V.V.と玉城の完結した在り方   作:夜半の月

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完結はしているのですが玉城の誕生月という事で小ネタを一つ。


玉城のお誕生日と冒険の前の恥ずかしい話

 

 

 

 

 玉城のお誕生日と冒険の前の恥ずかしい話

 

 

 

 

 

 それはふとした思い付きから聞いてみた事が切っ掛けだった。

 

「あれ? 真一郎。真一郎のお誕生日って確か3月3日じゃなかったっけ?」

 

 日々の家事と、疎開での情報収集や、探索の忙しさでつい忘れてしまっていた玉城真一郎の誕生日。愛する夫の誕生日だからこそV.V.は忘れたことが無かった。

 

 ただここ最近はとにかく玉城の永遠の実現、コードの保持に向けての旅程を組んだりと忙しかったので忘れてしまっていたのだ。夫失格である。

 

「ああ、そうだけどよォ。最近はV.V.も忙しかったろ。だから仕方ねーじゃん。いいよいいよ俺の誕生日くらい。来年もまた――」

 

 と玉城が流そうとしたところを。

 

「駄目だよッ! 真一郎のお誕生日なんだよ?皇歴2016年3月3日の真一郎のお誕生日は、今年だけしかないんだよ!?」

 

「ん、んな事言ったってよォ、もう数日過ぎちまってるし」

 

「じゃあ今日しよう!」

 

 V.V.が無茶を言い出した。V.V.は基本的に冷静な男性だが、玉城と結婚し、彼と暮らす間に少し彼の影響も受けて、無茶なことをしでかしたりすることもあったりする。

 

 

 

 疎開内部で玉城と夫夫仲良く連れ立っているとき、「イレヴンが」と玉城の事を指し、吐き捨てた男の脛を蹴ったりするなどが良い例だ。

 

『僕の真一郎を馬鹿にするな小僧っ!』

 

 愛する者を馬鹿にされて黙っていられない。それは玉城の無茶の影響と、玉城への深い愛情が為した行為なのだ。

 

『この馬鹿っっ、何やってんだっ!!』

 

 もちろん玉城に抱きかかえられて、その場を逃げることになる訳だが。イレヴンがブリタニア人に手を上げたとなれば、それは厳格なる階級社会のブリタニアはエリア11では許されない行いだ。

 

 といって、やったのはV.V.。ブリタニア人だ。しかも白い高級そうな服に、こちらも高級そうな黒いマント姿という、貴族を思わせる格好の。

 

 この場合はV.V.の外見年齢も手伝っておとがめ無しなケースが多い。しかし、脛を蹴られたブリタニア人の男がV.V.に対して暴力を振るう可能性がある。

 

 当然、玉城は愛するV.V.を身体でかばい怪我をする。こうなるとV.V.は自分の所為で玉城が怪我を負ったとV.V.が泣いてしまうのだ。

 

 幸運のギアスが自動発動して事なきを得る事もあったが、発動が不確定だった頃はそれに頼り切ることも出来ない。よってV.V.を泣かせてしまう結果が待っている事もある。

 

 玉城はV.V.を泣かせたくない、泣かせないと誓いを立てている。その幾度となくあった強い想いの連なりが、玉城のギアスを成熟した物へと成長させさえした。

 

 今の玉城は両目にギアスを発現できる。自身の自由意志で使えるようになった。それは玉城の心と身体、V.V.への純粋なる愛が起こした奇跡。

 

 V.V.は、ギアスを与えて僅か半年以内で両目にギアスを発現できる様になるとは考えても居なかったので、驚いていた。

 

 玉城は玉城でぼへーっとしながらそんなにすげー事なのかと首をかしげていた。

 

『真一郎の、僕への愛なのかなこれも』

 

『んーわからんけど、たぶんそうじゃねーかな』

 

『ああ、真一郎……好き。愛してるよ』

 

 ちゅっ――。場所も考えずに重なる唇を、玉城は素直に受け入れながらV.V.を抱き締めた。

 

 相変わらず表地が黒、裏地が紫色の、足首まで裾が届く夜の色を思わせるV.V.のマントが。

 

 彼の白を基調とした宗教指導者のような法衣服と良く似合っていて。

 

 そのマントの表面を滑るようにして流れ落ちる、V.V.の踵まで届く月の色と似た金色の長い長い髪が煌めいて美しい。

 

 俺の夫は、V.V.は、こんなにも綺麗だ。この綺麗な伴侶を俺は独り占めしている。

 

 なんて幸せな事で、なんて許されねーことなのか? こんな美しい夫を独り占めにして罰が当たりそうだ。だが、こいつは俺のモンだよ。神だろうが仏だろうが誰にも渡さねー。

 

 離れる唇。

 

