反応があるとモチベーションになるし、口角が上がりますね。
大地に赤いシミが増えた。
背に大樹を宿した龍はその巨大な体躯をその地に打ち付ける事なく消え去った。
「収納、確認ヨシ!」
天地逆転しながら、指差し確認をする様は中々に愉快な絵面である。
「いやぁ便利便利、ゲームの主人公はインベントリ使う時はこんな気持ちなのかねー。」
木々が下から生え物が上に落ちなくなった後、少女は壁画に戻る事にした。
巨大な壁画。
荘厳なる壁画は、樹海に呑み込まれながらも、その重厚な存在感を放ち続ける。
己を主張するような、それとも主人の帰還を喜ぶような、まるで、何かに喜ぶような雰囲気がする。
「やべー、全くわからん。」
装飾か?
大量に刻まれた溝はそこになんらかの価値を感じさせる程に精緻で、しかしその意味を汲み取る事ができない。
気分は展覧会に連れて来られた素人だ。
装飾ではなく、迷路に見えてきた。
何を思うでもなくふらふらと歩き続け、その溝が途切れ、長方形の絵画のようなものが目に入る。
そこに刻まれているのは人型の何かだ。
髪が長い事はかろうじて読み取れる。
夜空に浮かんだその人型は何を為す訳でもなく、ただ浮かんでいた。
「こりゃ俺か。」
なんの根拠も無く確信する。
だがわかる、これは俺だ。
思えば今までも不可解な理解があった。
魔法のまの字も知らない自分が、なぜあの本を読んだだけで魔法が使いこなせるようになった?
呼ばれていると思った時、なぜ正確に方向がわかった?
龍の声は聞いた事もない言語なのに、なぜ理解する事ができた?
おそらくなんらかの力だ。
知らない物を理解する事ができている。
「試してみるか。」
さっきの龍の名前はなんだ?
ジジプス・スパイナだ。
さっきの龍は俺を殺す事ができるか?
不可能だ。
お前は何者だ?
お前だ。
お前は何ができる。
...。
お前には何ができる?
質問に答える事ができる。
この壁画の少女は俺か?
お前だ。
俺は何者だ?
かつて何処かの誰かだった者、永遠の不死。
「永遠の不死ってなんだよ...厨二クセェ...。」
永遠の不死とは、不滅の存在である。
その身になんらかの「永遠の象徴」を宿している。
「それだけか?」
Yes。
「この壁画は何故俺について描かれている?俺以外の奴が居たのか?」
お前以外に永遠の不死は居ない。
この壁画は予言者ミシェルによって作られた。
彼は予言によってお前を知り、そしてその美しさを壁画として残した。
「.........美しさだけか?」
Yes。
彼は好色家である事でも有名だった。
「...............そうか。」
その後、色々な質問によって自分が何者であるかわかった。
己は永遠の不死である事。
今まで自分を導いていたのはこの能力である事。
その他にも身体能力、居場所、さっきの龍等色々な事がわかったが...
一番衝撃的な事実は、この体の肉体年齢は15歳であり、今後、成長する事が無いという事だ。
「背が伸びねぇのか...生活が面倒になるな...。」
まだ住居も無いのに呑気なものである。
「ひとまずはさっきの龍を解体するか。お前も手伝ってもらうぞ。」
収納した龍の死体を放り出し、その山の様な巨大な体躯と格闘する事にした。
戦闘よりも解体の方が大変とは、これ如何に?