真・恋姫†夢想 正義の後継者   作:シバヤ

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19話

 

今日の警邏は交代後の時間からだ

今北郷隊は前半と後半の交代制に別れている

凪たちが入ってくれて人員が増えたからできるようになったらしいな

オレも副隊長になる前までは自主的に街の見回りとかやってたけど、陳留の街の広さに対して人員が少なかったから正直回りきれない部分があった

でも、ようやくその部分が改良されある程度は何とかなってきている

さて、今回の交代は凪、沙和、真桜だったよな。一刀はオレとは別区域でパトロールっと……あぁいたいた

 

「お疲れ様です、副隊長」

「お疲れさん。見回りに異常はなかった?」

「はい、何も変わりごとはありませんでした」

 

あるとしてもスリ、盗み、酔っ払いどもの喧嘩とかそんなもんだしな

大きい犯罪がなくて何よりだ

 

「副隊長〜、一日見回りやるから鍛錬変わって貰えへんか〜?」

「ちゃんと鍛錬はやってこい。いざという時に力になるからな」

「でも嫌なものは嫌なのー!」

 

オレは朝から交代するまでは料理やらそっちの事をやってから見回りに入る事が多々ある

それで今日はこの3人が早番で交代後に鍛錬するらしいんだが……あぁ、今日は春蘭相手だっけ

 

「思いっきりしごかれてこい。それとこれ、昼まだだろ?肉まんですぐ食べれるからちゃんとお腹入れとけ」

「ありがとうございます。そういえば副隊長、最近変な噂があるのですがお聞きしましたか?」

「変な噂?」

「何やら正義の化身と名乗るものがいるそうで、実際に隊で見たと言う者もいるそうです」

「正義の化身ねぇ……でも別にこっちの邪魔というよりむしろ協力してくれているんだろ?なら別に変に模索しなくていいよ。例えどんなやつであろうと同じ志を持っているんだ、なら協力し合えるならそれでいいさ」

「わかりました。もし何か不振なことがあったらまたお知らせします」

「頼む。それじゃあ3人ともしごかれてこいよ」

 

後ろから2名ほど悲鳴を既に上げているがオレより強いんだから問題ないだろ

それにしても正義の化身か……いやいや、まさかな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警邏を始めてだいたい1時間ぐらい、特に何も無く街の平和な時間を感じられている

あとは居住区に行って、大通りを通って戻ったら報告書作成して──

 

「え、衛宮副隊長!」

「どうした、まずは落ち着くんだ。ほら深呼吸」

「はっ、はい。すぅー……はぁー……」

「それでどうした?何かあったんだろ?」

「はっ!店から荷物を盗む犯行現場を目撃しまして、捕まえようとしたのですが逃げ足は速く、人混みや小通りを利用したりと我々では手に負えず……」

 

それでオレの所に来たと

そういえば確か今日は新人や経験が少ない人で構成されてたな

それじゃあ隊同士でもまだ連携が上手く取れないし、勘がまだ働かないか

 

「あとはオレが引き受けるよ。そいつの特徴は?」

「黒い服に髪の毛を白い布で縛っていた痩せた男です」

「わかった。キミは休んでから持ち場に戻って。ここらは大丈夫そうだし、もし何かあったらオレが責任を持つから」

「よろしくお願い致します!」

 

彼が来た方向に走り出す

多分人混みに紛れて身を隠してるだろう……となると上から探した方がいいか

身体強化で建物の上に飛び乗って、街中を見下ろす

うん?特徴と一致してるのが何人かいるけど息が少し荒く、懐に何か入ってるように見えるヤツはあいつだけだな

つまりあいつが犯人か

陳留の広さなら弓でどこでも狙えるけれど、この時間昼終わって子供たちが遊んでるし、買い物したりする人がそれなりに出ていて予想できない動きがあるから迂闊に使えないな

なら向こうまで走るしかないか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えっと、恐らくこの辺に紛れてるはずが……見つけた

 

「そこのアンタ、悪いがちょっと来てくれるか?ウチの隊の者が犯行現場を見かけたらしくてな」

「チィッ!逃げきれたと思ったのに!しつこいヤツらだ」

「あっ、待てテメェ!」

 

連行するために捕まえようとした瞬間にコイツ逃げやがった

恐らくこういうこと何度もやってきて逃げてきたからその反射速度が速くなっているんだろう

クソっ、ちょこまか動きやがってなかなか捕まえられない!

ここからなら上空にジャンプして空中で矢で捉えるしか……!

 

「そこまでだ!悪事を成す不届き者め!」

 

この声は星……!

