ブルーアーカイブを、もう一度。   作:トクサン

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誤字脱字報告、かん↓しゃ~↑(ナツ)
今回は凡そ一万七千字、二万字じゃないからヨシ!


夜の大運動会、序曲

 

「あうぅ……結構降っていますね……」

「そうですねぇ……」

 

 補習授業部の休日。

 合宿期間とは云え、毎日が勉強尽くし――という訳でもなく。合宿中にもきちんと休日は設けられている。そして今日はその休日当日。丸々一日休みという訳ではなく、正確に云えば夕刻から自習という名の授業があるが、それでも自由度が段違いだ。折角の休日、皆が胸を弾ませ、大いに満喫しようと考えていた訳だが――天気は生憎の雨。

 窓から空を見上げ、心なしかしょんぼりとした表情を浮かべるヒフミ。本当ならば、少し外に出て日光浴を、などと考えていたのだ。

 

「んぅ……」

「あら、おはようございます、コハルちゃん」

「おはようございます、アズサちゃんは……まだちょっと起きられそうにないですね」

「ん……んんっ……」

「おはよ……あれ、アズサ、どうしたの? いつも早起きだったのに……」

 

 もぞもぞと布団から抜け出し、跳ねた髪を撫でつけ、ずり落ちた衣服を引っ張るコハル。そんな彼女の前には、布団に包まって唸るアズサの姿が。珍しい彼女の寝姿に、眠たげなコハルの目が僅かに見開かれる。

 

「今までは無理をしていたんじゃないでしょうか? 少し寝かせておいてあげたいですね、幸い今日は休日ですから」

「んん、だめ、可愛いものが……ふわふわ……それは、よくない……」

「それに……ふふっ、何だか良い夢を見ている様ですし♡」

 

 寝言を口ずさみつつ、枕を抱きしめるアズサ。その顔を覗き込むハナコはとても楽し気だ。

 ふと、窓の向こう側がパッと光り、轟音が鳴った。唐突なそれにヒフミとコハルが肩を跳ねさせ、声を上げる。

 

「わっ、か、雷ですか、今の?」

「か、雷!?」

 

 コハルが慌ててヒフミに並び外を見れば、雨も激しくなり、空は分厚い雲に覆われている。これは暫く止みそうにない、ヒフミはそんな事を思い、そっと溜息を吐いた。

 

「――あっ」

「……?」

 

 そんな風に過ごしていると、ふとハナコが声を上げた。その表情は、どこか蒼褪めている。

 

「どうしました、ハナコちゃん?」

「忘れていました……その、洗濯物が外に……!」

「えっ!?」

 

 その一言に、ヒフミは体を硬直させた。そういえば、昨日の夜に洗濯を――洗って、干して、今は……この土砂降りの中、外に!? 椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がったヒフミは、大いに慌てながら駆け出す。コハルも状況を理解したのか、ヒフミの後に続いて部屋を飛び出した。

 

「ま、まずいですっ……!」

「早く取り込まないと……!」

「ごめんなさい、私がうっかりして……!」

「い、今は後! はやくっ!」

「ん、んっ……ん?」

 

 どたばたと、外へと駆け出していく補習授業部。そんな中、最後まで夢の中に居たアズサは音に反応して目を覚まし、のそのそと布団から這い出た。そして周囲を見渡し、ぼやけた視界の中に皆が居ない事に気付く。

 

「あ、あれ、皆? ど、何処に……ま、待って、私もいく……!」

 

 寝巻のまま慌てて立て掛けていた銃を手に、廊下へと飛び出すアズサ。一先ず、音のする方へと駆け出し、皆の後を慌てて追い掛けた。

 

 ■

 

 そして――洗濯物騒動から凡そ、四十分後。

 補習授業部は全員揃って水着に着替え、体育館に集合していた。

 

「――さて、では記念すべき第一回、補習授業部の水着パーティーを開催します♡」

 

 そう、とても楽しそうな表情で宣言するのはハナコ。彼女の楽し気な声に反し、周囲の空気は暗く、淀んでいる。薄暗い体育館の中央、雨が天井を叩く音だけが周囲に響き、隣には水着姿の生徒四名と先生が一人。

 状況だけ見れば、正しくカオスだろう。

 

「あぅ……」

「………」

「なんで、どうしてこんな事に……」

「へぶしっ!」

 

 ハナコ以外の生徒は皆、何とも云えない表情で佇み、赤面し、意気消沈している。アズサは薄暗い体育館と水着の友人達を見渡し、それからぽつりと呟いた。

 

「色々と……凄い状況だ」

「うふふっ、まぁ仕方ないじゃないですか♡」

 

 ――事は、さかのぼる事四十分前。

 

 ■

 

「多分、これで全部だ」

「これは、見事に全滅ですね……」

 

 そう云って、目の前に積まれた洗濯物を見つめる補習授業部。土砂降りの雨の中、洗濯物を慌てて回収して回ったのは良いものの――干していた洗濯物は軒並み全て全滅しており、とても着用に耐えうる代物ではなかった。

 ハナコは手前の制服を一枚掴み、思わず呟く。

 

「泥も跳ねちゃっていますし、洗い直さないと……」

「体操着も凄い事に……うぅっ、中まで全部濡れちゃってるし……」

「それはコハルが途中で転んだからだ」

「だ、だって、あそこ地面がぬかるんでいたんだもん……!」

 

 一枚一枚、一応確認してみるが、どれもこれも濡れているか泥にやられてしまっている。こうなると全部洗い直し、もう一度干さなければならない。

 

