真・恋姫†夢想 正義の後継者   作:シバヤ

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21話

 

「……とまあ、そういうわけです」

 

帰ってきたと思ったら春蘭は孫策に借りを作って帰ってきたらしい

孫策といえば小覇王と呼ばれた英雄で孫権の兄、いやこの世界じゃ姉になるのか?

話を戻すと春蘭たちが仕掛けたら勢いで逃げ、領地を踏ませ孫策と戦わせようとしたとの事、つまり相手は策を使ってきたのか

策をなせる指揮官がまだほかに居る……そう考えるしかないか

こりゃもうただの暴徒でも賊でもないな……

 

香風が言うには今回の官軍の指揮官は張遼

あの泣く子も黙る張遼というほどの強さがある将か

そして今は董卓に仕えてると

となると呂布もやっぱり……

ただ、燈の話によると董卓のイメージが全く違う

「公明正大な人物で、怪異蠢く朝廷の数少ない良心の一つと言えるでしょう」

この説明から名前は合ってても中身までは違うっていうことになった

まぁ今までにあったみんながイメージと違うように、董卓もそういう事なんだろう

 

「ああ……そうだわ、春蘭。その揚州で会った孫策という人物は、どんな人物だったの?確か江東の虎、孫堅の娘よね」

「はい。風格といい、雰囲気といい、気配といい……袁術の食客と名乗っておりましたが、とてもそのようには見えません」

「それってどれも同じじゃないか?」

「う、うるさいっ!」

「難しい言葉を無理に使わなくても良いわ。武人の夏侯惇としては、どう見たの?」

「……檻に閉じこめられた野生の虎の目をしておりました。虎の娘というのなら、それは間違いないでしょう」

 

春蘭からそんな評価か

やっぱり後の小覇王と呼ばれる英傑、今のままじゃ手も足も出せないだろう

 

「黄巾党はこちらの予測以上の成長を続けているわ。官軍はあてにならないけれど……私たちの民を連中の好きにさせることは許さない。いいわね!」

 

 

 

 

 

 

 

「いつも通りの街の警備か。ま、オレができるのはせいぜいそれぐらいか」

「正騎殿は臨機応変に動けるゆえこちらに回されたのでしょう。それに外に多く割いてもこちらが疎かになりますからな」

「ふーん、というかなんで星もこっちにいるんだ?」

「私は収集がかかるまで酒でも飲んでたり、正騎殿に同行しようかと思いまして」

 

相変わらずの自由人だな。でも仕事はちゃんとしてるし、武力もあるから星は着実に昇級して行ってる

それにしても街は平和で至って事件が起きない

今日も平和な日々を送れるように見える

 

「あー!お兄ちゃんだー!」

「おう、今日も元気だなお前たち」

「今日はお兄ちゃんと趙雲お姉ちゃんだけ?」

「うむ、他はちょっと外の方に行っておる。すぐに戻ってくるだろう」

 

オレはよく子どもたちと遊ぶことが多い

暇だからということじゃなくても人と接することが必要だし、なによりこうして子どもたちと関わってると警備隊といえみんな気楽に話せる存在というのもアピールになるんだ

星も華蝶仮面というのもあるのか、子供たちとはそれなりに関わっていることがあるらしい

 

「お兄ちゃん、また花札作ってくれない〜?みんな興味持っちゃったから数が足りないの!」

「子供たちの吸収速度と情報力を舐めてたな……」

 

前に子供たちに花札を作り、遊び方を教えたら自由に任せて見たんだがどうやら子供たちの間であっという間に広がったらしい

だから数が少なく遊べる子達も順番待ちみたいだと

うーん、次に作れるカードと言えばトランプ辺りか?キングとか絵札は難しいがそれらしいものでわかればいいか

 

「わかった。ついでに別の絵札作ってきてやるから楽しみに待っててくれよな。兄ちゃんたちまだ仕事中だからまたな」

「うん!お仕事頑張ってね!」

「またねー!」

 

