ブルーアーカイブを、もう一度。   作:トクサン

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今回約一万四千字ですわ~!


戦争(争奪)の前兆

 

「あれ?」

 

 公安局の事務所へと戻る最中、見知った後姿が視界に入った。

 既に陽は落ち、ポツポツと街灯が点灯を始めている。まだ人通りの少ない通路の端で、物陰に隠れ、ある一点を伺う人影があった。明らかに怪しく見えた為、自然と視界と入ったのである。

 しかし、残念ながら不審人物ではなかった。いや、行動は不審そのものであったが、見知った人物だったのである。

 最早着ているのかどうかも分からないヴァルキューレの制服に、肩から覗くアロハ柄。そんな恰好で寒くないのかと聞きたくなるが、本人曰く平気らしい。

 彼女はそんな自身の上司の背中を暫し見つめ、それから帽子越しに頭を掻きながら近付き、声を掛けた。

 

「えっと、副局長? こんな所で、一体何を――」

「どっせいッ!」

「わぶッ!?」

 

 しかし、声を掛けた瞬間、凄まじい速度で肉薄され、そのまま首に腕を回され物陰に引き摺り込まれた。唐突なそれに対応出来ず、加えて彼女――コノカのフィジカルは公安局でも一、二を争うレベル。単純な筋力では抵抗も出来ず、じたばたと藻掻くのみ。ぎゅっと、首元を腕で締められた。

 

「ばっか、声出すんじゃねぇ、姉御にバレたらどうするんだよ……ッ!?」

「もごっ、待っへ、ふ、副局長、く、くびっ、首締ま――っ!」

 

 彼女にとっては軽くなのかもしれないが、技を掛けられた側からすれば相当な圧迫感がある。頭上から声量を落とし、語り掛けて来るコノカに対し、彼女は首に回された腕を必死でタップした。

 ややあって此方の顔色が蒼褪めている事に気付いたのか、「あ、ヤベ」と呟いたコノカが技を解く。途端、大きく息を吸い込み地面に両手を突くヴァルキューレの生徒。唾液を零しながら、必死に呼吸を整えた。

 

「はーッ、はぁ! い、意識が、飛ぶかと思った……!」

「この程度でトブんじゃねぇ、訓練メニュー十倍にするぞ?」

「さ、流石にそれは勘弁して下さい……!」

 

 今でも副局長のトレーニングはスパルタだと云うのに。そんな言葉を辛うじて飲み込み、建物の外壁に手を突きながら立ち上がる。その間もコノカは壁に張り付き、ある一点を注視していた。

 

「そ、それで、こんな所で本当に何をしているんですか? もしかして、張り込みですか?」

「あー、まぁ張り込みって云えば、張り込みなんだけれどよ――というかあんた、相方は?」

「あ、今丁度夕飯を買いに行っています、事務所も近いですし、私は先に帰ろうと……副局長こそおひとりですか?」

「いや、ひとりじゃねぇよ」

「?」

 

 彼女は首を横に振るが、副局長以外に人影は存在しない。思わず疑問符を浮かべれば、ふんと鼻を鳴らしたコノカは、壁に身を寄せたまま親指で背後を指差した。

 

「ほら、あそこ、あの屋台」

「屋台?」

「あぁ、見てみろ」

 

 ただし、絶対に見つからないようにな、姉御は勘が鋭いんだ。

 そんな風に告げる副局長に対し、ヴァルキューレの生徒は恐る恐る角から顔を覗かせる。

 すると、夜の暗がりの中で薄ぼんやりとした光を放つ屋台が見えた。かなり古く見えるが、同質の老舗の貫禄を感じさせる。そんな場所で、暖簾越しに見える誰かの背中。長椅子に掛けている生徒らしき影は、自分達と同じヴァルキューレの制服を見に纏っていた。

 そして、その後ろ姿には見覚えがある。

 何せ、殆ど毎日目にしているのだから。

 

「……あれ、カンナ局長?」

「そう、そんで隣がシャーレの先生だ」

 

 副局長が姉御と呼ぶ存在は一人しか居ない、故に予想は出来たが、それでも微かに驚きが勝った。

 腕時計を見下ろせば、まだまだ夜もこれからという時刻。ハッキリ云えば、殆どの生徒が勤務中の時間だ。他者に厳しく、自分にも厳しく、兎に角厳格な性格で知られる彼女がこんな時間から誰かと食事を共にしている事は、大変珍しい事だった。

 それも、相手がシャーレの先生とは。

 

 良く見れば純白の制服に、青の腕章が暖簾越しにチラチラと垣間見える。流れる雰囲気は穏やかで、柔からな光も相まって中々どうして悪くない。

 普段ならカンナ局長が先生と食事を共にしていても、シャーレ側との会談だろうかとか、何か緊急の要請があったのかなとか、そんな風に考えてしまうが、この光景を見ると何となく違う様な気がした。

