ブルーアーカイブ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

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蛇足




深夜に死にたくなった時に助けてくれる救護騎士団員といえば ミネver

 

 

 

深夜の3時

 

どうしてもミネの声が聞きたくて電話をかけてしまった。

ミネは今日書類仕事をしていた私と違って、ボランティアのために野外で活動していたはずだ。

きっとぐっすり眠っている。睡眠時間を確保するように一番彼女に言っているのは私だ。

それでも。うだるような雑音に塗りつぶされて、喉が詰まって、眠れなくて、

電話口で彼女に告げてしまった。

 

 

おわってしまいたい

 

 

自分に嫌気がさしてベッドに放り投げた携帯端末から、ミネの声がする。

 

 

私が行くまでは、我慢してください。

 

 

いつもより少しだけ幼子に言い含めるような。あるいは懇願するような。

ミネが私の部屋に来るとき、きっとチャイムが鳴るものだと思っていた。実際はそれがなかった。

いつの日かミネに渡した合鍵だろう。シリンダーが鈍い音をたてて回る。

ミネは、いつも見る寝間着の上に薄い外套を羽織った姿だった。

乱雑に靴を脱ぎ散らすと、彼女は私の目を覗き込んだ。

視線は私の手首に。口腔をこじ開けてその中を。首元を。継いで換気扇、サイドテーブルの水差しの横に置かれたPTPシート、床に倒れたゴミ箱の中身をはい回って、ミネは私を抱き留め、

 

 

いくつ飲みましたか

2錠だけ。2時間前に。

 

 

ミネの手が優しく背中を撫で、首元に伝う。きゅっと少しの圧迫感。

 

 

呼吸数増加、発汗、頻脈、発熱。どこか痛みますか。

 

 

ミネに頭痛がすることを伝えると、ミネは長く息を吐いた。

 

 

無事でよかったです。

 ごめんなさい

必要な方に必要な救護を。一番大切なあなたも例外ではありません。

 

 

ミネは私の身体を抱き上げると、すぐそばのベッドの上にそれをのせ、自分もベッドに横になるとさらに強く私を抱いた。

ミネの部屋のものほど大きくないベッドが小さく泣いた。

 

 

もし、私の気を引くためのものでなかったとしても、私は止めません。ただ。そのときは私も一緒にしてください。もし、私との逢瀬や、お茶会や、口づけにまだ価値を感じているのなら、いくらでも付き合いましょう。

 

 

ここまで走ってきたのだろう。春先になり、夜でも少し寒さが緩むようになった。

ミネの音がいつもよりも強く感じる。

ミネの手が私の頭を包む。

わだかまっていたものが緩んだ。

 

 

大丈夫です。どこまでも、そばにいますから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________________

 

 

ハナエちゃんは深夜にお散歩に連れてってくれるけど、それがうまくかみ合うかは運ゲーなイメージがあります。

 

セリナちゃんは、おいしいごはんとか睡眠薬とかを携えて不意に隣に現れるけど、一緒に、って迫ると泣いちゃいそうなイメージがあります。

 

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