・先生が血を噴くと生徒が助かる。
幕間の吐息、嵐の前の。
アビドス騒動からそれなりに時間が経過し、少しずつキヴォトスが日常を取り戻した頃。
シャーレのオフィス、その廊下を歩くひとつの影があった。
彼女は特徴的なそのヘイローを揺らしながら、計算機を片手に黙々と歩みを進める。その表情は心なしか緩く、口元が笑みを象っている。目的の扉の前に立つと彼女は徐に計算機を掲げ、液晶に映る自身の前髪を払い、襟元を正した。
「んんっ! ――先生、いらっしゃいますか?」
いつも通りの、『かんぺき~』な自分を確認したユウカは、そのままドアをノックする。
しかし、声が返って来る事はない。その事を半ば予想していた彼女は、そのままドアノブを捻って中へと踏み込んだ。
途端、鼻腔を擽る紅茶の香り、そしてどこか懐かしい先生の匂い。
見ればオフィスの片隅に設置されたソファーにタオルケットを被った先生の姿があり、その前のローテーブルには積み重なった書類の山があった。
「……凄い書類の山」
思わず呟き、そっと足音を殺して先生の傍に近付く。いつも着込んでいる制服を着崩し、だらしなく胸元を開けて寝息を立てる先生。良く見れば無精ひげが顔を出し、その衣服はヨレて皺が出来ていた。本人の寝顔は呑気なものだが、その目の下の隈は誤魔化せない。
「また徹夜したのね――」
思わず目線を鋭くし、ユウカは先生の頭元に立つ。そして顔を近付けると、軽く先生の首元を嗅いだ。途端、汗の混じった濃い先生の匂いが肺を満たす。
「……やっぱり!」
確定だ、ユウカは先生の肩を強く掴むと、そのまま声を張り上げた。
「先生ッ!」
「――ホワァ!」
その声に反応し、先生は慌てて飛び起きる。そして目を白黒させながら蹴飛ばしたタオルケットを抱き寄せ、慌てて弁明を口にした。
「わ、ワカモ!? アスナッ!? シ、シロコか!? もしかしてノノミ!? 或いはイズナ!? 違う、誤解なんだ、ただちょっと色々業務が残っていて仕方なく残業を……ッ!?」
捲し立て、周囲を忙しなく見渡す先生。そして漸く目の前に立つユウカと視線を合わせ、先生は露骨に安堵の息を吐いた。
「はぁー……何だ、良かったぁ、ユウカか」
「――何故、私だと良かった~になるのでしょうか? ご説明頂けますか?」
ぴしりと、ユウカの額に青筋が走った。
しかし先生は何ら悪びれる様子も見せず、寧ろへらりと笑って呟く。
「ユウカは右上の生徒だから」
「……どういう意味です?」
「土下座すれば大体何でもしてくれる生徒って事」
「どういう意味です?」
まるで意味が分からなかった。
そもそも右上とは一体何なのか。
しかし、先生の奇天烈な発言は今に始まった事ではない。溜息を零しつつ、ユウカはローテーブルに積まれた書類の山を指差し云った。
「というか先生、まだ退院して日が経っていないのに、また徹夜しましたね?」
「あはは、ごめんごめん、でもやっぱり入院中の業務も溜まっているし、カイザーとの一件で各方面に助力を頼んじゃったから、寧ろこの程度で済んでラッキーって位なんだよ」
先生はそんな事を宣いながらテーブルに散乱していた書類を纏め、ペンを片付ける。
「……何か見返りを求められたのですか?」
「いいや、全然、嬉しい事にどこも対価を支払え~! って云ってくる事は無かったな、でもだからこそ所属する学園に対する事件の説明責任と、事後処理、そして感謝の言葉は必要なのさ」
書類を綺麗にクリップで止め、ユウカを見上げる先生。彼は目元を数度指で拭い、大きく背伸びをすると静かに問いかけた。
「それでユウカは、シャーレに何か用事?」
「いえ、特にこれと云った用事はないのですが……まぁ、何というか、先生がまた倒れていないか様子を見に、セミナーでも先生の事は良く話題になりますから」
「その話題が良いものである事を願うよ、あ、何か飲む? 珈琲とか紅茶とかあるけれど」
「いえ、お構いなく……」
しかし、態々足を運んでくれた生徒に茶の一杯も出さないというのも据わりが悪い。先生は、「良いから、良いから」と口にしつつ立ち上がり、オフィスの壁沿いに設置された棚からカップを用意した。大抵、このシャーレに通う様な生徒には専用のマグカップが用意されている。勿論、ユウカのカップも存在していた。青と黒、そして白のラインが描かれたソレの下には小さく『ユウカ』の文字が躍っている。それを片手に、先生はポットに水がまだ残っている事を確認しながら、ティーバッグの封を開けた。
綺麗に並んだそれを見たユウカは、先生の肩越しに問い掛ける。
「この紅茶は先生が購入を?」
「あー……いや、C&Cの子達が勝手に置いて行ったんだ」
「……先程、飛び起きた時に口から出た生徒達に関係が?」