頭を撫でてやったら元気よく走っていった

こういう光景をいつまでも見られるようにしなければ

 

「正騎さん、星さん」

「喜雨か、どうした?」

「見かけたから声をかけただけだよ。それにしても正騎さんってお城にいる時と全然違うね」

「そうか?」

「うん。なんていうか活き活きしてるっていうか」

「そうなの?」

「そのような時はありますな。やはり街の平和な様子を見れて気づかずに浮かれているのでしょう」

 

マジか、そんなの全然気が付かなかった

 

「不思議な人だよね、正騎さんて。料理してたり、子供たちと遊んでる方が似合ってるから」

「そうだな。オレは別に戦うのは好きじゃない、みんなの笑顔の方が好きだからな。だから平和な日常の方が楽しく見えるんだろ」

「確かにそうですな。旅をしていた時も人助けをしていた時は輝かれていました」

 

なんか浮かれてるように見えてて恥ずかしいな

でも平和な時が似合ってるってのは戦ってる時が似合うとかよりは全然いいもんだ

 

「衛宮様!趙雲様!至急城に戻ってください!緊急で軍議が開かれるだそうです!」

「わかった、知らせてくれてありがとう!行くぞ星!」

「待って正騎さん!」

「ん?」

「ボクも……ボクも戦場に行きたい」

「……自分が何を言ってるかわかってるのか?」

「うん。この大陸を散々荒らして、豫州の作物をたくさん略奪して回った連中だもの。その最後くらい、ボクにも見届けさせて欲しいんだ」

 

喜雨の気持ちはよく分かる

喜雨の作った作物はどれも良質で最高だった

あれを使って食べさせてあげた時は喜雨も年相応に喜んでくれたものだ

なら……

 

「オレや星は前線に出るから守ってあげられない。でも大将である華琳は前に出る訳じゃないからその傍なら安全だろう。オレも一言言ってやるからそれでいいか?」

「うん、お願い」

「よし、それじゃあ行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら秋蘭、香風、一刀が敵の情報を掴んだらしい

 

「連中の物資の輸送経路と照らし合わせて検証もしてみましたが、敵の本隊で間違いないようです。その後、凪と紗和を偵察に向かわせましたが……」

「はい。張三姉妹と思われる三人組も、見受けられました」

 

これで黄巾の乱も終わりに近づいたかな

でも紗和が確認したって言ってたけど歌?楽しかった?

凪は士気が上がっていたという事は────

 

「まるでライブだな」

「宗教じゃなくて厄介なファン共が起こした騒乱だったって訳か」

「らいぶ?ふぁん?また天の国のよくわからんやつか」

 

ライブか、一回も行ったことないけど楽しいんだろうな

この説明は体験しないとしずらいってのもあるかあとは一刀に任せちゃうか

 

「ともかく、この件は一気にカタが付きそうね。動きの激しい連中だから、これは千載一遇の好機と思いなさい。皆、決戦よ!」

 

これを逃せば当分また情報収集をしなければならない

つまりこの騒動を終わらせるラストチャンス

終わらせるんだ、確実に……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秋姉ぇー。本隊、到着したそうっすよー」

 

オレたち先遣隊が敵陣の最後の偵察を終えて、華侖が報告をしに来てくれた

 

「そうか。各隊の報告はまとまったか?」

「ちょうど終わったところやで。連中、かなりグダグダみたいやな」

 

城で例えてたがライブに集まってるファンみたいなものなんだ

軍人なら変わってただろうが、元々は民だ。統率が取れてるわけがない

 

「まずは報告を聞かせてもらおう、真桜」

「はいはい。連中の総数やけど、約二十万」

 

その数だけ聞けばそりゃみんな驚いたりする

けどその数は本当の数じゃないさ

 

「真桜、戦闘要因だけでいい。士気に関わったりするからな。本当は何人?」

「さすが副隊長、わかってたか。その通りで戦えそうなんは三万くらいや」

「……なるほどな」

「やっぱりな」

 

