「…で、目処はついてるの?」
「ああ。ネクロズマは更なる力を得ようと、『アローラ』へと向かっているはずだ」
「ソルガレオもたぶん、アローラに向かってるはずだよ」
ウルトラホールの中にて。
麦わらの一味が戦闘準備にあたる中、アーゴヨンの世話をしていたダルスが、ロビンの問いに答える。
アローラという土地のことを知らないルフィたちは、こてんと首を傾げた。
「アローラって?」
「あちらの世界にある、四つの島で構成された地方だ。いわゆる観光地だな」
「すっごく眩しいから、光に慣れてない私たちはこーやって目を隠して、肌を隠さないと、体にガタが来ちゃうの」
「ああ。それで、そんなに真っ青な肌色なのね」
ウルトラメガロポリスには、肌に害を生す光自体が存在していない。
肌が真っ青な理由も頷ける。
戦闘服に着替え終えたチョッパーが「日焼け止め作ってやろうか?」とアマモに問うも、彼女は「別にいいや」とあっさり断った。
と。アマモの視界にふと、神妙な面持ちでウルトラスペースを見つめるルフィ、ゾロ、サンジ、ウソップ、ジンベエの五人が入る。
戦闘服に着替えてからというもの、難しい表情で一点を見つめるだけの彼らに、アマモは首を傾げた。
「あそこに並んでる五人はどうしたの?」
「ウタの気配を探してるのよ。
あの五人、そういう力があるから」
「ふーん」
ロビンの説明に生返事を返すアマモ。
と。五人が同時に目を開き、いくつも開いたウルトラホールの一つを指差した。
「くも!あそこにウタがいる!!」
「ラリオ!」
くもが頷くと共に、足に力を込める。
その視線の先には、神々しいまでに陽の光が照りつける世界が広がっていた。
♦︎♦︎♦︎♦︎
ずずぅん、と音を立てて、くもとサウザンドサニー号が降り立つ。
彼らを出迎えたのは、人っ子一人見当たらない祭壇。
その最奥には、太陽を表すかのような紋様が刻まれた石碑が聳え立つ。
麦わらの一味は船から降りると、そこに広がる神秘的な光景に、感嘆の声を漏らした。
「ここはコスモウムがソルガレオに進化するためのエネルギーを効率的に集積する機能を持つ祭壇だ。
現地の人間たちは『日輪の祭壇』…と、そう呼んでいる。
……まずい。祭壇が起動している。
ネクロズマのやつめ…。あのウタという少女の歌声を利用したな…」
そんな彼らを横目に、光を放つ祭壇に目を向け、ダルスが苦い表情を浮かべる。
日輪の祭壇は、決まった旋律を奏でなくては機能しないシロモノ。
しかし、「天使の歌声」と称されるほどに卓越したウタの歌声であれば、声による再現も可能だったのだろう。
ネクロズマは念力を得意とする存在。
その気になれば、ウタの脳に旋律を奏でることを強要することもできる。
アマモがその情報をルフィたちに伝えると、ジンベエが問いかけた。
「なぜネクロズマがここを起動させるとまずいんじゃ?」
「数多の世界から奪った光。最強のルナアーラ。そして、コスモウムが進化するのに必要な、莫大な光エネルギー。
それら全てを取り込めば、ネクロズマは本来の力を取り戻すことだろう」
「なんだ、いいことじゃない!」
たしかに、ネクロズマが本来の力を取り戻せば、円満に解決するように思えるだろう。
だが、現実はそう甘くない。
ナミの言葉に、アマモが首を横に振った。
「ううん。今のネクロズマには、『光を制御するための臓器がない』の。
たとえ光をかき集めたとしても、ネクロズマの苦しみは終わらない。
そうなれば最後、あらゆる世界は、苦しむネクロズマに滅ぼされちゃう」
アマモが語った推測に、「ひぃいー…っ!」と涙を流し、抱き合うウソップ、ナミ、チョッパーの三人。
彼らの世界では既に、世界の終わりかと見紛う程の大惨事が引き起こされているのだが、彼らがそれを知る由もない。
本当にそんなことが出来るのか、と問われたのならば、アマモたちが可能と断言するほどに絶大な力を誇っていたのだろう。