「黙秘って出来る?」
「合理的とは云えない判断です」
「はい」
先生は項垂れ、沸騰したポットからマグカップに湯を注ぎ、ティーバッグを垂らしながら口を開いた。
「まぁ、何というか、ほら、態々アビドス総合病院にもお見舞いに来てくれた生徒達が居たじゃないか」
「居ましたね、沢山、それこそ病室が埋まる位に……最終的には大部屋を先生一人で使っていましたよね、見舞いの生徒が入れないからって」
「誰かしら傍には常に居る状態だったからね」
「それって、夜もですか?」
「寝ずの番をやるって云って聞かない生徒が何人か……まぁ、大体日付が変わる頃には皆寝入っちゃうんだけれど」
「……それ、寝ずの番って云います?」
「気持ちだけは有難いんだよ、結果はどうあれ……ね」
筆頭は忍術部だ、恐らくワカモも居たのだろうが必ず傍に他の生徒が居た為、結局入院中に顔を合わせる事は無かった。苦笑を浮べながら、先生は出来立ての紅茶をユウカに差し出す。どこか胡乱な表情でそれを受け取るユウカは、香る紅茶の匂いに目を瞬かせる。
「あ……これ、アールグレイですか?」
「ん、ごめん、他のが良かったかな、珈琲淹れ直そうか?」
「いえ、紅茶も好きなので、大丈夫です」
匂いで分かる辺り、紅茶自体は飲み慣れているのだろう。彼女は湯気を立てる紅茶に小さく吐息を吹きかけ、そのままひと口。そして少しだけ驚いた様に目を開き、問いかけた。
「――美味しいですね、これ、ミルクも絶妙で……意外です、先生にこんな特技が」
「素材が良いのさ」
「いえ、前に自分で淹れた時はこんな風には……以前、どこかで練習を?」
そう口にしながら不思議そうに先生を見るユウカ。少なくとも、先生にその手の趣味がある様には思えない。先生は一瞬目を瞑り、それからそっと視線を反らした。視線の先には硝子越しに見える、憎たらしい程の蒼穹。
「――ちょっとだけね」
もう二度と訪れない時間の中で、賑やかなメイド服の彼女達と――一緒に。
「……兎角、話を戻すと、退院してからも何度かシャーレに足を運んでくれる生徒が居てね、私の体調が心配だからって」
「それが、起き抜けに名前が出た生徒ですか?」
「まぁ彼女達は普段からというか……まぁ、うん、大体そんな感じ」
「ふーん……」
二度、三度、紅茶に口をつけながら彼女は唸る。その瞳は未だ先生を疑っていたが、一応の納得は見せていた。先生はこれ以上は何も出て来ないと、自分用に入れたカップを掲げながら笑みを零す。
「まぁ信じますけれど、先生は――」
ピコン、と――ユウカの声を遮る様に、不意に電子音が鳴った。音の発生源は先生のタブレット。音に釣られるようにしてユウカが先生のタブレットに目を向ければ、そのディスプレイに『来客』の文字が表示されている。
「来客通知?」
思わず声を上げると、先生がローテーブルに置かれていたタブレットを拾い上げ、通知を開く。
「もしかして、今日は誰かに日直を?」
「いや、今日は特に誰にも頼んでいない筈だけれど――」
念の為スケジュールを確認するも、今日は特に日直が指定されていない。そうこうしている内に扉がノックされ、向こう側からくぐもった声が響いた。先生が何かを口にするより早く、勝手知ったるとばかりに扉が開き――。
「先生、居る? 少し話があるのだけれど――」
現れたのは、その矮躯に見合わぬ貫禄と羽を携えた少女。身の丈はある重機関銃を担ぎながら、器用に扉を潜って見せる。そして顔を上げた所で、先生の対面に座るユウカと視線がかち合った。二人の特徴的な瞳が交わり、互いが驚きの表情を浮かべる。
「ん?」
「え?」
数秒、時間が止まった。
そしてお互いの存在を認識した彼女達は。
「確か、ミレニアム・セミナーの……」
「貴女は、ゲヘナ風紀委員会の……」
ヒナの指がユウカを指す。
そして彼女は、どこか淡々とした口調で云った。
「――冷酷な算術使い」
「は?」
■
「まさかゲヘナの風紀委員長までシャーレに所属しているなんて……」
「先生には随分迷惑を掛けたし、ゲヘナ側としても、私個人としてもメリットのある話だった、ただそれだけ」
ソファに腰掛け、対面する二人。両名の手には先生の淹れた紅茶が握られており、ヒナはその香りを楽しみながらちびちびと口に運んでいた。普段はアコの淹れる珈琲を愛飲している為、紅茶は新鮮で――これはこれで悪くない、と内心で頷く。
そんな彼女の様子を見つめながら、ユウカは興味深そうに問い掛ける。
「……という事は、他の風紀委員会もシャーレに所属を?」
「今のところは私と、チナツという救護担当の子だけね」
「本当は皆所属してくれたら嬉しかったんだけれどね」
先生が苦笑を零しながらそう口にすれば、どこか胡乱な目をしたヒナがハッキリとした口調で告げた。