 

「……えっと、もしかして、デートの最中だったり?」

「中らずと雖も遠からず、って所だな――ま、あの場をセッティングしたのはあたしだけど」

「えぇ?」

 

 思わず、素っ頓狂な声が漏れた。ヴァルキューレの生徒に覆い被さる様にしてカンナ達を見守るコノカは、にっと歯を見せて笑う。

 

「カンナの姉御にも、偶には息抜きが必要なんだよ、特に最近は酷い顔していたし、あのままだとぶっ倒れるまで悩んでそうだったからなぁ」

「えー……私達が仕事しているのに、ずるいですよ」

「おいおい、姉御はあたしらがグースカ寝入っている間にも、上から呼び出されて仕事してんだぞ?」

「……冗談です、知っていますよ、ちょっと云ってみただけですって」

 

 口を尖らせ、苦言を呈したヴァルキューレの生徒であったが――カンナ局長の立ち位置は、何となく察している。早朝に事務所へと入って、カンナ局長がアイマスクをしたまま椅子に凭れ掛かって眠っている姿を目にする事など、数え切れない。防衛室から呼び出しを受け、意気消沈して帰って来ることも、それを自分達に悟らせまいと普段は凛然とした姿を装っている事も。

 その気苦労や実際の苦しさは自身が想像しているよりも、恐らくずっと重く、辛く、おどろおどろしいモノなのだろう。

 だから、今の単なる軽口だ。先生と一緒に時間を過ごせる局長への茶目っ気と云い換えても良い。

 

「―――……」

 

 暫し無言でカンナと先生の背中を見守る両名。

 不意に屋台から、楽し気な笑い声が響いた。

 先生とカンナの、珍しい位に朗らかな笑い声だった。

 それを聞いたコノカとヴァルキューレの生徒は視線を合わせ、それからどちらからともなく破顔する。

 どうやら、自分達が此処に居る意味はないらしい、と。

 

「――よっし、先生の代わりに今日はあたしが飯を奢ってやる!」

「えっ」

「ラーメンを食いに行くぞ! ニンニクマシマシ、大盛でな!」

「あ、いや、私は、ケーキとかマカロンの方が……」

「ほら、行くぞっ!」

「ぐえっ!?」

 

 何事かを口にするより早く、コノカの腕が首に回り、そのままズルズルと引き摺られて行く。恐らく事務所で合流するであろう相方も、同じように副局長によって連れていかれる事だろう。「夕飯は既に買って来た? 明日の朝にでも食え、今夜はラーメンだ!」と、そんな風にカラカラと笑う副局長の姿が鮮明に想像出来た。

 

 引き摺られながら、彼女はコノカの顔を見上げる。満面の笑みを浮かべながら、何処のラーメンが美味いだの、ボリュームがあるだのと語る副局長を見ていると、何となく力が抜けて来た。

 ヴァルキューレ公安局は苦難に見舞われる事が多い。仕事は多いし、良く上から叱咤されるし、予算が乏しいから装備は古いし、休みも少ない。自分達ヴァルキューレが、多くの市民から評価されていない事は知っていた。

 でも、彼女達は善い上司だと思う。

 心から敬愛し、付いて行こうと思える人達だった。

 だから。

 

「……あの、副局長」

「あん?」

「――そんな食生活ばかりしていると、太りますよ?」

 

 引き摺られながらそんな軽口を叩くと、コノカは目に見えて眉を吊り上げ、「動いてりゃ、太らねぇよ」と拳を振り上げた。ゴツンと、帽子越しに響く衝撃。「(いて)っ」と漏れる声。

 その口元には、薄らと笑みが浮かんでいた。

 

 ■

 

「よーし! この辺りで停車しろーっ!」

 

 アビドス砂漠――空白地帯。

 岩と砂、時折沈んだ建物の頭が垣間見えるその場所で、大型の輸送車が停車した。トレーラーよりは少し小柄だが、車体は通常車両と比較してもかなり大きく、外装部分には様々なバッグやら何やらが括りつけてある。

 車両が停車すると、後部扉を開け放ち続々と降りて来る生徒達。彼女達はサングラスを掛けていたり、バツマークの付いたマスクをしていたり、安全帽を被っていたり様々だ。

 しかし、衣服だけは統一されており、白色の長袖に薄らと膨らんだ空調服を身に纏っている。

 一番に降車した生徒は日差しの強さに目を細めながら、手にした端末を握り締め周辺を見渡す。画面に表示されている地図情報は、確かに此処を指していた。

 

