真・恋姫†夢想 正義の後継者   作:シバヤ

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14話

 

「追撃はするな!こちらの役目は既に達成している!」

 

星の掛け声で部隊の行進は終わり、戦闘が終わる

星は部隊を率いれて、黄色い布を巻いた暴徒の鎮圧……つまり黄巾の乱に関わる戦いをしていた

 

「星、もうかなり離れたからそろそろ撤退しよう」

「そうですな。此度もありがとうございます。しかし正騎殿、いくら相手が相手だからといってそんなに連続で出撃されるのは……」

「前みたいに少数でって訳じゃないし敵もそこまで多くないんだ。それにちゃんと動けなくなる前に休むよ」

 

オレは今回星の部隊と一緒に動いている

華琳からはまだどこに置くか迷っているらしく、だけど経験を積ませるには連携が取れる星の部隊と行動をさせてくれるようにしてくれた

それにしても……ついに始まってしまったのか。漢王朝が滅び、三国による長きに渡る中国の歴史が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……というわけです」

「そう……やはり、黄色い布が」

 

その日の軍議は暴徒の鎮圧から戻ってきた春蘭の報告で始まったんだけど黄色い布、つまり黄巾の乱が始まったということか

最近増えてきた暴徒たち……

共通点として黄色い布を身につけている

桂花も面識のある諸侯に連絡をとってその報告しているがやっぱり黄色い布を付けた暴徒の対応に手を焼いているらしい

地図を広げ丸石を置いて説明してるけどこの時代地図がものすごく貴重品だからな

投影で作れれば助けてあげられんだけど地図を作ることは不可能だ、オレが作れる贋作物は武器に値するカテゴリーのもののみ

辛うじて熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)が作れるけどあれは魔力を通常の投影の3倍は持っていかれるから本当に危ない場面でしか使えない。しかもそれでも7枚のうち3枚のみ

盾として使うなら父さんたちが戦ったバーサーカーのサーヴァントが使っていた石剣を投影すればいい

 

「それと、一団の首魁の名前は張角というらしいですが……正体は全くの不明だそうです」

 

やっぱり張角か

この名前が出てきて黄色い布……これはもう黄巾の乱に違いない

さて、どう収めていくかになるよな……

 

「会議中失礼します!」

「何事だ!」

「はっ!南西の村で新たな暴徒が発生したと報告がありました!また黄色い布です!」

 

兵が駆けつけてすぐの報告がこれかよ

とりあえずすぐに駆けつけたいが

 

「休む暇もないわね。……さて、情報源がさっそく現れてくれたわけだけど、今度は誰が言ってくれるかしら?」

「はいっ!ボクが行きます!」

「季衣ね……」

 

華琳がそれ以上言葉を言わないけどだいたいその理由がわかる

 

「……季衣。お前は最近働きすぎだぞ。ここしばらく、ろくに休んでおらんだろう」

 

春蘭が言ったように季衣は全然休んでなかったんだ

いくら季衣でも疲れが溜まればいずれそのツケがくるはず

 

「なら、オレが行く」

「シャンも行く」

「だったらあたしも行くっすー!」

 

オレの後に香風と華侖が続いてくれた

うん。この2人がいれば問題なんてないはず

そう考えてる間にも季衣は華琳に疲れてないといい出陣しようとしてる

何とかして季衣を説得しないと……

 

「そうね。今回の出撃、季衣は外しましょう。確かに最近の季衣の出撃回数は多すぎるわ」

「衛宮、あんたもダメよ」

「なんでだ!」

「街の警邏に暴徒の鎮圧、それ以外にも星や春蘭に他のみんなとの鍛錬、確か夜は魔術の鍛錬もあるんだったっけ?ろくに休んでもいないのに死にたいの?星、あんたの目から見て最近のこいつはどう?」

「桂花の言う通り、確かに鍛錬中僅かだが隙ができることが何度かあった。それに私に同行することだけでなく他のみんなにもついて行ったとお聞きした。少なくとも今は休ませるべきであろうな」

 

