IS―インフィニット・ストラトス―IXA   作:理十日

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第四話 白

 

 

 

 

 それはなんというか学園というより塔か城といった方が私なりには納得ができた。

私は校門の前で立ち止まり、どこまであるかもわからりもしない天辺を首を上げ、眺めていた。

綾陽は門を潜り抜け、私がいないことに気づき、戻ってきた。

ぐいぐいと袖を綾陽は引っ張りその場所から動かそうと一生懸命だったが、私は足を進ませられながらも上から視線を変えずに眺めていた。

思わず口がポカーンと空いた姿は少し恥ずかしかったが、我を忘れ見とれてしまうほど綺麗で芸術的だった。

視線を上から下に落とすと、外周は皆真っ白と言わんばかりの白装束姿を披露していた。

時間帯がギリギリとはいえ人がここぞと言わんばかりに群がるように集まって来た。

一番に目立つのはもちろん私。周りを見てから私を見ると今のところ私だけ制服を貰っていないらしい。

違う意味でポカーンと口が開いてしまう。

ここに止まり続けるのは返って変と感じた私は足を下駄箱の方に向かわせる。

突然足を進めた明日乃に対して、綾陽はワンテンポずれてついてきた。

 そもそもIS学園は篠ノ之束が作り出した最強兵器を世界に知らしめ、ついでに作られた学校なわけなんだが……、その件で某A国はヤクザみたいなことをちらほら言ってたかな……、たしか。あまり記憶にないけど、自分のケツは自分で拭け!みたいなことを言ってたような気がする。

 

 

 

 

下駄箱を探していたつもりがいつの間にか迷子になっていた。地図も見ずに進むからこうなったのだろう。分かっています。つい、冒険心が…ね?

だが、綾陽が背後から私の腕を強引に引っ張り、前へ前へと私を誘導してくれた。それはまるで妹をあやすお姉ちゃんのように。

その腕を解こうとは思わなかった。解いたとして私に辿り着く事が出来るのだろうか?――たぶん、絶対無理だと言ってもいいだろう。

妹の腕は温かく、少し強引で荒っぽいが、どことなく安心感を私に与えてくれた。

(これじゃあ、どっちが姉だか・・・)

 私の腕を引っ張るや傍ら、余った手の方で紙切れとにらめっこをしていた。

 引っ張られていながら、周りを拝見していたが構造は複雑。

 とても、方向音痴の私には骨が折れるような光景だ。あまつさえ頼りになる綾陽が少し困惑をしているのを遠回しだが見てとれた。

 引っ張られていた腕が急に軽くなった。腕を離されたようだ。

 不椀艇の姿勢から解放。少しほど多く歩く。

 姿勢を直すと、小洒落た外観の下駄箱がそこにあった。

 視線は釘づけ。再び開いた口が塞がらない。

 これが女の園。IS学園なのか~~!!と圧倒された。

 ずらーっと並ぶ下駄箱のはずなのに、どこか違う世界に来てしまったのかと思わせるほど、私が今まで通ってきた学校と言うものはなんだったのだろか!?っと、常識を覆された瞬間でもあった。

 一歩足が下がる。そして綾陽もたじろぐ。

(このままでは、田舎もんだと、思われてしまう…ここは平常心を大切に、…しなくては!)

 ゆっくりだが、背後の綾陽にアイコンタクトを覗う。

 目と目が合い。頷き合う。

 そして、数秒の間。明日乃が足を前へと進ませてその場から動いたが、直ぐに足は止まり綾陽の方を見あり、真剣な面影でこう言った。

「綾陽…、下駄箱ってどこに入れてもいいのか?」

ずごっと、綾陽がその場でこけた。芸人顔負けとはいかんが、綺麗なこけ方だった。

明日乃は自分が何か間違った事でも言ったのだろうか小首を傾げた。

( 真剣な表情で聞かれ何事かと思ったら。そんなことだったのね…お姉ちゃん)

