真・恋姫†夢想 正義の後継者   作:シバヤ

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22話

 

黄巾の乱も終わり、おそらく次に来るである反董卓連合が起きるまでは平和な日々を送れそう

けど未だ黄巾党の残党が出たという情報があったので今回オレは、街から離れて残党がいたという情報の元に来ているんだ

どうやらあの戦の時オレたちの姿を見て、備える為に一目散に逃げたんだろう

黄巾党は張三姉妹のファンは今まで通り彼女達を応援しているが、あの騒動に便乗していた賊たちはそういう訳にはいかない

きっと今回目撃された奴らはそっちの類いだろう

少しばかりの遠征でもあるので数名兵士も連れてきている

 

「特に異常はないけど……本当に黄巾の残党なんているのか?あの戦いでいなくなったはずだけど」

「この周辺で黄色い布を付けている者が目撃された情報は途切れ途切れですが確認されています。もしかすると拠点など集団が集まっている場所がある可能性があります」

「確かにそれはありえるな……とにかく隅々まで調べよう。情報を教えてくれた村が近くにあったよな、まずはそこに向かって情報を整理しつつ──」

「衛宮さま!あちらを!」

「──あれは煙?……っ!黒い煙だ!まずい!総員早馬で駆けろ!」

 

もし、もしもだ

天和たちの遺志を違う解釈で継ぎ、天下を取ろうとしてるヤツらが残忍な奴らだったら

オレたちがいる曹操の元に情報を流していると知り、漢という国に対しての宣戦布告として見せしめに攻撃してきたら

──オレの嫌なもしもが当たってしまった

 

「嘘……だろ……」

 

家は燃え、崩れていて血溜まりの上に倒れてる人が何人も見える

 

「ギャハハハハ!!!」

 

今にも人を殺そうとしている

そんなの……

 

「オレがやらせるかぁ!! 投影、開始(トレース・オン)!!」

 

秋蘭との鍛錬で学んだ馬を走らせながらの弓術

馬に身を任せ、両手では弓を投影し構え、狙いを定める

手とか武器とかそんなんで止めるんじゃダメだ──頭を狙え

 

「──っは!」

 

矢は頭に刺さり、黄巾党は力が抜けたように倒れそのまま動かなくなった

魔術師という元から人が死んでもおかしくない世界で生きてきたんだ。人が死ぬのは慣れている

そして大切なものを守るために……殺める方も

 

「大丈夫か!」

「俺たちの村が……みんながぁ……」

「くっ……!総員ただちに人命救助!生存者を見つけ保護せよ!先程の道に戻り何人かは待機しつつ退路の確保を!」

「はっ!」

「この人を頼む。こんなことをする奴らをオレは、正義の味方として許してはおけない!」

 

燃える村の奥を突き進む

恐らく黄巾党の残党は奥で漁るものは漁り、この村の人々を斬り回っているはず

っ!何人か見つけた!

 

投影、開始(トレース・オン)!」

「あ?なんぎゃぁぁぁ!!」

「官軍か!?いやコイツ見た事が!」

「うぉおおおおおお!!!!」

「ぐはぁぁっ!!」

 

話をさせなければならない。だからコイツらは気絶させた

こんなことをしても失った人達は戻らないが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何人斬り伏せて、何人助けたんだろう

助けた数は圧倒的に少なかった……それでも繋げられる命は繋げたはずだ

もう……助けられた人は助け終えたはず

みんなの所に戻り、陳留に帰ろう

 

「おいおい、何もう帰ろうとしてんだよ」

「くっ!まだいたの……か……」

 

その光景を見てオレは固まってしまった

声をかけてきた黄巾党の男の右手には剣を、左手には女の子を抱えていた

その子は身動きどころか声を発してないから気絶している

服に汚れも血の跡もないから死んでるってこともない

これは人質だ、オレが勝手に動かないようにと……

 

「その剣、名刀と見える。まずそいつを地面におけ」

「……わかった」

 

干将・莫耶を地面に置き、何も持ってないのを示すように手を広げ頭の高さまで上げる

まだだ、まだ何もしない時だ

 

「お前確か曹操の所のだよなぁ。お前の首を使ってアイツらに知らせるのも悪くないなぁ!」

「……聞きたいことがある。なぜこんなことをした」

「なぜって、張角様に成り代わって俺様がこの世界を支配するために決まってるだろ!ここの村は俺達の事を密告してたからなぁ、蒼天すでに死す、黄天まさに立つべし!漢王朝で動いている曹操の元に話したんだ、死ぬしかないだろ?」

「テメェ……!」

「まぁ村を滅ぼしたのはおまけだ。本命はこのガキなんだからなぁ!はーっはっはっは!!」

 

本命がその女の子……?