星だけでなく桂花もよく見てる……

でも、だけどこんな所でじっとしている訳には行かないんだ

今のオレなら、手を伸ばせば助けられる人が増えたんだから

 

「目の前の百の民を救うために貴女が命を投げ打っては、その先救えるはずの何万という民を見殺しにする事にも繋がるの。……分かるかしら?」

「だったらその百の民は見殺しにするんですか!」

「するわけないでしょう!」

「……っ!」

 

華琳の強い一声は、その場にいる全員が身を縮ませるほどだった

目の前の百を救っても、そこで死ねば先の万は救えない……

1を取るか2を取るか……正義の味方になりたいって言った時に問われたことがあったっけ

オレはどっちも救うってまるで子供みたいなことを言ったけど……今になってそれが馬鹿なことかわかる気がした

 

「今日の百人も助けるし、明日の万人も助けてみせるわ。そのために必要と判断すれば、無理でもなんでも遠慮なく使ってあげる。……けれど今はまだ、その時ではないの。それに我が軍がいかに人手不足と言っても、あなた達二人に全てを背負わせるほどではないわ。そうよね?」

「おいっす!」

「……うん。まかせて」

「…………」

「……わかった」

 

そうだよな、オレは何を焦ってるんだ

ここにはオレよりも強い人がたくさんいるじゃないか

頼れる時には頼って、頼られる時には頼られる……

1人で背負うものじゃないよな

 

「桂花。編成を決めなさい」

「御意。……では秋蘭、柳琳、星。今回の件、あなた達が行ってちょうだい」

「えー」

「なんでっすかー!今、あたしと香風が行く気まんまんだったすよー!?」

「今回の出動は、戦闘よりも情報収集が大切になってくると華琳さまもおっしゃってたでしょ。……二人とも気がついたら突撃してるじゃない」

「…………そんなことない。命令なら、ちゃんとする」

「そ、そうっすー!」

 

元気いいのは季衣だけじゃなく、2人もそうか

残念ながら編成から外れてしまったけど

 

「星、頼むな」

「お任せを。正義の使者はあなたお一人だけではないのです。この趙子龍、弱き者の為に槍を振るいましょう」

「秋蘭と柳琳も」

「はい。私たちが正騎さんの分まで村の人を守ってきます」

「その間にしっかり休んでおけ。私との鍛錬の時に影響が出ても容赦はしないぞ?」

「ははっ、そう言われるとちゃんと休まないとな」

 

星と秋蘭と柳琳が部屋を出ていく

さて、みんなにバレてるみたいなもんだし今のうちに休憩を取っていつでも出れるようにしておくか

 

「やけに聞き分けがいいわね、あんた何か変なものでも食べたんじゃないの?」

「自分で作ったものか店にあるものしか食べてないよ。それよりオレのこと気にかけてくれてるんだな、ありがとう」

「別に気にかけてなんかないわよ!あんたが使える魔術っていうのはこの大陸であんただけが使えるもの、それなのに呆気なく死んだら華琳さまのお力になれないでしょ。屋敷にいた時から鍛錬やらしてるの知ってるんだから」

「そうだな、だから今は少しだけ休ませてもらうよ。ちゃんと動けるようにして華琳や桂花、国のみんなのために少しでもはやく終わらせるように頑張るよ」

「私の事なんていいから華琳さまの為だけに戦いなさいよ!この馬鹿!」

「馬鹿ってのはなんだよ馬鹿ってのは!……ったく」

 

桂花と話すとこんな感じになるけど、それでもこの子と話してるのは楽しく思う

この子や華琳、みんなの期待に答えられるように、ここからの戦いで生き延びるためにやれることはやらないと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋蘭たちが戻ってきた数日後の夜遅く、すぐに報告会が行われたけどどうやら秋蘭の報告と季衣が見た旅芸人が共通しているということがわかった

三人姉妹…恐らく張角の他は張宝、張梁だろう

でも張角たちが旅芸人か……

もう歴史とあっているのは名前とか極わずかなことしかないか

 