「ごめんなさい、つい失念していて……私が一緒に洗うと云い出したせいで」

「いや、ハナコのせいじゃない、洗濯はもう一度すれば良いし、服は着替えれば良い、そんな気に病む事ではない」

「天気予報では晴れだったし、仕方ないんじゃない……?」

「はい、そうですよ! 濡れた服のままですと風邪をひいてしまいますし、まずは着替えてしまいましょう!」

「……ありがとうございます、そうですね、髪も乾かさないと」

 

 そう云って、一度立ち上がる補習授業部。洗濯物を取り込む過程で、皆も濡れ鼠になってしまっていたので、一度着替え、髪を乾かす必要があった。

 しかし――。

 

「……あ」

「? どうしました、コハルちゃん」

「……もう、着るものが無い」

「えっ」

 

 コハルがバッグを漁りながら、呆然とした表情で呟く。

 ヒフミはその言葉に目を瞬かせ、アズサも同じように背嚢を探りながら言葉を漏らした。

 

「む、そういえば私もそうだ、制服もこの体操着もびしょ濡れで、他に予備の服が無い」

「え、あれ……? あっ……」

 

 ヒフミはまさかと思い、愛用のペロロバッグを探ってみるが、ヒフミも手持ちの服を軒並み使い果たしていた。この、今着ている服が最後の一着だったのだ。今ではそれも、濡れてしまっているが。

 

「……あらあら♡ まぁ、下着姿で勉強というのも、とってもアリだと思いますよ?」

「何言ってるの!? 馬鹿! そんな破廉恥なのダメっ! どうしてそういう方向になるの!?」

「ふむ、しかし話は分かる、下着は多めに用意してあるし、靴下も履いておけば体温の維持は問題なさそうだ」

「し、下着に靴下……?」

「変に同調しないで!? 教室でそんな恰好、やばいでしょ!?」

「ですがコハルちゃん、想像してみて下さ――」

「しないッ! あんたはもう黙っててッ!」

 

 下着に靴下という、非常に犯罪的な絵面を想像したコハルが、普段よりやや圧強めの言葉を発する。湿った衣服を手で引っ張る彼女は、部屋の隅に纏められたドライヤーを指差しながら叫んだ。

 

「ささっと洗って、ドライヤーでも何でも使って乾かせば良いでしょ!? その間はバスタオルとか巻いておけば良いし! 何なら先生に服を買いに行って貰うとか……!」

「あー、えっと、それは難しいかもしれません、そのー……」

 

 そう云って、どこか申し訳なさそうな表情で、先生の下着と服を手に取るヒフミ。コハルがアテにしていた先生の衣服、それも軒並み全滅であった。

 

「先生の、服も……えっと、泥だらけに」

「そう云えば、コハルちゃんが取り込んでくれたんでしたよね」

「うぐっ……!」

 

 泥を被り、とても着れそうにない衣服を前にして、コハルは思わず唸る。確かにこれでは先生も外出どころではない。風邪をひいてしまうだろう。アズサは冷静に状況を判断しながら、一先ず体温の確保を優先させる為に云った。

 

「ふむ、兎に角濡れたままというのは拙い、取り敢えず脱ごう」

「あうぅ……仕方ないですよね、流石に風邪はひきたくないですし、私も脱ぐしか……」

「そうですね、取り敢えず裸になりましょうか♡」

「何でみんなそんなに脱ぎたがるの!? 露出は犯罪なんだよっ!?」

「いや、だって服が冷たいですし……」

 

 裸と濡れた衣服では、後者の方が体温を奪われる。ならば一時とはいえ、裸になる他ない。羞恥心に顔を染めながらも、いそいそと着替える補習授業部――そんな彼女達を、更なる苦難が襲った。

 唐突に、部屋の電気が落ちたのだ。

 一瞬にして暗闇に支配される部屋、その中で戸惑いの声だけが響く。

 

「えっ、な、なに!?」

「これは、て、停電ですか……?」

「落雷のせいでしょうか?」

「……元々掃除もされていない様でしたし、もしかしたら電気系統も――」

 

 土砂降りのせいで部屋は薄暗く、宛ら夜の如く。皆が右往左往する中、アズサはどこか気まずそうに声を上げた。

 

「……ヒフミ、問題が発生した」

「えっ? な、何ですか……?」

「このままだと洗濯機が動かせない、あと、ドライヤーも……とても困った」

「あっ……」

「……!?」

「あら」

 

 ■

 

 そして、濡れた服を着る訳にもいかず、唯一無事だった衣服である水着を着用し――現在に至る。

 

「こうなっては、パジャマパーティーならぬ、水着パーティーくらいしかする事はありませんからね♡」

「あぅ……な、何か他にありそうな気はしますが……」

「あら、私は下着パーティーなどでも構いませんが♡ 確かに良く考えると、他にも幾つかありそうですね、例えば、そう、全裸パ――」

「わぁぁああッ! やめてよッ!? ヘンタイ! 卑猥! 先生も居るんだよッ!?」

「しかし、うぅむ、こうなると合宿どころではないし……こんな落雷程度で全部の建物が機能不全だなんて、酷いセキュリティだ」

「あはは……まぁ、古い建物ですし」

「へぶしっ……!」

 

 皆がそれぞれ意見を述べる中、先生は小さくくしゃみを漏らす。それも然もありなん、補習授業部の面々がスクール水着を着用する中、先生だけはトランクスタイプの水着一枚。水着と云うか、先生の場合は完全に下着と同等である。上半身は裸で、心なしか肩が震えている。その様子を見ていたヒフミは先生の肩をそっと摩りながら、心配そうに問いかけた。

 

「せ、先生、大丈夫ですか……?」

「いや、大丈夫だよ、ただちょっと、布面積が少ないかなぁって」

「先生の場合、本当に下着一枚だけみたいな感じですからね……」

「むぅ、毛布か何かあれば良いのだけれど」

「この暗い中探すのもね……部屋のタオルケットでも持ってくれば良かったかな」

 