「位置情報からすると、次は此処だね」

「今回の調査範囲もまた、随分と広いなぁ……」

「仕方ねぇよ、元々結構な時間が掛かるって話だったし、先に磁気探査を始めちまおう」

「じゃあ、それまで重力探査のデータ入力だけ済ませちゃうよ」

「へーい」

 

 下車した生徒は十人程。彼女達は幾つかのグループに分かれ手慣れた様子で行動を開始する。一度車内へと戻った生徒は、奥側に仕舞われていた保管ボックスに手を掛ける。

 

「じゃあ、磁力計持っていくね」

「防砂布は剥がすなよ? それアビドスから借りているだけなんだから、壊したら大変だ、丁寧に扱え」

「当然、っと」

 

 箱を抱えて車外へと慎重に、一歩一歩歩いて行く生徒。その間に他のグループは周囲の状態を調べたり、日光と風除けの簡易テントを設営したり。計測器を物陰で掲げる生徒に、車内で端末を操作する別の生徒が問いかける。

 

「湿度と気温の値出た?」

「今やってる、って云うか今日暑くない? 昨日より気温が上がっている気がするんだけれど……」

 

 晴天を見上げ、悪態を吐く。時期はもう冬だ、そろそろ雪が降り始めてもおかしくないというのに。彼女達の活動する砂漠は強い日光もあり、日中は真夏に勝る暑さを誇っていた。本当なら衣服を脱ぎ捨てたくなるが、そうすると今度は肌が焼けて大変な事になる。どれだけ暑くとも長袖を脱ぎ捨てる事は出来なかった。

 

 因みにサングラスを掛けている生徒は、元々ヘルメットを被っていた。

 しかし仕事初日で余りの暑さにぶっ倒れ、かと云って顔を晒すと恥ずかしいと身動きが取れなくなるため、試行錯誤の末、目元を隠せばギリギリ何とかなるという形で現在のスタイルに落ち着いた経緯がある。

 どうやら本人もサングラスが気に入っている様で、最近ではフレームの部分にデコレーションまで施していた。

 

「確かに、アビドスの砂漠は凄まじい暑さって聞いたけれど、実際に来るまではここまで暑いと思わなかったよなぁ」

「水分補給はこまめにな、あと空調服のバッテリー交換は忘れるなよ」

「はいはい」

「でも一ヶ月前とかと比べると、もう慣れたかな?」

「私としては、日中は夏以上に暑くなるのに、早朝とか夜は本当に真冬になるから嫌だよ……」

「昨日の車中泊は地獄だったねぇ」

 

 準備を進める生徒達は、口々に気候の変動、その激しさを語る。

 このアビドス砂漠は二つの顔を持つ、正午から夕方に掛けては死ぬほど暑い気温を誇り、陽が落ちれば一転、ガラリと世界が変わるのだ。

 砂漠は湿度が低い為雲が少なく、晴天率が高い。加えて砂漠の岩や砂は熱を吸収し易く、直ぐに熱を持つ。かと思えば蓄熱性が低いので、夜になると即座に冷え込み、放射冷却され極寒の世界が来る。湿度が低くなれば空気中に熱を保持する事も出来ず、雲も無い為熱はそのまま宙の彼方に消えるのだ。

 日中は四十度近く――夜は氷点下近くまで落ち込む。

 この寒暖差が彼女達の体調を狂わせ、慣れるまで大変苦労した。夜は車内で毛布に包まり、暖房を稼働させながら一夜を過ごすのだ。

 

「まぁ、調査は今日で一区切りだし、明日と明後日は休みだ、キリキリ働け~」

「はーい」

 

 一人の生徒がその様に声を張れば、周囲からまばらに返事が戻って来る。広大な砂漠のど真ん中で、忙しなく探査準備を整える生徒達。そんな彼女達の頭上に、ふと影が落ちた。

 

「ん? あれって……」

「どうした」

 

 その影に気付き、ふとひとりの生徒が空を見上げる。すると、何か影が此方に向かっているのが分かった。鳥か何かか? と一瞬疑ったが、それにしては随分と大きい――そして耳をすませば、空気を叩く様な音が木霊する。

 

「おっ、あの影は……!」

「アヤネちゃんだ!」

 

 影の正体はアビドスの所有するヘリコプター、雨雲号である。飛来するそれを目視した生徒達は表情に喜色を滲ませ、大きく両手を振り始めた。アヤネの操縦する雨雲号は近場の僅かにせり出した岩盤に着陸を敢行し、周囲の砂を吹き飛ばす。彼女達の近くに着陸すると機器を壊したり、簡易テントを吹き飛ばしかねないので、この辺りは安全第一での行動であった。

 車両から少し離れた場所に着陸し、操縦席から飛び降りたアヤネは大きく息を吸い込み、徐々に小さくなっていくローター音に負けない様生徒達に向かって叫ぶ。

 

