リメイク前と比べるとスローペースですがお気に入り数増えているので本当に嬉しく思います。してくださった方ありがとうございます
評価、感想もお待ちしておりますのでよろしくお願いします
砦から無事に出ることができ、曹の旗がある陣営まで近づいていく
……これからあの曹孟徳に会うことになるのか
「お兄ちゃん大丈夫?顔色悪いよ?」
「いや、オレは大丈夫だよ。えっと」
「シャンは徐公明、星のこと真名で呼んでるから香風でいいよ」
「オレは衛宮正騎。よろしくな香風」
「正騎……じゃあまーくん」
まーくん、初めて呼ばれるあだ名だな
基本みんなオレのことは衛宮か正騎のどっちかだったし
でも悪い気はしない
それにしても徐公明って徐晃のことだな
確か曹操の元に来るのは黄巾の乱か反董卓連合以降だった気がするが……平行世界の可能性もあるからきっと時間軸もずれているんだろう
「華琳さま、まーくんと星連れてきた」
「ありがとう香風」
見知った顔、荀彧と許褚がいる
……なんかこっち睨んでいるが曹操さんのところに無事仕えることが出来たんだな
それに白い服を着た男……
「制服に見えるが……もしかして君が?」
「やっぱりわかるんだ!良かった……俺は北郷一刀、日本から来たんだけど」
「ああ、冬木っていうあんまり知られてない町生まれだが同じ日本人だ。ようやく会えて嬉しいよ」
この世界でただ1人の同じ日本人、きっと彼も同じ国の人がいて安心しただろう
そして……あの金髪のロールの子が曹孟徳
ああ、俺が見てもわかる。彼女から王としての威圧を感じる……まさしく英雄と呼ばれる人物だ
「桂花、季衣。あの子で間違っていないかしら?」
「はい!2人とも無事だったんだ良かった!」
「あの馬鹿な面は間違いなく衛宮正騎です」
「なんでだ!馬鹿はないだろ馬鹿は!」
久しぶりに会ったというのにやっぱり男嫌いだからかキツく言われてしまう
荀彧の屋敷での日々を思い出すが……こんなことで思い出したくなかったな
「久しぶりに再会したのだから話したいのはわかるけど後にしなさい。さて、一刀が知っていたのだからわかっていると思うのだけれど名乗っておくわ。私の名は曹孟徳よ」
「衛宮正騎です。一応異能を使いし者ってやつです」
「私は趙子龍。今は正騎殿と旅をしております」
「異能というとどういう力を持っているのか見せてもらえるかしら?」
「正騎殿、戦疲れがあると思いますが大丈夫ですか?」
「戦闘しないってならあと数回は問題ないよ。────
魔力の消費が少なく手馴れている干将莫耶を投影
……問題ないって言ったけど干将莫耶を投影するのもちょっとしんどいな
「その剣見せてもらっても?」
「もちろんです」
投影した干将莫耶を曹操さんに手渡す
その干将莫耶を見つめ、重さを測ったりしている……なんか採点されているようで怖いな
「この剣は……干将・莫耶ね。陰剣の干将に亀裂模様が入っていて陽剣の莫耶には水波模様が浮かんでいる、実物を見るのは初めてだわ。異能というのは武器を手元に呼ぶということかしら?」
「それはオレが作った贋作です。解明した武器を構築し手元に投影する……それがオレの異能改め魔術です」
「剣としての重さ、刃もしっかりしてる様子からちゃんと武器として使えそうだけれどこれが贋作……なるほどね、それとその背負っている剣も贋作なのかしら?」
「これはオレが初めて投影した物で、オレたち家族に縁がある剣────聖剣、
背の鞘から剣抜きとる
光り輝く黄金の剣は刀身を表すとその眩い光が辺りを照らす
「こんな剣見たことないわね」
「この剣は
約束された勝利の剣
人類では作ることは出来ない聖剣の頂点に立つ聖剣
最強の幻想とも呼ばれ騎士王アーサーが使っていた物だ
これはオレがアーサー王との繋がりで出来た初めての投影武器……となっているけど本当のことは聖杯戦争でアーサー王と共に戦った両親もオレ自身もまだよく分からない
「あなたの力はわかったわ。それに趙子龍、2人であの数を相手にしたというのに疲れを見せず傷は愚か服に汚れさえつけていない。あなたの実力もわかった……いえ、恐らくまだ余力を残しているわね」
「場合によっては退却もありえましたので。正騎殿の魔術は常に武器を出せるので便利ですが、それ故に連続すると体力が消費しやすいという欠点がありましてな。できたなら殲滅し、無理ならば退却とあえて力を残しておいたのです。ちょうどの所で曹操殿の軍が到着いらしたのでこちらとしても助かったのですが」