そんな強大な敵を前に、ゾロは腰に携えた刀に目を向けた。
「世界を滅ぼす怪物か。上等だ。
さっきは人を食っただけのクラゲばっかだったからな」
「…本来のネクロズマの表面温度は、ちょっと触ろうとするだけで鉄がドロドロに溶けちゃうくらい熱いの。
だから、刀だと…」
「嬢ちゃん、知ってるか?刃こぼれすら、剣士の恥なんだとよ」
「最強からの教えだ」と付け足し、アマモの心配に笑って見せるゾロ。
どうやら、トットムジカと対峙した際、ほとんどウツロイドを相手していたことを不満に思っていたらしい。
そんな彼に、サンジやナミが呆れていると。
彼らの眼前に、四つの影が叩き落とされた。
「なっ…!?」
そこに居たのは、なんとも摩訶不思議なシルエットの生命体。
エスニックな紋様が走る殻に、目元。
体躯は小さいものの、どことなく神々しさを感じるソレらが、小さく呻き声を上げる。
チョッパーが駆け寄って傷を確認すると、顔を顰めた。
「ひでぇ…!重傷だ、早く治療を…!」
「そんなこと言ってられる状況でもなくなったみたいだぞ」
サンジが言うや否や、日の光を遮るように、月輪が影となって覆いかぶさる。
ルフィはソレに気づくと、肺に目一杯空気を溜め込み、膨れ上がった体をねじる。
やがて、引きちぎれんばかりに捻り終えると、彼は地面へと空気を吐き出し、天高く跳び上がった。
「おォオオオオオオオッ!!」
嵐のように、拳が月輪…すなわち、ルナアーラを吸収したネクロズマへと迫る。
が。伸びた剛腕がその腕をあっさりと掴み、ルフィを石碑へと投げ捨てた。
ルフィは咄嗟に身を翻し、壁に着地する。
間髪入れずに彼が再び飛び上がると、ネクロズマはより強く輝く。
「『シャドーレイ』…!気を付けて、麦わらの人!」
「見えてる!ゾロ!!」
「おう!」
見聞色を鍛えたことで会得した予知により、ルフィにはソレは既に見えていた。
船長の呼びかけに応えたゾロは刀を構え、ルフィに狙いを定めたネクロズマへと迫る。
「"三刀流奥義"、"六道の辻"!!」
瞬間。六の斬撃がネクロズマの体を走る。
ゾロの渾身の一撃。ソレが直撃して怯まぬ存在は、最強の剣士であるミホークや四皇くらいなものだろう。
しかし、相手は神とまで崇められた存在。
ネクロズマは斬撃に怯むことなく光を一点に集め、飛び上がるルフィへと放とうとする。
が。その細い首に向けて、ゾロの背を踏み台にしたサンジが燃える蹴りを叩き込んだ。
「跳ねっ返りの強い踏み台、ありがとよ!
"悪魔風脚"…、"首肉シュート"!!」
「誰が踏み台だ!!」
踏み台にされたと言う事実が気に食わないゾロが食ってかかるも、ソレをかき消すかのように、轟音が響く。
ネクロズマが放った光線が、サンジの一撃によって晒され、聳え立つ壁に着弾したのだ。
脅威になりうる戦力は揃っている。
警戒するとともに、それを煩わしく思ったネクロズマが、怪しげな黒いオーラを放とうとしたその時だった。
「必殺緑星…!"衝撃狼草"!!」
ウソップの放った緑の狼が、ソレを打ち消したのは。
ネクロズマがそちらを見やる暇もなく、雷が襲いかかった。
「行くわよ、ゼウス!"雷霆"!!」
ネクロズマの薄い翼膜を貫通する"雷霆"。
走った痛みにネクロズマが怯む暇もなく、出現した幾つもの手が彼を拘束する。
伸びた剛腕を振るえば、簡単に抜け出せるであろうが、その暇を与えないように、フランキー…否。フランキーによく似たシルエットの巨体が構える。
「フランキー将軍!異世界デビューの"Vフラ〜〜〜ッシュ"!!」
その名は「フランキー将軍」。
フランキーが操る、男のロマン全開、男児垂涎のロボット兵器である。
はしゃぐフランキーの声に、冷たい視線を送るナミ、ロビン、アマモの三人。
打撃に近い斬撃が炸裂したものの、ネクロズマは即座にフランキー将軍の持つ剣を掴み、口腔に光をためる。