「皆さ~ん、お食事をお持ちしました!」

「やった、補給だ~っ!」

「一個前の区画は終わっているし、ちょっと休憩にしようか」

「賛成!」

 

 既に今日は朝から一つの区画、その探査を終わらせ、これで二つ目である。時刻を見れば丁度昼を過ぎた頃、自覚すれば腹も空くというもの。アヤネに手を振っていた生徒は、輸送車の中で作業していた仲間に向かって声を発した。

 

「おーい、休憩だってさ~!」

「あ、補給来たの?」

「なら、開始出来る状態にだけして、一回休もう」

 

 端末を操作していた生徒や、運転席で準備をしていた生徒も声を返し、降車する。それからアヤネの雨雲号へと赴くと、それぞれ食事、飲み水等を輸送車両へと運搬していく。十人分の水や食料となると、それなりの数になる。それと万が一に備えて車両には常に数日分の備蓄が積み込まれていた。

 今日の深夜にはアビドス本校舎へと帰還出来る筈だが、砂漠は気まぐれだ。「念には念をだよ、アヤネちゃん、砂漠で遭難なんて――絶対にさせちゃいけない」とはホシノの弁である。

 その為、この探査には十二分なバックアップが用意されていた。

 

「いやぁ、いつも悪いねアヤネちゃん」

「いえ、これもアビドスが請け負った仕事の一つですから!」

 

 礼を告げる生徒に対し、アヤネは溌剌とした笑みを浮かべ答える。皆で運び出した保冷ボックスの中には、昼の分と夜の分の食事、そして少しだが菓子類、糖分を補給できるものが詰め込まれている。基本的に調査隊の面々は朝食事を済ませて、昼は予め持ち込んでいた弁当を食べる。夜までには大抵仕事を済ませて街へと帰還するが、探査区画が遠い場合は日を跨いで探査に赴く事があった。その場合、持ち込んでいた食事や水が底を突くので、こうしてアヤネがヘリで補給に来てくれるのだ。

 

「車の横にタープは?」

「もう張ってあるよ」

「良し、じゃあ一時間休憩って事で」

 

 配給された弁当箱を手に、生徒達全員は思い思いの場所で食事を開始する。大抵は飛んでくる砂を嫌って車内で食事を摂るが、車両横の簡易テントで食事を摂る者もいる。真正面から風が吹かない限り、比較的快適な休憩ポイントなのだ。それに、アビドス砂漠は何もないと云われるが、その静寂性や解放感を好ましいと思う者もいる。そして存外、その手の生徒が此処には多かった。

 

 輸送車の背面ドアを開け放ち、真横に設置した簡易テントと併せ即席の休憩所を作る。地面に転がした背嚢の上に腰掛けたり、扉の開閉部分に腰掛けたり、思い思いの場所で弁当を掻き込む生徒達。

 その中で一人、地面に防塵シートを広げ座り込んでいた生徒は、鎮座する雨雲号を見つめながら呟いた。

 

「やっぱりヘリがあると便利だよなぁ……コレで移動とか出来ないのアヤネちゃん? 現地でデータを取ってパパっと帰る、みたいなさ」

 

 割り箸で雨雲号を指しながら、その様な事を口走る彼女は、自身の乗る輸送車と雨雲号を見比べながら羨む感情を隠さない。仕事である事は分かっているのだ、しかし日を跨いで探査に赴く時、長い移動時間を体験するとやはりそう想わずには居られない。自分達が何時間と掛ける移動時間も、彼女のヘリなら正しくひとっ飛びだろう。

 調査隊の傍で同じように食事を摂っていたアヤネは、動かしていた箸を止め、申し訳なさそうに答えた。

 

「えっと、一応そういう方法も対策委員会の方で検討したのですが、アビドスの砂漠は天候が荒れやすくて、万が一墜落なんてしたら大変ですし、最悪探査中に砂嵐が来て離陸できないって状況になったりしたら、何日もその場で足止めを食らって立ち往生――何て事になりかねませんから」

「あー、そういう理由があったのか」

「確かに、結構風が強くなるよな、この砂漠」

 

 彼女達も既にこの砂漠に付いてはある程度理解している。つい一時間前までは何とも無かったのに、唐突に砂嵐が到来する事など日常茶飯事。そうなったら数メートル先さえ覚束ない、自分達の搭乗する大型の輸送車でさえ揺すられるのだ、ヘリコプターなど巻き込まれたら更に酷い事になるのは明らかだった。

 車両ならゆっくりでも進む事は出来るが、航空機はそうじゃない。そう考えると多少時間が掛かっても、大型の車両で移動した方が安全かと思い直す。

 

「それに、もう一つ切実な理由がありまして……」

「ん?」

 