この人そこまで考えていたのか……
武力はもちろん、柔軟な思考を持っている、だからこそ史実でも趙雲は諸葛亮からの信頼が厚かったんだろう
「大したものだわ。さてと、話が長くなったわね。衛宮正騎、趙子龍。率直に言うわ、私の元に来なさい」
オレは天の御遣いということ、それに星は有用な人材ってことだから迎え入れたいんだろう
聞かれるのはわかった。だけど……
「その答え、少しだけ待ってくれませんか?」
「どうしてかしら?」
「旅に出た直後ならはいと答えたはず。けれど今は真名で呼ぶことが出来る大切な仲間がいるんです。だから少しだけ話し合いたい」
「そういうことなら構わないわ。けど天の御遣いという身分のあなたを野放しにして起きたくないの。そこはわかってもらえるかしら?」
「……もちろんです」
この人の事だからきっとこの天の御遣いという名を使われるのを塞ぐためにこう言ってるんだ
利用さえすればどうとでも使い用がありそうだからな
「それじゃあ星、さっきの話なんだけど君はどうしたい?」
「旅を続けるか曹操殿に仕えるかのどちらかですか。それならば構いませぬ、私は正騎殿について行きますのであなたの判断に任せます。もっとも、その選択は既に決まっていると見えますがな」
「……ありがとう、そしてこれからもよろしく頼むよ」
なんでこんなオレに興味を持ってくれて、ここまでついてきてくれるのかはわからないけどとても嬉しいんだ
忠義に厚く、正義感があるまさに勇者みたいな蜀の将趙子龍
こっちだと飄々としてて掴みどころがなく、まだよく分からない人だ
けれどもその正義感と強さは紛れもなく史実のと同じように感じる
そしてオレが曹操さんの元に行く決め手になるのは……やっぱり荀彧がいるからだな
あの子はこの世界で初めて出会った子でオレはそんな彼女と戦いたくない、いや、戦えない
ならばもうこの道しか残っていない
「答えは決まりました。オレたちの力、この大陸を平和にするために使ってくだ────、痛うぅ!」
何だこの急に来た頭痛と吐き気……
だが一瞬なものですぐに消えた……戦闘の疲労から来たのもかな
「大丈夫ですか?やはりまだ先の戦いの疲れが残っている様子、休まれては」
「いや、大丈夫だ。曹操さん、改めて言うけどオレたちの力使ってくれ」
「ええ。この大陸を平穏にするために使わせてもらうわ。それからあなた達には私の真名を預けます、我が真名は華琳よ」
「ちょっ、ちょっと待ってください曹操さま!!」
「あら桂花、なにか問題でも?」
「あります!なんでこいつに真名を預けるのですか!
「彼は芯の強さと正しき心を持っている、話しただけでわかるわ。それに彼の異能も私の力になると確信して私が真名を預けるに足ると思ったからよ。それに対しては桂花、あなたがよくわかるんじゃないのかしら?」
少し話して力を見せただけでこう評価してくれたのか
今は未熟だが、この未来の王の為に強くならないと
「確かにこいつは人のために何かをする馬鹿で決めたことを曲げたりはしませんでしたけど……」
「いいわね、桂花?それよりも1番に真名をあずけたかったのかしら?」
「な、何を言ってるんですか曹操さま!そんなこと思ってもいません!」
「真名ならシャンが先に預けちゃったよ」
「だからそんなこと思ってないってば!」
「それに私は彼の名前を1度口にしてるわ。一刀と同郷の彼はその名前は真名と同じであるわ、それが偽りでなければだけれど」
「はい。この名前は両親から貰った誇りある大切な名前です」
正騎──正義のように、正しき心を持って欲しいのと騎士王、アーサー王の加護があるようにって意味でつけられた僕の名前
この名前に込められた意味に合うような騎士になりたいとも思ったことはある
現代じゃあ騎士になんてなれないからどんな所でも恥がないようにするぐらいって気持ち構えしてるぐらいだけどな
「ならいいわ。それと話す時も砕けた口調で構わないわよ」
「わかった。ならこれからよろしくな、華琳」
あの曹操さんの真名を預かったのか
これでオレもいずれの魏の1人……か
まさかこんな事になるなんていくら魔術師という普通の人と違う道を進んでいるとはいえ思ったこともなかったな
「我が真名は星、私も華琳さまと呼ばせて頂きましょう」
