太陽×2   作:鳩胸な鴨

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改めて文字にするとヤッベェわウルトラビースト


パラサイト

既に死した国、エレジアにて。

巨大なコンサートホールには、かつての賑わいを取り戻したかのように、人々が犇く。

ソレもそのはず。二年で『世界の歌姫』と上り詰めた少女…UTAの初ライブが、このエレジアで開催されるのだから。

天候には恵まれなかったものの、ソレを気にする客はいない。

その様子からも、UTAの人気がうかがえる。

喧騒が島中に響き渡る中。

会場から遠く離れた海岸に開いたウルトラホールから、麦わらの一味を乗せたサニー号が降り立つ。

 

「着いたァ〜〜〜っ!!」

「ラリオーナ!!」

 

到着を喜ぶように、一人と1匹の歓喜に満ちた咆哮が轟く。

寄り道だらけの旅路ではあるが、行ったことのない島に冒険心が擽られたのだろう。

飛沫を浴びながら、島へと上陸するくもとルフィを見やり、麦わらの一味の剣士…「"剣豪" ロロノア・ゾロ」は呆れたため息を吐く。

 

「ウチのわんぱくボウズは、デカくなっても変わんねェなァ…」

「前までは静かだったんだもの。これくらい元気でいてもらわないと心配だわ」

 

ロビンの言葉に、ゾロは「違いねェ」と笑みを浮かべて頷く。

見慣れない土地を見渡しながら、のっしのっしと歩くくもの背に、ルフィが飛び乗る。

 

「よーし、くも!会場まで走れー!」

「ラリオーナ!!」

「ちょっと待て、ルフィ!ンなことくもに言ったら…」

 

サンジの制止も虚しく。

くもは凄まじい勢いで加速し、木々を薙ぎ倒しながら駆けて行った。

小さくなっていくくもの尻を見て、サンジたちは呆れたため息を吐く。

 

「くものやつ…。急にデカくなったモンだから、加減ってモンがわかってねェんだよな」

「男部屋の扉もぶっ壊したしな…」

「あー…。それで『扉を大きくしよう』ってなったのね」

「チョッパーみてェに、小さくなれたら便利なんだけどな」

 

あまりに清々しい崩壊っぷりに、引き攣った表情を浮かべる皆。

当の本人は全く気にしておらず、背に乗るルフィと共に馬鹿笑いする始末。

その顔面に虫がくっつこうが、木が激突しようが、悠々と駆けていくくも。

島を一望できる高台まで登ったくもは、ルフィと共に眼下に広がる会場を見つめる。

 

「おーし、くも!

一気に進めェーーーーっ!!」

「ラリオーナ!!」

 

ルフィの号令と共に、くもは太陽に向かって大きく飛び上がる。

クルーたちはそれに呆れながらも、急足でルフィたちを追いかけた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

その頃、寂れた王宮跡地にて。

一人の男が、使い物にならないであろう銃を鈍器として構え、ふよふよと浮遊する生命体へと向ける。

既に体は満身創痍。

どこの骨が折れたかもわからない激痛の中で、男…元エレジア国王「ゴードン」は、激昂して叫ぶ。

 

「ウタを解放しろ!この、悪魔め!!」

 

ソレは悪魔というには、あまりにも美しい姿をしていた。

クラゲとも、帽子とも取れるシルエット。

ガラスのように透明な膜には、星々のように煌めく模様が走る。

その姿はまさに、海軍が全力で捜索しているウルトラビーストの一匹であった。

 

「じぇるるっぷ…」

 

形容し難い鳴き声と共に、その生命体の周囲に光る岩が顕現する。

別世界では「パワージェム」と称される一撃が、無情にもゴードンの体を襲った。

 

「がはぁっ!?」

 

ごろごろと転がり、壁に激突するゴードン。

霞んだその視界には、十二年もの間育ててきた娘の足だけが映る。

手を伸ばそうとするも、その動きを感知したクラゲが、再びパワージェムを放つ。

避ける術を持たないゴードンは容易く吹き飛ばされ、激痛からか意識を手放した。

 

「ごめんね、ゴードン。でも、大丈夫!