「――わんわんプレイを皆の前でするわ、生徒の足を舐めるわ、あれだけ好き放題すればそうなるのは当然だと思う」
「………」
――時が止まった。
そう先生が感じてしまう程に、冷たい波動が直ぐ横から放たれていた。
先生は握ったマグカップを震わせながら、必死に顔を逸らす。しかし、先生にとっての死神は低く、唸るような声で問いかけて来た。
「――先生?」
「違う、どうか話を聞いて欲しい」
「聞いた結果、私の結論は変わりますか?」
「……それでも、足掻く事を止めちゃいけないと先生は思うんだ」
諦めない事を、先生は貫いてきたのだ。
だからこそ、先生はどんな絶望的な場面でも決して膝を突かない。ユウカはローテーブルにそっとカップを置くと、一度その冷たい重圧を引っ込め、淡々とした口調で続けた。
「ならお聞きしましょう、事実のみを述べて下さい――わんわんプレイというのは?」
「生徒との交流の一環で、ごっこ遊びと云うか――」
「ウチのアコ行政官に首輪を付け、四足歩行させた状態でとても楽しそうに執務室をぐるぐると歩き回っていた、傍から見ると奴隷と飼い主って感じで、先生はその時素晴らしい笑顔だったわ」
「………」
声はなかった。
ただ隣から放たれる重圧と冷気が一気に増した気がした。先生の膝が震度四を突破しそうになっていた。しかし、真の大人は狼狽えない。なんたって先生は、先生なのだから……!
「……足を舐めた、というのは?」
「……頂いた紅茶が、その、傍に居た生徒に跳ねちゃって、咄嗟に――」
「先生に事故で傷を負わせてしまったウチの生徒に対して、『あの時の傷がッ、凄く痛むんだ……イオリの足を舐めたら治るかもしれない……ッ!』って叫んで、断られる度に大袈裟に傷が~、傷が~って叫んで、最終的に地面に這いつくばりながら『やだやだ! イオリの足舐めさせてくれなきゃやだ~!』って子どもみたいに駄々を捏ねて、結局生徒側が折れて先生は楽しそうに彼女の足を舐めていた」
「………」
先生は観念し、そっとローテーブルにマグカップを置いた。何かの事故で中身を撒き散らす事だけは回避しなければならないと思ったのだ。両腕をフリーにし、先生は固唾を飲む。今から何を口にしても、助かる未来が見えなかった。アロナの演算も経験もなしに未来を予知するとは、自分も中々捨てたものではないなと内心で思う。それは確定された未来だった。
「……何か弁明はありますか?」
「違う、私はやっていない」
「なら、彼女の言葉は嘘なのですか?」
「――ヒナが嘘を吐く筈がないだろう!? 良い加減にしろッ!?」
「じゃあ、先生はゲヘナ風紀委員会でわんわんプレイをやったし、足も舐めたんですね?」
「………はい」
先生はそこで、漸くユウカを真正面から見た。そこにはまごう事なき般若が居た。
文字通りの鬼だった。冷酷な算術使いというより、憤怒の剛拳使いだった。先生はそっと席を立つと、静かにユウカの前に立つ。両肩を圧し潰さんと放たれる重圧に耐えながら、先生はユウカの前で綺麗に膝を折り、恐る恐る問いかけた。
「――ユウカ」
「何でしょう、先生」
「土下座したら許してくれる?」
「……ははっ」
返答は、乾いた笑いと恐ろしいプレッシャーだった。
■
ところ変わってシャーレ、エレベーター内。
それなりに大きく、整備も清掃も行き届いた箱の中で、ヒナとユウカの二人は並び一階への到着を待っていた。体に圧し掛かる僅かな重力を感じながら、互いに頭上にて輝くランプの光にのみ注目している。
「………」
「………」
二人の間に会話はなかった、同じタイミングで席を立ち、オフィスを後にした後、シャーレから退館するに辺りこのエレベーターを利用するのは自然な流れだった。
不意に、沈黙を守っていたユウカが問いかける。
「……あんな駄目な大人の、何処が良いんですか?」
「……その言葉、そっくりそのまま返してあげる」
再び、沈黙が下りた。
そして、殆ど同時に溜息が漏れた。
それと同時にエレベーターが一階へと到着し、扉が開かれる。
「あっ」
「ん?」
その扉の向こう側に、予想していなかった人影があった。銀髪の少女とくすんだ金髪の少女――シロコとヒフミの両名。特に反応を見せたのは、シロコとヒナの二名だった。少なくない因縁のある二人は、互いの姿を認めた途端、その瞳を細める。
「……ゲヘナの」
「アビドス――」
暫くの間、無言で二人は見つめ合う。
そんなヒナとシロコを、疑問符を浮べながら見守っていたヒフミは、一向に動こうとしないヒナとユウカに向けておずおずと口を開いた。
「えっと、私達、その、先生に用事があるのですけれど……」
「――そうね、邪魔したわ」