どういう事だ……何か特別な力、もしくは何か才能があるってことなのか

 

「そろそろあの世への土産話はいいだろ、ただお前は簡単には殺さねぇ。ここで傷つけられた同胞、今までにやられた同士たち。その全ての痛みを知ってもらうぜ」

「がはっ!」

 

痛ってぇ……コイツら一気に殺さずまず殴りや蹴り、暴力によって痛みを知らしめるつもりか……

 

「ぐっ、がっ!……ゴホッ!」

 

痛みが重なり、踏ん張っていたけど遂に蹴り飛ばされた

地面に叩きつけられ肺の中の空気が出てしまった

 

「さて、そろそろ終わりにするか。じゃあな坊主!」

 

手下のようなやつが剣を構えて向かってくる

ここで、こんな所でおしまいなのか……

まだオレは華琳を支えられてないのに……まだ桂花になにもしてあげられてないのに……!

一瞬だ、一瞬だけでいい!オレ以外に視線が移れば……!オレはこんな所で死ぬ訳にはいかないんだ!!

 

「駆け寄ってみたがこの有様とは……!誰か!生きてるやつはいるか!!」

 

──天はオレに味方したようだ

誰だか知らないが、突如現れて大声を出した

もちろん視線はそっちに行くだろう

その瞬間、剣を投影し放った

 

「なっ!危ねぇ!」

 

ここまで生きてきたんだ、こいつの防衛による反射神経は良かったんだろう

今の不意打ちの矢を女の子を押し出すことにより出来た反動で避けた

だが……最も愚かな方法で避けたな

 

「野郎今すぐぶっ殺………………え?」

 

驚くのも無理は無い

矢が戻ってきて自分の胸を貫いていたんだから

放った矢は赤原猟犬(フルンディング)、避けても避けなくても当たっていたが、女の子を離すことによりより安全に、確実に仕留めることが出来た

矢が心臓部に刺さりそのまま倒れ、その生命活動は停止した

ごめん、ちょっとまってて。こいつら全員片付けたらキミを助けるから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残党は生きてるものは捕縛し、女の子を抱え先程現れた男を連れて待機所に

今は少しでも人手が欲しい状況だ

 

「クソッ、怪我人が多いし傷が深いのはオレの治癒魔術じゃ効果が……!」

「俺は医者だ!見たところ応急処置は出来るようだな!ならば重傷者は俺に任せてくれ!」

「本当か!天運が回ってきてたのか……なら頼む!」

 

軽傷者なら何とかできる、これで怪我人の問題はなんとなるな……

 

「我が身、我が鍼と一つとなり!一鍼同体!全力全快!必殺必治癒!……病魔覆滅!げ・ん・き・になれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

針で治療?

というかなんか言葉は物騒だ

でも針で刺してった人たちの顔色はさっきよりも良くなっている、危険を脱していったんだろう

 

「失った血は戻せないが、体力は回復させた。これなら街まで十二分に持つ。そこで療養すれば大丈夫だろう」

「そっか、助かった。重傷者は馬で陳留に送ろう。他の者たちは少しばかり歩いて貰うが、ここで応急手当をした後、オレたちが護衛して送り届けよう」

「わかった、俺も最後まで治療をしよう。俺は華佗だ」

「オレは曹孟徳の元にいる警備隊の副隊長、衛宮正騎。それじゃあ治療は任せるよ、オレは少し話を聞いてくる」

 

華佗と言えばこの時代では有名な医者なはず

腕は確かだろうから信じよう

重傷者は治療した後に先に陳留に送り出してもらい、軽傷者はここでひとまずの手当を

さて、次は話しずらいだろうけどどういう経緯があったか聞かないと

えっと、確かあのお爺さんがそうだったっけ

 

「すみません、村長さんで合っていますか?」

「あぁ、お役人様。此度は助けて頂きありがとうございます……」

「いや、このような被害を出して申し訳ないです。それで話しずらいとは思われますがこの事の詳細をお聞きしたい。我が主君に報告せねばなりませんので」

「わかりました……」

 