「ええ。あなたの力も頼りにしているわ、星。それから他の者も一刀と同じように正騎には真名を預けるように」
「ボクは季衣!これからもよろしくね、正兄ちゃんと趙雲!」
「星で構わん、同じ主の元で戦うのだからな。それから香風とまた戦えるとは」
「うん。シャンも嬉しい。まーくんもよろしくね」
「こちらこそ、未熟者だけど精一杯頑張るよ」
それから……こっちを睨んでいる猫耳の頭巾を被ったあの子もか
「…………桂花よ」
「ああ。ちゃんと大切に言わせてもらうよ」
「曹操さまの指示だから仕方なくよ!?本当はあんたやそこの猿なんかに私の真名を呼ばせることなんてありえないんだから!」
「猿って……せめて人扱いしろよ」
「ふむ……お主が正騎殿と初めて出会ったという……」
「……だったら何よ」
「いやなに、別に対した意味は無い。その様子では私が正騎殿を頂いても構わんな?」
「別にこんなやついらないわよ!」
んん?一体星はなんの事言っているんだ?
頂くってオレは物じゃないんだが、というかそれでもいらないって言われるとなんか傷つくな
「戻るまでに少し時間もかかるしその合間に他の者の挨拶をさせておこうかしら。そうね……一刀、同郷同士話しやすいだろうし、あなたがみんなの所に連れて行ってあげなさい」
「あ、あぁ……わかっ……た……」
「お、おい一刀!?」
「緊張の糸が切れたようね。初陣だったのだから仕方ないわね」
オレもさっきのが初陣だったとはいえ、一刀とは立場が違う
本当に普通に暮らしてて、平和な日常からこんな戦があるような世界に飛ばされ、しかも戦に行くことになるなんて思ってもなかっただろうからそれまで耐えられたんだから今はゆっくり休ませてあげよう
「華琳さま、ただいま戻りました」
「秋蘭、ちょうどいいところに来たわね。正騎と星が我が軍に加わるわ。まだ時間があるし2人をみんなに挨拶させてあげて」
「はっ。ということはお主が?」
「一刀と同じ天の御遣いという認識であっているよ。衛宮正騎だ、よろしく」
「私は夏侯妙才、華琳さまの元に来るとなったとあらば真名も授けられたということだろう。私の真名は秋蘭だ」
夏侯淵……!
三国志で黄忠と並ぶ弓の名手だ……!
弓を扱う者としてきっとこの人から得られる物は多いはず
「ほう、かの夏侯惇殿の妹であられる夏侯淵殿であったか。我が名は趙子龍、真名は星。正騎殿と共にこれからよろしく頼む」
「では行こうか。そろそろ姉者たちも戻ってきているだろうしな」
砦の制圧部隊が戻ってきてたり、退却するからその準備やらで兵たちが常に動いている
どの兵たちも無駄な動きがなく、統率されているな
「姉者、すでに戻ってきていたのか」
「おお秋蘭、砦に乗り込んだ時にはもう残り少数程しか相手がいなかったからな」
「なるほどな。衛宮、星、こちらが私の姉者、夏侯惇だ」
「衛宮正騎だ。これからよろしく」
「我が名は趙子龍、真名は星」
「北郷と同じで華琳さまから真名を呼ぶこと許されたんだろう、ならば私のことは春蘭と呼ぶがいい。……それと星と言ったな、私と手合わせしろ」
「ほう……?」
「相当な手練と見えた。だからその強さ、どれほどなのか見せてみろ」
やはり達人というか、英雄に近いレベルになると見ただけでどれぐらいの力を持っているのかしら測れるのか
確かに星はオレから……いや、誰から見ても相当な強さを持っている
「私は構わぬが、華琳さまから城へ引き上げると聞いておるのだろう?今私と手合わせて時間を潰し、自らの役割は後回しにして使える主に迷惑をかけたいのか?」
「ぐぬぬ……」
「これからは同じ主に使える身だ。手合わせぐらいいつでもできる、今は我慢なされ。では秋蘭、次へ案内してくれ」
「わかった。姉者を軽くいなすとは、なかなかやるな」
「さて次は……あそこに栄華がいるな」
華琳よりもロールの巻き数が少なく、髪を伸ばしたような女の子がいる
この時代同じ姓の人が何人もいるんだっけ
多分華琳と近しい感じがするから曹一族の誰かだろうか
「栄華、華琳さまの命で我が軍に加わる者を連れてきた。一言挨拶してやってくれ」
「秋蘭さん、わかりましたわ。わたくしは曹洪と申します」
「私は趙子龍、真名は星だ。曹一族の者であったか」
「オレは衛宮正騎。よろしく」
「星さんですわね。わたくしの真名は栄華です」
……ん?もしかしてオレスルーされた?
