ブルーアーカイブ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

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セリナちゃんには積極的に負荷をかけていきたい。


深夜に死にたくなった時に助けてくれる救護騎士団員といえば セリナver

 

 

 

同室のセリナちゃんがいなかったら目の前のモニターかキーボードをこぶしで破壊していたかもしれない。

 

現実では『奇声を発する程度』でぎりぎりこらえられた。

 

ベッドに横になっていたセリナちゃんが、視界の端で慌てて起きるのが見えた。

 

とてもよくわかっている。

 

ゆるゆるな構想と結末の決まっていない書き始め。解釈とコンセプトがばらばらで、形にならないのは自分の欠陥のせい。

 

悩みながらパソコンに打ち込んだ一万文字を衝動で削除しようとして、できず、ボロボロと涙をこぼした。

 

「   ちゃん…」

 

パジャマ姿のセリナちゃんが、優しく私の肩に触れた。

 

セリナちゃんと約束した壁に掛けた服薬カレンダー。一緒に〇をつけたそれをセリナちゃんがバレないように確認していることがわかる。

 

惨めだった。と表現するのもつらい。

 

セリナちゃんに当たり散らしてしまえば低俗すぎる自分にある程度納得できた。でも、現実の私は、セリナちゃんの胸に顔をうずめ、排泄物でセリナちゃんの服を穢すことしかできない。

 

セリナちゃんの手が私の背中を優しく抱き留めてくれた。

 

私は泣くことが好きじゃない。泣いたってなにも解決しないことはとてもよくわかっているから。だけど不思議なことに、泣きたくないと思うほど呼吸が苦しくなり、騒音を気にして口を閉じても体は訳の分からない呻きを発する。鼻水で失われた換気を求めて口の端から唾液が垂れた。

 

きっとドアがノックされた。セリナちゃんの意識がいくらかそちらを向いたからだ。

隣室の  ちゃんだった。

 

殴られるのかと思った。

 

  ちゃんはセリナちゃんと何やら言葉を交わすと、きゅっと私の背中側に温かさがふえた。 

 

「大丈夫だよ。   の壁越しの泣き声なんて、あいつのいびきのほうがうるさくて気にならないんだからさ。まあ…心配はそりゃちょっとするけどさ?頑張らなくてもいいからさ、気が向いたら、新作見せてちょうだいね?」

 

あたたかくて、どうしても消えたくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とても気分が高揚していた。

 

もちろん楽しかったことも覚えている。書きあがったものをインターネットのサイト上に笑いながら投稿して、SNSに乱雑に書き込み、

 

満足できた。解放された、と表現するのも正しい。

 

いつからか、文字を並べる作業に楽しさ以外の義務感のようなものを感じ始めていたけれども。やっぱりこれが一番楽しくて、私の生きる理由なんだって。

 

やったー、と声をあげながら身体をそらして大きく伸びをし、デスクトップパソコンの前の椅子ごと転げた。

 

楽しくて笑いながら、頭を押さえて転げまわる。

 

整理されていた物品を散らかしながら暴れまわり、ふと床面に転がった愛銃を目にする。

 

楽しくて、軽くて、ふわふわして

 

 

どうしても消えてしまいそいうになった。

 

私が今感じることができる気分の中で、最高のコンディションだから。

 

いつも感想をくれていた人はこれにも感想をくれるのだろうか。

 

見れないのは少し惜しい。

 

 

愛銃を拾い上げて銃口を自分の側頭部に当て、ぎゅっと引き金を引き絞る。

 

一発発射された弾丸で受けた衝撃と発射された弾の反動で手の中から愛銃がはじけ飛び、元気な私はもう一度床の上に戻った。

 

ああ、失敗した。

のそのそ這ってもう一度愛銃までたどりつき、今度はどうしよう、眼球のなかに銃口をねじりこめば成功するかなと。

 

 

扉を弾き飛ばすように駆け戻ってきたセリナちゃんが、突き立てようとした銃口と目の間に手を差し込んだ。

 

二発目の弾丸はセリナちゃんの手のひらを貫通せずに止まったようだった。

 

「   ちゃん、」

 

血の流れる手で、私の手から愛銃が連れ去られる。

 

愛銃は捨て置かれ、体がぎゅっと抱かれた。

 

 

セリナちゃんは、一度たりとも私の作品の感想はくれたことがなかった。

 

もちろん何を読むかも当人の勝手だけれど。

 

だからセリナちゃんは私のことなんて好きじゃないんだと思っていた。

 

だって、私の命より大事なものに興味ないじゃん。

でも、

 

 

 

「おねがい、ですから。まだ一緒にいてください。わたし、   ちゃんが」

 

 

 

ずるい。適度に文字を絞ることで解釈したものにとって心地よい音になりつつ、彼女は消して嘘を述べていない。

 

文字以外の私にも、その文句を吐かせる程度には価値があるのだと、思ってしまうじゃん。

 

 

何も嫌じゃない。だから涙は流れない。

 

セリナちゃんをきゅっと抱き返し、耳元で、

 

 

「じゃあさ、いつか、一緒に んでくれる?」

 

 

 

この歪んだ愛情にさえも。価値があると思ってしまうじゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






『助けてくれる』ってなにも生きるように説得してくれることだけがすべてではないと思ってるけど、優しいセリナちゃんには、私は一生適合しなくて、それでもセリナちゃんは優しいから一緒に苦しんでくれる、かな。
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