 しかし、それも事実だが実際はもう一つ理由がある。

 アヤネは俯き頬を掻くと、苦々しさと羞恥が半々と云った様子で呟いた。

 

「単純に燃料とか、整備費用を考えると、結構な出費に――」

「あ~……」

 

 それは、本当に切実な理由であった。

 今回雇われた生徒にとっても、非常に共感出来る理由である。方々から納得の声が漏れ、同時にアヤネは眼鏡を指先で押し上げながら眉間に皺を寄せ、言葉を続けた。

 

「航空機の燃料は単価が高いだけじゃなく、消費量も多いので、雨雲号で何十リットルと消費した場合でも、通常の車両だと同じ量で数百キロと走れたりしますし、それとあの機体は中古での買取だったので、定期整備と部品交換は欠かせなくて……」

「そっか、そりゃ、簡単には飛ばせないか」

「うーん、納得の理由だ」

「……因みに一時間位飛ばすと、どれくらい掛かるの?」

 

 素朴な疑問なんだけれど、そう前置きして問いかけた生徒に対し、アヤネは無言で指先を二本立て――それから少し悩み、指の数を三本へと増やした。

 思わず、「うわぁ」という声が漏れた。問いかけた生徒が思っていた以上に値が張っていたのだ。そしてその感想は、他の面々も同じである。

 

「……それって、後ろは十だよね?」

「はい、十です、一時間で大体三十」

「――高っかぁ」

 

 それは、車両での移動に拘りたくもなるだろう。

 今回使用している大型の輸送車も、決して燃費が良好な訳ではないが、一時間にそれ程の燃料(コスト)は消費しない。一時間移動しても、精々が数千円で済んでしまう。此処に居る全員の時給を加算して尚、足元にも届かない。それは出し渋る訳だと、皆が心の底から納得してしまった。

 

「勿論、緊急時にはこういった採算は度外視で動きますけれど、可能な限り出動は控えたいというのが本音でして……」

「そりゃそうだよね、もっと安いと思っていたけれど、ヘリコプターってそんなにお金掛かるんだ」

「私には一生縁のない話だなぁ」

「というか、私達って車両を保有する事すら出来ないよね?」

「表向きはね、ヘルメット団とか、スケバンとか、結構バイク乗り回してない? そこの所とか、どうなの?」

「んー、大体盗品とか、後は抗争相手から奪ったりとか? あ、でもウチはブラックマーケットとかの店で中古車を買って、ジャンクショップからパーツ取り寄せてニコイチ、とかだったよ、ウチのリーダーがその辺は結構ちゃんとしていてさ」

「こっちは結構、先輩のお下がりとかが多かったなぁ、後は傭兵の依頼何かを受けると、そのまま現物支給って事で貰える事もあるらしいし……まぁ、大抵車体はボロボロだけれど」

 

 問い掛けられたヘルメット団とスケバンの生徒が、それぞれ当時を思い返しながら答える。後半のスケバン生徒に至っては、どことなく哀愁が漂っていた。下ろしていた口元のバツマークが付いたマスクに触れ、彼女は目を細める。

 

「そう云えばさ、アヤネちゃん達ってどういう業務内容で私達の面倒を見ているの?」

「えっ?」

 

 不意に投げかけられた問い掛け。それに対しアヤネは疑問符を浮かべ、周囲の生徒達は、「何を今更」と云わんばかりに声を上げた。

 

「私はこっちが砂漠で遭難しないように、案内係っていうか、アドバイザーって聞いたけれど?」

「あれ、てっきりご飯とか、飲み水とか、そういうのを運んで来てくれる補給係かと」

「道具とか、車両とか、そういうのを貸し出してくれた所だって思っていた」

「あ、あはは……」

 

 それぞれ考えていた内容は、しかし実にバラバラであった。

 

「一応、どれも間違いではないですよ、探査地点となる場所の地形データや地質データの事前調査、安全なルートの確保、探査に必要な備品や車両の貸し出し、それと探査に赴く皆さんのお世話と云っては何ですが、こうやってご飯とか、休憩する為の物資を届けるのがアビドスの請け負ったお仕事の内容です」

「はー、成程ねぇ」

 

 つまり、今回の探査に於ける実行部隊の全面的なバックアップ、それが今回アビドスに依頼された内容と云う事である。

 因みに彼女達が使用している大型の輸送車も、アビドスが中古で車体を購入し、そこから改修を加えたものであったりする。殆どはアヤネの力によるものだが、一部にはミレニアムのマイスター達が格安で一枚噛んでいたり、なかったり。

 

「この探査機だっけ? コレも元々はアビドスのモノなんでしょう?」

「はい、昔希少な鉱物を探して砂漠を歩き回った名残なんだとか……後は遺跡の一つでも掘り出せたら、観光地として復興出来るんじゃないかって、色々な計画が昔はあったみたいです」

