太陽×2   作:鳩胸な鴨

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世界壊れちゃ〜う!


更なる混乱

暗闇に包まれたエレジアにて。

多くの軍艦が沈む中、無事だったサウザンドサニー号にて、皆が机を取り囲む。

レッド・フォース号も無事だったのだが、ネクロズマが呼び出したウルトラビースト「グラトニー」…正式名称「アクジキング」が暴れたことにより、設備はぐちゃぐちゃになってしまっていた。

今頃は、フランキーや赤髪海賊団、その他多くの船大工たちによって復旧作業が行われていることだろう。

チョッパーやロー、ホンゴウと言った船医も、重傷を負ったシャンクスやゴードンの治療にあたっており、この場にはいない。

カタクリやオーブン、ブリュレなどのビッグ・マム海賊団は混乱の起きた万国へと帰国しており、そちらを鎮めるので精一杯。

海軍も、ネクロズマとの相性が最悪だった故に黄猿が重傷を負った、という事実を重く捉えたサカズキにより、苦渋の撤退を余儀なくされた。

絶望的な状況を前に重い空気が漂う中、ジュースを飲んでいたアマモが口を開く。

 

「ごめんなさい。わたしたちのせいで」

「いやいや!悪いのは『ネクロズマ』っていうヤツなんだろ?

お嬢ちゃんが謝ることじゃねぇって」

 

サンジがそう慰めるも、アマモは申し訳なさそうに目を伏せるばかり。

罪悪感からか、その目尻には涙が溜まっており、サンジの困惑をより加速させる。

と。目を閉じていたゾロが隻眼を開き、アマモたちを睨め付けた。

 

「テメェら、『トンチキサーカス隊』って言ったか?何を知ってる?」

「ウルトラ調査隊だ。お前たちは名前を覚える気がないのか?」

「失敬な。バカマリモとバカ船長だけだ」

「んだとエロコック!3枚におろすぞ!!」

「事実だろうがアホ剣士!!テメェこそユッケもびっくりなミンチにしてやろうか!!」

「喧嘩してる場合か!!」

 

ナミのゲンコツが、言い合う二人の脳天に振り落とされる。

その光景を前に、ダルスは「アホというか、単細胞というか…」と呆れ、こめかみをおさえていた。

暫しの沈黙が流れる。

その沈黙を破ったのは、ダルスがコーヒーを啜り、コップを置いた音だった。

 

「…ネクロズマはもともと、俺たちの世界の守り神のような存在だった」

「そうは見えないけど」

「あの歪な姿を見ただろう。

あれは、俺たちの先祖の過ちによって、体のほとんどを失った姿なのだ」

「あ、こんな感じですか?」

「……」

 

ブルックは言うと頭をとり、空いた穴に箸を詰めてアホヅラを晒す。

ダルスがあまりにふざけた光景に呆れていると、ブルックのアフロをサンジとジンベエのチョップが割った。

 

「フザけとる場合か!!」

「真面目な話してんだよこっちはァ!!

テメェ煮崩れるまで煮込むぞ!!」

「ハイ、すみません…」

 

皮膚がないはずなのにも関わらず、大きなたんこぶを作るブルック。

倒れるブルックを無視し、ロビンが問う。

 

「そもそも、あなたたちと『暗黒』…いえ、ネクロズマには、どんな因縁が?」

 

瀕死に近い手負いだったとはいえ、四皇を制し、大将を圧倒する力を持つネクロズマ。

ソルガレオと同格の存在であるルナアーラを下し、果てはそれを吸収してしまったことで、その力はより強大なものとなったことだろう。

そんな相手に無策で突っ込むのは、自殺行為を意味する。

ロビンが「今は情報が必要なの」と付け足すと、アマモが口を開いた。

 

「ネクロズマは光を生み出し、周囲に莫大なエネルギーをもたらす…。それこそ、わたしたちの世界の神様みたいな存在だったの。

だから、わたしたちの先祖は『かがやきさま』って呼んで、崇めてた。

…子供のわたしも、『かがやきさま』は本当はすごく優しい神様だって教えられるくらい、ネクロズマはあたたかな存在だったの」

「それがなんで真逆の存在になったんだ?」

 

ウソップが首を傾げると、アマモはそれ以上語りたくなかったのか、目を伏せる。

しかし、そうは言っていられない。

アマモの背を摩り、ダルスが言葉を続けた。

 