彼女の言葉に、ヒナは足を動かす。ユウカも何やら異様な雰囲気に目を瞬かせたものの、ヒナに続く形で足を動かした。エレベーターを降り、脇を抜けて出入口へと進む彼女の背に向けて、シロコは声を上げる。
「待って」
「……何?」
シロコの呼びかけに足を止め、背中越しに振り返るヒナ。
シロコはそんな彼女に向けて小さく頭を下げると、確りとした声色で告げた。
「あの時は、助けてくれてありがとう、病院では会えなかったから、ずっと云いたかった」
「………別に、アビドスには借りがあった、それを返しただけ」
「ん、そっか――そっちの人も見覚えがある、その制服、ミレニアムの生徒だよね?」
「え? えぇ、そうだけれど……私は早瀬ユウカ」
「砂狼シロコ――ユウカも、あの時はありがとう」
シロコはユウカにも礼を告げ、静かに頭を下げる。
そんな彼女の姿にユウカは目を瞬かせながら、どこか面映ゆいとばかりに手を振った。
「別に、ほら、私は先生に頼まれたから来ただけだし……」
「それでも、私達は助かった」
あの状況、思惑はどうあれ、例えアビドスの為でなくとも、結果的に自分達を救ってくれた事には変わりない。シロコは深く感謝していた。それが伝ったからこそ、ユウカはどこか居心地が悪そうに肩を竦ませる。
「これからはシャーレ所属の仲間として、よろしく」
「……えぇ」
聞き届け、シャーレを去っていく二人。
その背中を見送りながら、シロコはただじっとその場に佇んでいた。同じようにユウカとヒナの後ろ姿を見つめながら、ヒフミは隣の友人に問い掛ける。
「えっと……お知り合いですか?」
「ん、ゲヘナ風紀委員会の委員長」
「ゲヘナ風紀委員会って――え、えぇ!? 今の方、ヒナ委員長ですかッ!?」
キヴォトスの生徒ならば大抵名前を知っている、そのビッグネームの登場にヒフミは驚愕の声を上げる。
それを背中に、シャーレを退館したヒナとユウカもまた言葉を交わしていた。
「……知り合いだったのね」
「えぇ、アビドス高等学校とは色々あったから」
「あの子が――」
アビドスという単語に反応し、ユウカは背中越しに扉の向こう側に立つシロコを見つめる。透明な硝子扉越しに見える銀髪、あの事件の際に遠目で確認する事はあった。先生が負傷し搬送された時は何やかんやで言葉を交わす暇もなく、先生が入院中も同上。
改めて認識したアビドスという存在に、ユウカはその名を舌の上で転がした。
「先生が身を挺してまで守った学校――アビドス」
■
「ん、先生、いる?」
「お、お邪魔しまーす……」
「――あぁ、いらっしゃい」
「あ、先生――ど、どうしたんですか、そのほっぺ!?」
「先生、頬が真っ赤だよ」
「あはは……その、なんだ、ちょっと、家庭内暴力にあってね?」
「家庭内……」
「暴力……?」
■
時刻は夜、皆が帰った後のシャーレ。
業務が粗方片付き、漸く一息吐いた先生はシャワーを浴び、汚れと疲労を抜き取りながら閉館したシャーレ廊下を一人歩いていた。夜の締め切ったシャーレは酷く静かで、生徒達の喧騒と光の消えた白い室内は、何とも妙な不安感を煽る。
「ふぅ――……」
濡れたタオルを首に掛け、生乾きの髪を掻き乱し、エレベーターで向かう事の出来ないシャーレ最下層――クラフトチェンバーエリアへと立ち入る先生。クラフトチェンバーはシャーレの誇る最高機密の一つに分類される為、道中には幾つものセキュリティチェックが存在する。シャーレの電源が落ちている場合は無力だが、一度アロナの手が加われば無類の堅牢さを誇る。
階段を降り、ひんやりとした空気の流れる地下空間へと踏み込めば、薄暗い照明と、クラフトチェンバーの放つ青白い光に満たされた部屋が先生を出迎える。
その光を見渡しながら、小脇に抱えたタブレットに向かって先生は呟いた。
「――アロナ、クラフトチェンバーを」
『はい、先生』
答えは明瞭だった。その声に呼応するかの如く、閃光と風圧が先生の頬を撫でる。クラフトチェンバーの前に現れたのは、箱詰めされた複数のシート――保護膜。
シャワーを終えたばかりの先生の体は保護膜を既に剥がしており、シャーレを閉館扱いとしたのもこの為だった。保護膜を全て取り払った先生は肌をタオルで丁寧に拭いながら、保護膜を一枚摘み、フィルムを剥がす。摘まめるそれは薄く、触れても殆ど違和を与えない。人間の皮膚そのものだった。
『保護膜の生成は今回で二十枚、これで全部です』
「……毎度面倒なものだね」
呟き、服を脱ぎ捨てる。薄手のシャツの下から顔を覗かせる大量の傷痕。それを見下ろしながら、先生は思わず吐き捨てた。
「我ながら、失った手足は元に戻るのに、傷は刻まれたままというのが何とも――私らしい」
『先生……』