 空の具合は未だ悪く、曇天は太陽の光を殆どシャットアウトしてしまっている。周囲は宛ら夜の如き暗さで、電気も付けられない以上、迂闊に倉庫などを探索する事も出来なかった。

 

「ふむ、確かこういう時は人肌で温めるのが良いとか何とか……」

「えッ!?」

「あら♡」

「あ、アズサちゃん!?」

 

 小さく震える先生を心配したアズサは、暖を取る手段が無い場合の最終手段を思い浮かべ、その様な事を口走った。

 

「安心しろ、私は体温が高い方だ……ほら、こうすれば多少は暖かいだろう」

「む……おぉ、何だろう、(ぬく)い……」

「ふふっ、なら良かった」

 

 アズサは先生の傍に歩み寄ると、膝を抱えた先生の背中に、自身の背中をそっと預ける。背中が一番接触面積が広いという理由だったが、先生の背中はアズサの想像していたよりもずっと大きく、アズサは内心で少しだけ驚いた。

 

「あらあら、アズサちゃんったら……でもそうですね、人肌で温めるのが一番かもしれません♡ 元々、これは私が招いた結果の様なものですし、私も僭越ながら……」

 

 そう云って楽し気に先生の横に詰めたハナコは、そっと先生の肩に自身の肩をぴったりと張り付ける。その肌から直接伝わって来る暖かさに、先生の表情が液体の様に溶けだした。

 

「あー……すごい、これ、すごい……」

「え、えっちなのは駄目ッ! 二人共、何考えてんの!?」

「でもコハル、実際これが一番合理的だ」

「そうですよ、皆で先生を温めてあげましょう♡」

「なだっ!? こッ、ち……!?」

「コハル、口が回っていない」

 

 顔を真っ赤にして口を開閉させるコハル。余りの事に思考がスパークしてしまっているのだろう。しかしどうか許して欲しい、今に限っては下心は殆どないと云っても良い。本当だよ、嘘じゃないよ、先生は強く思った。

 

「う、うぅ……でも、確かに他に方法もなさそうですし」

「ひ、ヒフミ!? 駄目っ、こんな事に流されちゃ……!」

「で、でも、元々は私達が……いえ、先生の服に関してはハナコちゃんが持ってきたものですけれど……それでも勝手に洗濯したのは私達ですし……」

「あ、うぐぅ……」

 

 泥に足を取られて先生の服を駄目にしたのは自分である事を思い出したコハルは、思わず口を噤む。確かにこうなった責任は自分にも――十分の、いや、百分の一くらいはあるかもしれない。生来生真面目な彼女は、そんな風に考えてしまった。しかし、それはそれとして先生を人肌で温めるなんて、そんな卑猥でえっちな事、断じて看過出来る筈もなく。

 

「な、なら、別にこんな所に集まる必要なんてないじゃん! 部屋で大人しくしていれば良いでしょう!? タオルケットだってあるしっ!」

「あら、ですがこういう時間こそ合宿の花だと思いませんか? みんな寄り添って、お互いの深い部分を曝け出し合う……雨も降っている上に停電で何も見えませんし、雰囲気は最高です!」

「ふむ……?」

「うふふっ……♡ 折角の休み時間、そうやって有意義に過ごしませんか?」

「た、確かに合宿の定番という感じはしますけれど……」

「……成程、それがこの合宿パーティという訳か」

「いやいやいや納得できないし! 水着と掛け合わせる意味あるの!?」

「あはは、それは、確かに……?」

「まぁまぁ、それも含めて楽しんだもの勝ちですよ♡ あ、別に私は裸――」

「云うなぁッ!?」

 

 コハルが叫び、音量でハナコの言葉を掻き消す。こいつの場合、本当に全裸でパーティをやりかねないという謎の信頼がコハルの中であった。もし、そんな事になったら大乱闘でスマッシュで、シスターズで、自分も強制参戦だ。それだけは絶対に阻止すると、コハルは鼻息荒く猫目になっていた。

 そんな彼女を尻目に、ハナコは満面の笑みのまま告げる。

 

「――という事で皆で温まりつつ、お喋りをしましょう! 話題は何でもアリという事で♡」

「な、何でも?」

「ふふっ、私こういう事、すっごくしてみたかったんですよね、なのでちょっとテンションが上がっていると云いますか……」

「あ~……ハナコ、凄く楽しそうだよねぇ」

「先生は凄く気持ちよさそうですね♡」

「うん、人肌が温かくてね……なんだか、温泉にでも入っている気分だよ」

「あら、それは光栄です♡」

「体温が高くて良い事なんてないと思っていたけれど、こういう時は役に立つんだな、勉強になった」

「うぅ……わ、分かりました、なら、取り敢えず私はこちらに……」

 

 皆で先生を温める光景を、右往左往しながら眺めていたヒフミは、ひとり覚悟を決めハナコの反対側へと足を進める。そして顔を隠しながらも先生の傍に屈みこみ、その肩をそっと掴んだ。

 

「し、失礼します、先生……」

「ふふっ、その云い方、なんだかイケナイ御店みたいですね♪」

「えっ……!?」

「やめてハナコ、先生ヴァルキューレに通報されちゃう……!」

「あら? でも確か、キヴォトスに於いて先生と生徒の恋愛は――」

「わああぁあああッ!?」

 