「ネクロズマは放ったエネルギーを自らの体を媒介に循環させることで、半永久的に生命活動を維持するという生態を持つ。

俺たちの先祖はあろうことか、その循環をわざと乱し、ネクロズマからより多くのエネルギーを搾取しようと画策したのだ」

「…勝手だな」

「ああ、本当に…。愚かな先人たちだ」

 

ゾロの言葉に、「返す言葉もない」とアマモと同様に目を伏せるダルス。

が。彼は罪悪感に顔を歪めながらも、言葉を続けた。

 

「しかし、その実験中、予想だにしないことが起きた。循環が乱されたことでネクロズマの体が崩壊したのだ。

それに耐えきれなかったネクロズマは、苦痛が突き動かすがままに暴れ、一夜にして国の研究員を焼き尽くした。

残った体を無理矢理に組み合わせ、なんとか生きながらえたが…。

その体は最早、かつての光を発することができなかった。

こうして、ネクロズマは解放されることのない苦痛から逃れるために、光を奪って生きるようになったのだ」

 

ダルスが語り終えると、机に雫が落ちる。

その主はダルスではなく、その隣に座っていたアマモだった。

 

「…ネクロズマは悪くないの。ぜんぶ、ぜんぶわたしたちが悪いの。

ごめんなさい…。ごめんなさい…!」

 

アマモがポタポタと机に涙をこぼす。

あまりに痛々しいその姿に、かける言葉が見つからないのか、麦わらの一味が顔を合わせていると。

体力回復のために肉を貪り食っていたルフィが口を開いた。

 

「謝るな!!」

 

ルフィの怒声に近い声に、アマモが弾かれたように肩を震わせた。

 

「お前らの先祖がやったことはとんでもなく悪ィことだ!おれ、バカだけどよ!そんくらいはわかる!

でも、お前らがやったんじゃないんだろ!?

だったら謝るな!!」

 

それだけ言うと、ルフィは満足したのか、焼けた肉にかぶりつく。

アマモがパチクリと目を丸くしていると、ナミが彼女に笑いかけた。

 

「ああいう男なのよ、ウチの船長は」

「でも、ルフィの言う通りだ!あんまり気にすることないぞ!」

「親の罪が子の罪なんて、馬鹿げた話だ。

お前らが背負うようなモンじゃねェ」

「……」

 

サンジがタバコを吹かして言った殺し文句に、ナミが複雑な表情を浮かべる。

と。アマモの相貌から、ぼろっ、と涙が溢れた。

 

「ご、ごめん…。なんで、かな…」

「そういう涙は流してナンボです。

私も以前、死ぬほど嬉し泣きしましたから。

あ、もう死んでました。ヨホホホ!」

 

まだ額に大きなたんこぶが浮かぶブルックが立ち上がり、ケラケラと笑い声をあげる。

と。そんな馬鹿騒ぎを遮るように、食堂の扉が勢いよく開いた。

そこに立っていたのは、ウタに取り憑いていたウツロイド。

シャンクスの懇願によって治療されていたウツロイドは、包帯だらけの体を引きずるように、ルフィへと迫る。

 

「おいっ!まだ動いちゃダメだって言ってるだろ!?」

 

チョッパーがウツロイドに駆け寄り、怒鳴り声をあげる。

しかし、ウツロイドはそれを聞かず、ルフィに迫り、頭を下げた。

 

「べのめのん…」

「…この子はなんて?」

 

ロビンの問いに、チョッパーは複雑な面持ちを浮かべ、答えた。

 

「『あの娘を助けてあげて。本当は、すごくさみしがりやな娘だから』…だって。

えっと、ルフィ…。コイツは毒が危ないだけで、コイツ自身はすごく優しいヤツなんだ!

プリンセス・ウタに取り憑いたのも、彼女が辛そうだったから、自分なりになんとかしようとしただけだったんだよ!

だから…、その…」

 

いくらチョッパーが叫ぼうとも、ウツロイドがしでかしたことは変わらない。

が。ルフィはウツロイドに敵意を向けることなく、笑みを浮かべた。

 

「当たり前だろ。ウタはおれのともだちだ」

 

ルフィは言うと立ち上がり、暗闇に包まれた甲板へと出る。

と。レッド・フォース号の修繕を終えたフランキーが、ルフィの目の前に降り立った。

 

「いつでも出港できるぜ、船長!」

「おう」

 

ルフィは言うと、サニー号の船首へと手を伸ばし、特等席に座る。

サニー号の先には、フランキーとウソップ特製のハーネスに繋がれたくもが、今か今かとその時を待ち侘びていた。

 

「よし、野郎ども!気合い入れろ!!