「肉体は魂の器……どれだけ綺麗に見えても、魂そのものが変質していれば肉体にも影響を及ぼす――正しく、彼女と同じだ」
先生が脳裏に描くのは、自身を追い、世界を薪とした銀の少女。
指先で古傷をなぞる。それは、憶えているものもあれば、憶えていないものもある。それは先生が忘れているとか、そういう事ではない。文字通り――先生の記憶に存在しない傷跡だった。
しかし、記憶はなくとも、魂は憶えている。
正確に云えば今の先生が記憶せず、『体験した時間』――それを魂は記録し、再現していた。だからこそ、先生の体には夥しい傷が刻まれているのだ。これは一度、二度繰り返した程度で刻まれる量ではない。文字通り気が遠くなる程の、先生の『記憶にない記録』そのものだった。
先生の知らない生徒達の記憶――それを憶えていない事が、本人にとってはどうしようもなくもどかしく思う。
「……私の立つ場所を忘れるなという戒めなのか、或いは意図せず生まれる物なのか、どちらにせよ、見られたものではないね」
呟き、目を伏せる。
傷は、失敗の証でもあった。この傷の数だけ、恐らく自分は生徒に涙を流させ、悲しませ、失敗して来た。失敗から目を逸らしたい訳じゃない、ただそれをまざまざと見せつけられた時、その時に浮かべたであろう生徒達の表情と感情を察し、胸を掻き毟りたくなる衝動に駆られるのだ。
自分は未熟だ――どうしようもない程に。
「………」
先生は保護膜を腕に貼り付けながら、新たに増えた傷跡に触れた。肩、腕、足――ベアトリーチェに穿たれた傷跡は、抉れるような形で銃創を残していた。弾頭が無かったのが幸いだった、神秘を凝縮したソレは、先生の体内で神秘が溶け落ち、弾丸摘出の手間を省いてくれていた。
特に肩の傷は、もう数センチずれていたら肩が上がらなくなるかもしれなかったと聞き、驚いたものだ。しかし、ある意味その程度で済むのならば安い方だろう。手足は動く、目も耳も使える、臓器を喪った訳でも、四肢を捥がれた訳でもない。この程度、先生にとっては呆れるほどに軽傷だった。
「ん……」
剥がしたフィルムをデスクに放り、ベアトリーチェに撃ち抜かれた銃創を保護膜で覆いながら気泡が生まれない様に指先で丁寧に表面を整える。続けて両足に保護膜を貼り付け、最近は何があるか分からないし、一応全身に保護膜を貼っておこうと次のフィルムを剥がしたところで、ふと背中側に貼る為の手順を思い出した。
「っと、背中は……」
「そこは
真後ろから声が響いた。
予想だにしなかった声に思わず先生の肩が跳ね、慌てて振り向く。
そこには見慣れた狐面を被った和服姿の少女が悪びれもせず立っていた。
「……ワカモ?」
「――えぇ、あなた様のワカモです」
「おじさんも居るよ~」
「ホシノまで……!」
ワカモの直ぐ傍には、いつも通りぐでっとした様子のホシノも。ひらひらと手を振って見せる彼女の存在に驚きながら、先生は思わず目を瞬かせる。シャーレは既に閉館していた、一応生徒達に何かがあった時の緊急時用出入り口もあるにはあるが、まさかクラフトチェンバーが保管されているこの部屋までやって来るとは思わなかったのだ。
「うへ、オフィスに居なかったからさ、あちこち探したよ」
「あなた様の行動パターンは把握しておりますので、私は直行出来ましたが」
「おじさんはその後を付いて来たのさ~」
「いや、一応今は閉館している筈なのだけれど……」
「細かい事は気にしな~い」
そう云ってホシノは先生の傍に駆け寄り、手に持っていた保護膜を取り上げる。あっ、と先生が声を上げるより早く、彼女はフィルムを剥がして先生の背中に回り込んだ。
「これ、背中に貼れば良いの?」
「あー……うん、まぁ……そう、なのだけれど」
「りょ~かい、じゃあ右半分はおじさん担当で」
「ふぅ……仕方ありませんね、左半分で妥協致しましょう」
「ワカモ、いつの間に……」
先生の脇には、既に保護膜を両手に備えたワカモが堂々と立っていた。背中側はひとりで貼り付けるのが大変で、時間も掛かる為、先生はそれ以上何を云う訳でもなく二人に身を預ける。妙な感じだった、生徒に保護膜を貼って貰うというのは。ただでさえ、今まで隠し続けていた古傷を晒すという行為なのだから。
「……ところでホシノ、どうしてシャーレに?」
「んー? お昼頃、ヒフミちゃんとシロコちゃんがシャーレに来ていたでしょ?」
「あぁ、うん、来ていたね」
背中の古傷に保護膜を貼り付け、四隅を指先でなぞりながら告げるホシノ。二人の指先が肌を摩る感覚がどうもこそばゆく、小さく身を捩る。するとホシノが肩を叩き、「こら、動かない先生」と軽く腕を掴んだ。