 

 アヤネは懐かしむ様に、指差されたテント内の探査機を一瞥する。特に磁気探査は、鉱物を発見する為にも用いられるが、借金返済の手段として新しい鉱物資源の発見に賭けていた時期もあった様だ。昔、アビドス砂漠には貴重な鉱石が眠っていたらしく、その文献を何処からから見つけて来たのか、前任のアビドス生徒会が用意したものらしい。此処に在る探査機は全て校舎裏の倉庫から発見していたものだった。

 勿論、そのままでは動かなかったので、きちんと整備・清掃した上で彼女達に貸し出している。

 

「まぁ、殆ど倉庫で埃を被った状態でしたけれど……」

「へぇ~」

 

 これらも折を見て売却してしまうつもりだった。壊れた状態の二束三文であっても、多少金銭になれば借金返済の足しになる。しかし、まさかこんな形で役立つとは。全く以て分からないものである。

 

「むぐ……と云うかさ、今更だけれどウチら、何でこんな砂漠で穴を掘ったり、調査なんかしているんだ?」

「……いや、それ本当に今更じゃない? もう一ヶ月以上ずっとこんな事しているじゃん」

「それはそうなんだけれど、ふと疑問に思って」

 

 米を噛み締めながら頭上を仰ぐ生徒は、「んー」と唸りながら思案に暮れる。

 かれこれこの作業に従事し、アビドス砂漠を車で走り回って一ヶ月以上が経過していた。勿論、大体は日帰りで仕事を終えられるし、休日だってある。しかし、仕事の大半が移動とのんびりとした探査で占められる為、時間間隔が少しだけ緩やかになっているのだ。ひょっとすると、実は二ヶ月経っているかもしれない。正直アビドスに来てからの生活は今までのソレと比較して穏やかで、戦闘もなく、文字通り時間を忘れていた。

 

「誰か理由とか知っている奴居る?」

「さぁ? 私は知らないよ」

「別に報酬が出るなら、どんな仕事内容だって構わないし」

「だよねぇ……気になるっちゃ、気になるけれどさ」

 

 問い掛けに対し、殆どの生徒は特に気に留めた様子も無かった。元々傭兵稼業や日雇いの軽作業、ブラックマーケットを通じた強盗やら民間警備で生きて来た生徒達である。元居た自治区もバラバラで、所属だって違う――しかし、近しい環境であったが為に共通している部分がある。

 仕事内容に対して何かを考えるだとか、深堀する事がどれだけ無駄で、また命知らずな事かを良く知っていたのだ。

 とは云っても、この仕事を依頼して、自分達を雇ったのはあのシャーレの先生である。興味が沸かないと云えば嘘になった。

 

「シャーレの先生が云うにはめっちゃ大事なモノが此処の砂漠に在るらしいじゃん?」

「えっ、そんな貴重な物が砂漠に埋まっているの?」

「すっごいお宝って事? 先生、売ってお金にするのかな」

「いやいや、先生の事だし、そんな金銭目的って感じじゃないんじゃない? というかそもそも、本当に砂漠にそんなお宝とか埋まっているモンなの?」

「あー、何か昔映画で見た様な気もするけれど、ほらトレジャーハンター的な奴」

「えー、アヤネちゃん達には悪いけれど、こんな砂漠にそんな価値あるものが有るとは思えないんだけれど」

「あ、あはは……」

 

 率直な物云いに、アヤネは思わず苦笑を漏らした。しかし、その云い分も分からない訳ではない。傍から聞く限り、それはまるで夢物語であるからだ。

 広大な砂漠に眠る秘宝、字面は美麗で引き込まれるが、実際に存在するかと問われれば懐疑的にならざるを得ない。それは大多数の生徒が認める所である。

 

「でもさぁ、先生が云うって事は、本当にあるんじゃない? 先生が何の根拠も無しに、こんな事するとも思えないし」

「そうそう、それにお宝が見つからなくても、ちゃんと報酬は毎日出るしさ!」

 

 今の所、先生の探している何かが見つかる様子はないが、それはそれとして給金は通常通り支払われる。彼女達からすれば、それだけで満足だった。可能なら見つかった方が先生は嬉しいだろうし、手を抜くつもりはないが、仕事が無くなるのも少し困る。

 そんな風に考える生徒達を他所に、テントの隅に腰掛けながら弁当を空にした一人の生徒が、ぽつりと呟いた。

 

「……シャーレの先生が欲しがるくらい、凄いお宝って事は」

「ん?」

 

 その生徒は薄らとした金髪に、ローツインテールの髪型だった。此処に来てからは空調服の下に薄手のパーカーを着込み、常にフードを被っている。最初に顔合わせした時は、確か――ガスマスクを着用していた。