 再度、コハルの叫びがハナコのそれを掻き消す。それを聞いたら最後、何故か分からないが大戦争が起きそうな予感がしたのだ。それは正義実現委員会としての勘か、それとも別の何かか。兎も角、これで自分以外の補習授業部は皆、先生の傍に固まってしまった――エッチなのは駄目だ、死刑だ、しかしそれはそれとして、先生の体温が心配というのも分かる。コハルは猫目のまま唸り、二度、三度先生と自分の手を交互に見つめた後、ずんずんと彼の元へと足を進めた。

 

「っ、ぐ、ぎ……し、仕方ないから、今回だけ、今回だけは大目に見てあげるッ!」

「おぉ、ありがとうコハル……これでこの温もりを奪われたら、先生本当に風邪ひくところだったよ……」

「っ、ふ、ふん!」

 

 云うや否や、コハルは自身の手を突き出す。差し出されたそれはぶっきらぼうで、意図が分からず、先生は首を傾げた。

 

「……?」

「せ、先生の手、出してって云っているのっ!」

「あぁ、うん、ごめん……はい」

 

 促され、先生は自身の手を伸ばし、コハルのそれを握る。彼女の手は大人の先生と比べれば小さく、けれど暖かかった。

 

「え、エッチなのは駄目だから! でも、手を繋ぐ位は許してあげるっ!」

「……コハルの手も暖かいねぇ」

「ふふっ、何だかんだで皆集まりましたね……私、こうやって皆で何かをしたり、燥いだりするの、夢だったんです♪ 今、とっても楽しいんですよ」

「あぁ、気持ちは分かる、何なら私も補習授業部に入って以来、ずっとそういう気持ちだ」

「あら、そうなんですか?」

「うん、何かを学ぶという事も、みんなでご飯を食べる事も、洗濯も掃除も、その一つ一つが新鮮で……とても楽しい」

「まぁ……♡」

 

 アズサはそんな言葉を、どこか嬉し気に、そして遠くを見て話すのだ。それは、目に見えぬ誰かに語り掛けている様にも見えた。

 

「水着は泳ぐ時にだけ着るものだと思っていたのに、こんな活用方法があるなんて事も初めて知った、知らなかったことを知れるというのは、楽しい事だ」

「み、水着の件はちょっと違う様な……?」

「でも、動きやすいし通気性も良い、とても機能的だ、ハナコがこれを着て学校を歩いていたというのも納得がいく」

「そうですよね? ほら、だから云ったじゃないですかコハルちゃん♡」

「いやそれで外を歩くのは犯罪だから! 納得しちゃダメ! 公然淫猥罪だよ!?」

「うん、コハルと一緒に勉強するのも楽しい」

「っ!? きゅ、急に何!? 何でそんな恥ずかしい事云うの!?」

「あらあら♡」

 

 急激なアズサ褒め殺しトークに、コハルはそういった事に慣れていないのか、頬を赤らめながら顔を背ける。対するアズサの目はどこまでも真剣で、愚直とも云える程であった。だからこそ、それが嘘偽りのない言葉だという事が分かって、尚更彼女の感情を煽る。

 

「ま、まぁ? 私みたいなエリートと一緒に勉強して、為になる事は多いと思うけれど……」

「うん、本当にそうだった」

「アズサちゃん……最初は余り表情の変化も読み取れなくて心配でしたが、今ではもうすっかり馴染んで……本当に良かったですっ」

「勿論ヒフミもだ、本当にいつも世話になっている――ありがとう」

 

 その言葉に、ヒフミはアズサがモモフレンズに共感を示してくれた初めての友人という事もあって――思わず涙ぐみ、彼女へと抱き着いた。無論、先生も一緒である。何とかの間に挟まる男……というフレーズが頭を過った先生であるが、努めて表情に出す事はなく、菩薩の様な微笑みで以てやり過ごした。

 

「あ、アズサちゃんっ! うわーんッ!」

「うぐ、ひ、ヒフミ……少し息苦しい」

「……うんうん、美しい友情だね、先生も胸が暖かくなる気持ちだよ」

「あら、温かくなるのは胸だけですか、先生? ふふっ」

「そ、それどういう意味……?」

 

 どうかコハルは知らないままで居て欲しい、強くそう思う。

 あとハナコは視線下に向けないで下さい、お願いだから。

 

 ■

 

 そこからは兎に角、色々な事を話した。

 これぞ合宿の華と云わんばかりに、本当に色んな事を。

 

「そう云えば今、トリニティのアクアリウムで、ゴールデンマグロという希少なお魚が展示されているらしいですね」

「あ、それ私もパンフレットで見ました! 幻の魚と呼ばれているんですよね?」

「あぁ、あれか……」

「あら、先生は既にご覧になっていたので?」

「うーん、見たというか、何と云うか……」

「?」

「まぁ、色々あってね……皆もそういうのに興味があるの?」

「私は、まぁ、普通……?」

「でも、やっぱり幻の魚なんて云われたら、ちょっと気になりますよね」

「そのゴールデンマグロ、どうやら近くの海で発見されたらしいのですが、見に行こうにも入場料も安くは無いので……」

「なら入場料は私が出すから、今度皆で見に行こうか?」

「えっ、良いんですか先生!?」

「勿論、展示はまだ少し先までやるみたいだし、合宿が終わったらね」

「む、それは助かる」

「ありがとうございます!」

「あら、先生太っ腹ですね♡」

「ま、まぁ、皆が行くなら……」

「ふむ、それにしても海か……思い返せば一度も行った事が無いな」

「そ、そうなんですか!? アズサちゃん、一回も……!?」

「うん――いつか見に行ってみたいものだ」

 

 ■

 