正直に言うと多分この子桂花と同じ感じがする
「秋蘭、もしかしてこの子桂花と同じで……?」
「すまない、そういうことだ」
つまり桂花も盗賊に襲われておらず、あの場面じゃない場合だったらこんな風に無視されてたということか
「栄華、わかっているかと思うが……」
「はぁ……、ということはこの方がもう1人の……それにこの流れは……わかりましたわ、お姉様が真名を預けたのなら仕方ありませんがあなたなんかに真名を預けたくありませんからね。先程仰ったから聞こえてたと思いますが真名は栄華ですわ」
「ありがとう。もし不満なところがあったら遠慮なく言ってほしい、直すものは直すし頑張ったりするから」
「わ、分かりましたけど……何かあなた他のケダモノたちと違って不気味なお方ですわね……」
なんでだ?普通に挨拶したし嫌われるようなことはあったら嫌だから直そうとしてるだけなんだけど……
女の子っていうのはわからないものだ
「さて、後は……っと思ったら向こうから来てくれたな」
「秋姉ぇ〜!何してるっすか?」
「華侖、柳琳は一緒じゃないのか?」
「柳琳なら──」
「姉さん!まだ事後処理も終わってないのに持ち場を離れちゃ……秋蘭さま」
元気で活発な女の子と、その子を追いかけているお淑やかでとても優しそうな女の子……あの優しそうな雰囲気はどこか桜さんに似ている気がする
どうやらこの2人も上の立場の人らしいな
「2人共少しいいか?華琳さまの命で2人を挨拶をさせに来た。少しだけ時間を貰いたい」
「もちろんいいっすよー!あたしは曹仁、真名は華侖っす!よろしくっすよー!」
「もしかして一刀さんと同じ天の御遣いのお方で……?はじめまして。性は曹、名は純、字は子和、真名は柳琳と申します。以後、お見知りおきを」
あいさつも全くと言っていいほど真逆だな
華侖は元気よく、そして仲良くしやすそう
柳琳はとても丁寧、あいさつからわかる性格してとてもいい子なんだろう
「秋蘭、この子達は栄華みたいなことは?」
「特にないな。華侖と柳琳共に話し方で分かると思うぞ」
「そっか。オレは衛宮正騎、これから色々とよろしく」
「私は趙子龍、真名は星。正騎殿共々よろしく頼む」
「星はなにか付けちゃうと長くなるからそのままとして〜、うーん、えみやまさき、えみやまさき……一刀っちと合わせてまさっちっていうのはどうっすか!?」
「姉さん!一刀さんの時にも言ったけどそれじゃ失礼でしょ!」
「いや、呼び方はそれでいいよ。むしろ子供の頃そういうあだ名がなかったからこうして付けられることで仲良くなれるって思えて嬉しいよ。柳琳も気軽に呼んでくれていいから」
「そう仰るのなら……正騎さん、それに星さん。これからよろしくお願いしますね」
「うむ。そういえば柳琳は姉さんと言っていたが2人は姉妹なのか?」
「そっすよー!柳琳はあたしの妹っす!」
なるほど、正反対な2人だけれども仲は良さそうだ
……ただ、柳琳は振り回されてそうでいそうだけど
華琳、桂花、香風、季衣、秋蘭に春蘭、栄華に華侖と柳琳
うん、しっかり覚えた
この世界では真名は自分の命と同様に大切な物
呼ぶだけでも大切に呼ばなくちゃな
盗賊の砦を攻撃し、陳留へ帰るために出発して数日
オレは荷車に乗せてもらっているが……尻が痛い
ちなみに星は一刀が乗っていた馬に乗っている
その一刀はと言うとグルグル巻に固定されて落ちないようにしてる
倒れたあと未だに目覚めていないということで荷車に詰められたんだ
多分次からオレも馬に乗るだろうし、行軍できるように星に馬の乗り方でも教えてもらうか。それと強くなるために鍛錬してもらわないと