上の方から聞こえ……た……

 

「可憐な花に誘われて、美しき蝶が今、舞い降りる!我が名は華蝶仮面!混乱の大陸に愛と美をもたらす、正義の化身なり!」

 

なんでだ

蝶をモチーフにした仮面舞踏会に出るようなマスクをして星が屋根の上から何か言ってる

華蝶仮面て……

 

「とう!」

 

軽い身のこなしで屋根から飛び降り、綺麗に着地して見せた

いや凄いのは凄いんだけどさっきのでもうなんだかなぁ

 

「な、なんだお前!変な物つけやがって!」

「ほう……貴様、この美しき仮面の良さがわからぬようだな」

「げふっ!?」

 

ごめん、オレもわからない

というより星の一言で彼女結構怒ってるのがわかる

それに一瞬で盗人の手前までいって見事な腹パンしてんだから

 

「では副隊長殿、後のことはお任せします」

「えっと……協力ありがとう、星」

「おや、誰かと勘違いなされておりますな。私は華蝶仮面、あなたと同じく正義の味方です」

「いやでもそれで誤魔化せるとは」

「では失礼致します……今宵城壁の上にてお待ちしております」

「えっ?」

 

すれ違い様に小声で呟いたものだから振り返ってみたんだけどもう星は屋根に飛び乗り、そのまま去ってしまった

夜に城壁に行けばいいんだな、ちょうどアレを渡したかったしタイミングもいいか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になり、城壁の階段を上る

床に座り夜空を見ながら酒を飲んでる星が居た

その姿は月の光に照らされ美しく輝いて見えた

 

「正騎殿、お待ちしておりました」

「呼び出しなんてどうしたんだ?それに街中でのあの姿といい」

「実は大事なお話があるのです」

 

これ場合が場合じゃなかったら凄くドキドキしただろうに言いたいことが分かってるからそういう気分になれない

 

「華蝶仮面の正体は…………私だったのです!!」

「知ってる。華蝶仮面に呼ばれたのに星がここにいるんだから答え言ってるようなものだし、というかあれで正体隠すの無理があるだろ」

「そんなことはありません。春蘭と季衣、それに華侖は私の事がわからなそうでしたし、秋蘭も言葉が何も出ていませんでした」

 

基準がダメだろう……

それに秋蘭は多分呆れて何も言えなかったんだな

 

「それは置いて置くとして、あの2人旅から今日まで結構長い付き合いだろ。星のことならすぐわかるつもりだよ」

「ふふっ、そう言っていただけて嬉しいです」

「それと華蝶仮面はオレの知り合いでオレたちの協力者になってくれるってことでみんなに伝えていいか?いきなり始めるもんだからな」

「ええ。本来ならば1人で華麗に美しく悪を成敗していきたかったのですが、既に正義を名乗っている正騎殿がおりますからな。それを邪魔することなど私ができるはずありませぬ」

「それじゃあこの話は終わりだな。今日はせっかくだしこれを持ってきたんだ」

 

持ってきたツボを星に手渡す

大きさは片手サイズの小さいツボだ

 

「気になっておりましたが、これは一体?」

「開けてみればわかるよ」

「ふむ、では…………これはメンマ!?」

 

前々から約束してたメンマ作りのやつが完成した

ということでようやく渡せた

あの旅の時に約束したから……もう数ヶ月は経っているのか

時間が経つのは早いもんだな

 

「早速いただいても?」

「もちろん、それは星のためだけに作ったからな」

「では………………ああ、まさに至高の一品。これほどのメンマは食べたことがない。これでは酒のつまみどころか酒がつまみになってしまいますな」

「それほど喜んでくれるならオレも作ったかいがあった。試作でそのツボ分しか作れなかったからまた次作るまで待ってくれよな」

「はい。それでは今宵はこれをいただくとしましょう。正騎殿も付き合ってくれますかな?」

「いいけど、オレお酒にかなり弱いぞ?」

 

アルコール3%ぐらいなら多少は飲めるけどこの世界そういう飲みやすいのないだろう

ってか絶対度数高いのしかないだろ

そんなの飲んだら多分一瞬で眠くなるに違いない

 

「構いませぬ。それにここには危険を伴うものはありません。安心して眠りになされても良いのですよ」

「そうだな、もう周りを警戒しつつ寝るなんてことはしなくていいんだし星がそう言うなら」

 

星から杯を貰い、酒をまず1口だけ飲む

あー、これはダメだ。飲めるし美味しいんだけど絶対耐えられない

少しずつだけど飲んで、すまないけど寝たあとは星に任せよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか生きてるうちにこのようなメンマに出会えるとは。次に出来上がるまで大切に食さねば」

 

正騎殿には感謝せねば

料理ができると聞き冗談半分で作れるかと聞いたらまさか本当に作ってくれるとはな

……む?肩に何か重たさが

 

「すぅ……うぅん……」

 

どうやら本当にお酒に弱いようだ、杯一杯分で寝られてしまうとは

ただこれだと些か寝ずらそうであるな

ふむ……

 

「少し失礼致します……これでいいでしょう」

 

座り方を変え、膝に正騎殿の頭を乗せる

私の膝枕だがないよりはいいだろう

メンマを食べ、 酒を飲み、慕っている殿方を見れる。なんと良き一時だ

 

「メンマと……酒は控えめ……にな……」

「起きてらっしゃるのやら寝言なのやら。わかっておりますがもう少しだけ堪能させていただきましょう。それにしても正騎殿の顔……ふむ、これが似合うな」

 

この蝶の仮面と一緒に売っていた黒い仮面

誰かにと思い買っておいたが、うむ。正騎殿の顔にピッタリだ

今は警備隊として忙しい身、さらに料理人でもあり華琳さまの一家臣としても仕事をこなしている

であればまだこの仮面は私が持ち、来るべき時が来たら渡し共に正義の味方として世に平和を広げていこうではありませんか

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