ブルーアーカイブ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

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あまねく奇跡の始発点以前の構想を、最近手直しをしたものです。F,SCT戦の時期を想定しています。


前提として、アリス、トキを下げる意図を含みません。が、思うところがあった場合はあとがきをご確認いただけますと幸いです。




リオを愛したい (ミレニアム 三年生♀)

 

 

 

 

 

よく隠し通したものだ。

 

コユキちゃんが横領したものはあれは彼女が半分バレてもいいと考えていたから杜撰だったにしろ、要塞都市を一つ作り上げて、それがバレてなお隠遁できる場所まで用意して。

 

建設素材の物流の経路やら、必ず痕跡があると踏んでいたのだけれど、そこからはたどれなかった。

 

打ちのめされてなお、リオは備えることはやめられないはずだ。それなりの回線とコンピューターと、そこに供給されている電力、一人分の生活の痕跡まで。

 

 

やっと見つけた。セーフハウスと銘打っているものの、普通に電気メーターはついているんだな、と思った。

 

どうやら地上にカモフラージュでごく普通の邸宅が。そして地下にこもるための巣が構築されているようだった。

 

地上の建物の扉は物理錠だったのでなんとでもなった。最初は針金を突っ込んでみたけど、どうせ連れ帰るつもりで来たのだから、と銃弾で風穴を開けた。

 

地下施設への階段は、これも床やら壁やらをすべて探さないといけないかと心配していたが、生体認証つきの閉ざされた扉があったのでフローリング材をハチの巣にする必要はなかった。

 

しかしこの扉は厳重そうだった。少量ならエンジニア部に分けてもらった爆薬があるが、それでも貫通できなそうか。床面を崩せば階段や何かの空間にぶち当たるかもしれないが、それでもしリオが生き埋めになってしまってはどうしようもない。

 

諦めて扉を溶かせる何かでも持ってこようか。

 

ここまで近くに来てリオに会えないのは少し歯がゆい。

 

一度メッセージを送ってみたけど、やはり既読はつかない。

 

この壁の向こう側にリオがいるわけではないのだけれど。

 

「来たよ。ねえ」

 

寂しくて扉に手のひらを添えた。

 

 

 

『許可対象の生体データを確認。解錠します。』

 

小さく漏れた惚けた声がかき消されないほど静かに扉が開いてしまった。

 

私を許してくれていることにはうれしさを感じるものの、いったいいつ生体データなんて収集されたのか。

 

扉の向こうには暗い階段が続いていた。

 

悩む必要はなかった。

 

重いバックパックからライトを取り出し、銃身の下に括り付け、スイッチを入れた。

階段の下にも扉があった。

 

こちらには鍵がかかっていなかった。

 

「リオ」

 

扉のすぐ近くには生物の気配はない。

 

「リオ。開けるよ」

 

 

少し暮らしにくそうな空間だった。LEDで十分な光量は確保されているし、ライフラインもある程度整っているようだけど。

 

簡素な折り畳みベッドが壁際に安置されている。ちゃんと眠れているのだろうか。

 

その横には私にも判別がつく程度にわかりやすいパソコンのケースとモニターが置かれた机がある。このあたりのモニターで私が来たことを確認できるのだろうか。眠る場所と仕事の場所は分けるべきだとあれほど言ったのに。

 

「ごはん、食べてる?毎日眠れてる?」

 

机にはリオがいた。私が希いすぎたゆえの幻覚でなければ。

 

誰かに会うような生活をしているのだろうか。記憶の通り着こなした黒い服。少しくたびれてしまっているようにも感じる。

 

「ねえ。会いたかったの。ずっと。」

 

垂れさがったライトが床面をなぞる。

 

指先で、椅子から立ち上がったリオの袖口に触れた。実態があった。

 

手首に触れた。

 

リオは何も言わない。

 

机の上には、リオが使っている携帯端末があった。トークアプリが開かれていて、おびただしい数の通知がたまっている。

 

勝手に、私のぶんの数字を削除した。

 

「私、リオのためなら何したってよかったのに。」

 

手首を優しく、はっきりと掴んだ。

 

このまま無理矢理にでも連れて帰りたい。近寄った感覚では私一人で抱えて帰れる重さだ。けど、

 

 

 