「うんと、それで今アビドス全員こっちに来ていてさ、トリニティとか、ゲヘナとか、対策委員会の皆で他所の自治区を色々見て回っていたんだよ、もう無理にバイトを組む必要もないし、社会勉強も兼ねてね、余裕のある内にって事で」
「成程、小旅行か、良いね」
「うへ、そんなとこ~、それで今日は自由行動の日って決めていたから、おじさんは単純に先生の顔を見に来ただけ、序に夜になっても仕事が終わっていなかったら、隣で応援してあげようかと思って」
「……手伝ってはくれないんだね」
「おじさんに書類仕事は向いてないよぉ~」
そんな間延びした声を漏らすホシノに、先生は笑みを零す。確かに、彼女が机に齧りついて何かをするイメージは湧かない。寧ろソファ辺りに寝転がって、欠伸を噛み殺しながらダラダラとペンを動かしていそうだ。
「ワカモは何で――って、聞くまでもないか」
「えぇ、ご理解頂いている様で嬉しい限りです♡」
先生の左側で、何処かぎこちなく保護膜を貼り付けるワカモ。彼女の事だから、いつどこで、自分を観察及び尾行していても驚かない。寝言で「わかも」と呟いただけで、天井裏から出現するような彼女だ。考えるだけ無駄――というか諦めの境地であった。
「まぁ、二人にはもう知られているし……不幸中の幸いかな」
自身の保護膜に覆われた腕を眺め、先生は声を漏らす。
これが他の生徒だったら、誤魔化すのにも随分苦労しただろう。
不意に、先生の背中にちくりとした鈍い痛みが走った。先生が振り向くと、神妙な顔をしたホシノの顔が視界に映る。彼女の手元は見えないが、何やら古傷の一つに指を這わせているという事だけは分かった。
「ねぇ、先生、この胸元の傷――」
「ん? あー……」
ホシノが指差した傷は、丁度左側の背中上部――貫通痕で、弾道が正しければ心臓を通っていた。先生は頭の中で言葉を選びつつ、横合いのワカモを見る。仮面で表情は見えなかったものの、どこか真剣な雰囲気を纏う彼女は、重々しく頷いて見せた。
「――あなた様の事なら、私は全て」
「……全く、駄目な先生だね、私は」
結局、漏れ出た言葉はそんなもの。ワカモは凡そ自身の境遇を理解しているのだろう。なにせ彼女は、ベアトリーチェとの戦闘に参加していたのだから。頭の良い彼女の事だ、推測は容易な筈だった。
先生は小さく髪を払い、額を撫でながら息を吐く。指先に感じる凹凸を擦り、静かに口を開いた。
「――記憶にある限り、私の、最後の死因となった傷だよ、これは」
「……………」
弾頭は、左胸の心臓を穿ち、肋骨と弾頭に挟まれた心臓はそのまま圧壊。心臓を潰した弾丸はそのまま骨を砕き背中側へと貫通。正に即死、痛みを感じる暇すらなかった事だけは確かだ。そして、正確に云えば『最後の死因』というのは語弊がある。
正しくは――『最後の死因の一つ』だ。
先生の持つ、アレフへと到達する記憶は三つ。原初の記憶に連なる枝は、既に失われて久しい。
先生の声に耳を傾けていた二人は、何か言葉を紡ぐ事なく沈黙を守った。こうしてまざまざと古傷を見せられると、それが嘘でも何でもないという事が分かる。少なくともこの、刻まれた呪いとも云える傷の数々は、先生の歩んで来た歴史そのものだった。
その道のりがどれ程の悲しみに満ちていたか――二人には想像する事しか出来ない。そして先生はその、背負い込んだ罪悪や悲しみを、誰かに分け、預ける事を良しとしない大人だった。
だからこそ、ワカモとホシノは決意する。
「――ねぇ、先生」
「ん……?」
「もし……もしもさ、この先、先生が死んじゃったら――」
先生の肩口に顔を寄せたホシノは、その指先に僅かな力を込めながら、そっと呟く様な声量で云った。
「私も、自分のヘイローを壊すから」
「―――は」
思わず、硬い声が漏れた。
それは、完全に先生の意表を突いた奇襲だった。先生がホシノの方を振り返ろうとするも、回された腕が先生の首元を固定し、彼女の顔は伺えない。ただ、僅かな衣擦れの音と、彼女達の吐息の音だけが聞こえていた。ホシノの腕と、ワカモの腕が先生を捉える。まるで獣のように、その力は強く、ビクともしなかった。
「……そっちだって、その気でしょ?」
「……そうですね、概ねは」
ホシノに水を向けられたワカモは、同じように先生の傍へと寄り添ったまま肯定の言葉を返す。その事実に、先生の心臓が早鐘を打った。それは照れや歓喜等という正の感情ではない――正しく、焦燥や動揺と云った負の感情だった。
ヘイローを、壊す。
それはこのキヴォトスに於いて『死』を意味する。正しく彼女の言葉は、自身が死亡した場合は後追いをするという宣言そのもので、そんな事を認められる筈もない。血が、凍る様だった。恐怖と困惑だけが、胸中に渦巻いていた。
「あなた様のいらっしゃらない世界に、価値など在りませんもの」
「っ……待ってくれ、それは――!」