「…………あれ?」
「おっ、起きたか。おはよう」
「……どれだけ寝てたの、俺」
「あー、まぁ聞かない方がいいんじゃないのか?」
1~2、3日ぐらいならまぁまだしもそれ以上経ってるからな
こういうのは知らない方がいいこともある
「あ、一刀っち!目が覚めたっすか!」
「ご無事で良かったです……!」
「やめて!こんな俺の姿、見に来ないで!」
「お兄ちゃん……また……」
「え、またって何すか?香風」
「ええっと……」
「だからその話はやめてー!」
どうやら前にも同じようなことがあったらしいな
一般人だったからこんな世界に来たからこうなるのは仕方ないけど周りに見られるとなるとな……
「2人旅と比べると随分賑やかになりましたな」
「倍以上に増えたもんな。星は賑やかなのは苦手?」
「静かな方が好みではありますが、こういうのも悪くはありません」
「オレはこんなに賑やかなの家にいる時以来だから何だか懐かしく感じるよ」
父さんと母さん、それから結構な頻度でご飯を食べに来る藤ねえちゃん、時々お手伝いや遊びに来てくれる桜さんと何かそれなりに人いたからな
「それにしても正騎たちが無事で良かったよ」
「さすがに自分の未熟さを思い知ったけどな。星がいてくれたからこそ何とかなったもんだし」
「そうね、あんた1人だとあそこでくたばってたものね。少しは自分の無能さを知ったかしら?」
「ぐっ……反論できない……」
けどちゃんと鍛錬をして強くなればこんなことにはならないようになるさ
「ふふっ。正騎は桂花に勝てないのね」
「いや……別にそんなんじゃ……」
今回はあっちが正論だったわけだし、無意味に反論しても多分論破されるだけだから黙っただけだ
決してオレが桂花に勝てないからって訳じゃないぞ、うん
「ただ、心残りなのは……華琳さまが気にかけておられた古書が見つからなかった事だな」
「うむ。大変用心の書だな」
「……太平要術よ」
『…………』
全員が黙ってしまった……
その、なんというか……夏侯惇のイメージも随分違うものだな
「正騎たちは本もしくは他の者と比べると特徴ある3人の賊を見なかったかしら?」
「注意深く砦は見ていたんだけど特には……盗賊たちも目立った人もいなさそうだったし。星は?」
「それらしき人物と物は見ませんでしたな。砦は焼き払われたものですからあったとしてももう燃えているでしょう」
「それもそうね。それに桂花と季衣、星と得難い宝に正騎という天の御遣いが手に入ったのだから、それで良しとしましょう」
季衣は武功を上げて華琳の親衛隊を任されることになったらしい
そして季衣の村も、華琳が治めることに
華琳が治めるとなるんだからきっと今よりも快適な生活ができるようになるだろう
ただオレはまだよく分かっていないが、一時的なことらしく豫州の人が返せと言えばすぐ返すことになるらしい
自分が治める範囲ならしっかり守ってあげろよと思うな……
「さて。後は、桂花のことだけれど……」
「そ……曹操さま、ここでですか!?」
「皆も揃っているし、ちょうど良いでしょう」
「桂花のこと……?秋蘭、一体なんのことだ?」
「そうか、衛宮は知らなかったな。実は出立の前に桂花とある約束をしてだな」
どうやら桂花は食料を半分にしてこの行軍をするつもりだったらしい
それで華琳を試すことまでもしたんだと……華琳の元に仕官出来てたと思ったら何危ないことやってんだよ……
「今回の件は……桂花、あなたの思惑通りになったわね」
「……はい」
あれ、どうやら食料が半分でも無事に終わったから賭けは桂花の勝ちになったらしい……だけれども桂花はあまり嬉しく無さそうだ。なんでだ?