補給物資を叩いたりしたんだ

食料、武器なんてほとんどないだろう

それに宗教的みたいにどんどん人数だけ集まる

ほとんどが何も出来ない兵だろう

消費するものは削られ、消費をしていくものは増えていく。いずれ食料やら消費するものは底を尽きる

華琳の考えによって数名ずつなら関所は通れる

そいつらが略奪すれば治安維持部隊が叩き、合流すればご覧の通りになる

一気に潰すのに効率がいい

 

「それで、どうするっすか?作戦は、最初のでいいんすか?」

「問題なかろう。華琳さまの本体に伝令をだせ。皆は予定通りの配置で、各個撹乱を開始しろ。攻撃の機は各々の判断に任せるが……張三姉妹を殺すような真似だけはするなよ。以上だ」

 

投影だけは先にしておくか

使用武器は干将・莫耶、弓を武装しておこう

後方なら指示を出しつつ目標を探せばいい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本隊が来たようだね、一刀、凪、全員いるか?」

「華侖たちがまだ──」

「一刀っちー!凪ー!まさっちー!星ー!」

「隊長、副隊長、おまたせなのー」

 

よし、華侖、沙和、季衣も合流したから全員いるな

秋蘭、香風はもう右翼に向かったからこちらも左翼に向かわないと

それに本陣には華琳、燈と喜雨の姿が見えた

あの後、華琳が傍から離れなければと許可をくれた

華琳の強さはそれこそ上から数えるどころか春蘭と同じぐらいはある、安心して任せることができる

 

「隊長、指示を」

「現場の指示はみんなに任せるよ。季衣、お願いしていい?」

「うー。ボク、そういうの苦手なんだけどなぁ……誰かやってくれない?」

 

一刀はやらないのか

季衣もやらないとなると華侖か?

 

「そういうの、凪ちゃんが得意なの!」

 

確かに凪がそういうの得意そうだよな

真面目な性格の凪なら出来るだろう

 

「なら凪、号令、お願い」

「ですが、ご一門の華侖さままで差し置いて……それに副隊長か星さまの方が合っているのでは」

「凪の号令、聞いてみたいっす!あっでもまさっちや星のも聞いてみたいっすねー」

 

おいおい、ここで名前が上がるのかい

 

「ほらほら凪ちゃん、副隊長、星姉さま。華侖さまもそう言ってるし誰かがやるの」

 

なんやかんや星も慕われてるよな

確か真桜からは星姐さんとか言われてるんだっけ

確かに星は親しみやすく、実力もある人物だからな

 

「ふむ、なら私がやろう。正騎殿よろしいですか?」

「オレじゃ締まりそうにないし頼む」

「では……これより我らは本隊に合流し、本隊左翼として攻撃を続行する!ただし張三姉妹は生け捕りにせよ!総員、今までの苦労を晴らすぞ!」

「応っ!」

「全軍突撃!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実力差があるから相手を殺さず、武器を落とし、腕を使えなくしたり、最悪腕を落としたりして無力化して戦ってる

本当は殺した方がいいのかもしれない

けれど殺さずに済むのならオレはその方法を選ぶ

こうなったのは運が悪かったと、自分たちの起こしたものが悪かったと思って欲しい

それでも何人かは殺してしまった

こんな軍を相手にしてるのに個人なんて気配りは出来ないんだから──

オレは将ではなく所詮警備隊の副隊長だ

けれど戦場にいる以上、その気配りは戦場の動きに向けなければならない

 

「正騎!正騎の方から見てえっと、9時の方向を見てくれ!」

「9時……?あれは!よく見つけた一刀!」

 

かなり遠くの距離に戦場から離れていく人影が見える

強化し目を凝らしてみるとあれは女の子だ。しかも3人

つまりオレたちが捕まえるべき相手がいると

 

