ブルーアーカイブ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

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蛇足です


ミネと眠る話

 

 

 

ミネのベッドの上に私達二人がいるとき、服を着ているかは半々である。

 

例えばサイドテーブルを引っ張ってきて焼き菓子なんかを置き、ベッドを椅子の代わりにお茶を飲んでいるときはどうだろうか。私は紅茶が飲めないのでミネと同じものを口にすることはできないのだけれど、お湯の温もり以上にミネの温もりを感じる距離で。例えば今日あったことだとか。例えば次の休日にだとか。しばらく会えなくて寂しかったとか。茶会の席のように対面に座ってしまうと少し照れ臭くなってしまう。ので、これでいいと思うのだけれど。

 

そして残りの半分くらい。淫らな理由で服を脱いでいるわけではない、とは言い難い。口唇を重ね合わせながら相手の身体に触れる行為は、『そういう』ものか救命処置くらいだろう。なんだかもうすっかりミネとの逢瀬の機会も増えてしまい、日常の中に溶け込んでしまっているのだけれども。

ひょっとしてあまりよくはないのだろうか。とも思ってしまったり。

 

療養の際には良いとされる環境があり、良いとされる騒音や明るさがある。今日は天井で発光ダイオードが輝いているということはない。

 

ミネと二人で、寝衣で、布団をかぶって、寄り添って。

私達はこれから眠る。何度も夜を共にしたので、例えば校外学習の時の子供のように、眠りに落ちるまで話し続けるということはない。

すぐ隣に、髪が絡んでしまうほどの近くにミネがいるけれども、彼女だけは私のストレスにはなりえない。でも、いつもはミネと身体を重ねたままいつのまにか眠ってしまうので、眠ることに意識を割くことは物珍しい。

 

ふと、ミネが身体を動かす気配がした。どうやら起きている気配は感じないのだけれども。彼女の腕が伸びてきて、私の胴を抱くように絡まる。おまけのように足まで伸びてきて、半分彼女に押さえつけられているような。

 

なるほど、シムス位は身体が安定し腹部にも負荷がかからないため眠りやすい体位であり、その体位を保持するうえでクッションや抱き枕のようなものを利用するのは一般的なことだ。

いつもは私がミネに覆いかぶさった状態で眠ってしまっているので、睡眠としては良くないんだろうか。ミネと比べると小さな私は、抱きかかえられているのが似合っているのか。

 

今、ミネの腕の中にいる今、きっとここはトリニティで一番安全な場所なんじゃないだろうか。

私はミネが好き。愛しているという言葉に抵抗はない。ミネも、おそらくはそう。そうでもない人と口唇を重ねたり、肌を重ねたりしないだろうから。

もちろんミネが褒めてくれる私にある程度の自尊心はあるのだけれど。執着するように会うたびにバイタルサインを記録して、なるべく貸し借りだとかは考えないようにしているけど、私は何を返せるのか。

 

なんて。

 

ミネに抱きかかえられている今、あるいは彼女の隣にいる今。私はキヴォトスで一番安心できているのだから、今だけは何も気にしなくていい。

 





次はミネに看病される話です
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