と。そんな口を無理矢理閉じさせるように、ジンベエの掌底が顎に炸裂した。
「堪忍じゃ、お月さん!"鮫肌掌底"!!」
放とうとしていた光が口内で爆散し、目を白黒させるネクロズマ。
ぐらり、とその体が揺れるや否や、杖を構えたブルックが迫る。
「まずはその口を封じましょうか。
"フラーズダルム"…、"管弦楽"!!」
ブルックが切り上げると共に、ネクロズマの口が凍りつく。
これで少なくとも技の一つは封じた。
口を封じられたネクロズマは、剛腕で氷を削ろうと測るも、応急処置を終えたチョッパーが腕力を強化し、ソレを防ぐ。
「くも!ルフィ!今だ!!」
「"ゴムゴムのォ…」
「ラリオォ…」
チョッパーが叫ぶと共に、いつ間にやらくもの背に乗り、巨大な火球を纏う拳を構えたルフィが迫る。
ルフィとくもが裂帛の気合いを放ち、ネクロズマに一撃を叩き込んだ。
「
「ォオオオーーーナッ!!」
太陽を纏った攻撃が、ネクロズマの体を大きく揺らす。
しかし、その体が地に伏せることはなく。
ネクロズマは熱によって溶けた口から、エレジアの一角を消し飛ばした光を放つ。
回避が間に合わない。
ルフィが冷や汗を流した、その時だった。
「カプゥウーーーコッコ!!」
独特な鳴き声と共に、倒れ伏していたはずの存在が、激しい電撃を放ったのは。
電撃が光を打ち消すと、四つの影がチョッパーの前に降り立ち、構えを取る。
「お、お前らダメじゃないか!?
まだ傷が塞がってないんだぞ!?」
影の中の一つ…ピンク色の妖精が放つ、過剰な回復作用を持つ特殊な鱗粉ですら完治できない程の傷。
絶対安静の重傷だったにも関わらず、ネクロズマに立ち向かおうとする彼らに、チョッパーが叫ぶ。
しかし、彼らはソレを聞き入れず、ネクロズマへと襲いかかった。
「リノマヒナペーアッ!!」
と。ネクロズマが叫ぶと共に、見覚えのある赤の音符が彼らに襲いかかる。
ルフィたちは咄嗟に避け、4体は薄くバリアを張って防ぐ。
と。空間を歌が震わせた。
聞き覚えのある、悍ましい旋律。
ルフィたちがそちらを見ると、そこには。
倒したはずのトットムジカが、赤いオーラを纏って顕現していた。
♦︎♦︎♦︎♦︎
────…しかたありません。
あらゆる世界を観測する『どこか』にて。
佇んでいた創造神…アルセウスがため息混じりに呟く。
事態はその想定を超えている。
元々は、アルセウスと渡り合えるほどの力を持っていたネクロズマ。
彼は世界を繋げる力を、衝動が突き動かすがままに使い、多くの世界を滅ぼしてきた。
いくら人の愚かさに原因があるとはいえ、それを免罪符に許される域は、とうの昔に超えている。
ましてや、一体だけでも生命を淘汰できるほどの力を持つ存在たちを、一つの世界に集結させてしまった。
アルセウスは決意を瞳に、一人の人間と1匹のソルガレオを見やる。
────わたしがてをかすのはここまでです。たのみましたよ。
目の前で寝息を立てる隻腕の男に言うと、アルセウスは一つの世界へと歩みを進める。
そこには、破壊の翼によって地獄絵図が広がる一国が在った。
カプ4匹…ヤベェのが来たのですっ飛んできた。昔だったらまだ勝てたけど、めちゃくちゃ光を蓄えられてたせいでボッコボコにされた。それこそ、テテフの鱗粉でも回復できないくらいに。え?今のネクロズマ強すぎん…?
ネクロズマ…行動させない立ち回りでようやくダメージが入るくらい強い。麦わらの一味に連携させたらあかんと判断し、ウタを念力で操り、トットムジカを再び顕現。ふざけんなよテメェどつき回すぞ。
ワンピ世界…めちゃくちゃ。厄ネタ伝ポケがこぞって暴れ回ってるから現地人じゃどうしようもできん。以下、本部勤務の能力者海兵の意見「どうすりゃいいの?マリンフォード襲ってんの、海が生きて動いてるみたいなヤツなんだけど?」
アルセウス…ワンピ世界の人間は不安よな。創造神、動きます。