(あれは数刻前、奴らは現れたのですが攻撃はしてきませんでした

そのために村長である私が話を聞き、出来ることなら交渉して立ち退いてもらおうとも思いました

話を聞くと

 

『ここに洛陽から1人の小娘が流れ着いたと聞いた!そいつをよこせ!』

 

と言い、すぐにあの子の事だとわかりました

私も村長の身、この村のためにあの子には悪いと思いながら身柄を渡してしまいました

そうしたら

 

『そういえばお前たちは俺たちのことを漢王朝のクソどもに報告してるらしいなぁ。あんたは生かしてやるけど他は死んでもらう!』

 

と攻めてきて、村は焼かれ人は殺され……その時にお役人様方が来てくださったのです)

 

「……流れはわかりました。お辛いところすみません」

 

1人を取るか村を取るか……それをこの人は決断しなければならなかった。それも猶予もなしに

これはこの人の選択が悪いとかそういうのは無い、むしろ村を守るために決断したんだから凄いと心から思える

……それを無視し、村を壊し人を殺し傷つけた……許せないのはあいつらの方だ

 

「お役人様、お願いがございます。どうかこの子を連れて行ってくれませんか?この子は非常に頭が良い、だからきっとこの事を理解してしまうでしょう。そしたら責任を感じ自害しかねません」

「……確かにそれがいいかもしれないな、そう言えばこの子の名は?」

「この子の名は──」

「んっ……おじい……さま……?」

「理央、気がついたかい」

「ここ……は……わたし……っ!」

 

周りの現状を見ただけでみるみる顔が青ざめていく

まさかそこまで情報処理ができるというのか……!?

今すぐ抑えてあげないときっと村長の言葉通りになってしまう……!

 

「落ち着いてくれ、君が悪い訳じゃないんだ。だからキミがやろうとしてる事をやめるんだ……!」

「離して……ください……、わたしのせいでみんながぁ…………」

 

この苦しみ、悲しみはとても重たいものだろう

自分がいたという事だけで起きてしまったのだから……

平和な日常に急に訪れた絶望の瞬間、この世界はなんて理不尽なんだ

 

「わたしがいるから……死んで償わせて……」

「それはダメだ!死にたいほど辛いのはわかる……でも死んだらそれで終わりなんだ!生きる方が辛くて大変だろう、だけど生きていれば生きていてよかったと思えることがあるんだ。それに村のみんなは君に生きていて欲しいと思ってるはずだ」

「理央がおったから、この村は豊かになれた。感謝はしておるが恨みは持ちやせんよ」

 

そこから村の人々から賛同の声が上がった

この子は村のみんなから慕われ、良き村になるように尽力してきたんだろう

 

「わたしは……生きていていいのですか?」

「ああ」

「幸せに……生きていてよかったと思っても良いのですか?」

「もちろん」

「うっ……ぐすっ……うわぁぁぁぁ……!」

 

泣き叫ぶこの子を落ち着くまで抱きしめる

もう大丈夫、怖いことは無いよ。オレがこれからキミを守っていくから

 

「……あなた様のお名前は?」

「オレは衛宮正騎。曹孟徳に仕える1人さ」

「正騎さま……わたしは司馬仲達、真名を理央と申します。命を救ってくれたあなたに、我が身、我が心の全てを捧げます。わたしをお傍に置いていただけませんか?」

「あぁ。もちろんだ」

 

司馬仲達……あの司馬懿か

司馬懿と言えば司馬師、司馬昭の父親で三國志を終焉に導いたあの司馬一族

そして諸葛亮と戦え魏の政権を握ったほど

なるほど、黄巾党の残党がこの子を狙った理由がわかった

なら、今度はない。オレがいる限りはな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「怪我人の治療は終わった。何時でも動けるが話はついたのか?」

「あぁ。ありがとう華佗」

「村のみんなを治療して頂きありがとうございました。わたしは司馬懿と申します」

「俺は華佗。目に光が見える、これなら大丈夫そうだな」

「華佗……もしや五斗米道(ごとべいどう)の」

「違う!五斗米道(ごとべいどう)じゃなくて五斗米道(ゴッド・ヴェイドー)!!だ!」

「ひぅ……」

「急に大声出すなよ、理央が怯えちゃったじゃないか。というかゴッド・ヴェイドーってなんなんだ……」

「正騎!もう一度言ってみてくれないか!?」

 

もう一度?とりあえずさっきの言葉は……

 

