ブルーアーカイブを、もう一度。   作:トクサン

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誤字脱字報告に感謝ですわ~!


これが今の私達

 

 新たに創設された補習授業部――その初集合時の空気は、宛ら地獄のような雰囲気から始まった。

 場所は割り振られた補習授業部、教室。集ったメンバーはそれぞれ指定された机に座り、互いの顔を見合わせている。

 どこか引き攣った笑みを浮べ、ペロロ様バッグを抱きしめるヒフミ。

 何が楽しいのか周囲を見渡し、満面の笑みを浮べているハナコ。

 相変わらずガスマスクを被り、「シュコー」と呼吸音を漏らすアズサ。

 顔面蒼白で絶望に満ちた表情を浮かべるコハル。

 イカれたメンバーを紹介するぜ! とばかりに個性を押し出した面々だが、それでも尚教卓に立つ先生の表情は笑顔であった。

 

「……は、はい、これで何とかみんな集まりましたね、補習授業部……」

「うん、そうだね」

 

 ヒフミの震えた声に、先生は懐かしい顔ぶれを見渡しながら頷く。

 傍から見れば酷い雰囲気だろうが、先生にとってはそうではない。何せ、彼女達がどのような絆を育むのか、先生は知っているのだ。心配など、ひとつもなかった。

 ハナコは一人一人の顔をじっと見つめながら笑顔を振りまくと、不意に声を上げた。

 

「ふふ、それで何をすれば良いのでしょうか? 阿慈谷部長? 先生? 放課後に人気のない教室で、素行の悪い女子高生と大人が集まって……ふふっ、始まってしまいそうですね」

「始まる……? まぁ、何だって構わない、因みに私は本気を出せばこの教室で一ヶ月は立てこもれる」

「死にたい……本当に死にたい……」

「え、えっと……」

 

 相変わらず意味深な発言を行うハナコ、流石は校内を水着で徘徊する生徒だと内心で感心する。彼女の言葉の意図が分からず、脳筋思考に走るアズサ。意気消沈し、ただ只管に己の境遇を呪うコハル。どんどんと混沌としていく教室内に、ヒフミは縋る様な視線で先生を見る。

 

「先生、その……よろしくお願いします」

「うん、任せて」

「ありがとうございます、私も、その、出来るだけ頑張りますので……」

 

 呟き、一度深く息を吐いたヒフミは自身の精神に喝を入れ、そっと立ち上がる。一先ず、最初は自分が仕切らねば示しがつかない。これでも一応、不本意とは云えティーパーティーから補習授業部の部長を任された身だ。最低限の責務は果たさねばと、人並みの責任感を持つ彼女は意気込んだ。

 立ち上がった彼女に視線が集まり、やや怖気づきながらも、ヒフミは皆の顔を見渡しながら口を開く。

 

「ひ、一先ず初対面の方が殆どだと思いますし、一旦自己紹介をしませんか?」

「む、自分から素性を明かすのか?」

「いや、だって一応同じ補習授業部のメンバーですし……」

「――それもそうか」

 

 アズサが、「それは盲点だった」とばかりに頷き、ずっと被っていたそのガスマスクに手を掛ける。そして留め具を外し、前髪を軽く払った彼女は皆の前に、そのあどけなさを残しつつも、どこか鋭い色を孕む顔立ちを晒した。

 

「――私は白洲アズサ、二年だ、宜しく頼む」

 

 彼女の簡素な自己紹介に、ハナコは嬉々として、コハルは渋々と云った様子で応じた。

 

「私は浦和ハナコです、二年生です、よろしくお願いしますね」

「……下江コハル、一年」

「えっと、阿慈谷ヒフミです、一応この部活の部長……って事になっています」

「どうも、先生です、よろしくね」

 

 先生がトリとして最後に笑顔でそう告げると、アズサがどこか不思議そうな表情で問いかけて来る。

 

「先生……というのは、つまりこの部活の顧問という事だろうか?」

「うん、そうだね、顧問兼担任って立ち位置かな」

「……そもそも、この補習授業部って何なのよ」

 

 コハルは、忌々しそうに周囲の面子を睨みつけながら、絞り出すような声で云った。正義実現委員会という立場上、彼女はトリニティに於ける凡その部活動を把握している。流石に全てを全て――となると少々怪しいが、そんな彼女をして『補習授業部』なんて部活動は、一度も耳にした事がなかった。