「夕方、都から軍令が届いたのよ。早急に黄巾の賊徒を平定せよ、とね」

「あの……今頃ですか?」

「ええ、今頃よ」

 

やはりこの国のトップたちはもう腐りかけてるのか

だから黄巾の乱が起き、きっとこのままだと董卓討伐も時間の問題で起きてしまうだろう

 

「それが今の朝廷の実力、って事か……」

「こんなんだから今のような賊徒が暴れてるんだ。もうどうしようもないだろ」

 

結局張角たちを捕まえなければ終わらない

そう話がまとまったとき

 

「華琳姉ぇ、大変っすー!」

「どうしたの、華侖」

「ええっと、陳留の隣の郡で、また黄色い布の人が出てきたって報告が届いたっす!それも、たくさん!」

 

華侖のたくさんは大規模を表してたはず!

前話してた時なんかそんな感じだった……と思う……

それに桂花の報告で兵も相当少なく栄華によれば糧食も足りなく両方間に合わせるとしたら早暁になるのかよ……!

それに今回は烏合の衆じゃなく指揮官がいると桂花と秋蘭が考えてる……

いや、今はそんなことを考えてる場合じゃない

烏合の衆なんて、無限の剣で薙ぎ払うだけだ

オレは、そういう数の戦いに慣れてるんだから

 

 

「そんな未知数の連中を前に、秋蘭と柳琳だけを向かわせるわけにはいかないわ」

「華琳さま!」「華琳!」

 

季衣と同じタイミングてオレも声を上げた

 

「華琳さま!ボクも行きます!」

「オレも行く。休息なら十分に取った」

「……ならば季衣。秋蘭と柳琳の隊を率いて、先遣隊としてすぐに出発なさい。香風、正騎、あなたたちも出られる?」

「もちろん、平気」

「準備ならいつでも大丈夫だ」

「はいっ!……って、えっ!?ボクが秋蘭さまと柳琳さまの隊をひきいるんですか!?」

 

秋蘭と柳琳は帰ってきたばっかり

負担に負担を重ねたくないと思ったのだろう

さすが華琳、いろいろ考えてるな

華侖には待機させ本隊のことも考えてる

これが本当の上に立つ人物……というやつかな

 

「星は正騎の補佐官として向かいなさい。春蘭と華侖はすぐに本隊の準備を。栄華と桂花は、城下に降りて糧食の調達に向かいなさい。夜明けを待ってはいられないわ。夜が明けるまでには、本隊も出陣させるわよ。いいわね!」

「「「はっ!」」」

 

 

 

 

 

 

 

視力を魔術で強化しいつでも見えるようにしてたけど見つけたときはまだそれなりの数しかいなかった

恐らく先に攻めてきた連中だろう

それに星との特訓のおかげで馬も乗りこなせている

……でもこれに関しては、馬に跨ったら乗り方が分かったんだ

アーサー王が、セイバーがオレに加護でもくれたり見守ってでもいるのだろうか

 

「北郷と違ってちゃんと乗れているな」

「オレだって前線に立たなきゃ行けないからな。っと、秋蘭!今敵を確認した!今ならば少数だ!」

「わかった!……しかし、まだ相当な距離はあるぞ。それも魔術なのか?」

「あぁ、ここからなら届くし数は減らして安全は確保したいな……投影、開始(トレース・オン)

 

いつもの愛用の弓を投影する

敵は複数、なるべく一発で仕留めたい

馬上での弓……少し不慣れだし相手を追いかけ回し捉えるこの剣が最適だな

 

「行け!赤原猟犬(フルンディング)

 

1度狙いを定めたら破壊されるまで追跡する魔剣、赤原猟犬(フルンディング)

本来なら数十秒のチャージが必要だけどそれを無視し、且つ複数狙えるようにした改良型だ

その分殺傷能力は低く一般人を気絶させられるのが限界なほど

複数いる場合はそれをターゲットし、1人に命中させると向きを変え追跡する

壊れればそれまでだが、この遠距離射撃による貫通の制度から壊れることは無く、狙いをつけた敵全員を仕留めた

 

