カオ転三次 コスプレ?サマナーの生存戦略   作:杉の根

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一話にて修正
マグナ(地変系・地震で攻撃)とグライ(重力系又は万能系・重力で攻撃)を間違えて覚えていました。
マグナクレーンじゃなくてグライクレーンですね。
まあ、マイナー属性の扱い次第ではジオの電磁場に変更するかも。


二話

「さて、今回の仕事だが、四日間を予定としている。パッケージが学生さんという事で異界に踏み込むのは休日になっているが、振り替え休日があるから拗ねるなよ。今日移動して異界の下見と依頼主との顔合わせ、土日で覚醒を試み、月曜で帰る。来週もやるかは向こう次第だ」

 

出発前の最終確認が始まった。

毎度の事ながら身が引き締まる気がする。

 

「短期間だが往復するには距離があるし、格好付けの件もある。足は大型トラックの方を使う。コールサインもいつも通りスカラベだ」

 

コールサインを使うのは俺の提案で、その時は特定対策や意識の切り替えがどうこうと言ったが、かっこいいというのが本音だ。

だがこのかっこいいというのが案外馬鹿にならないとも思っている。

 

「パッケージの覚醒は異界という環境と悪魔を倒しまくって濃厚なMAGに晒す事で促す。パッケージにも武装させるが、これはパッケージの不安を抑える為で戦闘させる気はない。アサルト、用意はできているか」

 

俺のコールサインはアサルトで会社では訓練を担当する業務指導部の田中部長(部下0人)ということになってる。

俺ら4人の他は現地人が数人しかいないのに役職とか意味あるのかと思ったが、前世でも社長やってたソラールからすると重要らしい。

終末を見据えて人を増やしていく予定で、人が増えていけば訓練は必ず重要な役目になるってソラールは力説していた。

しょうがないから机上の空論ではあるが訓練計画を作ってはいるがそれでも他に比べて仕事が少ない。

訓練教官が弱いんじゃどうすんだってことでよく異界に潜って、金平の欲しがるMAGとフォルマを持ってきているが正直肩身が狭いぜ。

 

思考を仕事に戻すと、今回の仕事は訓練ともいえるので俺も目の前の悪魔をしばき倒すだけではまったくもって不足だ。

いや、こういう意識を持たせるのが目的なのか?

 

「すでに向こうに送ってある。試着済みでサイズも問題なしだそうだ。予備も積んでる」

 

用意した中で本格的な防具は頭と胴、後はヘルメットから垂らした防刃布で首を守るくらいか。

あんまり重くするのもまずいので他は攻撃を受け止めるというより怪我を防ぐ防具にした。

気を大きくして突っ込まれても困るので武器はスタンガンにとどめてライオットシールドを渡した。

これなら恐怖でパニックになっても走り出すより盾に隠れる・・・といいなぁ。

 

「よし。ターミナル、スカラベはどうだ」

 

ターミナルは金平だ。

開発部の部長なのだが施設や設備の内機械は大体金平が担当している。

腕が良いせいで引っ張りだこなもんで、少しでも負担を減らすべく三人の部下を持っている。

これは四人の中で一番多い。

 

「車も運ちゃんもOK!いつでも出せるっす」

 

「よし。各自の装備もスカラベの中でもう一度チェックするぞ。次に予定の異界だが、出る悪魔はガキだけと弱い上に種類が少なくて読みやすいので選んだが、数が多く戦意が高いのでほぼ常に戦う羽目になる。乱戦になるのは避けたい、アサルトは囮だ。突出して【咆哮】で引きつけろ。ターミナルはアサルトの援護と周辺警戒だ。ガキ相手なら無双できるから消耗したら【ディア】してやれ。警戒の方はドローン任せでいい。ストームは最後尾で周辺警戒に専念しろ。前以外から来たガキは全員撃って構わん」

 