 

「ティーパーティーからシャーレに依頼があったんだ、此処は成績の振るわない生徒の落第を回避する為に、例外的に設けられた部活だよ、凄く簡単に云うと、放課後に補習授業をするクラスって感じかな?」

「あら」

「うぅ……」

「ほう」

 

 先生の説明に対し、浮かべた表情は十人十色。

 ハナコは相変わらず楽しそうに、コハルは悔しそうに、アズサは表情の変化が余りになく、ただどこか納得した様な声を漏らした。一応、自分達の成績が良くない自覚はあるのだろう、反発の声は上がらない。

 

「え、えっと、一応私も事前に説明を受けていまして、何か分からない点とか気になる点がありましたら――」

「大丈夫、大方は理解した、これからは普通の授業に加えて、毎日放課後に特殊訓練があるってだけだ」

「え、えっと、訓練と云って良いのかは分かりませんが、凡そはその通りです、私達が目指すのはこれから行われる特別学力試験で、『全員が合格』する事ですので……! 先生も手伝ってくれますし、皆で頑張って落第を免れましょう!」

 

 ヒフミはそう云って拳を握り締める。特別学力試験、個別ではなく『全員合格』という点が少し引っ掛かるものの、そもそも補習授業部という部活自体が特殊な成り立ちなので、自分だけの尺度では測れない。頑張れば、きっと皆で乗り越えられる筈。そんな希望を胸に、ヒフミは言葉を続ける。

 

「特別学力試験は第三次まで、つまり三回あるようですが……その内一度でも全員同時に合格すれば、それで補習授業も終了、皆さんは晴れて落第回避、との事です!」

「うん、成程、理解した、三回のミッションの内、一度でも良いから全員で成功を収める、そのために、ここに毎日集って訓練を重ねる……それ程難しい任務じゃない」

 

 アズサは言葉を一つ一つ自分なりに解釈し、頷いて見せる。試験難度がどの程度かは分からないが、不可能な事ではないと判断していた。その為の準備期間も、環境も与えられているのだから。

 

「この集まりはつまり、各自のリタイアを防ぐための措置……私としては特にサボタージュする気も理由もない」

「そ、そうですよね、頑張りましょう! えっと、アズサちゃんは転校してからあまり時間が経っていないんですよね? きっと以前の試験は学園に慣れていなかったせいもあるでしょうし、皆で頑張ればすぐに何とかなると思います!」

「あら、白洲さんはこちらに転校されて来たのですか? トリニティに転校とは、また珍しいですね」

 

 ハナコが不思議そうに問いかければ、微かに眉を顰めたアズサは沈黙を返す。その表情に、まさか拙い事を口走ってしまったのかと、ヒフミは恐る恐る問うた。

 

「あ、その、書類上はそう書いてあって……もしかして私、余計な事を……?」

「いや……別に隠す事でもないから気にしないで良い、それに事実だ、こう云われるのは慣れるべきだし、そのための努力もする」

 

 その、真っ直ぐ過ぎるとも云える姿勢にハナコは目を瞬かせ、それから柔らかな笑みを零すと、ひとつ頷いた。

 

「成程……それでは私も、アズサちゃんって呼んでも良いですか?」

「? 別に良いけれど……呼び方に、拘りはないし」

「では、アズサちゃん、ヒフミちゃん、それからコハルちゃん、それに先生――うふふ、何だか良い響きですね、私達はこれから補習授業部の仲間という事で! アズサちゃんは一見冷たそうに見えますが、何だか可愛らしいですし……ふふっ」

「………?」

 

 ハナコの言葉に、アズサは意図が理解出来ないと首を傾げるばかり。そんな二人のやり取りを、どこか怨念すら籠った視線で見つめる生徒が一人いた。ハナコはそんな彼女に視線を向け、小首を傾げる。

 

「あら、そんな憎悪に満ちた目で、どうしたんですかコハルちゃん?」

「云っておくけど、私は認めないから……!」

 