「水着で街や学園の中を歩くのは別に、そこまで変な事ではないですよ?」

「そんな訳ないでしょ!? 勝手に常識改変しないでっ!」

「ですが、これは私がシスターたちから聞いた話ですが……どうやらキヴォトスどこかの無法地帯では、水着で覆面を被り犯罪行為を行う集団が居るらしいんです」

「は、はぁ!? 水着に覆面……ド変態じゃん!? なにそれ!? っていうか犯罪集団じゃないっ!? そんなの何もしなくたって、見た目からして既に犯罪よ!」

「そういう集団があるくらい、他の地域では普通なんですよ? ですからコハルちゃん、今度一緒に――」

「いやっ! 何云い出すか分からないけれど、とりあえず嫌っ!」

「あら、振られてしまいました……では、アズサちゃんは――」

「うん? 私は別に構わな……」

「あ、アズサを変な道に引き摺り込もうとするな! 変態! 水着馬鹿ッ!」

「あ、あはは……」

 

 ■

 

「そういえば先生、料理の技術はどこで学んだのですか? いつも朝ご飯、とても美味しく頂いていますが……」

「うん? そりゃあ、まぁ、男の一人暮らしだからね、自然と上手くなるものだよ、最初は市販モノばかりだったけれど、出費も嵩むし、後は……師匠の指導の賜物かなぁ」

「えっ、あの朝ご飯って先生の手作りなの!?」

「コハル、知らなかった?」

「わ、私も知りませんでした……先生、いつの間に……!?」

「私とアズサちゃんは偶に早起きして、先生のお手伝いしていましたからね」

「まぁ自分を入れて五人分くらいならね? 私の師匠はもっと凄かったよ」

「師匠って、先生に料理を教えてくれた人?」

「そうそう、一日で数千人分の食事を毎日作っていた凄い師匠さ」

「数千!? な、なにそれ……!?」

「す、凄いですね……」

「料理自体は凄く丁寧で早いんだけれど、忙しさが極まると動作が高速化して、分身している様にも見えたんだよなぁ……」

「え、えぇ……」

「それ、本当に人なの……?」

「あと結構な頻度で拉致されていたな」

「拉致!?」

「な、なにそれ、犯罪じゃん!?」

「あら、物騒ですね……」

「むぅ、それ程の腕を持った料理人……という事か?」

「あはは……ある意味ではそうだったかも」

 

 ■

 

「――つまり、ペロロ様の魅力はそこに詰まっていると云っても過言ではないんですよ!」

「え、えぇ……よくわかんない……」

「ヒフミちゃん、モモフレンズが本当に好きなんですねぇ」

「うん、あれは実に良いものだ、ヒフミの気持ちは良く分かる」

「先生! 先生はモモフレンズの中で誰が一番好みですかっ!?」

「私かい? 私はね……うーん、やっぱり王道のペロロかなぁ」

「せ、先生っ!」

「……先生もあの変な鳥、好きな側なんだ」

「好きって云うか、何か憎めない顔っていうのかなぁ、愛嬌のある顔だと思うよ?」

「ふふっ、でもちょっと分かりますね」

「き、来ていますよアズサちゃん! モモフレンズブームがっ! 徐々に、受け入れられている気がします!」

「うん、この調子でどんどんモモフレンズの良さを広めていこう」

 

 ■

 

「アズサちゃんはもっと、夜はきちんと眠った方が良いと思いますよ?」

「……うん、今朝は寝坊して迷惑を掛けてしまった、すまない」

「い、いえ、そんな」

「慣れない場所で寝坊なんて、これまで殆どなかったのに……ふむ、もうここは、慣れない場所ではないからかもしれないな」

「確かに、私達もう此処に一週間近く居ますから……」

「兎に角、もっとしっかり眠らないと、深夜の見張りは減らして頂いて」

「見張り……? なにそれ」

「あぁ、毎晩夜中にちょっと見張りを――」

「何かあったら私の方に通知が来るし、アズサも少し休んで欲しいな……ハナコも、みんな、アズサの事を心配していたよ?」

「そう、なのか……?」

「それは、やっぱり同じ部活の仲間ですし……」

「そうか……ごめん――実は、見張りは言い訳で、ブービートラップとかを設置していたんだ」

「ブービートラップ?」

「それは……どうして、また?」

「ん、心配しないで、此処に悪意を持って侵入しようとするルートだけに設置しているから、普通に生活する上では安全面に問題はない」

「アズサ、そのトラップって――」

「大丈夫、殺傷性はない」

「……成程、ですがそれならそれで教えて頂けると嬉しいです、どうしても心配しちゃいますから」

「……そうか、うん、これからは気を付ける――私のせいで、先生とみんなが被害を受けるのは望むところじゃないから」

「やっぱり、アズサは優しい子だね」

「なっ、こ……子ども扱いしないで、先生、別に私は――」

 

 不意に、アズサの言葉が詰まった。先程まで流れる様に続いていた会話が、ふと止まる。

 薄暗い体育館の中で、アズサの表情が陰に覆われ見えなくなった。俯いた彼女はただ、小さく、絞り出すような声色で言葉を紡いだ。

 

「だって、この世界は全てが無意味で、虚しいものだ、だから、もしかしたら……」

 

 ――もしかしたら、(アズサ)は。

 

「私はいつか裏切ってしまうかもしれない……皆の事を、その信頼を、その心を」

 

 それは、彼女が本来持っていない筈の色。この補習授業部という場所に入り浸り、絆を紡ぎ、思い出を共有したからこそ出来てしまった――情。それを惜しむ感情の顕れ。

 裏切りたくなどない、けれど自身の全てを知った時、彼女達はどう思うのか。

 それを考えると、少しだけ――怖い。

 

「――………」

「アズサちゃん?」

「……?」

 

 彼女の境遇を知っているか否か、それが皆の反応を分ける。ハナコは真剣な瞳でアズサを見つめ、ヒフミはその態度に違和感を覚え、コハルは何の事だとばかりに疑問符を浮かべる。

