太陽×2   作:鳩胸な鴨

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ウツロイドやっべぇわ。

後書きを少し修正しました


集結

「なにをしちょるんじゃあ!!」

 

サカズキの怒声が、執務室に轟く。

報告しに来た海兵は、真っ直ぐにぶつけられたサカズキの怒りにビビり散らかすも、恐る恐る口を開いた。

 

「は、はっ…!バスターコールは発令されましたが…、その…。

突如現れたウルトラビーストにより、派遣された軍艦30隻のうち、既に6隻が沈み…!

更には、エレジアに訪れた『赤髪のシャンクス』が、中将含めた海兵の殆どを覇王色の覇気によって…」

「『もう一度同じことを報告せえ』と誰が言うたァ!?」

「ひぃいいっ!?」

 

ごう、と、放たれた熱風が怒りと共に、海兵にぶつけられる。

サカズキの憤怒を前に飄々としていられるのは、一部中将含めた最高戦力のみ。

まだ少佐になったばかりの海兵にとって、サカズキは畏怖の対象であった。

海兵は情けない悲鳴をあげながらも、報告を続ける。

 

「た、大将二人によると、ウタはすでに『パラサイト』に寄生されています!

それどころか、観客すらも取り込み、軍艦を襲っているとか…」

「ただの一般人を取り込んだだけで軍艦を落とせるわけがあるかァ!!」

「し、しかし、事実で…」

「事実なのはわかっちょるわァ!!」

 

どっちだよ、と声を上げて怒鳴りたくなる衝動を堪え、海兵は言葉を模索する。

下手に刺激すれば、命がない。

どうしたものか、と考えていると、懐に入れていた電伝虫が「ぷるぷるぷる」と、なんとも気の抜ける着信音を鳴らす。

海兵がそれに出ようとすると、サカズキはそれを引ったくるように奪い取り、受話器を取る。

 

「なんじゃあ!?」

『げ、元帥!う、ウタが、ト…ひっ、ひ、いやっ、や、や、いや、いやだぁあああ!!』

 

悲鳴をぶった斬るように、ぶつっ、と通話が切れてしまう。

どうやら、想定を遥かに超えた事態へと進展しているらしい。

それにより、サカズキの怒りがより激しく燃え上がり、怒号が海軍本部全域に轟いた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「…会場は、どうだった?」

 

ドアドアの能力で偵察に出ていたダルスとブルーノに、ローが問う。

二人は苦い顔をすると、揃って首を横に振った。

 

「……最悪の事態を超えている。多くの観客がウツロイドに取り込まれていた。

ヤツは逃げようとする観客を優先して取り込んでいる。

このままいけば、おれたちの手に負えない事態にまで発展するだろう」

 

ブルーノは言うと、皆に撮影用の電伝虫で撮った写真を皆に見せる。

そこには、ウツロイドに取り憑かれ、恍惚とした笑みを浮かべる観客たちの姿があった。

地獄絵図をそのまま現実に持ってきたような景色を前に、バルトロメオとローの二人が言葉を失う。

そんな中、ルフィがバリアの中で叫んだ。

 

「ウタは!?ウタは無事か!?」

「ウタはまだ取り込まれていないが…、それも時間の問題だろう」

「ちくしょう…!あのクラゲェ…!!」

 

ルフィはウツロイドに対する怒りを滾らせ、バリアを強く叩く。

しかし、いくら恨み言を口に出せど、ウツロイドを倒せる訳ではない。

ルフィはバルトロメオを見ると、「やっぱ出せ!」と無茶を言い放つ。

無論、無策で突っ込ませるわけにはいかないので、バルトロメオは申し訳なさそうに説得した。

 

「しかし、困りましたね…。

説得も無理、ウタワールドから抜け出すのも無理、ウタを治療することも到底不可能…。

取れる手段がないのは痛手です。

ルフィさんの仲間たちが持ってくる情報が、少しでも有用なものであることを祈るばかりです…」

「べのっ!べべのっ!」

「ごめんごめん…。ちょっと不安で…」

 

コビーが弱音を吐くと、彼の頭に座っていたベベノムが頬を膨らませ、ペシペシと彼の額を叩く。

そんな微笑ましい光景を側に、突如として空間が歪む。

そこから現れたのは、ビッグ・マム海賊団のシャーロット・ブリュレとシャーロット・オーブン。

続けて、麦わらの一味全員が転がり込むようにして現れた。

 

「あーーーっ!お前ら、無事だったか!」

「どうでしたか、ロビンさん」

「ええ。いろいろとわかったわ」

 