「うへ、云いたい事は分かるよ先生、でも私達の云い分も聞いて欲しいなぁ」
先生の声を遮り、ホシノとワカモは先生の肩へと伸ばした腕を外す。ゆっくりと、緩慢な動作で振り向けば、いつも通りの笑みを浮べたホシノと、狐面を半分ズラしたワカモの顔が見えた。二人の視線は真っ直ぐ先生を射貫き、その表情は穏やかですらある。酷く透明で、落ち着いた様子の二人に、焦燥感ばかり募る己が酷く間抜けに思えた。
そんな先生に微笑みながら、ホシノは云う。
「――多分、私は、先生が死んだ後に生き残っても、あの黒いシロコちゃんと同じ道を辿るよ」
「ッ……!」
その言葉の衝撃は、先生の胸を貫いて余りある。
それは先生の飾らぬ、どこまでも深く歪んだ表情が物語っていた。そんな顔をさせてしまった、その事実を真正面から受け止めながら、ホシノは言葉を続ける。先生の脳裏に、自身へ銃口を向ける銀狼の姿が浮かんだ。
「先生を生き返らせるために、或いはもう一度会う為に、アビドス以外の全部犠牲にしても、その時の私は多分、許容できちゃうんじゃないかなぁ……」
「私は、世界全てを犠牲にしても構いません――それであなた様を取り戻せるのなら、喜んでこの身も、世界も捧げましょう」
二人の言葉に、先生は言葉を失くす。
正しく、何を云えば良いのか分からなかった。そんな未来は想像もしたくない。その感情を良く理解しているからだろう。ホシノはどこかお道化た様に、肩を竦めて云った。
「……ね? こんな考え、先生は受け入れられないでしょ?」
「――そう、だね」
声を絞り出す。当然だ、受け入れられる筈がなかった。
あんな、罪悪を背負う生徒を増やす結末など、先生は到底受け入れられる筈がない。俯き、目を閉じる先生に手が伸びる。ホシノと、ワカモの手だ。細く小さな両の手は先生の頬を優しく包み、その双眸が二人の顔を真正面から射貫いた。
見上げた彼女の顔は、何処までも優しげだった。
「だから、『終わらせる』んだ――そんな世界が生まれない様に、そんな選択肢が取れない様に……そういう意味で、ワカモちゃんとおじさんは同じなんだよ」
「ふぅ……私、もう十八歳ですので、ワカモで結構ですよ」
「うへ、同じ三年生だったか、こりゃ失礼」
破顔し、頬を掻くホシノ。泰然としたまま、ただ真っ直ぐ先生を見つめるワカモ。
そんな二人を見上げながら、先生は深く息を吐き出した。
何を云っても――変わるまい。
その意思だけ、その覚悟だけは確かに云える事だった。
本当ならば咎めるべきだ、何をしてでも改心させるべきだ。けれど彼女達の瞳を正面から、真っ直ぐ見つめた時。先生は本当に、何も云えなくなった。彼女達の瞳が、死に往く自分を抱えた、彼女達の瞳に余りにも似ていたから。その意思の強固さを、先生は良く――身を以て知っていた。
「――なら……精々死なない様に、足掻かないとね」
「うん、お願い」
あらゆる感情を孕んだ呟きは、思いの外部屋に響いた。
再び背を向け、丸まった背中に手を当てたホシノは云う。
「ねぇ、先生」
「うん」
「――これは呪いだよ」
先生の中に、微かな痛みが走る。
ほんの僅かに、痕が残る様な。数滴血が流れる様な傷。傷は、直ぐに保護膜に覆われ、見えなくなる。けれど一度保護膜を剥がせば、明確な傷跡として先生に刻まれるだろう。
耳元に口を寄せ、呟くホシノの手は、悲しい程に暖かかった。
「おじさんから先生へと渡す、私が、生まれて初めて自分自身で決めた――消えない呪いだから」
「……あぁ」
霞む様な、小さな頷き。
先生は自身の両手をぐっと握り締め、告げる。
「忘れないよ、ずっと」
次回、エデン条約編。
その内、ゲヘナ風紀委員の執務室でアコと散歩したり、イオリの前で駄々こねる話を書くかも。
先日はクリスマスでしたわ~~! 先生の生誕祭ですわ~~! おめでとうございますわ~~~! まぁだからと云って何がある訳でもないし、何が変わる訳でもないし、私はひとりで黙々とPCと向き合いこんな小説を書いている訳ですが空からサンタさんがやって来て私に五千兆円プレゼントしてくれる事を願ってやまないですわ。あ、ガチャ石でも結構ですことよヨースターさん!
まるで、この人は私のものだと主張するかのように傷つける展開すこ。本当に大事な存在なら傷つける事なんて言語道断の筈なのに、信頼や好意、執着が振り切れると、「目に見える形」で大切なものに自分を刻みたくなる。それが相手の負担になったり、単なる自分の欲を満たす為だけの我儘な独占欲の発露だと理解していても、それを笑顔で受け入れる先生を見て性癖捻じ曲げて欲しい。先生は何でも受け入れるよ、生徒全肯定マシーンだからね。だから安心してずぶずぶに沈んでいってくれ生徒のみんなッ!