 そんな彼女達を、ふっと、光が照らした。

 

「あ、電気が――」

「直ったみたい、ですね」

 

 再び光に照らされた時、アズサの表情には陰の欠片も残ってはいなかった。いつも通りの仏頂面で、どこか満足気に背を正し、告げる。

 

「うん、じゃあ第一回水着パーティーはここで閉幕か、二回目も楽しみにしている」

「に、二回目とか無いから! こんなの最初で最後だから!」

 

 そんな言葉と共に、その休日は洗濯をして、幕を閉じた。

 

 ■

 

 ――とはならないのが補習授業部である。

 

「――いいえ、まだです! このまま一日が終わりだなんて、そんな勿体ない事はさせません!」

「は、はい……?」

「?」

「な、なに?! 急に飛び上がって、ビックリした……」

 

 洗濯と乾燥を済ませ、漸く一息吐き、後はシャワーを浴び、寝るだけ。そんな状況になった時、ハナコは唐突に叫んだ。その瞳には、過去類を見ない程の熱意と欲望が宿っている。総出での洗濯作業にやや疲れを滲ませ、各々のベッドで思い思いに過ごしていた皆は、彼女の声に肩を震わせ驚いた表情を浮かべる。

 

「突然の事でしたが、折角のお休みじゃないですか、みんな裸で交わったのに、このまま、はい、おやすみなさいだなんて――」

「勝手に記憶を捏造しないで! 裸じゃないからッ!」

「それは兎も角、このまま寝てしまうのは勿体ないです、まだ火照っているといいますか、物足りないと云いますか……」

「具体的には?」

 

 アズサが首を傾げ、そう問いかければ――それを待っていたとばかりに瞳を輝かせていたハナコが指先を立て告げた。

 

「うふふ♡ 合宿といえば、やはり合宿所を抜け出す事……それも一つの醍醐味だと思いませんか?」

「え、えぇ……?」

「さあ! 今から皆でこっそり外に出て、お散歩しましょう♡」

 

 そう云って窓の外を指差すハナコ。幸い雨は上がり、天候も回復している。外出しようと思えば可能ではある。しかし外は暗く、既に時刻は夜――しかし、それが寧ろハナコの琴線に触れている様子だった。

 

「何ならトリニティの商店街は夜遅くまで営業している御店も沢山ありますし、食べ歩きとか、ショッピングも出来ますよ!」

「そ、そんなの校則違反じゃん! 駄目ッ!」

「細かい校則は把握していませんが、結構皆さんこっそりやっていると思いますよ? 意外とそういう方、周りに居ませんか、ヒフミちゃん?」

「あ、あはは……そ、そう、ですね……」

 

 まさか自分がブラックマーケットに行っています、とは云えないヒフミは、曖昧に笑って誤魔化す。しかし実際、周囲にちょっとした外出、寮を抜け出して遊びに行く――なんて話は良く耳にするのだ。堅苦しい校則、校風を持つトリニティだからこそ、そういった息抜きを好む生徒は少なくない。

 

「で、ですが普段であればまだしも、今は補習授業部の合宿中ですし……良いんでしょうか?」

「遠出する訳でもありませんし、直ぐそこですよ、コハルちゃんも如何ですか? きっと楽しいと思いますよ」

「ぅ……え、っと、正直、その、きょ、興味はある、けれど……」

「――という事ですが、どうでしょうか先生?」

「話は聞かせて貰ったッ!」

「わっ……せ、先生!?」

 

 ハナコの合図と共に、扉を開け放って入室する先生。心なしか腕が伸びている様な気がしたが、目の錯覚だった。洗い立てのシャツを着た先生は、いつも通りの笑みを浮べつつ、訳知り顔で強く頷いて見せる。

 

「息抜きは大事だからね、楽しそうだし、良いよ、許可するとも」

「ふふっ、ありがとうございます♡」

「えっ、良いの!?」

「――準備は出来ている、直ぐにでも出発出来るぞ」

「アズサちゃん!? もう着替えたんですか!?」

「先生も準備万端、財布も完備、カードもあるよ!」

「せ、先生……?」

 

 制服に着替え、何時でも出発出来ると目を輝かせるアズサ。財布を片手に完全外出モードの先生。一応監督という名目ではあるが、一緒になって楽しむ気満々の大人の姿がそこにあった。

 夜のお出掛けとか絶対楽しい奴である、これは参加せざるを得ない。先生が校則を破る側に回って大丈夫なのかとか、色々云いたい事はあったが、ヒフミはそれらの感情を呑み込み、そっとペロロバッグをそれとなく掴んだ。

 何だかんだ云いつつ――ヒフミもちょっと、楽しみなのだ。

 

「では、決定ですね♡ さぁ、準備していきましょう! 楽しくなってきましたね、深夜に裸で散歩だなんて……!」

「さりげなくすり替えないでッ! 服は着てッ!?」

 

 こうして、補習授業部の夜のお出掛けが始まった。

 


 

 果たして、先生がこんな幸せそうにしていて良いのだろうか……? 許せねぇですわマジで、透明感あり過ぎてフラストレーション爆発しそう。した結果が前回な訳ですが。

 ンギィ! 先生捥げろッ! 先生は生徒をデロデロに甘やかした後に目の前で爆発したり、四肢捥げて血塗れになって、それでも生徒を安心させるように笑って死ななきゃいけないってキヴォトスでは決まっているの! 幸せなのは死刑ッ! 射殺! 爆殺! 轢殺! それ見て泣いている生徒を見て私は幸せになりますのでッ! んほ~、国民総幸福量(GNH)上がっちゃ~~~う。