 ヘルメット団でも、スケバンでもない、彼女曰く自身も不良生徒との事だが、彼女の纏う雰囲気は余りにも純朴で、世間知らずなきらいがあった。

 そんな生徒が、独り言の様にポツリと呟く。

 

「もしかして、それを盗んで売ったら、大勢の仲間を助けられるような、凄いお金になったり――」

 

 殆ど、意識せず漏れた言葉だった。

 もしそんなものがあるのなら、そんな貴重で凄いものが此処に眠っているのなら。それを手に入れて売り払えば、或いは小さな自治区を建て直せる位の金銭が手に入るかもしれないと。

 

「お前……」

「ッ――!?」

 

 その呟きに対し、返って来た反応。

 はっと顔を上げれば、テント内の生徒全員が自身を凝視している事に気付いた。その瞳に宿る色を見た時、彼女は冷汗を滲ませ、慌てて首を横に振る。膝に乗せていた空の弁当箱と箸が、軽い音を立てて砂の上に転がった。

 

「う、嘘! 冗談だよ……!」

「………」

「私だって流石に、仕事くれた上に、恩人の先生を裏切る真似はしない……!」

「――ハァ、全く、あんまり脅かすなよ」

 

 近場に居たスケバンの生徒が、乱雑に後頭部を掻きながら呟く。委縮する様に身を縮こまらせた発端の生徒は、「ご、ごめん」と呟きながら視線を手元に落とした。目に見えて意気消沈する彼女に対し、他の生徒は安堵の息を漏らす。どうやら本気ではないらしい、と。

 

「学籍の無くなった私達の出来る事なんて、高々知れているんだ、表通りじゃバイトも出来ない、傭兵なり何なりで日銭を稼ぐか、ブラックマーケットで違法行為に手を染めるか、経歴不問の怪しい作業に従事するか……まぁ、何処に行っても安く買い叩かれるのは同じだけれどな」

「それに比べてこっちは弾薬費用も掛からないし、体調悪くなっても治療費出してくれるし! 後こうやって食事もくれるしな! 一日の報酬だって、傭兵やるのと大して変わらないから、本当に助かるよ」

「傭兵の仕事って結構稼げるけれど、弾薬費とか治療費とか、銃器のメンテナンス代考えると結構ギリギリだからね」

「銃撃戦が長く続くと最悪赤字になっちゃうし、武器が壊れたらもう悲惨だしねぇ」

「警備の仕事とかも、何事も無ければ無いで安いし、何かあったらあったで弾薬費とかメンテナンス費用は勿論、『被害が出たのはお前達が頼りないせいだっ!』とか云われて、弁償させられたり」

「あー、そんな事あったなぁ……」

 

 語る生徒達の瞳は、どんどん色褪せていった。各地に存在するブラックマーケットやスラム街、そこで行われる事など似たり寄ったり。大抵報酬の良い仕事はカットされる前提で、そもそも武器の整備費用や弾薬費、治療費で赤字なんで事は日常茶飯事。何なら完璧に遂行しても何かしら難癖を付けられて報酬を削られるのが常だ。

 

 そんな彼女達からすれば、きちんと報酬が支払われて、弾薬費や整備費が発生せず、万が一体調を崩しても治療を受けられる環境で、きちんと三食食べられるというのは、正に理想の環境だった。

 此処に居る生徒は皆同じだ。故にスケバンの生徒は、気落ちしフードに隠れるようにして顔を覆った生徒、その肩を叩いて問いかける。

 

「なっ、お前もそうだったんだろう?」

「ぁ……う、うん」

 

 唐突に向けられた言葉に、肩を弾ませながら、彼女は曖昧に頷いた。

 その片腕はポケットに突っ込まれ、中にある腕章を握り締めていた。

 

 その腕章に描かれているのは――薔薇と髑髏。

 

 最早主は存在しない、そう理解して尚、苦痛の記憶と教えは消えない。縋る様に握り締められたそれは、自治区を共に逃げ出した彼女の(よすが)であり、唯一の居場所であると云い聞かせられた代物。

 自身の家族そのものだった。

 

「――ずっとお腹が減っていた、生きるのは苦しくて、辛くて、何かを失敗すると、凄く怒られた」

 

 俯き、ぼそぼそと呟かれた言葉には強い実感が籠っていた。

 それを聞いた他の生徒は、その内情を誤解し同調する様に頷きを返した。溜息交じりに上がる声。

 

「だよなぁ、大抵私達レベルの傭兵雇う奴なんて、碌な人物じゃねぇし、足元見られてばっかりだから、福利厚生(ふくりこーせー)何てクソだよ、クソ」

「というか、そもそも給料出ない事もあったし、全額カット」

「うわ、それ最悪」

 