 でも、またその唇は塞がる。今度は玉城の側よりの口付けを以て。

 

『俺だけの、俺だけのV.V.……、愛してるぜ……ん』

 

『あむ、んッ、しん、いち、ろ……んんっ』

 

 V.V.の紫色の瞳には、玉城の逆立つ茶色の髪が目に入る。彼は、真一郎は僕だけの物だ。この塞がれた唇は、真一郎が僕の物だという証なんだ。

 

 紫色の衣服、青いジーパン、安っぽい彼の私服はとても貴族を思わせるV.V.の服装とは見合っていない。

 

 61歳のV.V.と23歳の玉城。年齢でも見合わない。背の高さだって幼い少年な外見年齢のV.V.と、一端の大人な玉城とではかなりの身長差がある。実際は二人とも大人。V.V.に至っては老齢の年齢に達しているのだが。

 

 この孫のような年齢の日本人の男の子は、この僕だけの物なんだ。誰にも渡しはしないし、二度と喪わない僕の半身。僕の大切な夫。神様にだって僕らを引き剥がせやしないさ。だって僕はもう真一郎無しでは生きてはいけないから。

 

 

 

 何もかもがちぐはぐな二人。そのちぐはぐな二人の目線とピースが合う時。それが口付けの時だ。

 

 瞳と瞳で通じ合って、腕と腕で抱き締め合い。唇と唇で熱い想いを伝え合う。

 

 僕は真一郎を。

 

 俺はV.V.を。

 

 愛している。

 

 

 ◇◆◇

 

 

「変な処に挿れたりしないよ。病気になって困るのは僕の愛する夫だからね。だからいつも絡ませ合って擦り合わせ合うんだ。とっても気持ちが良いんだよ? 真一郎は僕のと絡ませ合いながら、僕のにとても優しく擦り付けてくれるから僕はいつも感じちゃうんだ。それで、僕に優しくしてくれる真一郎に、僕も擦り付けてあげるのさ。擦り合わせて一緒に気持ち良くなれるのって凄く幸せを感じるんだよ?」

 

 V.V.は嬉しそうに惚気話であり、夫夫としての愛の時間を近所のおじさんに語る。それは本当に幸せその物で、男同士の話を聞かされているというのに、玉城のお誕生日に呼ばれていたおじさんまで幸せな気分にさせられた。所謂幸せのお裾分けだった。

 

「そうして達するときにはお互いに掛け合ったりする。絡ませ合っていたお互いの物に掛け合って、身体にも掛け合って。もちろん飲ませ合う事だってある。どちらかが我慢して、大体は僕が我慢して先に真一郎のを僕が呑んでから、今度は真一郎が我慢していた僕の物を優しく握ってくれて、お口に入れて僕のを呑んでくれる。普通に毎日してる事だよ。だって僕と真一郎は愛し合う夫夫だもの」

 

「ははっ、いいねえV.V.ちゃん! 玉城くんとラブラブだねえ! おじさんまで幸せな気分になってくるよ。いやあ男同士の馴れ初めを聞いて気分良く酔えるのは玉城くんとV.V.ちゃんだけだねえ!」

 

 おじさんは愉快そうに笑う。このおじさん。玉城とV.V.のアパートの近所に住んでいて、二人の結婚式に出席した人の一人だった。結婚式と言ってもゲットーで行う質素な結婚式だったが、その時、V.V.は髪が長いのと容姿が美少年と可愛らしいのとで、白無垢姿で結婚式に臨んでいた。

 

 玉城はV.V.の白無垢姿のあまりの綺麗さに呆然とした物だ。交わす杯を取り落としそうになったりして、「しっかりしろよ玉城!こんな綺麗な旦那を貰うんだからよ!」「幸せにしてやれよ!」とゲットー住民ならではの口の悪い野次が飛んだりした物だ。序でに誰もが美しいV.V.を玉城の嫁的存在としてみていたようだった。

 

「お、おい、V.V.ちゃん? このおっさんになんで俺たちの愛し合う時間の話をしてんのかな??」

 

 玉城は焦る。

 

 ストロングチューハイを六缶も開けてしまったV.V.。玉城のお誕生日と言うこともあって愉快な気持ちで飲み過ぎていた彼は、とんでもないことをいきなり話し出したからだ。

 

 そりゃ玉城とV.V.は愛し合う夫夫。やることもやっている。その際に不浄なことはしてないんだよと変な事に拘って力説し始めたのだ。

 

 おじさんに分かって貰いたかった。その一心で。別に相手が誰でも構わない。僕と真一郎は真っ当に愛し合っているのだと。

 

「キスはねェ。真一郎からしてくれることもあるしィ、僕からする事もあってさぁ、僕からする方が実は舌を絡ませ合わせてェ、真一郎の舌の裏をなぞるように舐め上げてねェ? それで舌全体を絡ませてしっかりとふれあうんだよォ」

