。
■
『魔力充填率――三十、六十、百パーセント、完了ッ!』
■
「そうだね――それは全部、正解だよ」
「先生、一体何の話を――……?」
何の脈絡もなく放たれた言葉に困惑するユウカ、アカネも頭上に疑問符を浮かべる。そしてそれはゲーム開発部も例外ではない、一体どういった意図があるのかが分からない。
不意に――アスナの肌が粟立った。
それは彼女の直感が齎す警鐘だった。
「っ、来るよッ! 避けてッ!」
「は――?」
瞬時に動いたアスナが、両脇に立っていたアカネとユウカを突き飛ばす。唐突なそれに対応出来ず、廊下の端へと押し出される両名。
同時に何処からか、聞き覚えのある叫びが聞こえた。
『――光よーッ!』
瞬間――廊下の中心を貫く、青白い光の柱。
凄まじい熱波と衝撃、極光に目を焼かれ、夜は一瞬昼間の明るさを取り戻す。青白い光の奔流はあらゆる壁を粉砕し、支柱を消し飛ばし、遥か向こうの端まで一切合切を消失させた。後に残るのは熱で焦がれた床と天井、そして半円に抉れた幾つもの壁である。
「な、なんっ……!?」
突き飛ばされ、尻餅をついたユウカは今しがた目の前を通り過ぎた極光に思わず声を失う。ゲーム開発部の面々は攻撃が来た瞬間先生に飛びつき、団子になって先生に覆い被さっていた。先生を掴んだまま恐る恐る顔を上げたユズ、ミドリ、モモイの視界に飛び込んで来たのは――大きく円形に抉れた壁を跨ぎ、駆けて来る小柄な影。
「あ、アリス……っ!?」
「アリスちゃん……!?」
「な、何で此処にアリスちゃんがっ!?」
皆が彼女の名を呼び、驚愕を顔に貼り付ける。
彼女――アリスは身の丈を超える
「勇者アリス、ただ今到着です――ッ!」
愛と勇気とロマンのお話過ぎてンギィ↑ってなりますの。
あと明日の投稿、もしかしたら一日遅れるかもしれませんわ!