ウタを取り戻しに行くぞォ〜〜〜!!」

「「「おう!!」」」

 

クルーたちの声が重なると共に、くもの額が強く煌めいた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「…『暗黒』の次は、コレか…!!」

 

その頃、暗闇と『叩きつけるような豪雨』に包まれた海軍本部にて。

島一つが水没しかねない雨を前に、前元帥…センゴクは忌々しげに海を見つめる。

そこに浮かぶのは、美しい曲線を持つ青い影。

ネクロズマが開けてしまったウルトラホールから現れたソレは、ただ咆哮すると共に豪雨を引き起こした。

既にマリンフォードの一部地域は、雨に沈みかけている。

 

こうした異常は、各地で報告されている。

 

報告によると、シャボンディ諸島では巨大な赤の影と共に炎の塊が出現し、大地を焦がしているのだとか。

それだけではない。

一つの国が氷に閉ざされ。一つの国が炎によって焼き尽くされ。一つの国が雷によって消し飛び。一つの国が魂を奪われたかのように全てが石となり。一つの国が空に浮かんだ黒い渦によって滅んだ。

このように、例を挙げればキリがない。

各地に出現したウルトラホールから現れた謎の生物は、海軍の新兵器をもってしても制圧が叶わなかった。

いや。そもそもの話、彼らが生物かどうかすらも怪しい。

天変地異をそのまま形にしたかのような存在を前に、人はあまりに無力だった。

 

「ぎゅらぎゅるぅうううっ!!」

 

マリンフォードを揺らすかのような咆哮が轟き、その影の全容が明らかとなる。

鮮やかな青に、全身に走る金色の輝き。

半透明なその体には、『α』の文字に近い紋様が走る。

まるで、海そのものが生きているかのような姿を前に、マリンフォードに暮らす人々が息を飲み込んだ。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「お逃げください!早く!!」

 

その頃、天竜人の住まうマリージョアの一角にて。

奴隷が逃げ惑い、天竜人が困惑の最中にある中、龍の影が姿を現す。

ズタズタに引き裂かれたかのような翼に、そこから伸びる深紅の鉤爪。

巨木のような六本の足が聖なる大地を踏み砕き、金色の殻に隠れた赤の相貌が、この世界で最も尊ぶべき存在を見下ろす。

護衛に任命された海兵たちやボディーガードがその体に銃を放つも、その体をすり抜けていく。

それを煩わしく思ったのだろうか。

龍は銃を放つ彼らを一瞥すると、鉤爪を軽く振るう。

と。それに呼応するように大地が隆起し、そこから炎のようなエネルギーが放たれる。

それにより海兵、奴隷、天竜人の区別なく、その体が宙へと舞った。

 

「お、お前っ!こんなことをしてただ済むと思ってるのかえ!?」

 

天竜人の一人が叫ぶも、龍は意に介さず。

ただ思うがままに、破壊の限りを尽くす。

直属のサイファーポールたちが嵐脚を放つも、その攻撃は当たらない。

この世の理から外れた者。

そうとしか言えない脅威が、天竜人に向けて咆哮した。

 

「ビシャーンッ!!」

 

瞬間。マリージョアの一角をさらに濃い闇が覆い尽くした。

 

世界を巻き込んだ混乱は、始まったばかり。




ネクロズマ…適当にウルトラホールぶち開けまくって逃げた。その結果、ウルトラスペースの先にいたやべー奴がこぞって出現。

???…ウルトラホールを潜ったらマリンフォードに出た。取り敢えずゲンシカイキしてはじまりのうみ発動させるわ。帰れ。

???…ウルトラホールを潜ったらシャボンディ諸島に出た。取り敢えずゲンシカイキしておわりのだいち発動させるわ。マジで帰れ。

???…ウルトラホールを潜ったらマリージョアに出た。なんか虫ケラがうるさい。そうだ。アルセウスの使いに負けた八つ当たりも兼ねて大暴れしよ。ここならバレへんやろ。ホントに帰れ。

アルセウス…考えうる限り最悪の結果引いちゃって頭を抱えてる。
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