太陽×2   作:鳩胸な鴨

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ウツロイドとウタの組み合わせがヤバすぎて書いててドン引きした。


陽光かき消す逆光

「くもー!チキンレースやるから、お前イヌ役やってくれよ!」

「ラリオーナ!」

「ライオンって、ネコの仲間ですよね?」

 

ルフィの言葉に、一味の音楽家…"ソウルキング"ブルックが首を傾げた。

ウタの用意したコース上に腰掛け、ルフィが眼下で寛いでいたくもを呼びつける。

今から行われるのは、184戦目の真剣勝負。

どちらも勝ちを譲らない中で、十二年ぶりに訪れた再戦の機会。

今回こそは文句の言えない勝利を掴んでやる、と意気込み、ルフィは置かれた皿へと意識を向ける。

チキンレースがなにかはわからないが、取り敢えずルフィたちに向かって突っ込めばいいのだろう。

そんな単純な思考で、くもは全身に力を込めた。

 

「じゃあいくよ…」

「おう!」

 

ウタが言うと、二人は手を上げる。

これが勝負開始の合図。

二人は息を吐く暇もなく、叫んだ。

 

「「3、2、1!!」」

 

一秒あるかないかのカウントを終わらせると、二人は目の前に積まれた五つの骨つきチキンを頬張る。

チキンレース。前まではイヌに襲われる前にチキンを食べ切ると言う勝負だったが、今迫っているのはソルガレオのくも。

じゃれあいとはいえ、敗北すればとてつもない衝撃が炸裂するだろう。

しかし、ルフィは既に四つのチキンを腹の中に入れている。

一方でウタの皿には、まだ三つのチキンが鎮座していた。

このままではまずい。ウタは能力によって巨大なジュースを顕現させると、ルフィに差し出した。

 

「あげる!」

「お、ありがとう!!」

 

なんとも単純な罠に引っかかるルフィ。

ルフィがジュースを飲んでいる隙に食べ終えたウタは、即座にコースから降りる。

結果。ジュースを飲んでいたルフィに、くもの突進が炸裂した。

 

「卑怯だぞ〜〜〜っ!!」

「あ、海はヤベェ。くも!」

「ラリオ!」

 

ルフィがそんなことを叫びながら、海へと落下していく。

くもが慌ててルフィを助けようと向かうも、いくつもの音符がルフィの体を包み込み、特等席へと戻した。

 

「はい、私の勝ち〜!」

「今のはズルだから俺の勝ちだ!」

「出た!負け惜しみぃ〜!」

 

言って、独特な仕草でルフィを揶揄うウタ。

一方でルフィは納得がいかないのか、猛抗議するも、ウタは一切聞き入れなかった。

こうして認識の違いが激化して行ったのだろう。どちらも「183連勝中」と主張するわけである。

 

「…でさ、チキンレースも私が勝ったんだから、ちゃんと教えてよ。

このライオンは、なんなの?」

 

ウタが瞳に怪しげな光を灯して問いかける。

明らかな違和感に、ルフィは眉を顰めた。

 

「ウタ?どうしたんだよ、お前。

シャンクスのことも、この帽子のことも、何も聞かねーしよ。

あっ!!ひょっとしてシャンクスのやつ、ウタに何回も会いに来て…」

「答えろ」

 

期待を込めて問いかけようとするも、ウタはゾッとするほど冷たい声でソレをかき消す。

何かがおかしい。自分の知っているウタと、全然違う。

ようやくその違和感に気づいたルフィは、ウタの肩を掴んで揺らした。

 

「おい、ウタ!どうしちまったんだよ!?

あんなに赤髪海賊団が大好きだったじゃねぇか!!何でなんにも聞かねーんだよ!?」

「おい、ルフィ…」

 

ウソップらがソレを止めようとするも、ルフィは感情のままにウタに問い詰める。

しかし。ウタは不気味な笑みを浮かべ、告げた。

 

────だって、『どうでもいい』し。

 

「………は?」

 

その言葉に、ルフィはワナワナと震え、ウタから手を離す。

目の前にいる幼馴染は、致命的なまでに破綻してしまっていた。

まるで別の生き物にでもなったかのように振る舞うウタは、ルフィに問い続ける。

 

「でさぁ、このライオンはなんなの?」

「だから!!俺の仲間、くもだ!!