エデン条約編の前に、爽やかで明るい日常アニメばりの一コマを見て頂いて、透き通るような読了感を得て貰いたくて……。
大丈夫でしてよ、これは紛れもなく透き通るような世界観で送る学園×青春×RPGのブルーアーカイブですもの。ただちょっと私の趣味趣向で生徒が先生に向ける愛が重くてドロドロしていて、また先生も生徒に向ける愛と信頼が万里の長城位重くてデカイだけですので。
んほ~、生徒の為に命を投げ捨てることなくクッソ無様に足掻いて血塗れになって生徒の前で這い蹲って下さいませ先生ぇ~~!
本当はね、エデン条約前に夏イベのアビドスで海へレッツゴー! を書こうかとも思ったんだ。でも、アビドス編終わったばかりなのに、「そんなに早くヘリ買えるお金溜まる?」、「そもそも季節的にどうなん?」、「それやったらまた二十万字くらい必要になるんじゃありません?」と思い立ち、踏みとどまりました。わたくしはかしこいのです。因みにこの少し後に先生とアビドスはバカンスに赴いて、古傷を隠す為にパーカーで上半身をこそこそ隠す先生が見られたとかなかったとか。一応防水性だけれど何かの拍子に剥がれたら生徒が悲しんじゃうもんね、仕方ないね。
先生の懐からぽろっと一枚の写真が落ちて、見知らぬ女性が映っていたそれに、「先生、この方はどなたですか?」って聞いたら、「あ、私の奥さんだよ」って云われた時の生徒の表情を見てみたい。
もしくは記憶喪失になった先生に、「私と先生はお付き合いをしていたんです」って最初に云った生徒が居て、記憶が無くなっても生徒の事を信じる先生はその言葉を鵜呑みにして、いちゃ♡らぶする生徒と先生の姿に、他の生徒も、「わ、私も先生と付き合っていたんですよ!?」って続いて、私も私もとなった挙句、もしかして記憶をなくす前の自分はとんでもない屑だったのかと邪推して首吊って死んで欲しい。
或いは本当に複数の生徒と関係を持っていた先生が記憶喪失になって、「私は先生の彼女でした」って生徒が何人も出てきて、先生は戸惑うし、他の生徒は、「先生が記憶を失くした事を良い事にデタラメを云っている、私こそが先生の本当の彼女」って確信していてドロドロの修羅場になっているところとか見てみたい。私の先生がそんな事するわけないだろう!? 良い加減にしろッ!? でも先生の為に争う生徒を見ていると、「あ~、先生愛されているねぇ~」ってちょっと心が温かくなる、しかし生徒が傷ついてしまうのでそのやり方は推奨出来ない。やはり先生の手足を捥ぐのが一番心痛くないし、実用的で効果が抜群なんだ。私は詳しいんだ。
エデン条約編は補習授業部が稼働する辺りまではストーリープロット書きましたわ。皆さんもそうだと思いますが十二月はクッソ忙しいですわ、地球さんちょっと爆発してみません事? アツコに「冗談じゃないから、困っても良いよ?」って云われてぇ~!
大丈夫です、安心して下さいまし、私は例えどれだけ困難であろうとも、一歩ずつだろうとも前進してみせますわ。その道がどれだけ険しくとも、エデン条約編にどれだけの文字数が必要なのか分からなくても――諦めなければ、夢は叶うのですから!
この苦難の先に、手足を喪って血塗れの先生が無様に藻掻く最高に素晴らしく、幸せな未来が待っているというだけで、私はどれだけでも頑張れる気がするのです!
待っていて下さい先生! 今、書きにゆきます!
――………書けば出る! 書けば出る! 書けば出る! 書けば出る!
出る筈なんだ、出なきゃおかしい、和服! 着物! 晴れ着ッ! ゲヘナッ! 美食研究会ッ! ブルアカを始めて初めての年越し……ッ! 回せ回せ回せッ! うわあああぁアアアアアア最低保証ぉおおッォオオッ! 何度、このッ、青を私に見せつければ気が済むんだァッ!? この後アニバも待機しとるんだぞ畜生ァ! ああアアァァァア! 石、石がとけりゅうう! 着物ハルナ、晴れ着ハルナ、和服ハルナぁアアアアッ! どヴぉじでごんないじわるずるのぉおおオオッ! ガチャ石さん生えて来てね! 直ぐで良いよッ! 石さんは生えてきませんでしたァ!(憤怒)
アビドス編完結が十二月四日で、今日が十二月二十九日。まだ一ヶ月は経過していませんが、目に見えてガチャ結果が渋くなりました。私がアビドス編で積み重ねたブルアカへの功徳は、既に使い果たしたのですか?
やっぱり神様なんていなかったね。
うるせぇ! もう一回積み上げるんだよぉ! うぅ……頑張って先生血塗れにするとこみてて……。