彼らは再会の喜びを分かち合うと、情報交換を始める。

まず、ウタが眠らなければ、ウタワールドから抜け出すことは、絶対に叶わない。眠ると能力が解除されると言う弱点は、ウツロイドの神経毒によって克服されている。

しかし、ただ一つ希望があるとすれば、ウタウタの実の能力者のみが呼び出せる古の魔王…「トットムジカ」のみ。

トットムジカを呼び出せば、ウタワールドと現実世界がつながり、それを打倒することで現実へと帰れるのだとか。

ただ問題があり、このトットムジカは無敵とも呼べる性質を持っており、ある方法でしか倒せないのだと言う。

ロビンがその先の言葉を紡ごうとした時。茂みから、簡易式の車椅子に座ったゴードンが現れた。

 

「誰?」

「ウタの育ての親のゴードンさんだべ」

「そんなこと言ってる場合じゃねぇ!ひでぇ怪我だ!!今治して…」

「治療はいい…!私の傷は現実世界のもの…。ここで治療しても意味がない…」

 

ゴードンの体は、医者であるチョッパーとローから見ても、かなりひどいものだった。

本来であれば、激痛で気絶していてもおかしくない。

チョッパーが慌てて治療しようとするも、ゴードンはそれを拒んだ。

車椅子を押していたベポが、心配そうにゴードンを見上げる。

と。ゴードンは車椅子から降り、深々と頭を下げた。

 

「私の知る限りのトットムジカの情報を、君たちに伝えよう…。

だから、頼む…っ!あの子を、ウタを…っ!

あの悪魔から解放してくれ…っ!」

 

言うと、彼はトットムジカを倒す、唯一の方法を伝える。

現実世界とウタワールドからの同時攻撃。

それのみでしか、トットムジカを倒す方法はない。

そして、現実世界からの攻撃は、必ず来るであろう赤髪海賊団が成すであろうという推測を付け足す。

彼はそれを語り終えると、震える声でルフィに縋った。

 

「人々を救う天使の歌声が…、あんな…、あんな血も涙もない悪魔にいいように使われていいはずがないっ!!

どうか、あの子を…、ウタを、ヴダを…っ、ずぐっでぐれ…っ!!

頼むっ…!だのむ……っ!!!」

 

ボロボロと涙をこぼし、地面に額を擦り付け、懇願するゴードン。

あまりに居た堪れない姿に、コビーたちが言葉を失う中。

バルトロメオがうっかり解いてしまったことにより解放されたルフィが、力強く頷く。

 

「ああ…!いくぞ、くも!!」

「ラリオォオーナッ!!」

 

ルフィはくもの背に飛び乗ると、木々を薙ぎ倒しながら狂乱の歌声響くコンサートホールへと駆けていく。

その右腕には、見覚えのないリストバンドが巻かれていた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

黒に染まった会場にて。

観客の殆どがウツロイドに取り込まれた中、一人笑みを浮かべるウタ。

その眼前に、くもに乗ったルフィが会場へと降り立った。

 

「あ、ルフィ!やっと来てくれたんだ!

なぁーんだ。やっぱり、私たちの"新時代"の素晴らしさを分かってくれてたんだね!」

「ンなもん分かりたくもねェ!

おれたちはここにいるクラゲをぶっ飛ばしに来たんだ!!」

 

その言葉に、ウタの表情が消える。

と。それに呼応するように、観客を取り込んだウツロイドがルフィへと襲いかかった。

が。ルフィはそれを無言で叩き落とし、続け様にくもが強く地面を叩く。

瞬間。隆起した地面がウツロイドに直撃し、観客たちと共に倒れ伏した。

 

「…なんで。なんで分かってくれないの!?

この世界は辛いことばっかり、怖いことばっかり、逃げたいことばっかり!!この子たちは、それを忘れさせてくれるの!!

それだけじゃないの!私の力があれば、この子たちを中心にみんなが繋がれる!!

誰も苦しまない!誰も失わない!そんな平等で、平和な、理想の"新時代"が…」

「それは"お前の新時代"じゃねェ!!」

 

ルフィはウタの言葉を遮り、襲いかかるウツロイドたちを殴り倒す。

くももライジングフェーズへと移行し、ウツロイドたちに向けてエネルギーと共に咆哮をぶつけた。

粗方を殴り終えたルフィは、ウタに向けて足を振り上げ、勢いよく伸ばす。

 

「当てる気もないくせに」

「……っ!」

 

図星を突かれたルフィは、悔しそうに歯噛みしながら、踵を地面に振り下ろす。

その顔は、かつて見たことがないほどに冷ややかなもの。

コビーが言っていたように、説得は無理なのかもしれない。

しかし、ルフィは言わなければ気が済まなかった。

 

「お前っ!!あんなに赤髪海賊団が大好きだったじゃねぇかよ!!