金髪の彼女,リオが選んだのは私じゃなくて別の女で,彼女は何一つ世界の終焉すら私に告げることはなく相談することもなく何もいわずに私の前から消えた,知っている彼女の意思を判断を関係を尊重すると決めたのは私であなたに捧げるものは私の独善でエゴで何かの対価なんて求めるものではないなのあなたの判断だって理由があったのに,自分の判断で世界が滅ぶほどの恐怖すら私に伝えることなんてなくて少しでも,わたしに,あなたはなにもわるくはないのに

 

 

 

でもいい。リオのことは諦められなかったけど。私のことは諦めたから。

 

「何かあったら、誰かに相談してね。あの子でも、ノアでも、誰でもいいから」

 

リオが相談するのなら、ヒマリでさえもきっと悪いようにはしない。

 

聞きたいことはたくさんあった。問い詰めたいことも。

 

「また、来てもいい?」

 

リオは返事をしなかった。

 

何一つ。

 

消し忘れていたフラッシュライトを消した。彼女に背を向けてもと来た道を帰る。

数刻前、私が弾き飛ばした扉をくぐった。

 

空はまだ赤いままだった。

 

未練がましく監視カメラを見つめ去る直前に、少し遠くだろうか。でも大きく揺れた。地震の感覚ではない。どこかで大きな爆発と崩落、そして命の灯らない何かの気配がおびただしく湧き上がる。

 

慌ててまたまた、来た道を引き返す。今この場で一番情報を握っているのはリオだ。

 

彼女と言葉を交わす口実。有事であればきっと恐らく、

生体認証は私を拒むことはなかった。

 

はやる鼓動のままに階段を駆け下り、リオが覗き込んだモニターを背後から覗き込む。許されるだろうと勝手に彼女の肩を抱いた。

 

モニターには、ヒマリが『ホド』と呼称していた構造体と、蛸にも蜘蛛にも見える小さな構造体、無機質な白亜が目立つ大きなサソリのようなもの、

 

リオは思いつめたように手元の端末のトークアプリを開き、閉じ、開き、閉じ、

 

私はその端末を、力のない手から掠め取った。伏せて机に置く。

 

 

『ね、さ。世界を亡ぼす魔王を勇者なんて崇めてる民、守る必要ある?』

 

 

言ってはいけないコトバ。このままリオに負荷をかけていけば。リオに会えるのが私だけなら。いつかはきっと。なんて。

 

 

いい。私は、ちゃんと私を諦めたんだから。

 

「リオ。私が守ってあげるから。どうせここからでもAMASは動かせるんでしょう?」

 

諦めたのに

 

「あなたの後輩は、みんなあなたに似て優秀よ。ユウカも、ノアも。」

 

彼女の弱さに、悩みに付け込んで

 

 

リオは何も言わなかった。

一度だけ、私を見てくれた。

 

 

もう諦めたはずなのに。

 

エンジニア部から分けてもらった爆薬と遠隔操作ができる信管を階段の中腹に設置する。この構造なら上手く階段だけを塞ぐことができるはずだ。自分の携帯端末に起爆コードを構築し、私のバイタルサインとも連動、位置情報をヒマリ宛に用意。

私がここを守り切れなくなれば、ここは塞がれる。

 

 

リオに頼られることがこんなにもうれしいなんて。

もしかすると、今生の、になってしまうかもしれないのに。

 

 

AMASを操作するための通信が検知されているのか、白い構造体の気配がどんどん近寄ってくるのを感じた。さっきは息苦しかった階段を、うきうきしながら駆け上がる。

 

銃身に括ったライトはバックパックに戻した。背負ったサブバッテリーの状態を確認していると、丸々としたドローンが一機ふわふわと飛んできて電力供給用のポートを開いてくれた。

 

リオに施されることがこんなにもうれしいなんて。

 

抱えたレールガンの給電用コードを背中から彼女につなぎ変える。脳内の僅かな領域を彼女の情報が圧迫する。

 

 

手始めに、リオを邪魔するすべてを壊してあげるから。ね。

愛してるって、もう一度言ってもいい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






自分だけで思い悩む暗め一色の感覚と、意識をすり合わせていくちょっとだけ優しめの希望っぽい物。



更新を待っていた方へ

大変お待たせしました。過去作の続き、新作など更新する気持ちはあります。
『ノアをとられる話(仮)』がうまくいきません。お客様の中に文才をお持ちの方がおられましたら脳細胞を分けてください。




思うところがあった方へ

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