 少々戸惑ったが、こんな事を聞かれるだろうと確認は済んである。でも、こんな形で来るとは予想外だった。

「……え…っと、ここだよ!」

 再び、綾陽が先頭を切って歩く。素直にその姿を追いかける。

綾陽の案内は私の下駄箱の苗で終了した。靴を入れる場所の指定は既にされていた。その情報も綾陽に教えてもらった。その本人は番号が違うため、私を一人残し自分の下駄箱の方へ足を運ばせた。

(また、姉の株が落ちてゆく…)

 一人になったことにより、感じていなかった感情が込み上げてきた。少し落ち込む気分で、ため息が無意識に出た。

 だが、まだ挽回する機会はあるはずだから、これを教訓として胸に刻むことにする。

上履きに履き替えて、その場を少し歩くとフロアに躍り出た。

アリーナに行きたいのだが、その道中の白く輝く廊下はとても歩くのが申し訳ない気持ちにさせた。

だがお構いなしに歩かなれば、その先に進むことも、またただ時間を無駄にするだけになってしまう。その小さな決断をした結果だった。

綾陽はそんな事を気にする事をせず容赦なく進み、アリーナの方向に向かっている。私もその後を追いかける。取り残されるのは御免だから。

 

 

 

 

 学園のお泊まり会の説明はあっさりかつ普通で、短時間で話は終わった。現在待機中。

アリーナの床には黒いパイプイス(少し高そうなヤツ)が規則正しく並べられていた。前方はほとんど席が虫食いのように所々開いているくらいで、二人席がたまたま開いていないので後方を仕方なく選ぶしかなかったが、もうちょっと遅れていたのなら二人ともバラバラに座っていたかもしれない。

座った時に気づいたが、周りは私や綾陽の様な学生しかいなかった。当然だが、なぜか引っかかる。

いくら寮制だからといって、見送りくらいする親だっているような気がする。親ならそういう風景は気になるはずだろう?自分の娘がこの場所で三年間通う訳なんだし、少しは環境を見るなり、設備やその他知りたいことはいろいろあるはずだし、見学もアリって、紙にだって書いてあったし…―――たぶん?

とにかく、実に寂しい風景だ!ということを言いたいわけで…。

本当に、学生しかいない。それが最初の感想だが、もしかしたらこれが当たり前になる日がくるのだろうか?―――わからない。たぶん少なからず私は簡単には変わらないはず……?

説明が終わって数分。周りは少しずつだが、にぎやかになりつつあった。

便乗した勢いに任せて話せればと思い、私も何か話すネタを…。と考えてみるも、ここぞと言うばかりに何も出来ない。真っ白な紙の上に白色を塗るような感じでなにも出てこない。こういう時に思うのが昔から人とよく接していればよかったなと、切実に感じた。

動くのは口よりも弄ばしている両手だけで視線はやや下向きを見ていた。

時間はカチカチと聞こえもしない秒針によって進んでいく。

綾陽に何か話そうかと思い、ちらっと一瞥するがそわそわしていて妙に話辛いのでパス。

少しだが、にぎわいが和らいだような気がする。気のせいだろうか?

変な感覚がして、視線を下から上へ移し、外周を見やった。

――っと、一点で視線は止まる。

先程までして進行役が進行をしていたアリーナの右奥の小さなスペースに設けられた式典に進行者ではない人が立っていた。

各人で各教室に向かい待機してるようにとスピーカー越しからアナウンスが入り、各人はそれを鵜呑みし、何かに導かれるかのようにアリーナを後にする。

空いた時間で周りを見たが私以外やはり皆白装束姿で、こそこそと小声でなにか話しているのが何度か目の当たりにしたが内容はよくわからなかった。もちろん私の事だろうけど……。

(気にしたら負け、構うもんか!)