コイツはライオンなんて名前じゃねぇ!!」

「ルフィ…?どうしたんだよ一体…?」

 

明らかに様子の違うルフィに、クルーたちも訝しげに眉を顰める。

自分の望む答えが返ってこないことを悟ったウタは「ごめんごめん」と苦笑を浮かべ、即座に質問を切り替えた。

 

「で、ルフィは今なにしてるの?」

「…海賊だ。シャンクスと約束したんだ。

立派な海賊になって、この帽子を返すって」

「ふぅん…。そうなんだぁ…?

じゃあ、そのライオンも海賊なんだね?」

 

なにかがまずい。

浮かぶクラゲがウタの興奮を表すかのように、激しく鳴く。

そんな中、ウタは凄絶な笑みを浮かべると、顕現した音符に乗って声を張り上げた。

 

「みんな!!新しい海賊を見つけたよ!!

どうしよう!?」

 

その言葉に返ってくるのは、ウタを讃え、崇めるコール。

そのコールに合わせて、浮かんでいるクラゲがゆっくりと彼らに詰め寄ってくる。

明らかに異常な事態を前に戦慄していると、一気に照明が落ちた。

 

「ねぇ、ルフィ。ソイツはさぁ、海賊よりもずっと、ずーっと悪いやつなの。

だからさぁ。『私たちの"新時代"』に、ソイツいらない」

「くもはそんなヤツじゃねェ!!」

「かわいそうに…。ルフィったら、ソイツに騙されてるんだね」

 

ルフィがそう叫ぶも、ウタは話を聞かず。

ヘッドセットマイクと翼を顕現させた彼女は、レーザーの明滅と共に手を鳴らす。

ソレに呼応するかのように、クラゲの体に強い力が迸った。

 

「大丈夫だよ。ソイツさえ殺したら、海賊のルフィもちゃんと"新時代"に連れてってあげる」

「ふざけんなァ!!」

 

ルフィが吠えるのをかき消すように、曲が流れ出す。

曲の名は、『逆光』。

太陽すらかき消さんとする光が、不気味なほど真っ直ぐにくもに向けられる。

その曲と共に現れた音符の戦士が、クラゲとくもへと殺到し、襲いかかった。

 

「ラリオ!?」

「くも!避けろ!!」

 

なんとかその弾幕を避け、別の小島へと着陸するくも。

しかし、息つくことも許さない猛攻が、くもへと襲いかかった。

 

「ラリオォォォナ…」

「くもォーーーーッ!!!」

 

あまりに痛ましい光景を前にルフィが絶叫し、ウタを睨め付ける。

しかし、ウタはこちらには目もくれず、ただただ無機質な瞳でくもを見下ろした。

あまりにも様子が違いすぎるウタに、ウソップたちも困惑を露わにする。

 

「プリンセス・ウタ!?なんでくもを…」

「やるしかねぇか…!!」

 

困惑が走る中で、ゾロが刀を抜いて音符の戦士やクラゲに応戦する。

サンジも戸惑いながらも、脚に炎を纏わせ、クラゲに叩き込んだ。

しかし、彼らの応戦も虚しく。

殺到した質量に押し負け、あっさりと五線譜の監獄へと放り込まれてしまう。

軈て残ったのは、ルフィとくもだけ。

くもは傷だらけの体に鞭を打ち、全身を白く染めていく。

ルフィも同じように、全身から煙を放ち、ウタを睨め付けた。

 

「ギア2…!"ゴムゴムのォ、JET銃乱打"!!」

「ラリオォォォーーーーナッ!!」

 

刹那。ルフィのポケットにあった宝石が激しく煌めき出す。

しかし、ルフィはソレに気づかず、迫り来る騎士やクラゲたちを拳で撃ち落とした。

一方でくもは、全身に陽光を纏い突進することで、クラゲたちを撃破していく。

しかし。放たれたレーザービームが二人を貫き、あっさりと拘束した。

どさり、ずずぅん、と、ステージに墜落する二人。

ウタはルフィを踏み越えて、くもの上に立って告げた。

 

「みんな、聞いてー!!

コイツはね、『私たちの"新時代"』を邪魔するヤツらの中でも、いっちばん悪いヤツなんだよ!!