 椅子を蹴り飛ばす勢いで立ち上がった彼女、コハルはそんな言葉を叫ぶ。

 その勢いと迫力に目を白黒させたヒフミ、そしてどこか微笑まし気なハナコ。そんな二人と、次いで何の反応も見せないアズサに、コハルは憎悪に満ちた視線を向けた。

 

「えっと……?」

「あら、何の事ですか?」

「わ、私は正義実現委員会のエリートだし! 私の方が年下だからって、あんた達を先輩だなんて呼ぶつもりはないから!」

 

 告げ、彼女は両手で机を軽く叩いて見せる。彼女からすれば、この、露出狂の変態と、良く分からないガスマスク校則違反者と、顔がイッている鳥だかペンギンだか分からないグッズを身に着けている生徒と同じ括りに居る事が我慢ならなかった。

 私は違う、此処の連中とは違う。

 そう自分に言い聞かせ、叫ぶ。

 

「それにそもそも、こんな部活さっさと抜けてやるんだからっ! あんまり慣れ慣れしくしないで貰える!?」

「なるほど……確かに補習授業部の中でまで、先輩後輩なんて扱いにする必要はないと思います、私としては何も問題ありません」

「私も別に、そもそもそういう文化は不慣れだし、仲良くする為に集まってる会じゃない、あくまでお互いの利益の為なんだから、親しいフリをする必要もない筈、違う?」

「あ、あうぅ……」

 

 ヒフミとしては、団結して物事に当たりたい――しかし、アズサとコハルは同調し、各々の裁量で行動すれば良いと口にする。コハルはアズサの賛同を得た為、我が意を得たりとばかりに頷き、ビッと皆を指差し叫んだ。

 

「じゃあ決まり! それに、そもそもの話なんだけれど、私が試験に落ちたのはあくまで……あくまで! 飛び級の為に、一つ上の二年生用のテストを受けたせいだからっ!」

「あら、飛び級? どうしてそんな事を……?」

「ど、どうしても何も……! 私はこれから、正義実現委員会を背負う立場になる訳だし……っ!」

「でも、それで落第してしまったんですよね? 一度試しにチャレンジするという事であれば理解出来ますが、何故それを三度も――……?」

「うぐっ……う、うるさいうるさい! 私が云いたいのはそういう事じゃなくてっ!」

 

 地団駄を踏み、顔を真っ赤にして声を張る彼女は、そのまま睨みつける様にしてハナコに向かって叫んだ。

 

「つまり私は、今まで本当の力を隠してたって事!」

「………?」

 

 本当の力を隠していた――?

 ハナコは首を傾げ、同じようにヒフミも頭上に疑問符を浮かべる。その様子を片目に、コハルはその小さな胸を精一杯張りながら、自信満々に告げる。

 

「今度のテストはちゃんと、一年生用のテストを受けるから! そうすればちゃんと優秀な成績を収めてはい終わりって訳! 分かる!?」

「は、はぁ……」

「それで、直ぐにこんな補習授業部何て辞めてやるんだから!」

 

 そう云って鼻を鳴らすコハルではあるが、残念ながらこの補習授業部は個人で勝手に抜けられるものではない。というか多分、事前の説明を全く聞いていない。

 ヒフミはその誤りを正すべく、鼻息荒く佇むコハルにそっと声を掛けた。

 

「いや、えっと、個人で優秀な成績を出したとしても、それでこの部を卒業出来る訳ではなくて、ですね……」

「成程、経歴を隠していた訳か、因みに私も今は、前の所と学習進行度の違いが大きかったから、一年生の試験を受けている」

「あ、じゃあ同じ……い、いや! どうせすぐに関係なくなるけれどっ!? それに、短い付き合いで残念だったけれど、あんた達はそういう感じじゃないみたいだし? あははっ! じゃあね、精々頑張って!」

「えっ、あ、ちょ……!」

 

 云うだけ云って、そのまま教室の出入り口まで駆けだすコハル。それを止めようと手を伸ばしたヒフミだが、それよりも早く振り返り、傲慢な笑みで以て皆を見下した。

 

「先生もこんな連中の面倒見せられて可哀そ――えっ」

 

 コハルが最後に、先生をもこき下ろそうと視線を向ければ――無言で涙を流す、先生の姿が視界に映った。

 さしもの彼女も、良い歳をした大人が能面の様な表情で涙を流している姿には驚愕を隠せないのか、ぎょっとした表情で言葉を失う。そしてそれは、コハルだけの話ではなかった。