それぞれ息の合う者や適当に一人で散って行く者、派手な子、地味な子なんかを適当に見ていると改めて人間性の個性差を思い知った。

周りが適当に流れて少なくなった事を気に、その場から出ようと隣にいる綾陽に声をかけようと思い彼女の方を見たが、そこにはいなかった。

慌てた私は周りを見やったが、それらしき姿はいない。もしかしたら、勢いにのみ込まれてどこかに行ってしまったのではないか?と思考が推理を導き出す。

ポケットに仕舞い込んだ携帯端末を取り出そうと思ったが、この場所にわざわざ戻ってきてもらうのもかわいそうなので、一人でこの場所を後にする。

 

 

 

 

正直、私だけがこんなに真剣に見て回っているような気がする。それにしても校内は一面真っ白に塗装され、高級ホテルか何かに思わせる印象が大きかった。学園の噂は本当だった。

 どこを見ても、白、白、白。…こりゃあ、方向音痴にはキツイかもと苦笑する。

 今は周りの女子とペースをやや半歩遅らせ後を何気なく付いていく。この時なんとなくコソコソと怪しい声が聞こえたが、やはり気にしなかった。

そこらを歩き回りながら、掲示板に掲示されてA4くらいのサイズであろうものを見た瞬間封筒の中に学園内の地図が入っているのを思い出したが、それは必要なかった。なぜなら、説根以下の時に渡された紙の裏皮にはご丁寧に教室の配置場所が描かれていたのだから。

(なんだぁ…描いてあったんじゃん…!…余計なところで、もう!)

 前方の女子たちが止まると、反射で足が教室の前で止める。ちらりと教室の方を見て、紙を見てを何度か繰り返し、息を整える。

最終確認を済ませ、中に入る覚悟もでき、周りに便乗して教室に赴く。

 最初の一歩はなんだか、新鮮な感じがしたのと、私に注目が集まる。

一瞬。足が竦んだ。これが、注目されるモノの運命か!?と内心で、絶叫。

 見つめられる理由はなんとなく分かる。制服を着ていないからだろう。

(なんだか、心地良くないな…)

一瞬の沈黙。静止したクラスメートと私。気不味い雰囲気で、教室間違えましたとネタっぽいことをしようと思ったがやめた。だって、絶対笑わないもん。冗談通じないもん。この空気。

前者の三人はこの空気スルーして自席の紙が貼られている黒板に目線を合わせている。こっちの事より、自分の方が大事なのかと、目線でアピールするも空しく届かず。

(猛獣の檻に入れられた気分だよ~!!どうしよう!!)

 体中に変な物が走っている感覚がした。たぶんだが、これは冷や汗だろう。

(わかる。分かるよ、私は絶滅したはずのツチノコかなんかに見えるはずだろう)

 一瞬とはこんなに長いものだろうか?私にはわからなかったが、皆はどう思っているのだろうか?それも分からない。自問自答を混乱している頭も中で行う。たぶん今直ぐ出てくる答えではない事は分かっている。

(……ヤバい。テンパっている…)

ぐるぐると回っているような感覚が明日乃を襲う。

(そうだ、席に辿り付け…ば、何とかなるだろう…?)

ぎこちない動きだったが、辛うじて表にはあまり気付かれてはないと思い込み、自席が記載されている紙きれの本へ足を進ませる。

 とりあえず、動き回るようなことはなく、自席に落ち着き、白い封筒の中に顔を覗かせ、入っている紙を封筒から引き出す。それはどこかに記入漏れがないかを確かめるためでもあり、周りからの視線を気にしないためのカモフラージュでもあった。手先は何気なく小刻みに震えていたが、それでも書類に目線を落としフェイク。