「ならば……星!道を切り開いてくれ!凪!誰でもいい、何人か連れて星が作り出した先へ行け!」

「承知!」「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「華琳さま。敵部隊の追撃隊、出発させました」

「後でこの辺りの賊として残られても困るわ。まとめて捕らえて、郷里に送り返させなさい」

「はっ」

「……で、あなたたちが……張三姉妹?」

 

振り向いた華琳の目の前に並ぶのが、凪たちに捕獲させた三人の女の子

 

「そうよ。なんか文句ある!」

 

おいおいマジかよ、華琳にそんな態度とったら危ないどころじゃないぞ

しかもこの乱の首謀者みたいなもので、捕らえられてるというのに

華琳が季衣に確認させたところ、季衣が街で見かけた人物と同じこと

 

「……この三人が、張三姉妹」

 

捕まってるくせ和気藹々としてる張三姉妹を一刀の隣で喜雨が見つめてる

 

「喜雨。思う所は色々あると思うけれど」

「……分かってるよ」

 

沛国は城から村まで黄巾党に荒らされたんだ

気持ちは痛いほどよく分かる……

例え張三姉妹が指示を出した訳じゃなくて周りが暴走したものだったとしても、農業指導をしてた喜雨からすればなんとも言えない気持ちなんだろう

 

「無理を言って同席させてもらったんだから、大人しくしてるよ。華琳さまにこれ以上迷惑はかけないから」

 

その後に彼女たちになぜあのような出来事になったのか説明してもらったんだ

でも彼女たちは何もしてない、むしろ巻き込まれた側だと言う

 

「自分達でこの騒ぎを起こしておいて……!」

「喜雨、落ち着くんだ……怒ってもどうしようもないだろ?」

「…………分かってる。悪かったよ」

「その子は?」

「沛国の農業を指導していた子よ。今は苑州と豫州の村々を巡って、働いてくれているわ。沛国は、黄巾党の大規模な襲撃を受けて、城まで落とされ掛けたの。もちろん村々の被害も相当なものだったわ」

「…………」

 

あのメガネの子がこの三姉妹のまとめ役だろう。

華琳の言葉に思う所があったのか、しばらく黙っていたが三人の命を助けるのを条件に全て話してくれるという

華琳はその条件を飲んだからこれまでの道程を話してもらったんだ

 

それは各地を歌って回っていたら、いつの間にかおかしな信奉者が増えていた。たったそれだけ

中には護衛を申し出てきたりする人がいたらしいけど、その規模が大きくなりすぎていたと

あの黄巾党を示す黄色い布も、ファンを見分けるための印だという

 

「……たったこれだけのことで、このような騒動が起きるのかよ」

 

オレの知っている歴史とは道筋は同じだけどだいぶ離れた。たぶん一刀の知っている歴史もオレと同じだからほとんどアテにはならないかもしれない

 

「それにしても……やはり太平要術の書は、貴女たちが持っていたのね」

 

太平要術の書……確かオレと星が加わった時にもあったか聞かれたな

その書物はどうやら魔導書か呪術書など、様々な効果を持っているんだろう

それがこの子達の一言で始まった暴動に繋がったと

 

「私たちの天幕は陣の中枢部にあるから、あの火勢では恐らくもう灰になってるはず。色々すごい事が書いてあって、ただの書物ではないと思っていたけれど、やはり曰くのある書物だったのね」

 

燃えてもうないのか

いや、そんなものはこの世からない方がいい

扱いきれない強大な力は身を滅ぼす

オレの中で未だ形作れていない固有結界のように……

 