嵐はそのまんまストームだ。

一郎なんだからストームワンでレンジャーかと思いきや、本人の趣味によりフェンサーである。

会社では副社長だな、交渉とかを手広くやっているみたいだし、担当がいないのはまずNo2に回ってくる。

 

「数が多いんでしたね、楽しみです。」

 

「弾代をケチれとは言わんが、限度はあるからな。俺はパッケージの護衛に専念する。もしアサルトが消耗し過ぎた場合には俺とアサルトのポジションを交代するが、そうなる前に引くぞ」

 

ソラールのコールサインはサンライトだ。

前世では社長って何してんだかよく分かんないけど偉いんだから楽してんだろうななんて考えていた。

けど今の少人数で誰が何をやっているのか良くわかる状態だと偉いとか責任者って大変なんだなと思うくらいあっちこっちに出向いている。

 

「疑問はあるか?・・・よし、出発だ!」

 

俺達太陽運輸は一斉に声を上げて立ち上がった。

 

「帝国公理!」

「EDF!EDF!」

「ところで将軍!」

「太陽万歳!」

 

あ、あんまりキツくしても長続きしないから…

 

まあ、パッと見るとしっかりしているように見えて意外と緩い、それが太陽運輸だ。

 

 

 

 

 

シキガミの変化を解いて身に纏いながら、スカラベに乗り込んでいく。

するとヘルメットの内側の透過ディスプレイに様々な情報が映し出され、機械的な女性の声が聞こえてくる。

 

<おはようございます マスター 戦闘行動を開始します>

 

<機体診断を行いますか?>

 

「おはようレイ、チェック頼むぞ」

 

ADAはいいぞ。

AI娘の最高峰だ。

でもADAはレオの嫁なのでインペレイターを縮めてレイと呼んでいる。

 

<シキガミコア 出力安定状態>

 

MAGを意識して体に巡らして手ごたえを確かめた後、インペレイターに多めに供給。

 

<擬似チャクラライン MAGロス規定値以下>

 

軽く体を動かす。

 

<伝達系及び人工筋肉 応答良好>

 

両手にマウントされた武装を直接見て確かめる。

 

<観測機器及び武装マウント 正常>

 

<サンライトより通信 情報連携システムの要請です>

 

「許可する」

 

<リンク確立><リンク確立、よし!>

 

一瞬だけサンライトのシキガミの太陽猫が出てきて例のポーズをした。

 

<システムオールグリーン 出撃可能です>

 

途中変なのが混ざったけど、やっぱり出撃シーンはいいな!

 

とは言え流石に移動中は暇だ。

暇つぶしに話しかけよう

 

「そうだ、ずっと気になってたんだけど、皆はなんでシキガミを道具型の中でも少数派の鎧型にしたんだ。俺はかっこいいからで決めた、ストームは俺に合わせたのか?」

 

「それもありますが、すでに家族がいたので。人は勿論動物だって相談も無しに急に迎えるというのはどうかと思いまして。でも、時間をかけると予約が埋まりそうだったので道具型で安心感のある鎧型にしました。サンライトはなぜですか」

 

思っていたよりはしっかり考えていたんだな。

 

「俺もストームと似たような事を考えたな。それと、俺は人型シキガミを、もっとこう、何というか、不満や反抗という意味でも人っぽいものだと思っていたんだ。前世で雇用者としてでも人の一生に関わる責任を持つのは大変だった。シキガミの場合、俺たちが望んで生み出すわけだから責任はより重い。とても背負えないと思って人型は避けた。他の連中の話を聞く限り俺の心配は少しズレてたみたいだが、責任の重さは寧ろ増しているかもしれん。…それでターミナルは?シキガミの注文がパンクして注文できる頃にはうちと提携しているようなものだったな」

 

思っていたよりもしっかり考えていた。

でもここまで考えてたのにシキガミの元ネタは現場猫なのか。

 