"新時代"は、すぐそこだから!!」

 

霞む視界に映る最愛の娘が、正気とは思えぬ瞳で告げ、歌い出す。

その背後には、夥しい数のクラゲが浮かんでいた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「なに!?エレジアでウルトラビーストが確認されただと!?」

 

五老星の素っ頓狂な叫びが、聖地マリージョア中に響くのではないかと思うほどにロブ・ルッチの鼓膜を揺らす。

顔を顰めることすら死刑相当の失礼に値するため、鉄仮面のまま報告を続けた。

 

「ええ。確認するだけでも『パラサイト』が上陸したとの情報があります。

更には…、かの『暗黒』の姿も」

「…脅威は『トットムジカ』のみにあらず、か」

 

五老星の一人が忌々し気に吐き捨てる。

ウルトラビーストはその異質な生態も脅威に値するが、厄介なのはそこだけではない。

単純に強すぎるのだ。

蚊のようなウルトラビースト…コードネーム「イクスパンション」の拳が、城一つを呆気なく壊してみせたように。

イルミネーションのようなウルトラビースト…コードネーム「ライトニング」の起こした落雷によって、島一つが焦土と化したように。

彼らのあまりに高すぎる能力が、海軍の対処を遅らせているのだ。

島一つを完全に破壊する措置…バスターコールを発令しようとも、ウルトラビーストがソレを意に介することはないだろう。

 

その中でも特に脅威なのは、『暗黒』。

のっぺりとした黒に包まれた歪な体躯。

その剛腕から放たれる一撃は、大将緑牛に深傷を負わせる程である。

時折、頭痛を抑え込むように、頭を抱える様子が確認されているが、それでも尚、中将以下は『暗黒』に傷をつけることすら叶わなかった。

 

「懸念材料が多すぎる…。

大将を総動員させるべきだったか?」

「今更言っても間に合わんだろう。

特に、緑牛。彼は先日の『暗黒』との戦いから、傷が癒えていないと聞く。

動かせるのは藤虎と黄猿のみだ」

 

ただでさえ、目下の悩みである「トットムジカ」の脅威があるというのに。畳み掛けるように集うウルトラビーストらに、五老星はため息を吐いた。

 

「ウルトラビーストのことも頭に置いておくとして…。

今はこの小娘の方が先決だ」

「彼奴等が現段階で殺してくれるのならば、波風も立たんだろうに…」

「全くだ」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「なにぃ!?捜索中のウルトラビースト数体がエレジアに向かっちょるじゃとぉ!?」

 

時同じくして、海軍本部にて。

現海軍元帥サカズキが、奇しくも五老星と似たようなセリフを吐き、机を叩く。

おいそれと現場に向かえなくなり、挙句同格であった青キジが海軍を辞して以降、海軍の戦力は目に見えて下がっている。

新たな最高戦力として、一般人から実力者をスカウトし、大将に据えたはいいものの、どちらも致命的なタイミングで言うことを聞かないじゃじゃ馬という始末。

現在の世界情勢も相まって、サカズキのストレスは蓄積するばかり。

そこにとどめを刺すかの如く飛び込んできた情報を前に、サカズキは地の底から響くような声を漏らす。

 

「確認されたのはどれじゃあ!?」

「は、はっ!既にエレジアに上陸済みなのは『パラサイト』のみです!

