今日は休みだ
料理の仕込み、というより調味料の研究はしたし、当日買わないといけない生物とか以外は揃えてあるから買い物も行く必要が無い……となると、久しぶりにゆっくり本でも読むか
いろいろ勉強したいこともあるし
早速、と言っても仕込みしてて少し時間は潰れてたからもう昼回ってるが書庫にでも向かうか
「ん?ちょうど誰かいるのか?」
人がいる気配がする
誰か先に利用してるんだろう
「あんた何しに来たのよ」
「何って、休みだから本を読みに来たんだよ、勉強にもなるし」
「そっ、私の邪魔さえしなければ別にいいわ」
桂花もなにか資料とか読んでるのかな
それに人の邪魔なんてするわけないし
そう言えば一刀が桂花と書庫でなにかやらかしたらしい
確か男といると嫌だから扉を開けっ放しにしないといけないんだったっけ?
じゃこのまま入るか
「ちょっと、扉は閉めなさいよ」
「えっ、閉めちゃっていいのか?一刀の時は開けっ放しにしてたって聞いたけど」
「あんた誰の家で居候してたの?北郷とは違ってあんたならもう慣れたわよ」
それもそうか
それにしても喜んでいいのか
でも一刀と違うって言うんだから嬉しい
さて、いろいろ読んでいきますか
「んんーっ、……ふぅ」
さすがにずっと本を読んでいたからちょっと体が固まってきたな
夕暮れになってるしかれこれ三〜四時間は集中してたのかな?
さて、そろそろ戻って夕ご飯でも作るか
「ちょっと待って」
え?いま桂花に呼び止められた?
「呼び止めるなんて珍しいな。どうしたんだ?」
「聞きたいことがあるわ、どうしてそこまで他人のためになにかしようとするの?」
他人のためになにかする
それってつまりオレがなんでいつも人助けをしているか……ということかな
「そうだな、まずは正義の味方を目指しているから。それに人を喜ばせたり幸せに出来るとオレ自身も嬉しく思えれる、そう感じてるからかな」
「正義の味方……、いつかそんなことを言ってたわね」
「ああ。オレの父さんも正義の味方になろうとしてたんだ。それでいろいろな国に行っては誰かを助けたりしていた、そんな姿に憧れたんだ」
いつも誰かを助けていたあの姿
小さい頃から今でも変わらずに憧れている
「じゃあもうひとつの方はなによ、人を助けるのが嬉しく思えれるって本気で言ってるの?」
「そうだな。オレが助けられるのはオレの手が届く範囲の人だ。でもその分近くに感じられる。そんな人達が幸せそうな顔を見るとオレも嬉しいからな」
「……それじゃあんたは自分自身で幸せになれてないじゃない……」
「え?」
最後に何か言ったようだけど声が小さかったから聞き取れなかったな
「別になんでもないわ、それよりお腹がすいてきたし何か作りなさいよ。城にいる時は何か作ってるんでしょ?」
「もうこんな時間だし、夕ご飯を作ろうとしていたんだ。それじゃ厨房に行こっか」
「今日はオムライスっていうオレの国の料理のひとつを作ってみたぞ」
卵とか冷蔵庫がないと使えないと思ったらまさか貂蝉が必要な時にクール便で届けてくれるとは
でもどうやって低温度で運んでるか聞いたら
「体でお、し、え、る、わぁん」
とか言うから結局は謎のままだ
オレもアイツ相手に追求したくないし、便利に使えるんだから何も言わない
「おむ……らいす?」
「えっと確か、オムは薄い卵焼きの料理だったかな。ライスは米って意味なんだ。溶いた卵を焼いて、味付けした米を包んだ料理のことだよ」
「……いただきます」
「それとその卵の上のソース……タレも一緒にな。程よい酸味が合わさってより美味しくなるんだ」
味は大丈夫……なはず
作った特性ケチャップも間違いは無い。ベースになっている貂蝉のとこのトマトめちゃくちゃ美味しかったからな
でも桂花相手はなんか怖いな
「相変わらず美味しいわね」
「ホントか!?口に合って良かったよ」
とりあえず内心でホッとする
「別に不安がる事はないでしょ。あんたの料理の腕は華琳さまには勝てないけどそれ以外なら負けることはないと思うわよ」
「そこまで評価してもらってるんだ、嬉しいよ」
「むしろこれだけがあんたの取り柄じゃない」
確かにそうかもしれない
武力では春蘭や秋蘭に星が、知力では桂花がいる
目立つところといえばこれと人を助けることしかないなぁ
「ねぇ、あんたって何か苦手なものないの?」
「苦手なもの?食べ物でか?」
「食べ物でいいし、何でもいいわ」
「そうだな……お酒と辛いものは苦手かな。お酒は弱い体質で酔いが早いというか、すぐ眠くなるんだ。辛いのはあれは味覚じゃなくて痛覚だからな……少しだけってならいいけど酷く辛いものを摂取しすぎると味覚障害が起こるらしいからそれが怖くてな」
料理を楽しむオレにとっては味覚はとても大事
それが無くなるって考えると……怖すぎて想像がつかん
辛いもの好きな凪には程々にして欲しいと願ってるぐらいだ
「あんたにも食べ物とかで苦手なものあったのね」
「そりゃあな。なるべく好き嫌いはしないようにしてるけど、体質や味覚に異常が起こるかもしれないものはいくらオレでもどうにもできないさ」
「そう……ごちそうさま」
「お粗末さまでした。後片付けも全部やるからそこ置いといていいよ」
「わかったわ……それじゃ私は行くから」
そう言うと桂花は行っちゃった
でも、どうしてあんな事を聞いてきたんだ?
まぁなにか興味があったりとかそんなもんだろ
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あいつがなんであんなに人助けにこだわっていたのか聞けたけど……
人を助けてその人が嬉しく、幸せになれたから自分も嬉しくなれる
つまりあいつは助ける相手がいないと嬉しく思う事がない、そして自分自身で幸せになろうとしてない
それじゃあまるで人として壊れているみたいなものじゃない
まるで人としての器があるけど中身は空っぽのように
きっと人のためなら自分の命も犠牲にしかねないわ
そんなことして誰が喜ぶと思うのよ……馬鹿