こうやって話ごとに主人公は変えるつもりです。
「貴様は正義の味方になりたいが故に他者の不幸を望んでいる」
「違う……俺は…ただみんなが報われる世界が…」
「ならば……何故、正義の味方などを目指した?教えてやろうか…私はお前だ」
「やめろ……」
「答えは単純だ。衛宮士郎は衛宮切嗣になりたいだけだ!」
「やめr……あっ、やっべ!もう学校の時間じゃん!!」
そう言うと少年は二つのフィギュアをベッドに放り投げ鞄を引っ掴み慌てて部屋を出た。
それを確認しながら陽介はそっと立ち上がり机と言うなの崖をロッククライミングして窓から玄関を覗く。
「……よし。みんな、持ち主は学校に行ったぜ!全員貴重品の確認しろよ!」
その声を聞いた瞬間、部屋に散らばっていた住人達は起き上がりせっせと自分の装備やパーツを探し始める。
「………(あ、ザクお爺さん。すみませんが僕のドラグーン知りませんか?)」
「………(これかのう?)」
「………(あ、いえ。それはドラグーンではなくファングです。ああ、そっちはνさんのファンネル……いえいえ、それはちょっと惜しいですけど、レジェ君のドラグーンですよ。僕のはスーパードラグーンです)」
「………(最近の若いのはサイコミュに色んな名前をつけるのう)」
と、微笑ましい空間もあれば。
「おい、アーチャー……無事か?」
「…ふん。私もここに来てひと月は経つ。そろそろマスターの扱いの悪さにも慣れてはきたさ」
「そうか……て、アーチャー。なにサラッと俺の干将持ってこうとしてるんだよ」
「む。いや、貴様こそ私の莫耶をどうするつもりかね?」
などど、お互いの武器を構えてジリジリと戦闘体制に入るもの。
「エィィィィィメェェェェン!!」
「良いぞ宿敵!お互い化け物でも人間でもなくなったが、貴様との闘争がなくなった訳ではない!」
「……確かに私も元は埋葬機関だが。付き合う必要性はあるのかね?」
「諦めましょう言峰神父。何を言っても無駄です」
元より探す気すら無いもの。
「待ちなさいアルト!」
「敢えて名乗った筈だ……グラハム・エーカーであると!」
「あ、アルトくん。今日は私の歌を聞いて欲しいんだけど」
「何度でも言うがね……私はグラハム・エーカーなのだよ!!現実を見た前!早乙女アルトのフィギュアはここの主は買う気が…」
「あら、アルトの癖に私に歯向かうのかしら?」
「酷いよアルトくん。そんな風に自分を卑下するなんて…」
「………私は逃げる!そう、声優などどうでも良い……己の意思で!!」
……兎に角。今日も皆元気らしいと陽介は自分に言い聞かせる。
と言うか、そうでもしなければこの部屋にいる真面な人格の持ち主はやってけないのだ。
「はあ……。相棒は何処にいんだろ?」
机の上から視線をおろして、唯一自分と同じ作品出身の悠を探す。
当初、彼等はセットで購入された際はここはこんなに住人はいなかった。
ここの住人の古株と言えばアムロ・レイとシャア・アズナブル。そして、彼等の機体だ。
大変だったのは悠の落ち込み具合だろう。
自分は本物ではない事。それどころか人間出ない事……は気にしてはいなかったのだが、菜々子ちゃんが存在しない事に随分と落胆していたのは見て取れた。
まぁ、今の悠はと言うと……。
「あ〜。またなのはちゃんとクロノくんの所か。じゃあ、そっとしてやるか」
新たな妹と弟を得ていたりした。
原作通りコミュを作るのは悠にとっては容易いのだろう。
「……お袋さんも仕事に出掛けたみたいだな。別の部屋に遊びに行くか」
そう言うと、陽介は机から一気にダイブして扉をよじ登りドアノブを開ける。
当初は中々出来なかった芸当なのだが、ここの主は物使いが荒いため、至る所に傷がある。
その為、馴れれば結構簡単に外に出れるのだ。
「頼む、待ってくれ少年!!」
「花村ぁぁぁ!俺も連れてってくれ!!」
陽介が外に出ようとした時、彼に声を掛けた人物がいた。
ウニ頭の少年上条当麻と三十路手前には見えない男、グラハム・エーカーである。
「げっ!」
だが、陽介はこの二人を待ちたくない。
彼等の背後には美少女フィギュアの軍勢がある。
まあ、一部を除いて皆目的は当麻なのだろうけど。
「朋也、逃げるのか?」
「私は……グラハム・エーカーなのだよ!!」
「待ちなさいよアンタ!」
「ビリビリなくなっても勝負なんて嫌なんだよ!」
僅かに空いた扉の隙間を二人は滑り込むように通り、そのまま、振り返り扉を閉め始める。
一応、鉄則として外に出る際はちゃんと扉は閉めるのだ。
持ち主が帰って来た時に不信がられないように。
勿論、持ち主より先に部屋に戻れなかった場合はこの家の家族に見つからないように隠れるしかない。
「ハアハア……何でみんな俺を追いかけるんだよ」
思う。それはお前がフラグを立てて折ることすらせずに放置するからだと。
「私は……完全にとばっちりを受けている気がするのだよ」
確かに。声優同じだけで狙われるグラハムには多少の同情はある。
……けして、羨ましくなどないのだ。
「お前らさ、誰かと付き合えばまだマシになるだろ?」
ふと、本来の花村陽介の記録からそう告げる。
相棒も六股疑惑は浮上していたものの、ちゃんと五人はバッサリやってた筈だ……と、思いたい。
「上条さんの事を好きになってくれる人がいるのなら喜んで付き合いますことよ」
そこ、いっぱいいんだろ。大勢いんだろ。原作より多いだろうが!!
「私は……空に魅了された男だ。それ以前に……皆が愛しているのは私ではないのだよ」
まあ、あんたは分かる。別の男の名前呼ばれて追いかけられてるしね……いつも。
「兎に角、別の部屋に行こうぜ。ほら、クリスさんのいる部屋とか」
「クリスさん……と言うより、ジルさんに会いたいだけだろ」
「う。良いだろう。上条さんにも癒しは欲しいんだよ」
「クリス……元空軍の彼か。成る程、空の話にはかかないだろう」
陽介は思う。外に出たのは失敗だったのかもな……と。
後編へ続く!