 

「せ、先生!?」

「むっ、どうした先生、もしかして催涙ガスか?」

「いえ、流石にそれは――」

 

 コハル以外の補習授業部メンバーも、涙を流す先生に気付き動揺を露にする。ヒフミは何かあったのかと右往左往し、アズサは催涙ガスによるものかと警戒を露にする。それを窘めながら、困惑を隠せないハナコ。

 コハルは、恐る恐る先生の傍に歩み寄り、心配そうな表情で問いかけた。

 

「ど、どうしたの先生? な、何で泣いているの? もしかして、どこか痛いの? わ、私、痛み止めとかならポーチに入っているけれど――」

「いや――」

 

 コハルが慌てて肩に掛けていたポーチに手を掛ければ、先生はゆっくりと首を横に振る。別に、身体的な痛みによって涙を流している訳ではない。どちらかと云えば、心の痛みだ。先生はそっと俯き、とても悔しそうな表情を浮かべながら、告げた。

 

「だって――コハルが、今にも帰ってしまいそうだったから……!」

「えっ、私帰っちゃ駄目なの!?」

「寂しくて死にそう」

「先生!?」

 

 思わず、ヒフミが叫ぶ。

 寂しくて死ぬって何? というか本当にそんな理由で泣いているの? 問いかけたい事は沢山あったが、それよりも先生の泣きっぷりが余りにも迫真過ぎて、コハルは茶化せずにいた。その涙の量は宛ら滝、ナイアガラ滝――小鹿のように震わせる膝も相まって、正に号泣と呼ぶに相応しい。

 ポーチを片手に立ち竦む事しか出来ないコハルは、そのまま涙を流す先生に見つめられ、視線を彷徨わせる。

 

「え、あ、いや、で、でも……」

「コハルが帰っちゃったら、補習授業部のメンバーが一人欠けてしまう……悲しいなぁ、寂しいなぁ、この後レクリエーションとか、仲良くなる為のあれやこれやを考えて来たんだけれどなぁ……」

 

 そう云ってナイアガラ状態の先生が取り出したのは、無数のテーブルゲーム。教卓の裏から次々と出現するそれらに、補習授業部の面々は己の目を疑った。ボードゲームにカードゲーム、ゲームブックから見た事もないような代物まで。次々と引っ張り出されるそれに、ヒフミは思わず口を挟んだ。

 

「せ、先生、いつの間にこんなものを……」

「シャーレから持ち込みました、やはり仲良くなるには一緒に遊ぶのが一番だと思って」

「シャーレからとなると……これ、全部先生の私物でしょうか?」

「うん、まぁ生徒が置いて行ったものも混じっているけれど、大体はそうかな」

 

 そう云ってハナコの言葉に頷く先生。因みに涙は既に引っ込み、満面の笑みを浮べている。ゲームで遊べるのが楽しみで仕方がないとばかりに。その様子を見ていたコハルは唇を尖らせ、吐き捨てる様に云った。

 

「べ、別に仲良くなる必要なんて……」

「―――」

「わ、分かったからぁ! 無言で泣かないでよぉ!?」

 

 しかし、コハルが否定的な意見を口にすれば、途端に先生の両目から滝の如く涙が流れ出す。最早、そういう機能が搭載されているのかと疑る程の早業だった。

 生徒の為ならば不可能など存在しない、連邦生徒会長に招致された先生ともなればいつでも両目から高圧洗浄機の如く涙を噴出させる事も可能なのである。世の中には口の中でカップラーメンを作る事が特技の人だって居るのだ、この程度はごく普通の特技の範囲内である。

 

「や、やれば良いんでしょう、やればっ!?」

「ふふっ、面白そうですし、私も勿論参加しますよ」

 

 コハルが投げやりな言葉と共に机に座れば、ハナコも面白くなってきたとばかりに着席する。コハルは顔を真っ赤にして、如何にも私、怒っていますというスタンスを崩さないが、その視線は時折先生の顔を気にしていた。

 

「ふむ、これは……勉学や訓練に関係あるのだろうか?」

「勿論あるとも、アズサ、先生である私が信じられないかい?」

「むっ――」

 