 でも幸せな日常があるからこそ、それがぶち壊される瞬間が映えるってソレ一番云われているから。積み上げた三十万、四十万文字の日常シーンが、たった十万字足らずの一転攻勢でどろっどろのぼっろぼろにされる事を思うと、まるで賽の河原で石を積む如き虚無感と、けれど積み上げた石(先生との思い出)を大切にする生徒達の表情で、あぁ、崩される為に積まれた石(ここまで頑張って来た先生)は本当に愛されていたんだなぁって再確認出来て、何だか胸がぽかぽかするんですよね。う~ん、これは純愛。

 

 先に謝っておきますわ、ごめんあそばせ、このエデン条約編、前編は比較的原作シナリオに沿ってストーリーラインを展開していこうと思ったのですが、ちょっと後半わたくしの性癖大爆発してエラい事になりましたわ。アビドス後半、最終決戦辺りでも大暴れしましたが、今回もそうなりそうですわ~。

 あぁ、安心して下さいまし、誰かが簡単に改心したり、先生が説教したりする事はありませんので。この世界の登場人物は皆、それぞれに強固な信念と軸を持ち、文字通り生死を賭けて己の目的の為に動いておりますわ。アリウスがコロッといったり、ミカが舵を取り直したりはしませんの。

 

 寧ろその逆、どこまでもどこまでも道を真っ直ぐと突き進み、生中な壁や障害では決して崩せぬ程に積み重ね、最早先生の手が届かぬ高みまで突き抜けて頂く所存ですの。勿論、比喩でしてよ? 地獄への道は覚悟と強固な意志で舗装されておりますわ~ッ! あぁ、何て素敵なシルクロード、それがエデンへと通じる道だと思って? 残念、それは先生の素敵なお顔を見る為の道でしてよぉ~ッ!?

 

 まぁそもそも私、このエデン編が始まる前に後書きで「本編よりエグイ事になりますわマジで」みたいな事云っていますし、この小説自体私の自給自足のものですし、皆さんは既に先生の手足の一本や二本、指の三本や四本、眼球の一つや肺の一つ、無くなる事は予想済みでしょう。ただちょっと、エデン条約編がジャブから右ストレート位に変化して、エデン条約編、後編がデンプシーロールになるだけですわ。

 それでもってミカは本編よりも精神状態が悪化して、中のミカも狂乱して、アリウスはミカやトリニティ、補習授業部からヘイトマシマシ憎悪特盛になるだけで、それをどうにかする為にまた先生がズタボロの雑巾になるだけですわ。まぁ比較的マシな方で済んだのではなくて? 

 

 自分のエゴで今のミカを止めた結果、自分の知っている未来より酷くなった場合って、未来ミカはどんな感情を抱くか想像した事はあります? 多分、きっと、すんごい顔を見せてくれるに違いないですわ。そして先生から指輪を受け取った現在ミカは? 自分が起こした事で先生がズタボロになったらどうなると思います? 多分ぐちゃぐちゃな顔をしながら、涙ぽろぽろ流して、それでも必死に笑おうとして失敗しますわ。後に残るのは引き攣った笑みを頑張って浮かべながら、指輪を握り締めて黙々と道を歩くミカの姿でしてよ。

 

 裏切るって決めていたもんね? 今更戻れないもんね? こうなるって分かっていたもんね? だから笑わなきゃね? 笑わないと駄目だよね? なんて健気……うぅ、ミカ可哀そう、でも可愛いよ♡ こんな状態の生徒可愛いとか正気か? 先生には人の心が無いのか? 今すぐ駆け寄って抱き締めてあげないと駄目だかんね。そのあとちゃんと起爆して先生の首飛ばしてあげるから安心して♡ あーっ、いけません! 先生の幸せ奪って私が幸せになっちゃいます! 今日の私は調子が良いので手足を二つも捥いじゃいます! えっ、手足二つに加えて首も!? できらぁッ!

 

 はい、先生がダルマになるまで六ヶ月掛かりました。本編のベアトリーチェって先生殺すのに成功したら、連邦生徒会に首だけになった先生とか送り付けてきそうだよね。発想が蛮族ぅ~。でも割と原作でも憎悪マシマシウーマンだからそうでなくとも先生を辱める事はしそう。シャーレをぶち壊すとか、先生の大切だったものは踏み躙って来そう。圧倒的な力の前では、想いや絆の力など無意味!(覇王) でも小物感あふれるのは何故なのか……セナに新鮮な死体贈りてぇな~! 私もなぁ~ッ! でもその話はエデン条約編、後編でやるから今は控えておこう。私は自制の出来る人間なのですわ。でも自制するなんてらしくないとか云われたしな~~~ッ!  皆さん自分で書きたいシーンとかってあります事? 私はねぇッ、やっぱり後編で先生の手足が吹き飛ぶシーンですわねぇッ!? まぁそれは分かり切っているので、今次に書きたいシーンはC&Cとゲーム部の前でトキにボコボコにされる先生の戦闘シーンかなぁ~!