なのに、なんで『どうでもいい』なんて言えるんだよ!!

約束した"新時代"も『どうでもいい』なんて言うのか!!?」

「言えるよ」

 

その言葉に、ルフィが息を呑む。

ウタが好きだったものや、幼いルフィとの大切な約束。

その全てをまとめて否定させたウツロイド。

ルフィはふよふよと浮かぶウツロイドたちに向けて、覇王色の覇気を放った。

 

「ウツロイドォオオォオオオオオオォオオーーーーーッ!!!!」

 

びりびりと空間が揺れる。

四皇の怒りを身に受けたウツロイドたちが、取り込んでいた観客を解放し、落ちていく。

その数は、全体の二割にも満たないだろう。

しかし、ウタの精神を揺さぶるには十分すぎる数だった。

ウタは半狂乱になりながら、落ちていくウツロイドへと手を伸ばす。

 

「っ、だめだめだめっ、だめぇっ!!

起きて、起きてよみんな!!"新時代"はすぐそこなんだ…!!

はやく、はやくおきて!!」

「やめろ、ウタ。お前の歌は、そいつらの道具じゃねぇんだぞ」

「うるさい…。死んじゃえ…。死んじゃえ…!

死んじゃえェエーーーーーッ!!!」

 

ウタが叫ぶと共に、夥しい数の黒いウツロイドがルフィたちへと殺到する。

が。その攻撃は彼に直撃することはなく。

斬撃が、植物の弾が、蹴りが、雷が、蹄が、腕が、ビームが、黄泉の冷気が、正拳が、その全てを吹き飛ばした。

 

「このクラゲ、斬りごたえあるな…!」

「どんだけいんだぁ、これ…!?」

「ったく…。クラゲが人を食いやがって。

残らず水抜きしてやっから覚悟しとけよ」

「ひぃーっ!?ムリムリ気色悪いっ!!

なんでこんなに気色悪いことなってんのよここぉ!?」

「うへぇ…。ぶよぶよするのに固いなんて変な感じだ…」

「関節がどこにあるかわからないわ。

足を引きちぎっておけばいいかしら」

「アァウ!ビームの通りがスーパー悪ィぞ、コイツら!!」

「黄泉の冷気も、さほど効いていないように見えますね。

これは厄介です」

「打撃と斬撃はかなり効いておったぞ。弱点さえわかれば、どうと言うことはない!」

 

ルフィを取り囲むようにして、麦わらの一味が円陣を組む。

と。ローたちも追いついたのか、ウツロイドたちが何匹か落ちていくのが見えた。

 

「……そっか。そんなに、邪魔したいんだ。

そんなに、私が嫌いなんだ…!!」

 

駆けつけた麦わらの一味や他の海賊を見て、歪な笑みを浮かべるウタ。

彼女はヘッドセットからチップのようなものを取り出し、目の前に広げる。

顕現したのは、古びた楽譜。

しかし、変化はそれだけではない。

一際巨大なウツロイドがウタへと覆いかぶさり、その体を取り込んだ。

 

「ウタァ!!」

「あは、あはは、あはははははっ!!

死んじゃえ…!死んじゃえ…!!」

 

じゅる、じゅる、と湿っぽい音を立てて、ウツロイドの体が変貌する。

六本の巨大な足に、肥大化した頭部。

その中心に佇むのは、紅白の髪の殆どが黒く染まったウタ。

彼女は眼前に並んだ楽譜を広げ、息を吸った。

 

刹那。神々しくも悍ましい旋律と共に、黒の渦がルフィたちに襲いかかった。




ウタ…幼児退行を起こしている。精神がシャンクスたちに置いていかれたところまで戻っているため、「自分を邪魔するのは自分が嫌いだからだ」と思い込む。トットムジカ関連の記憶もあるので、余計に自己肯定感が低い。このように、思考がめちゃくちゃ矛盾していることにも気づかないほどに暴走してる。髪の色は、ルザミーネが取り込まれた時と同じように、黒髪に赤と白のメッシュが入ってる感じ。

ルフィ…ウツロイドにブチギレ。その怒り様はシャンクスに迫るほど。

くも…ウツロイドにブチギレ。怒りで覇気が目覚めそうなくらいキレ散らかしている。

麦わらの一味およびビッグ・マム海賊団の皆様…活躍がほぼ原作通りなのでカットされた人たち。ごめん。
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