「門前の敵は全部倒した、早く行こう」

 

 

 

 

 

 

 

オレたちは街に入ったら義勇軍の三人の女の子から状況を聞いた

一人は身体中に傷跡を持ち、一人はメガネをかけて三つ編みにして、一人はあの時カゴを買った絡繰を作り喋りが関西弁の子

 

「ふむ、防柵を立てて守りを固めるのか」

 

関西弁の子、李典が作れるらしいがまだ時間がかかるらしい

いくら敵が少数とはいえそれは時間の問題だ

華琳たちの増援が来る前に敵が来てしまったら耐えれるものが耐えられなくなる

 

「秋蘭、ここは門前の敵を追い払い、時間を稼ごう。幸い見たところ一箇所はまだ全然耐えられるから他のところを守ればなんとかなるはず」

 

先程全部の全ての強度を確認したけど一箇所のところは敵の集まりがほとんどなく更にそこが一番壊れてなかった

 

「うむ、では私と季衣、香風と柳琳で正騎は星と組んでくれ」

「わかった」

 

 

 

 

 

 

秋蘭からそう許可をもらいオレと星で門の前に向かう

黄巾党は百はいかないけど一人で戦えば十分多いが、今は二人。それも信頼出来る英雄がいるんだ

さてと──

 

「武器を捨てて大人しく投降か逃げるなら何もしないでやる。もし攻撃してくるようなら少しだけ痛い目にあってもらう」

「ハーッハッハ!馬鹿だあいつ!二人でこの人数に勝てるわけないだろ!やっちまえ!」

 

やっぱり無理か

左手を前に出し手を銃の真似をする

そして人差し指に魔力を溜め、黒い弾を放つ

 

「がぁっ!」

 

当たった相手は気絶した

 

「初めてみる魔術ですな。そちらの方が使い勝手がいいので?」

「これはガンドって言ってね、一種の呪いを相手にぶつけて気絶させてるもんだ。燃費がいいけどこういう時にしか使えないからな」

 

北欧に伝わる相手を指差す事で体調を悪くして病気にするという、一種の呪術

それを魔弾として放つ

遠坂家の魔術刻印にあるガンドとして使えるわけだ

 

「頼む、今からでも退いてくれ」

「怯むな!数で潰せ!」

 

チッ!やっぱりそうきたか!

撃っても撃っても数が減らない!

いくらたくさん撃てると言っても拳銃のように一発一発しか撃てない

母さんならガトリングのように連射出来たけど出来が違いすぎる

やっぱりこうなったからには

 

「行くぞ星、投影、開始(トレース・オン)

 

干将莫耶を投影し、星と共に集団に斬り込む

オレも前とは違い、成長している。敵の動きがハッキリと見えて、どのように動けばいいのが分かる

 

「投影二連!」

 

干将莫耶を投擲し、すぐさまに手元に投影

武器を投擲しても手元に直ぐに武器を準備できるのがこの魔術の最大の利点だな

敵の攻撃を二刀で受け止め、せり上げたら腹に1発蹴り込む

その出来た隙に峰で一撃を浴びせ、気絶させる

確実だけど……手間がかかるな

 

「星!後方から支援する!前を任せた!」

「お任せを!」

 

星とバトンタッチするように後方に下がり弓を投影

鏃は潰した比較的安全だけれども攻撃できる矢を構え────矢を射る

星が一気に集団を蹴散らした後に追撃をかけるように連続掃射

黄巾党相手じゃたまったものじゃないだろう

それなりの数を気絶させたあと残った黄巾党はすぐに逃げ出してくれた

 

「相変わらずお見事な弓の腕前です。正騎殿は弓を極めるだけではだめなのですか?」

「オレは秋蘭のようには弓は扱えないから、どうしても接近戦は剣を使うことになるからな。それより戻って防衛の準備をしよう」

 

すぐに戻って防柵を作らないと

強化の魔術を使えばそれだけでも変わるはずだ

華琳たち本隊が来るまではオレたちがここを守らないと

 

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