「正騎と関わりがあったからこその勝ちね。ちゃんと感謝するのよ?」
「オレ?オレが何かしたのか?」
「あら、あなた自分で何をしたのか覚えてないの?」
「……いや、あまり身に覚えが。強いてゆうならみんなに少しでも美味しいものを食べてもらおうと頑張ったくらいなんだけど」
過去の世界でもあるし、行軍ともなると生物なんかは当たり前だけど持ち運ぶことは出来ない
つまり持って行ける食料ってのは限られたものになる
そこでオレは自ら名乗り出て料理当番を努めたぐらいなんだけど……
そういや季衣と
『正兄ちゃん、おかわりもっとないの?』
『ゴメンな、でも今大量に作りすぎるときっと明日は食べられても明後日、その次の日は食べられなくなるかもしれないだろ?最後に空腹で帰るよりちゃんとお腹の中になにか入れて帰った方が辛くないだろ?』
『正兄ちゃんの美味しいご飯食べた後に空腹でいるのは辛いかも……わかったよ!』
みたいなやり取りしたっけ
……まさかこれか?
「不可抗力や予測できない事態が起こるのが、戦場の常よ。それこそ今回は正騎という予測できない人物がいたからこその結果になったわね」
「そうだったのか。桂花のためになれて良かったよ」
「ふん!」
「それと正騎も桂花に感謝することね。この子あなたが戦っているってことを知ってからの采配が見事だったのよ」
華琳から聞くと
『まだ中で戦闘が行われているはずです。まず銅鑼を鳴らし、あの馬鹿と野盗共の注意を引き付けます。こちらのことに気がつけばあの馬鹿は魔術、あいつが使える異能の力でどうにかして門を壊すはずです。そうしたら速やかに突入を、敵の数は偵察兵の報告よりも少ないはずなので即座に制圧しつつ救出も出来るでしょう』
とすぐに提案してくれたらしい
だからオレも疲れただけで無傷でいられたという訳と
「ありがとな、助かったよ桂花」
「別にあんたに感謝される為にやった訳じゃないわよ!あんたが死んでたら私も死んでたの!でも華琳さまのために死ぬんじゃなくあんたのせいで死ぬなんてお断りだったから仕方なくよ!仕方なく!!」
「わかったわかったって」
「何ニヤついているのよ!この馬鹿!」
「あなたたちは仲がいいのか悪いのか。桂花、これから季衣と共に私を華琳と呼ぶことを許しましょう。今後はより一層、奮起して仕えるように」
「あ……ありがとうございます!か、華琳さまっ!」
桂花も華琳のこと真名で呼べるようになったし、とりあえず全て丸く収まったってことでいいよな
「それより正兄ちゃん。ボク、お腹すいたよー。陳留に着いたら美味しいものたくさん作ってくれるんでしょ?」
「ん?あぁ、もちろん。城なら材料あるし作れるもんは何だって作ってやるよ。華琳、城の厨房使っていいよな?」
「構わないわよ。それより私も正騎の手料理を食べたいわね。私の分もお願いしていいかしら?」
「任せておけ。なんだったら全員分作ってやるよ、本格的な物作れそうだし久しぶりに腕がなるな」
何作ろうか……とりあえず材料見て判断して、無ければ買い物して足すって方法もできるしな
久しぶりに料理人としての血が騒ぎそうだ。別に料理人が本職でも何でもないんだけどな
「正騎殿、あの約束も忘れておりませんよな?」
「約束……あー、メンマのことか。あれはできるのに日にちかかるからすぐにはできないぞ?」
「な、なんと……!?仕方あるまい、正騎殿の作った物を食べられるだけで今は我慢しましょう。ですが滞在地ができたのでいずれは!」
「わかってるって」
「…………なさいよ」
「桂花?なんか言ったか?」
「私にも作りなさいよって言ったのよ!何回も言わせるんじゃないわよ!」
「もちろんだよ。オレが作った料理今でも食べたいって思ってくれたんだな」
こうしてオレと星は華琳、曹孟徳の元に行くことになった
桂花も正式に軍師になることになったし、季衣も親衛隊に
桂花の屋敷から旅立ってまだ短いような、でも長いような気がするけどそれでも色々あったものだ
これから三國志の歴史に進むことになる……絶対に生き延びて、オレも華琳が目指す平和な世の中を作る力にならないと。きっとそれはオレが目指す正義の味方から見える、笑って暮らせる世の中だと思うから
ちなみに陳留に着いたあと、手料理を振舞ったら華琳や秋蘭など料理出来る人からは評価が高く、季衣や春蘭など沢山食べる人には満足して貰えたという
そして天の御遣いがいらなくなったとしても料理人として居られるようになった
とりあえずこれからも移住先が困らなくなったのはとても助かることでもあるな
華琳の元に合流するまでのお話は以上で、次から拠点パート混じりの本作同様の進みとなります
次は三國志始まりである黄巾の乱編になります