 手に取った書類は素早くかつ丁寧にチェックされていく。一枚目、二枚目……、よし。何も変わったところはなく、安堵をついた。

自信はある。もちろんこれは列記とした渾身の作品なのだから、ないわけがない、のだが、本音を言えば少し心配だったが安心に変わった。

 それを封筒に仕舞い、封を閉じスポーツバックにしまおうとする動作をしようとしたが、しまう時点で、ひとつ気になったことがあった。それはどうしてこの白い封筒を校門のところで集めなかったのかという疑問だった。普通なら集めるのは校門という相場な場所ではずだろう。

予想が正しければ、このあと教員の指示の元で、っという考えが二の次三の次と予想範囲で考えられた。

 席に座り落ち着いていたが、ドアの方に視線を送る。クラスに入る人がだんだん少なくなってきたのだ。左腕につけてある時計をみやるが、教室にも時計があることをお気づいたのはほぼ同時だった。

(やることがない。どうしたものか……)

 自席が窓側ぞいなのをいいことに空を窓ガラス越しから眺める。

 天から刺す光を窓は抵抗もなく教室に光を広げる。

 綺麗なのはいつ見ても変わらないが、今日は何故か特別な感じがするのだ。

 夢の女の子の発言に、景色、そして温もり。それは二度寝して見た夢なのだが何か良くできている夢とは違い、リアルに近い。ような夢のようで、夢じゃない。白昼夢というのだろうか?

(そうかもしれない)

 ただ、わからないのだ。自分が見た夢を。何が起きたのかも。

 

 

 パァァアアン

 

 

「ッタ!!!!」

 ただ、痛いというリアクションをするのではなく、言葉が先に出た。

 頭を押さえ、回りを見渡す。そこには、一人の女性が名簿を持ち、明らかに私を叩いたんだという場景を演出していた。それとワタワタする女性もこちらの様子を見て、何か言ってるけど、上手く聞き取れなかったというより、聞きとる気はなかった。

 叩かれた後頭部を押さえながら、次いだ。

「貴女は………?」

 パンっ!

 叩かれた。二度目だ。

 女性は薄く笑い。こう継いだ。

「織村千冬だ。覚えておけ…!」

 その一瞬は深く脳内に焼き付いた。たぶん忘れない。この痛みが忘れてもこの網膜は覚えているだろう。

 そして、女子たちの黄色い声援も一緒に。

 黒いスーツにタイトスカート、後ろ髪をストレートに束ねた癖っ毛の黒髪。鋭く細い瞳は一匹狼か鋭利なナイフかを思わせた。

 そして、入試の時に担当だった試験官でもあり、なんだか嬉しく感じた。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 仮SHR(ショートホームルーム)は周りがいつまでも声援を送っている訳ではなく意外と静かだったためスムーズに進み、白い封筒は教員の指示の元で回収され予想していた通りにことは進んでいった。

「では、以上です。これから皆さんには寮の方に行ってもらいます。部屋割りは手元にあるプリントに書いてありますので自分たちで確認してください。では、解散してください…!」

 言下の後、しばらく教室は賑やかだった。

 私は特に話す相手もいないので、教室から出ることにする。床下に置いた、スポーツバックを持ち上げ、肩に掛ける。

「あの~……!」

 背後から弱々しい吐息のような声が聞こえた気がしたので、一瞥。

 そこには腕を後ろに組むような素振りを見せ、視線をこちらに向けたり、そらしたりと忙しい、そんなような姿から人見知りか緊張のどちかとしか感じとることはできなかった。

「何かようかな?」

 軽く見ただけで、イメージするのは失礼と思い振り向くとそこには女の子が立っているのはあたりまえだが、一瞥したときとは少しだけ、違うような気がした。

 金色のボブカット。前髪には中心にリボンの付いたカチューシャがつけられていたことにより、それはワンポイントになっていた。大きく、パチリと見開いた目から人にはあまり出さない、いや、出せない優しさがあった。