 アズサは先生の持ち込んだゲーム類をじっと眺めながら疑問符を浮べていたが、先生がどこまでも自信たっぷりにそう告げれば、何度か頷いて見せた後、肯定の返事を口にする。

 

「いや、先生の評判は聞き及んでいる、先生がそう云うのであれば、従おう、きっと何か意味のある事の筈だから」

「え、えっとじゃあ、私も……」

 

 静かに席へと戻るアズサ、そして周りに合わせる様にして着席するヒフミ。その表情は未だに戸惑いを孕んでいるものの、内心では一先ず補習授業部が一丸となった事に安堵していた。流石に、初日からあの空気感では堪らない。

 

「良し、皆席についてくれたね? それじゃあ――ヒフミ部長」

「えっ?」

 

 唐突に名前を呼ばれた彼女は、肩を揺らしながら先生を見る。その表情は、まさか自分に振られるとは思ってもみなかったというもの。

 

「号令をお願い」

「わ、私ですかっ!?」

 

 思わず、そんな言葉を漏らす。

 自分が号令を掛ける事など、意識の片隅にすら存在していなかった。慌てて周囲を見れば、ハナコ、アズサ、コハルまで何かを待つような視線をヒフミに向けている。

 

「部長が号令というのは自然な事です、是非お願いします」

「うん、部隊長が音頭を取るのは別に変な事じゃない」

「……やるなら、早くしてよね」

 

 口々に寄せられるそんな言葉、ヒフミは右往左往しながらも先生に視線を向け、笑顔と共に頷かれた事で、腹を決める。

 

「あ、あぅ……わかりました、そ、それじゃあ、えっと、僭越ながら……」

 

 立ち上がり、皆を見渡す。ハナコ、アズサ、コハル、先生――そしてヒフミ(わたし)

 これから共に過ごす事になる仲間達、そんな彼女達の表情を目に焼き付けながら、ヒフミは息を吸い込み、高らかに宣言した。

 

「そ、それでは……! 補習授業部、第一回レクリエーションを開始します!」

 

 これが――補習授業部(わたしたち)のはじまりでした。

 


 

 本編が余りにも透明感あり過ぎて爆発しそう。先生が。

 感想いつもありがとうございますわ! 年明け直ぐでちょっと今クソ程忙しいですの! 落ち着いたら返信しますので、今後ともよろしくお願いいたしますわ!

 

 ちょっとずつなんだ。ほんの少しの力でな……何回も叩くんだ、先生の体に傷つけるみてーにな……。ちょこっとずつ絆を深めていくんだぜ、ちょこっとずつでも、何回も深めれば、補習授業部に「絆」はどんどん溜まっていくからな。

 思いっきり先生を殴っちゃあ駄目だ、狙いが正確じゃあなくなるし、生徒にもこれから何が起こるのかバレちまうからな……。だからバレないように、絆を溜める、溜めて、溜めて、溜めて、これ以上ねぇって所まで生徒との絆を強固にした所で――解放するッ!(四肢を捥ぐッ!)

 

 Rabbit小隊とアリウススクワッドの皆を会わせてあげたいなぁ。「あなたの様な大人が一番嫌いです」と言い放ったミヤコと、先生を穴だらけにしたサオリを引き合わせてぇなぁ~! 私もなぁ~! お互いに先生から相手の事は聞き及んでいるけれど、「この人が先生に傷を――」とか、「こいつが件の潜在脅威――」みたいな感じで互いにメンチ切って欲しいなぁ~! その横から、「あれ~、私の様な大人が、ん~? 何だっけ~?」ってミヤコを揶揄って顔を真っ赤にさせた~い! 何だかんだ云いつつ先生の事は信頼しているし、結構好いているのだという無自覚の好意を自覚させた~い! 多分その後ボコボコにされるだろうけれどコラテラルダメージって奴ですわよ。うぉ、すげぇ剛拳、ミカかな? ミカの事ゴリラって云うのやめなよ。あんなに可愛い子がゴリラな筈ないだろいい加減にしろッ!? 私の御姫様だぞッ!? うぅ、先生カッコ良い……格好良いから四肢捥ぐね? 