 

 モモイの代わりに先生負傷するじゃん? 先生抜きでリオに決戦挑むじゃん? フルアーマー・トキが誕生するじゃん? 皆、結構善戦するけれどやっぱり届かなくて、其処に先生が颯爽登場! してトキと対峙して欲しい。

 トキのフルアーマー化はアロナが何とかしてくれるけれど、そこから先は先生一人の役目で、「あなたの生徒(戦力)は皆倒れました、お引き取りを」って冷たく言い放つトキに、「この先に、私の生徒が待っているんだ――絶対に退けないね」って宣言して、そのまま睨み合いになって欲しい。

 

 暫く睨み合った後、先生の鋼の覚悟を感じ取ったトキが、僅かに目を細めて、「――そうですか」って呟くんだ。その後、「―ご指示を」、『……致命傷は避けなさい』、「イエス・マム」って云って先生を殴りつけるんだ。

 勿論、キヴォトスの生徒の拳を真面に受けて、先生が耐えられる筈もない。そのまま背後に吹き飛んで、無様に地面に転がる事になる。それを見てゲーム部やC&C、通信越しに見ていたヴェリタスやらエンジニア部やらユウカやらが悲鳴を上げるんだ。

 拳を振り抜いた姿勢のまま、小さく手を開閉させたトキは、そのまま「人間なら立ち上がれない程度のダメージに抑えました、暫く眠っていて下さい、先生」って呟く。そしてそのまま踵を返そうとするんだけれど、先生は呻きながら腕を突いて、立ち上がろうとする。

 それを見たトキが、らしくもなく驚愕を露にして、「加減に誤りが……? いえ、あり得ません」と。先生は鼻と口から流れた血を拭いながら、無言で足を前に進ませるんだ。

 

 先程の一撃は少し加減をし過ぎた、なら次はもう一割、いや二割、強く打つ、そう考えて再び踏み込み、先生の顔面を撃ち抜く。先生は先程よりも大きく吹き飛んで、そのままシャーレの制服を汚しながら、地面の上を転がるんだ。そして今度こそ確実に仕留めたと確信するトキ。そのまま数秒、残心をしつつ様子を伺う。十秒程待って、立ち上がる気配が無い事を確認し――そっと、安堵の息を吐いて。

 そして、再び肩を揺らし、立ち上がろうと動き出した先生を見て、愕然とする。

 

 多分、小さく「あり得ない」とか呟いて、目を見開くと思う。

 先生は頬を赤黒く変色させ、口やら鼻やらから血を垂れ流しながらも、尚もトキを真っ直ぐ見据え、立ち上がろうとする。足が酷く揺れて、真っ直ぐ立つ事すら危ういというのに、先生は立ち上がり、またトキに向かって歩き出すんだ。

 トキはそんな先生を前にして、動揺する。

 

 先程の威力では弱かった? いえ、あれは人の耐え得る限界値、これ以上は先生の肉体に深刻なダメージが……これ以上威力を上げるのは危険。そう判断して、トキは狙いを先生の頭部から腹部に変更。意識を断ち切るのではなく、苦痛で先生を止める事を選ぶんだ。踏み込み、今度はリバーブロー、勿論後遺症が残ったり、致命傷になる威力は避ける。肉を打つ音と、生徒達の悲鳴が木霊し、先生の苦悶の声と振動が突き抜ける。

 両膝を突いてえずき、もだえ苦しむ先生。それを見下ろし、息を吐き出すトキ。その額に、薄らと汗が滲む。勿論、それは疲労などでは断じてない。精神的な圧迫感による、冷汗だ。

 

 そして勿論、先生がこの程度でくたばる筈もなく。先生はトキを見上げながら、また立ち上がろうとする。それを見てトキは、一歩退いて、咄嗟に先生を蹴り飛ばすんだ。胸元辺りを軽く、弾き飛ばすように。けれど人間の先生にそれで十分で、派手に吹き飛びながら転がり、咳き込む。

 トキは転がった先生を見つめながら、自身の息が乱れている事を自覚する。脈拍が乱れ、呼吸が乱れ、精神に不調をきたしている。何故? と自分に問い掛けるのだけれど、明確な答えは返って来ない。ただ、また先生が立ち上がる事を自分が恐れているのだと気付き、「――もう、立ち上がらないで下さい、先生」って云うんだ。

 先生は、その言葉を耳にしながらも、また立ち上がろうとして。

 それを見たトキの表情が段々と不安を滲ませて――。

 

 っていうのを延々と書いていくと機械仕掛け後編になってしまうので、先生がボコボコにされて血反吐撒き散らして生徒達が絶叫するのは本編で見ようね。書けるかは知らんけれど、書けたとしても何ヶ月後か分かりませんわ~ッ! はーッ! 一日中小説書いていてぇですわ~ッ! 何で人間って勉強したり仕事したりしないといけないんでしょ、労働はクソですわマジで! 五千兆円あったらマジで毎日投稿でも何でもしてやりますわよこんすっとこどっこい! とか云っても現実は変わらねぇんですわ~ッ! 先生の手足を捥ぐ、その幸せを噛み締めて生きて行く、それが私達に出来る唯一の善行ですの~! ヘイ、ブッダ! これだけ幸徳積んだら楽園(楽土)行きは確実ですわよねぇ! アロナァ! 無料百連で星三ひとりってどういう事だッ!? 確率論的には三人は来る筈だろうがよォ!? ゆるせねぇ~ですわマジでッ! あなた、『覚悟』は出来ていましてェ~~~ッ!?

 

 おらッ! 罰としてキサキ会長と一緒に「ぐんぐん体操」しろッ!

 テレビの前で両手を突き上げて、「ぐん、ぐーん」って云いながら背伸びするんだよォ!? キサキ会長を見習えッ! へへっ、会長、こちらに御菓子とか紅茶とか用意してありますわよ? あっ、緑茶の方がよろしくて? 玄竜門の方に迎えを寄越すよう連絡しておきますわね? オラッ! アロナァ! 「ぐん、ぐーん」の発音が聞こえねぇぞ!? 罰として先生の手足捥ぐね? あーッ! 先生がアロナ泣かせたぁ~~ッ!? いけないんだーッ! いーけないんだッ! 先生にいっちゃお~~~ッ(を捥いじゃお~~~ッ!)! でも私としては先生が逝ってくれた方が嬉しいですわ。

 

 

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