「頭だいじょうかなーって、思って………!」

 その子は、頭に両手を当て叩かれて痛いのポーズのジェスチャーをした。

「そんなことはないよ、とは言えないなぁ。確かに痛かったし」

 でも、すぐに癒えたよって、言うと彼女は苦笑していた。この笑い方は少し引いているような感じがした。

「えーっと私、私はユウ。杉本ユウ」

「藤崎明日乃だ。よろしく」

 右手をユウの前に差し出す。つまり、友達としての証として握手をしようという意味だ。

 ユウは少し照れた素振りを見せ、私の右手を握ってくれた。

 友達。ここでできた初めての友達。

(なんだか、心がむず痒くやる)

 クスッとユウが笑うから反射的に笑った。

 

 

 

 

「寮って、あれだよね?明日乃?」

「ちょっと待て、今地図み……あっ、ユウ先に行くな…!」

 明日乃の制止が届くころにはユウは弾かれたように遠くに、遠くに走っていた。

(この体力バカ……!とかいうべきなのかな?)

 息を上げながら、ユウの後を追うがどこにもいない。かと、この場所を他の生徒が歩いているようなこともなかった。日が丁度真ん中になる頃だ。日差しが眩しい。

 まだ、教室を出て間もないが、周りには人一人歩いていない。

 ちょうど、昼時だから昼食でも摂っているのだろう。それと部屋で大人しくしているのか、他にも色々と考え付いたがこの二つが特に強かった。

 とにかく、自室を見つけなくてはならないのでそこに立ち止まる訳にはいかなかった。歩く。歩く。ひたすら歩く。

 ここはやはりホテルか何かか?!とツッコミたかったが、止めた。言ったところで変人扱いを受けるだけだ。

 もしこんなとこで注目を浴びるとなると色々とめんどくさいのだ。だから、諦めて探すことにした瞬間、

「ん?」

 目線がナンバープレートに止まった。

 口を開け呆然。手に収まった紙をみやる。

 ――――ちらりと、二度見。

 どうやら、見間違いということはないらしい。

 一息つき、木製のドアを軽く二回ノックする。心地よいノックの響き。

 返事がない。いないのだろうか?もう一回試みるが、返事がないのでドアに触れ捻る。

 ガチャリとドアが抵抗をすることなく開くことに無用心だなと、少し呆れた。

 空いたドアの隙間から顔を覗かせ中の様子は静まり返っていて代えって変な感じだった。

 誰も中にいないことを確認して中に入る。

 やはり、ここはホテルを思わせる。何度も言うけど。

 真っ白な壁紙は清潔感をだし、ベッドが二つ並び、化粧台とテレビが設備。もうひとつドアがあるのはトイレと風呂場が一所になっているタイプだろう。

 肩に担いだスポーツバックを適当なところに置き、ベッドに腰を下ろし体重を預ける。

 フカフカのベッドはさわり心地よく、つい寝入ってしまいそうになるが、体は素直だ。横たわってしまった。

 気持ちがいい。

(ん~~~~~!)

 両腕、両足が伸ばされ、瞳には玉が浮かかぶ。気の済むまで伸ばし、上半身を起こす。首を適当に何回か回し、見慣れない部屋を見渡す。

 レースのカーテン越しから入る光は朝のことをふと思い出させる。立ち上がり、窓ガラスの方へ足を運ばせる。レースのカーテンを剥ぎ、窓ガラスに手をつく。

 外を見ようとした。

 ガチャン――――

 慌てて、何かに弾かれたかのように振り返る。

「おねぇちゃん?………お姉ちゃん!?お姉ちゃ~~~ん!」

 何故三回もお姉ちゃん言われたんだろうか?そんなに嬉しいかね?私は嬉しいけど。

 一回目のお姉ちゃんは疑問系。二回目、私を完全に姉と判断し、三回目は感極まり飛び付いてきた。

 そして窓ガラスに頭をぶつけ、意識が遠くなるのが分かる。綾陽の顔が近くなったり遠くになったりするのは分かるが、肝心の顔がボヤけていた。

 

 

◆◆◆

 

 

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