 

 カルバノグの兎も多分その内後編ストーリー公開されるだろうから、書きたいんだよなぁ。書きたいけれど私的にエデン条約編までしか風呂敷広げてないから、そこで完結しそうな予感がひしひしと……。でもFOX小隊にボロ雑巾にされる先生とかめちゃ見たいですわ~。Rabbit小隊のごたごたに巻き込まれて、それでも嫌な顔一つせず、彼女達と一緒に戦って圧倒的な経験値の差から追い詰められたrabbit小隊を先生に救って欲しいですわ~! でも相手も生徒なので勿論先生は実力行使なんてしませんわ~! なので無様に肉壁になってボコボコにされて欲しいですわ~! うぅ、先生がボロ雑巾になるとこ皆で見てて……。

 

 凄く私的な意見だけれど、目の前で先生がボロ雑巾にされたrabbit小隊の反応は、ミヤコが顔を真っ青にして色々脳内で作戦を考えるのだけれど何も出来ないという結論に至って、けれど先生から視線を逸らせずに過呼吸気味に涙をポロポロ流して、サキはあらん限りの力で暴れ散らしながら先生の名前を呼んで必死に助けようとして。モエはこういう、マジでヤバい時には何も出来ない生徒で居て欲しい(願望)、ただ目の前の現実に打ちひしがれて、「ぅ、ぁ……」って絶句するしか出来ない状態で只見ていて欲しい。ミユは這い蹲ったまま頭を抱えて、目を見開きながら、「す、すみません、 ごめんなさい、ごめんなさい……ごめ――ッ!」ってボコボコにされている先生に謝っているのか、FOX小隊に許しを請うているのか分からない状態になって欲しい。先生に愛が、愛が伝わる、素晴らしい、感動的な絵面だ、ノーベル平和賞受賞しそう……。

 

 あー、先生が生徒泣かせた~! いけないんだ~っ! 生徒を安心させる為に何度だって立ち上がらないと! 大丈夫だよ、先生は生徒の応援と愛と信頼がある限り、何度だって立ち上がる無敵の先生なのだっ! 例え手足が吹き飛ぼうと、骨が折れようと、眼球が潰れようと、その命ある限り生徒の前に立ち続けるぞ! かっこいいやった~! 生徒に自分が痛めつけられる所見せつけるとかちょっと人としてどうかと思うよ先生? 見せつけられる相手の気持ちになってみて欲しいな。先生の為に生徒がボコボコにされていたら嫌な気持ちになるよね? はいロジックハラスメント、先生は時間的で移ろいゆく見かけだけの善には屈しないぞッ! 生徒が傷つくのは駄目だけれど、先生が傷つくのはバッチコイなの、そーなの。その身で以て愛を教えてくれる先生は人間の鏡。でも生徒の前でボロ雑巾になるから先生の屑。先生は血だまりに沈んでいる時が一番輝いているからね、仕方ないね。

 

 うぉ~ハルナ(未来)~っ! 先生が死ぬ間際に大人のカードを使って、呼び出されたと思って歓喜したら目の前で四肢捥げた血塗れの先生がそっと微笑んでいて、最後の記憶と先生の消えた世界がフラッシュバックして絶叫してくれ~ッ! これはな、誰でもそうなるんや(菩薩)。はい、先生の四肢を捥いだ敵が蒸発するのに二秒掛かりました(小学校の先生並みの感想)

 

 自分達のせいで四肢捥げた先生を介護するハルナとか見たいな~、私もな~。自分の実家に先生を連れ帰って、腕が無くなった先生を甲斐甲斐しく介護して、もうそろそろシャーレに復帰しないとって口にする先生に、「ま、まだ安静にしていないといけません! 先生はずっと激務続きでしたし、此処なら治療も、食事だって十全に用意出来ますもの! もう少し――少し長めの休養だと思って、此処はわたくしの顔を立てて下さい、ね? ねっ?」って必死になって引き留めて欲しい。先生の気を惹こうと、これでもかという位高価な料理を用意して、先生の裾を掴みながら焦燥を滲ませた笑顔を浮かべて欲しい。それで先生が「なら、もう少しだけ……」って口にすると、露骨に安堵したように微笑むんだ。その言葉を聞くと安心して、強張った体が力が抜けていると尚よろしい。

 先生の捥げた腕の数だけ生徒との未来がある、そう考えると胸が暖かくなりますわね……。

 

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