この悪いライオン、どうしようか!?」

 

その言葉に、観客たちが一斉に「殺せ」と熱狂する。

観客たちも明らかに豹変している。

ルフィたちが強烈な違和感と怒りに顔を歪めるも、なす術はない。

どこからかステージに降りてきた観客が、武器や農具を手に、くもへと迫る。

ウタは歪な笑みを浮かべ、腕を振り下ろした。

 

「死んじゃえ」

「やめろォーーーーっ!!

ウタァーーーーーっ!!!」

 

ルフィが叫ぶも、その声は届かない。

万事休すか。

そう思われた時だった。

 

「"ROOM"…、"シャンブルズ"!!」

 

その声と共に、ルフィとくもが瓦礫と置き換わったのは。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

エレジア近海にて。

軍艦をすり抜けるように海を突っ切る船から、曇天に向けてげらげらと笑い声が轟く。

そこに乗る船員たちは、それぞれがコップを手に、馬鹿騒ぎしていた。

 

「楽しみだなァ〜、ウタのライブ!」

「十二年も経ってんだ!映像よりもキレーになってんだろーなァ、お頭!」

 

彼らの名は「赤髪海賊団」。

ルフィの大恩人にして、ウタの父…赤髪のシャンクスが率いる海賊である。

彼らは「娘がライブを開く」と聞きつけ、わざわざ新世界から偉大なる航路前半へと引き返してきたのだ。

そんな光景を横目に、シャンクスは浮かない顔を浮かべていた。

 

「どうした、船長?娘のライブだぞ?

もっと楽しそうにしろ!」

「ベック。お前が言うか?」

 

副船長…ベン・ベックマンが、ばん、とシャンクスの背中を強く叩く。

しかし、そういう彼の顔色も優れない。

よく見ると、その船員の殆どは浮かない顔を隠し、無理矢理に笑っていることがわかる。

それも無理はない。

ウタが開いたライブの行き着く果ては、シャンクスたちにとってあまりにも辛い結末なのだから。

シャンクスは酒のように見せたジュースを呷り、ふぅ、と息を吐いた。

 

「……辛ぇなぁ…」

「……だな」

 

彼らは分かっていた。ウタの命まで救える可能性が、限りなくゼロに近いことに。

推測通りであれば、ウタ自身はきっと、救われることを拒む。

せめて、娘の前で泣かないように強がらなければ。

シャンクスはコップを強く握り、ジュースに映る自分の顔を見やる。

自分でもひどく情けない顔だと思う。

必死になってウタを救うための言葉を組み立て、そのどれもが無意味だと捨てる。

そんなことを繰り返していると。

 

レッドフォース号のデッキに、赤が降り立った。

 

「なんだ、お前!!」

 

狙撃手…ウソップの父、ヤソップがピストルを抜き、降り立ったシルエットに放つ。

が。そのシルエットの肉体に着弾した弾はあっさりと砕け散り、甲板に散乱した。

 

「おいおい…!?」

 

武装色で硬化していたはずの弾が散乱した床を見やり、ヤソップが冷や汗を浮かべる。

ベックマンも同じようにピストルを放つも、まるで豆でも摘むように、その影は銃弾を受け止めてみせた。

煙から現れたのは、まさに異形。

洗練された肉体美を見せつけるようにポージングするソレは、「蚊」の顔をシャンクスへと向けた。

 

「誰だか知らないが…、邪魔だ!!」

 

シャンクスが覇王色の覇気をぶつけるも、ソレは怯むことなく拳を引き絞る。

自身の覇王色が通用しないとなれば、少なくとも四皇幹部クラスの実力はあるのだろう。

腰に携えた愛剣…「グリフォン」を抜き、武装色、覇王色を纏わせる。

一方で、ソレは「ババァルクウッ!」と形容し難い鳴き声と共に、凄まじい速度で幾つもの拳を放つ。

ぎぃん、と鈍い音が幾重にも響き、衝撃が船を揺らす。

シャンクスは一旦距離を置くと、腕に力を込めた。

 

「強いな…。なんだ、コイツ?」

「最近噂になってる『ウルトラビースト』ってやつじゃないか?