 自分達に出来る事が限られるという事は分かっている、故に足元を見られるのは仕方ない。彼女達にとっては当たり前の事で、だからこそ真っ当に働ける環境というのは手放し難い。故に、それを齎した人物には感謝するし、恩を仇で返す様な真似はしたくなかった。先の反応は、彼女達の偽らざる本音であり、酷い環境で育った中でも育まれていた微かな善性、その証明でもあった。

 

「そう云えば、この辺りの店にも詳しくなったよな~、最初はこんな辺鄙な自治区でやっている店なんて、絶対大した事ないと思っていたのに」

「あのラーメン屋おいしいよな、ほら、何だっけ」

「あっ、柴関ラーメンですね!」

「そう、それだ!」

 

 行きつけの、うろ覚えの店名を思い出そうとして唸りを上げれば、アヤネが咄嗟に声を上げる。それを指差し、大きく頷いて見せる生徒達。

 

「明日の朝とか、また食べに行く? 安いし美味いし、正直毎日食べたい位」

「いや、それが今、此処に来てから体重がね、ちょっと」

「贅沢な悩みだなぁ~」

「そう云えば店で働いていた店員さん達元気かな、ほら赤毛の……」

「あの人達ヘルプらしいぜ? 忙しい時に大将が雇っているんだとか、普段は四人組で便利屋とか云うのやっているって」

「へぇ~、でも便利屋って具体的に何やるんだろう……?」

「ん――?」

 

 食事をしながら交わされる、取り留めのない会話。その中で開け放たれた車両背面ドア、その縁に座って端末を操作していた生徒の一人が声を上げた。

 彼女は既に食事を終え、ひとり黙々とデータ処理を行っていたのだが、どうやら何かが引っ掛かったらしい。直ぐ横で涼んでいた生徒が、弁当を片手に端末を覗き込みながら問いかける。

 

「おい、どうした?」

「あぁ、えっと、今ちょっとさ、一つ前の地点で記録したデータを解析していたんだけれど……」

 

 そう云って彼女は画面を差し出し、拡大した。

 端末を弄っていた生徒は眼鏡をしていて、少し野暮ったい印象を受ける。支給された空調服の下に薄手の白衣を着込んでいて、有体に云って変人であった。白衣の裾が空調服の下から伸び、若干砂に汚れている。

 画面には複数のグリッドに凹凸が生まれ、立体的なマップデータが表示されていた。それぞれ色付けがなされ、奇妙なグラデーションが視界を刺激する。

 

「これ、重力観測値と理論値の差から作った重力異常マップ、異常分布と大きさを解析して、磁気探査の既存データと統合して検証した結果出来たんだ」

「……ふぅん?」

「ほら見て、この場所、重力値が小さい、負の重力異常――つまり密度が低いんだ、でも塩層(ハロクライン)にしては明確な異常と云える程ではないし、カルストにしては随分と……うん、場合によっては再測定か、ボアホール探査とかの追加調査が必要かもしれないと思って」

「いや、全く分からない!」

 

 思わずと云った風に、隣り合う生徒が叫んだ。端末の画面を見せられても、知識のない彼女からすれば、「何かウネウネした地形だなぁ」とか、「極彩色が目に悪いなぁ」とか、その程度の感想しか生まれなかった。

 唐突に叫んだ生徒に対し、眼鏡を掛けた生徒は驚きに目を瞬かせる。何だ何だと、周囲の生徒達が此方に目を向けた。

 

「ってか何でお前傭兵稼業なんてやっているんだよ、何か違うじゃん! 普通にミレニアムとかで、えっと、良く分からないけれど、ほら、何か色々やってるタイプだろ、絶対!」

「研究とか、開発とか?」

「そう、それッ!」

「あー、でも確かに、前から銃火器に詳しかったよな、お前、車の簡単な整備とかも出来たし」

「私、それ関連で結構で助けてもらったなぁ、この前はありがとうね!」

「いや、まぁ私、元々ミレニア――……じゃなくて」

 

 次々と投げかけられる言葉に、思わず出身を答えようとして、慌てて口を塞ぎ、ずり落ちた眼鏡を押し上げる。

 

「つまり、さっき調査した場所の下に何か、大きな空間とか、遺跡があるかもって話!」

「――えっ!」

 

 その言葉に全員が思わず目を見開き、アヤネは驚愕の声を上げる。広大な砂漠の中で、淡々と探査を繰り返す毎日。それはそれで構わなかったが――どうやら何か、変化が訪れたらしい。

 端末を握り締め、立ち上がった生徒は皆を見渡し、それから真剣な面持ちで云った。

 

「この場所を、一度本格的に掘ってみても良いかもしれない」

 

 対策委員会に連絡しよう。

 投げかけられた言葉にアヤネは一瞬口を噤み――それから、重々しく頷いた。

 

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