その他には、『イクスパンション』、『ライトニング』、『スラッシュ』、『グラトニー』、『バースト』が…」

「よりによって、『トットムジカ』と『ウタウタの実の能力者』が揃っちょるエレジアに、『パラサイト』か…!!」

 

『パラサイト』の神経毒は、人の倫理を簡単に破壊する。

もしもUTAがパラサイトに寄生されたのならば、目も当てられない事態となるだろう。

既に『世界転覆計画』といった、世界を巻き込むテロを実行に移しているのだ。

その可能性は高いと考えていい。

サカズキは怒りを露わにしながら、報告に来たTボーン少将に向けて声を張り上げた。

 

「他は相手せずともよい!!まずは確実に『パラサイト』を仕留めるんじゃあ!!」

「は、は!?そ、その、御言葉ですが…、市民に多大なる被害が…」

「ここで『パラサイト』を逃す理由がどこにあるというんじゃあ!!

いいか!?我々が最も懸念すべきなのは、『暗黒』の襲撃でも、他のウルトラビーストによる被害でもありゃあせん!!

『パラサイト』による『世界政府の崩壊』じゃけぇ!!

多少の犠牲には目を瞑れ!!事は既に『そういう段階』にまで来ちょるんじゃあ!!」

 

ぐうの音も出ない残酷な正論を前に、Tボーンは苦々しく頷く。

海軍で働く以上、必ずしも「法の正義では超えられない壁」が出てくる。

歩く暴威、天竜人しかり、隠すべき歴史しかり、その数は数えきれない。

加えて、Tボーンは先日、ウルトラビーストと対峙した経験がある。

「ライトニング」。かの自然系最強と謳われる悪魔の実…ゴロゴロの実の能力にも劣らぬ雷を放つ生命体。

自然系と違って、弱点と覇気以外を通さない…ということはないが、少なくとも少将クラスには荷が重すぎることはわかった。

ソレほどまでに、ウルトラビーストは強い。

極め付けは、それぞれに備わった厄介な生態。

ただでさえ強力だというのに、「パラサイト」は相手に寄生し、その能力を極限まで引き出す能力を持つ。

ただの一般人が、海軍将校と渡り合える程に強化される…と言えば、その恐ろしさがわかるだろう。

 

何より恐ろしいのは、『パラサイト』が『百を超える群れをなす』という点である。

 

下手をすれば、このライブに訪れた観客全員が寄生される可能性すらある。

ウタウタの能力者と『パラサイト』。

この二つが手を組んだとなれば、事態は最悪を凌駕する。

サカズキはこめかみに青筋を浮かべ、告げた。

 

「最悪の場合、『バスターコール』の発令も視野に入れる!!

いいか!?UTAに『パラサイト』が寄生している事実を確認次第、即刻エレジアを消し去れ!!

世界がかかっておる…!!藤虎には『判断を見誤るな』と伝えておけ!!」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

その頃、エレジア上空にて。

突如として開いたウルトラホールから、一つの影が飛び出す。

その影はよくよく見ると、青空に似つかわしくない三日月のような形をしている。

まるでコウモリのように、悠々と空を舞うソレは、自らの存在を知らしめるかのように咆哮する。

 

「マヒナペーア!!」

 

その背には、まだ幼い少女が跨り、きょろきょろと未知の世界を見渡す。

見渡す限りの青。

空も地も、真っ青に染められた世界に感嘆の声を漏らすも、即座に首を横に振る。

 

「だめだめ…。早く『かがやきさま』を止めなくちゃ…!!」

 

オレンジ色の三つ編みを揺らし、その影は真っ直ぐにエレジアへと向かった。

 

「リノ……!」

 

その背後に、『暗黒』が佇んでいたことも知らず。




ウタ…ウツロイドに寄生されたので、タガが外れてる。「ネズキノコ?そんなことより神経毒キメようぜ!」的なトリップ状態。計画に全観客がウツロイドに寄生されることが盛り込まれた。たくさんのウツロイドに囲まれて幸せだよ!やったね!ウタウタの能力と併せてルザミーネよりやべーことになってる。

ウツロイド…全部お前が悪い。

???…ウルトラメガロポリスからやってきた少女。オレンジ色の三つ編みに、血色がいいとは思えない肌色をしている。『かがやきさま』を追って、ルナアーラと共にワンピ世界にやってきた。
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