そして、張三姉妹の処分についてなんだけど

華琳はまず喜雨にどうしたいか聞いたんだ

でも喜雨は、華琳の判断に従うって言ったんだ

……この子は強いな

その華琳はと言うと、彼女たちの人を集める才、つまり歌の事だ

それを華琳のために使うなら生かしてあげるっと言った

つまり兵を集めるためということ、ただし華琳の領土内のみで

でも華琳はいずれ大陸全てを領土にするつもりだから彼女たちもいつかは大陸全土で歌えることになる

ファンである連中は誰1人として、彼女たちのことは口を割らなかった。だからその正体は世間には不明

想像図は化け物みたいなものでまず大男だから性別すら違う

この3人の正体を知ってるのはオレたちだけだ

張角、張宝、張梁の名前を捨て真名で名乗ること

その条件を彼女たちは飲んで、これで黄巾の乱は幕を下ろした

でも、その前に──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦後にこれはかなり疲れるな……」

 

そう、今から幕を引く前に、黄巾党の捕虜の前に三人がたってライブをすることになったんだ

歌か……、これも平和であるからこそ出来る娯楽でもある

この三人が歌い続けれるような平和が続くように──

 

「そこにいると邪魔よ。さっさと移動しなさい」

「舞台を作り上げた責任者に向かってそれは無いだろ……」

「物作りは真桜よりあんたのほうが上手じゃない。だから華琳さまもあんたが指示させるようにしたんでしょ」

 

そう、あれは今から始まる張三姉妹のライブ開催決めた時──

 

『正騎、あなた物作りは得意でしょう?なら彼女達の特設舞台を作ってあげなさい』

『は!?今からなのか!?』

『そうよ、予算は栄華から聞いてちょうだい。それともまさかあなたほどの技術でも作れないと言うの?なら真桜の方が上なのかもしれないわね』

『ちょっと待て、いいぜ。最高の幕引き舞台作ってやる。もちろん栄華に苦労させないように最低限の予算でやってやるさ』

『ええ。楽しみにしているわ』

 

と、挑発にかかったわねと言いたいような万遍な笑みを浮かべられた

オレも父さんと同じ魔術を使えるから物作りなどには自信がある

だからこそ、そこを付かれて華琳の策略に嵌って大建設を行い疲れ果ててた

栄華からは

 

『衛宮さんのおかけで想定以上に費用を抑えられました。これ以上使っていたらと考えると……感謝致しますわ』

 

とお礼を言って貰えた

それなのにこの子ときたら頑張った人に向けて邪魔と……

ちょっと怒ったろか

 

「正騎殿は戦の後にあの様なものを作ったのだ。邪険にしてやるな」

「何よ、別にこの馬鹿に何言おうが私の勝手でしょ」

「それは構わんが……やはりそうなのだな」

「そうって何がよ」

「いやなに、気が付かないならそれで良い。正騎殿、ここは桂花の言う通り彼女達の支援者の妨げになってしまいます。休むとしても少し移動しましょう」

 

確かにそうだな、舞台出来上がった直後すぐ目の前で横に倒れちゃったから移動しないと

 

「それじゃあ移動しようか2人共」

「私は華琳さまに報告することがあるから向こう行くわ。……ったく」

 

一体何をそんなに機嫌を損ねてしまったんだ?

まあでもそんなに怒ってないだろうから大丈夫だろ

さて、ここからは張三姉妹のライブだ

彼女たちがいきなり表舞台から消えてしまえばその意志を曲解した連中が好き勝手を始めてしまう

それを防ぐために、彼女達は自分の口から直接メッセージを残してもらい、これからはアイドルとしてやっていくことになる

この世界では、考えてもいなかった平和な幕引きだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いも終わって、遠征から戻ってきて疲れているというのにまだなにかあるのかよ……

ここにいるみんなが不満そうな顔をしている

もちろんオレだってそうだ

 

「華琳。今日は会議はしないんじゃなかったの?」

「私もする気などなかったわよ。あなた達も宴を開くつもりだったのでしょう?」

「宴会……あかんの?」

 

それだけはやめてくれよ……

オレの唯一の楽しみである料理をする機会が無くなっちゃうじゃないか

 

「私はそのために報奨を与えたつもりだったけれど?……私だって春蘭や秋蘭と閨で過ごすつもりだったわよ」

「おいおい、そういうことは……」

「あんまり、大きい声で言うものじゃないぞ」

「とはいえ、都からの大将軍直々の急使が到着したとなれば、応じないわけには行かないでしょう」

 