「私は鎧型にしたのももっと言えばここに入ったのも鎧型シキガミに関わってたからっす。んでなんで鎧型に拘ってたかっていうと、鎧型が一番私の鉄を使ってくれるからっす。刀とか作ってる作成班の人だと昔ながらの製鉄を自分でやっちゃう人が多いんすよね。実際、私の鉄はオカルト使っているとはいえ工業的にやってるんで質では負けることも多いんすよ。でも全身を覆う鎧は量が必要だし刀や剣とは求められる鉄が微妙に違うので私の鉄が選んで貰えるんす」

 

「ターミナルが特に鉄にプライド持ってるのは知ってたけど、そこまでか。凄腕って狂ってるって言われる奴が多いけどお前も立派な鉄狂いだったんだな」

 

「・・・前世でも鉄工所で働いてたんすよ。いろんな鉄のスクラップを種類ごとに細かく分けて、正確に分量を図って混ぜ合わせるっす。するとただのゴミが最先端の機械にだって使える合金に生まれ変わるんす。でも私はただの現場作業員で、その中でも一番のミソッカスで、それで当然の奴だったんす。んで生まれ変わったら天才だったっす」

 

「まあ、何かに本気で努力すれば半覚醒くらいなら少し珍しい程度ですね。その時点でもスペックは周囲から頭一つ抜けますから、才能ありと言っていいでしょう」

 

「転生者ってみんな才能あるじゃないすか、天才だけが転生するんだったら多分私はいないはずで、でも実際にいて、だから私たちは才能を得たんじゃないすか。でも私たちがいらないって言いたいんじゃなくて・・・ほら単体じゃ脆いからって組成変えたんじゃ欲しい合金にはならないっす。だから私は元はダメな奴で今も才能に甘えてるけど私が無意味で無くても他でもいいって訳じゃないと思うんす。じゃあ前の私っていう鉄屑が今の私っていう合金でどんな役割をしてるかって思ったら、鉄への拘りに違いないと思って。いや、ここまでハッキリ考えるようになったのは最近なんすけど」

 

こっちが恥ずかしくなるくらいしっかり考えていた。

いやこの結論に至ったのは最近と言ってたし、最初は鉄が好きだから選んだという俺と大差ない単純さだ。

ん?

もしかすると俺ももっと考えて人生に一本芯を通すような結論を出すべきなのか?

うーん。

かっこいいという事の効果は案外大きいと思ってはいるが…

 

「あはは、なんか語りだしちゃって申し訳ないっす」

 

「ターミ…いや金平殿、貴殿に開発部を任せたのは正解だった。貴殿が太陽運輸にいてくれる事、心強く思うぞ」

 

「え、えへへ。なんか恥ずかしいっす。先輩のせいっすよ!…唸ってる」

 

「しばらくしたら復活しますよ。迷わない事が長所なのに時々考えこんじゃうんですよね」

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、マジかよ。クロ、あの表札見てみろ。俺でもテレビで聞いた覚えがあるぜ」

 

愚痴りながらバックミラーにぶら下がった蝙蝠のクロを撫でる。

もう落ち着くためのルーチーンみてえなもんだな。

 

俺は自分の事をただのトラック運転手とは思っちゃいない。

特殊配送を何度も任され競走馬の輸送にだって選ばれた事がある、凄腕と名乗ったって恥ずかしくねえと思ってる。

 

そんなもんだから信頼できる運転手を探している奴がいると聞いてプライドをくすぐられちまった。

羽振りがいいって話題になってたガイア傘下で破格の給料だったしな。

 

初めは変な趣味に大金を注ぎ込む金持ちかと思った。

甲冑愛好家とかそんな界隈があんのかと呑気に考えていた。

お気に入りの鎧に傷をつけたくねえってんで俺を雇ったんならやり過ぎだろ、なんて具合にな。

更に契約書で守秘義務やら何やら、向こうは真剣に考えるように言っていたが何も知らねえ俺は笑わねえよう我慢していた。

 

だが一回乗せれば、もう笑えねえ。

 

感触からしてあれはハリボテで済む重さじゃねぇ。

積み込みにデカいフォークリフトを使ってるみてぇな揺れ方だし、スカスカの荷台の割にはトレーラーのケツが重い。

何であんな鉄の塊を着て動けんだ?