コイツはたしか…『イクスパンション』だ」

「ああ。そんなのいたっけか」

 

船医…ホンゴウの言葉に、シャンクスは余裕そうに振る舞う。

コイツを撃退するには、確実に時間を食う。

今は一刻を争う事態だと言うのに。

シャンクスはグリフォンを握る手に力を込めた。

 

「ルナアーラ、『サイコキネシス』!!」

 

と、その時。

突如として開いた穴から、幾つもの岩石がイクスパンションを吹き飛ばした。

シャンクスらがソレに目を丸くしていると、穴から四つの影が現れる。

一つは、自らが麦わら帽子を託した少年…麦わらのルフィ。

一つは、そのペットとして名を馳せる"太陽の獅子"くも。

一つは、三日月のように翼を広げる、コウモリのような生命体。

そんな彼らを引きずるように現れたのは、なんとも奇怪な出立をした少女だった。

シャンクスは抜いていた剣を納め、慌ててルフィへと駆け寄る。

 

「おい、ルフィ!?しっかりしろ、おい!」

 

すぅ、すぅ、と寝息を立てるルフィを揺さぶるも、一向に起きない。

間違いない。ウタウタの能力によって、ウタが作り出した世界…ウタワールドに囚われてしまっている。

こちらで寝ているくもも同様に、既に囚われているのだろう。

起こせないとわかったシャンクスは、警戒心を込めて女を見やった。

 

「ど、どうしてルフィと…?」

「話は後!ねぇ、この人起こせる!?

早くしないと、『かがやきさま』が…、あ、いや、その前に『ウツロイド』もなんとかしないと…」

「おっと、お嬢ちゃん。あんまり騒ぎ立てない方がいいぜ」

 

ちゃき、と、少女に銃が向けられる。

少女は「ぴいっ!?」と素っ頓狂な叫びをあげ、両手を挙げた。

と。銃を向けたベックマンの腕を、シャンクスが下ろす。

 

「素性は知れないが恩人だ。

コイツを向けるのは早いだろう?」

「……わかったよ、船長。

ごめんな、嬢ちゃん。なにせ、神秘的な出会いだったもんで、ちょっと吃驚してたんだ」

「あ、そうなの…?」

 

ベックマンは銃を納め、屈んで少女の顔を覗き込む。

流石は女誑し。歯の浮くようなセリフをつらつらと並べる彼に、シャンクスらは苦笑いを浮かべる。

少女は少しばかり警戒を解くも、はっとしてルフィの耳を掴んで引っ張る。

 

「そんなことより、この男の人とソルガレオを起こしてよ!!

早くしないと、『この世界』からも光が無くなっちゃう!!」

「お、起こせって言われても…。

これ、絶対にウタの能力だろ?」

「起こすのはどうやっても無理だな。

まずはウタを止めないと」

「そ、そんな…」

 

少女はその事実に、顔を絶望に歪ませる。

どうやら只事ではないらしい。

シャンクスは屈むと、少女に向けて笑いかけた。

 

「なぁに、大丈夫さ。コイツらは俺たちが起こしてやる。

とりあえず、諸々、説明してもらえるか?」




ウタ…ウツロイドとの親和性が高すぎてやべーことになってる。観客も徐々にウツロイドに寄生されつつある。しかし、観客が多すぎて全員に寄生出来ていない模様。ゾロたちに寄生しようとするも、ソルガレオが放っていたエネルギーが染み付いていたため無理だったことを知り、より苛立っている。ウツロイドの神経毒によって極度の興奮状態にあり、眠れない。赤髪海賊団とか麦わら帽子とかを「どうでもいい」で片付けるくらいには、ウツロイドに侵食されてる。

マッシブーン…俺、参上!シャンクスの一撃をインファイトでなんとか耐え切るくらいの強さを誇る。

シャンクス…ルナアーラを連れた少女のおかげで、予定より早く現場に行けそう。少女の説明でウツロイドに対する殺意がマックスになる。その時の罵詈雑言を要約すると「ウチの娘に何してくれてんだクソクラゲ輪切りにして醤油に漬け込むぞボケコラ」である。

???…適当にウルトラホールから出たら、マッシブーンに襲われている船が見えたので助けに行った。助けた礼としてルフィたちを起こしてもらおうとするも失敗。結局エレジアに戻ることとなる。

ウツロイド…シャンクスにフルボッコにされるのが確定した。強く生きろクソクラゲ。

バルトロメオ…あれ?出番カットされたべ?
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