大将軍か

黄巾の乱の時は何進が大将軍だったっけ

妹が皇后になっただかで大将軍になれたとかなんとか

そこら辺の詳細はあんまり頭に入ってないな

 

「……すまんな。みんな疲れとるのに集めたりして。すぐ済ませよって、堪忍してな」

「あー」

「久しぶりやな、香風。こないだの撤退を手伝うてもろうて以来か」

 

香風の知り合いで真名呼んだ……、撤退を手伝った……

この人があの張遼か

なんか姉御って感じがするな

 

「張遼殿。あなたが大将軍・何進殿の名代?」

「や、ウチやない。ウチは名代の副官……ああ、うん。ねねは補佐やから、ウチが副官やな」

「なんだ。将軍が直々にというのではないのか」

「あいつが外に出るわけないやろ。椅子にふんぞり返って(まいない)の銭数えるんで忙しいんやから」

 

やはり腐りかけてる国の大将軍なんてそんなものか

もう争いの連鎖は避けられないのかもしれない

次は……汜水関と虎牢関

オレは……どこまでやれるのだろうか

 

「呂奉先殿のおなりですぞー!」

 

なっ、呂奉先だって!?

あの呂布がここに……!?

 

「……………」

 

あの子が呂布……

気配を消してるのか?見ても全く強さがわからない……

いや、それとも次元が違って強さが測れないのか?

 

「曹孟徳殿、こちらへ」

「はっ」

「……………………」

 

呂布は何も言わない

隣の補佐の子に呼ばれてぼーっと立っている

あの小さい子はもしかして陳宮とかなのか?

 

「えーっと、呂布殿は、此度は黄巾党の討伐大義であった!と仰せですぞ!」

「……は」

「………………」

 

もしかしてこの流れでいくのか?

いいんだろうか

 

「して、張角の首級は?と仰せなのです!」

「張角は首級を奪われることを恐れ、炎の中へと消えました。残った跡をくまなく探させましたが、もはや骨の欠片すらも燃え尽きており……」

「…………………」

「ぐむぅ……首級がないとは片手落ちだな、曹操殿。と仰せなのです!」

「……申し訳ございません」

 

なんだあれ、呂布は何も申してないじゃないか

それに今回は華琳の活躍があったからこの騒動が終わったんだぞ?

なんで華琳が謝る必要があるんだ

こんなの……納得がいくかよ!

 

「衛宮、堪えなさい」

「わかってるよ桂花。でもこんなのって……」

「華琳さまだって堪えてるの。私たちがそれを無駄にするのは絶対にいけないの……わかるでしょ」

 

これが今の漢の国ってことか

この国が乱世になり、滅び三国が鼎立したのが大きくわかった

 

「今日は貴公の此度の功績を称え、西園八校尉が一人に任命する……という天子様のお達しを携えて来た。と仰せなのです!」

「は。謹んでお受けいたします」

「任命式は後日、禁中にて行われる。日取りは改めて伝えるゆえ、待つように。と仰せなのです!これからも天子様を支える諸侯の一人として、日々の職務を全うするように。……では、用件だけではあるが、これで失礼させてもらう。と仰せなのです!」

「………………おわり?」

 

いま初めて喋ったよあの子……

 

「そうですぞ。ささ、恋殿!こちらへ!」

「……ま、そゆわけや。堅苦しい話で時間取らせてすまんかったな。あとは宴会でも何でも、ゆっくり楽しんだらええ。ほななー」

 

……やっと終わったのか

ほんとに無駄な時間だった

 

「…………」

 

怒ってる

というかあんなのは誰でも怒るに決まってる

それで周りはというと……みんな一刀の方を見てるな

こっちじゃなくて良かった

 

「か……華琳……?」

「話し掛けないで!」

「……っ!」

 

一刀お前はよくやった

その一言でものすごく頑張った

 