趣味とかいう以前に人間の範疇を超えてねぇか?

 

運ぶ先もおかしい、時には名家でございと言わんばかりの邸宅、時には曰く付きの場所、ときたもんだ。

荷物の運送じゃなく人の足になってんのは明らかだ。

太陽運輸って会社自体隠れ蓑なんじゃねぇのか?

 

さっさと抜けるべきか思っていたら待機場所で銃声を聞いた。

そんで手に負えねぇって思ったんだ。

何か犯罪の片棒を担がされてんのかと、警察にチクりに行こうとしたら足が動かなくなった。

びっくりしている内に足は動くようになり、便所も買い物も問題なく行けた。

暫く放ってた落とし物を受け取りに交番に行くこともできた。

でもチクろうとすると口は回らないし足は竦む。

いったい何だってんだ。

オマケに次の日出社した時には俺がチクろうとしたことはソラール社長にバレてた。

 

あの契約書は本物の御呪いだったらしい。

世の中には悪魔だの魔法だのがあって、太陽運輸の本性は悪魔狩りみてぇだ。

 

人食いの化け物と化け物殺しの超人達の争いとか勘弁してくれ。

俺は運転手だ。

手に負えねえよ。

 

俺が辞めるとしても守秘義務は解かないが、辞めるなら口止めと迷惑料として金をくれるらしい。

口封じに殺されるかもしれねぇって思ってたから命を保証してくれただけでも有難かった。

さっさと縁を切って平和な日常に、とも思ったが安心すると気になることがあって聞いてみたんだ。

「結構な頻度であちこちにあんたらを運んだが悪魔ってのはそんなに多いのか」ってな。

 

…思ったより多いなんてもんじゃ済まなかった。

しかも増える一方で、悪魔が大手を振って出歩くような日も近いそうだ。

そういや俺にも心当たりがある。

運転手仲間の間でヤバいって言われてる道があるんだが、昔から増える一方で今じゃ余程のものじゃないと一々名前を上げないくらいだ。

終末はこんなもんじゃ済まねえらしい。

そんなの誰の手にだって負えねえよ。

 

顔を青くする俺に対してソラール社長はこれを知った上で続けてくれるのなら契約社員から正社員に登用すると提案してきた。

正社員にはある程度の保護も行うとも言ってくれた。

太陽運輸だけじゃなく、ガイア連合自体が終末に備えるために発足したらしい。

あんなデカい組織も関わってるんなら何とかなるのかもしれねえ。

他に本物の御呪いができる奴なんて知らねえし、あの糞重トレーラーを一般道以下の道にまで運んでいける奴も俺以外知らねえ。

運転手としてなら俺にもできることがあるか?

結局俺はソラール社長の提案を受けた。

 

驚くことにクロがその保護だ。

何でもこいつは本物の蝙蝠じゃなくて、簡易シキガミとかいう人工的な悪魔らしい。

初めはビビったが今じゃ意外と頭がいいペットって感じだ。

飯も糞もないってのもいいな。

だが寝坊助な奴なんで、悪魔の存在を警告するって機能をイマイチ信用できねえがな。

このトレーラー自体に対悪魔の防御があるらしいから、せめて救援要請だけでもちゃんとしてくれればいいんだが。

 

「マジで頼むぞ、クロ。いざって時ゃ俺の命はお前次第だぞ」

 

やる気なさげにキーと鳴いてきやがった。

こいつを頼りするしかねえんだから泣けてくるぜ。

 

徐行しているとはいえやっぱ金持ちの家は広いな。

 

あれが依頼人か?

 

ならトレーラーの荷台をあいつの目の前ピッタリに止めて、かっこいい登場を演出しなきゃな。

 

こういう感じの運転手の手に負える仕事は大歓迎だ。

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