「理央が怯えるだろ。それとゴッド・ヴェイドーが」

「おおおおぉぉ!!その発音が言えるのか!」

「あ、あぁ」

「この発音が言える人がいなくてな!まさかこうして出会えるとは……!正騎!お前も五斗米道(ゴッド・ヴェイドー)に来ないか!?お前の力ならきっとこの大陸の人々を救えるぞ!」

「さ、誘いは嬉しいがオレは華琳に仕えてるからな。離れることはできないんだ」

 

確かに医療を学べれば救える人は増えるだろうが……オレは華琳に仕える一兵士だ

それにあそこには守る人がいる

 

「そうか、それは残念だか俺は何時でも歓迎するぞ!」

「お、おう……それじゃあそろそろ陳留に移動しようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陳留について村のみんなは休める所に連れていき、華佗とは別れた

どうやらまだ旅をするらしいが、この近くに拠点があるらしいからもしかしたらまた会えるかもしれない

今は華琳に事の経緯を説明しているところだ

 

「そう、後のことは引き受けるわ。よくやってくれたわ正騎」

「あぁ……被害が大きかったのは悔しいが、もうこれ以上被害は出ないだろう」

「その通りよ。あなたがやった事はちゃんと平和に繋がってるのだから誇りに思いなさい。それからその子は?」

「初めまして、曹孟徳さま。わたしは性を司馬、名を懿、字を仲達と申します」

「司馬仲達……あの名門、司馬家の八人姉妹、その中でも最も優れた人物だと聞いたことがあるわ」

「恐らくその噂通りかと。それ故に今回の騒動が起きてしまったのですから……」

「そう言えば、理央はなんであの村にいたんだ?」

「訳をおっしゃっていませんでしたね。ではお話します」

 

その内容は理央は姉妹の中で一番優秀

だから周りと扱いが違っていたらしい

それに嫌気がさして家出をして行く宛がない所、あの村にたどり着いた

村人は理央を歓迎して住人の一人として迎えてくれて、そのまま今まで暮らしてきたという

 

「農のことや商のことで知恵を使ってみんなに恩返しをしてました。けど、わたしがいることが噂になりそれがやつらの耳に入ってしまって……」

「そうだったのか……華琳、オレはこの子のことを引き取ったんだ。傍に置いておいても構わないよな?」

「構わないわよ。それに正騎の元にいるということは知識を貸してくれるのでしょう?」

「正騎さまのお力になるということはあなたのお力になるかと。ただわたしは正騎さまの元にお仕えさせていただきます」

「ええ、それでいいわ。我が真名は華琳よ。あなたの力、期待しているわ」

「わたしの真名は理央と申します。これから正騎さまの元尽力致しますのでよろしくお願いします」

 

これでこの子も無事にオレたちの元に来ることが認められた

それにしても司馬懿か……

やはり多少の時系列は違うように捕えないといけないようだな

 

「華琳さま、失礼します。頼まれた本をお持ちしました」

「ありがとう、桂花。ちょうど良かったわ、彼女は新しく入った者よ。名は司馬懿、正騎の配下になるらしいわ」

「なっ!?、衛宮!どういうことよ!?」

「えっ?ちょっといきなりどうした桂花!?」

  

なんでいきなり飛びかかってくるの!?

新しい子が入っただけなのに!

北郷隊の3人とかは何も無かったのになんで今回はオレに詰め寄るんだ!?

 

「……あなた正騎さまのなんなのですか?正騎さまに突っかかるなんて正騎さまのお知り合いでも許しませんよ」

「うるさいわね!私は衛宮に聞いてるの!それにさっきからさま付けしてあんたはこいつとどういう関係よ!」

「私は正騎さまに助けていただいた御身。この身、心全てを捧げただけです」

「衛宮!一から説明しなさい!」

「ふふっ、正騎は女性関係で酷い目に合いそうね」

「2人とも落ち着け!あと華琳は笑ってないで助けてくれ!あーもう!なんでこうなるんだ〜〜!!」





オリキャラで司馬懿こと理央です

朱里ちゃん、雛里ちゃんと同じちびっ子軍師
礼儀正しく、常に敬語。大の仲良しにだけタメ口で話す
髪型はツインテールで腰までの長さ(ヘブンバーンズレッドの小笠原緋雨の髪型を少し短くしたのがイメージ的な髪型)

まだ精神的に傷ついているので、心の支えである正騎がそばにいないと不安になりやすい
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