「悪いけれど、今なにか話し掛けられたら、そのまま斬り殺してしまいそうなのよ……少し黙っていて」

「華琳さま……」

「春蘭、秋蘭。閨に戻るわよ!気分が悪いったらありはしない。今日は朝まで呑み直すわよ!」

「はっ!」「はっ……っ」

「一刀たちも明日は二日酔いで休んでも目をつぶってあげるから、思い切り羽目を外すと良いわ」

 

と言ってそのまま春蘭と秋蘭を連れて行ってしまった

 

「さて、それじゃオレたちも宴会でも──」

「あんたは私に付き合いなさい」

「へっ?でもオレは今から警備隊のみんなに料理を作るんだけど」

「なら私に作りなさい。ほら、さっさと行くわよ!」

「ちょっ、何すんだ桂花!」

 

首根っこ引っ張らないで!?苦しいんだけど!?

桂花の方が背が小さいから余計姿勢が変になって……!

あっ!首が変に曲がる!!

 

「……連れてかれちゃったか」

「ねー隊長」

「あ、ああ。なんだ?」

「桂花ちゃんって隊長と副隊長じゃ全然違うのー。どうして?」

「正騎にとってこっちで初めて会ったのは桂花でそのまま居候してたんだって。詳しくはわからないけどそれが関係してるんじゃないかな」

「それ初耳なの!今度聞いてみようかなー」

「む?正騎殿は何処へ?」

「さっき桂花に連れていかれちゃったよ」

「ふむ、ならば問題なかろう…………ふっ、何も心配することはなかったか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簡単な料理を作ったあと、桂花の部屋に連れてこられたオレはやけ酒に付き合わされていた

それより桂花の部屋に入ったのって初めてだな

 

「ちょっと、あんたも飲みなさいよ」

「いや、前にも言ったと思うがオレお酒に弱くて」

「私がお酌してあげるのに飲めないってわけ!?」

 

酔うと人格変わるのは大抵の人がそうだけど桂花も変わりすぎだ

酔いが悪い人は藤ねえちゃんで慣れてるけど同じってわけじゃないからなぁ

 

「華琳さまは二日酔いで休んでも目をつぶるって仰ってたでしょ。だから今日ぐらい飲んで潰れなさい」

「あーもう!わかった!今日はもう飲む!飲んでやるから!」

 

杯にお酒を注いで一気に飲み干す

これを何回もやった

もうダメかも、飲めないし頭がぼーっとする

 

「瞼が……重……頭が、ふわふわしてきた……」

「ほんっとに弱いわねー、でも言ったでしょ?潰れなさいって」

「わかったって……」

 

どうやら……本気で酔い潰そうと……してるらしい……

さらに一杯飲んだら……もう……意識が……飛……ぶ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すぅ……すぅ……」

「やっと潰れたわね、いつまでたっても飲まないし、こっちは酔ったフリで疲れたんだから」

 

どうして私はこいつのことを気にかけてしまうんだろう

気がつけば何か一言言ってる気がする

それに星がいちいち私に何か言ってくるし

そういえばあいつ何かに気がついた様な言い方してたわね。でも私はそれが何か心当たりがないし、星の性格からして何か弱味に漬け込んで来そうな気がするわね……

同じ男でも、北郷には近づきたくないと思うし会いたくもない。むしろ死ねばいいと思ってるわ

けれどこいつだけは違う

少しでも気にかけなきゃ……その場で壊れ消えてしまいそうだから。こいつが作った贋作物のように

それにあの時、書庫で会った時から今まで休みをろくに取らずに仕事や鍛錬ばかり

今日も戦場に出てから大人数で何日かで作るようなものを衛宮が選んだ数人で僅かな時間で作り上げたりして……

 

「働きすぎなのよ馬鹿……それでも今はゆっくり休みなさい」





これで黄巾の乱編終わりです

反董卓連合編は少しだけお話を挟んでから入ります
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