 

「こ、この馬鹿っ! そんなことまで話すなっ!」

 

「エー?なんでー?」

 

「どんだけ酔ってんのV.V.よォ」

 

 言い合う玉城とV.V.に、おじさんは別にいいじゃ無いかと止めに入った。

 

「いーよいーよ玉城くん。玉城くんのお誕生日にV.V.ちゃんも語りたいんだよ。夫夫なんだから愛し合うのは当然だし、する事もして当然だよ。何も悪いことじゃない、愛の話で幸せな話だよ。おじさんも普段聞けない男同士の夫夫の愛の話を聞けて勉強になるよ」

 

「いや俺が恥ずかしーし構うっつーの! つーかV.V.は普段こんな話はぜってーしねーんだよ!酒に呑まれて俺の誕生日って事でご機嫌になっちまってる~っ!!」

 

「あはははは真一郎が二人居るぅー。二人で僕を愛してくれるのォー?」

 

「俺は一人だよ馬鹿っ。おめーが飲み過ぎて目の焦点が合ってねーんだよ」

 

 ふと立ち上がり。ふらふらと歩きながら玉城のあぐらの上に座ったV.V.。

 

「っと、大丈夫かよお前」

 

「僕は不死身だーっっ!!」

 

「知ってるよ」

 

「にゅうう」

 

 V.V.は散々惚気話と恥ずかしい話をぶちまけまくった後、玉城のあぐらの上に座り込み、玉城の胸にそっと頭と身体を寄りかからせて、一人静かに眠ってしまった。

 

「ったく……あー、なんかわりィなおっさん。変な話とか、そのよ、性的な話まで聞かせちまって。あー恥ずかしーわ……」

 

「別に構わないさ玉城くんとV.V.ちゃんが離れられないくらいに愛し合ってることがよく分かったし、結婚式に出た身としては安心かなあ」

 

 おじさんはワンカップをくいっと呑む。

 

 玉城は自分の身体に寄りかかって眠るV.V.の頭を優しく撫で、長い長い彼の月の色の金髪を優しく愛撫する。

 

 頭を撫で、髪を撫で、マント越しに背中も撫でてあげると。

 

「にゅううー」

 

 と、よく分からない寝言を口にするV.V.。実に可愛らしかった。

 

「来週からキュウシュウに行くんだって?」

 

 おじさんが切り出す。

 

「正確にはキュウシュウから中華連邦入りして龍門石窟だったか言うとこ行くんだってよ。その後はトルコか中東か目指す、またはロシアを目指すんだと」

 

「ずいぶんと長旅になりそうだねえ。危険も多そうだし。V.V.ちゃんは何を目指してるんだい?」

 

 本当は秘密の話だ。だがこのおじさんは誰よりも信用できる。だから話した一部だけだが。流石に全部は話せない。それは玉城とV.V.だけの秘密の話だから。

 

「永遠……」

 

「嘘かホントか永遠だよ。おっさんは信じるか?」

 

「正直言うと信じられないな。V.V.ちゃんがおじさんと同い年くらいってのは二人で話す機会も多いから知ってるけど。永遠かぁ」

 

 おじさんはワンカップの残りをぐいっと飲み干すと呟いた。

 

「いや、確かにV.V.ちゃんが永遠に生きるっていうなら少年の姿をしていることにも合点がいくよ。そして玉城くんにも永遠を求めさせようとするのも。V.V.ちゃん、玉城くんがいなくなったら廃人になりかねないからねぇ。V.V.ちゃんが生きて行くには玉城くんが絶対に必要なんだよ」

 

「そう、なんだろうな。俺もV.V.がいなくなっちまったら、たぶん、自殺する……」

 

「玉城くん……。君たちはあれだ。愛し合いすぎているんだろうな。そしてそれは今なお熱く深くなって行ってる。誰かがどうこうできることじゃないんだね。玉城くんとV.V.ちゃんの二人で暖めていかなくちゃいけないことなんだろう」

 

「だろうな……、分かってる。俺も、V.V.も……俺たちは離れられないんだな。永遠にさ」

 

 玉城ははにかみ笑う。永遠に離れられない愛が育ってしまった。この何年もの間に。

 

 それがどうしても嬉しくて。

 

「明日、V.V.ちゃんが起きたら今日の続きをしよう。飲み過ぎないようにしてね」

 

 三人で語り合いたい。玉城とV.V.、愛し合う夫夫の出逢いから今までを二人の口よりもう一度聞いてみたいとおじさんは言う。

 

 二人が暫くの間、日本を離れる前に。

 

 二人が永遠を求めて冒険を始める前に。

 

 

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