真・恋姫†夢想 正義の後継者   作:シバヤ

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25話

 

「……これが都か、大きいのは予想していたけどこれは予想以上だな」

「はい。洛陽は大陸一大きな都ですからね」

 

オレたちは洛陽に来ている……んだけど巨大すぎる街でかなり驚いている

現代で言うと都会そのものだ

 

「正騎さまは洛陽に来られるのは初めてなのですか?」

「ああ。オレは陳留周辺しか行ったことないからな」

「初めて陳留に訪れた時は相当驚かれておりましたからな。そういえば洛陽に来たのに気絶しておりませんな」

「言っただろ。いくらなんでも気絶はしないって」

「しかしその方が可愛げがありましたぞ?」

「ったく、何言ってんだお前は」

「それより、急ぎましょう。西園軍の任命式、遅れるとそれだけで印象が悪くなりますし」

 

という燈の言葉で思い出したけど今日は観光じゃなく式典のためにここまで来たんだった

 

「まだ時間はあるんじゃないの?式典は昼からのはず」

「なにか大変だったりするのか?」

「ああ……北郷さんと衛宮さんは初めてでしたわね」

 

海外に行く時手続きで時間とったりするからはやめに空港につかないといけないとかそういうのだったりするのかな

 

「今からだと少し急がないと厳しいわね。急ぐわよ」

「おいおい……マジか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………マジだった」

「なんか疲れた……」

「だから言ったではありませんの」

 

 

ボディチェックから持ち物検査、その他もろもろ……

背負ってる聖剣もそのままだと取られそうだったから、チェック前に剣を鞘から抜いた時に出せる風王結界(インビジブル・エア)を展開しておいた

通常に剣を抜けばそんなになんだけど、こういう応用でやると熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)よりも消費魔力が大きいからあんまり使いたくない

かといって聖剣を置いてきたりとかしたくないし仕方ない

城内に入ったのさっき話してた時から結構時間が経ってるや

 

「大丈夫ですよ。ここまで入ってしまえばもうすぐですから」

 

城の規模も陳留と全然違った

案内役の彼女がいなきゃ迷って、どこかで魔術を使って城の構造を読み取らないとわからなくなる所だった

 

「あの子が本当に董卓さんなのか?」

「はい、官軍の中郎将の一人、董仲穎将軍です。隣にいるのが賈文和さま。仲穎さまの副官という所ですね」

 

理央に説明してもらったけど目の前で案内してもらってるのが本当にあの董卓……

雰囲気からして暴虐をしそうなんて全然考えられない

見た目からして優しそうで、まるで上品なお嬢様に見える

あと栄華が危ない人になりかけてるんだけど

はぁはぁって変質者みたいな息漏らしてるし

可愛い子を見るとああなっちゃうのか?理央を初めて合わせた時もテンション上がってたし

そして謝る華琳、そこはごめんなさい

そこから華琳は董卓さんと話し込むけど

 

「…………あれは」

 

渡り廊下の向こうで談笑してる女の人が二人いるな

 

「……宦官の趙忠殿と、南皮の袁本初殿ですね」

「急ぎましょう。目を合わせてはダメよ」

 

曹操と袁紹って友人であるんだけど仲が悪かったんだっけ

それよりあの人が袁紹

桂花が最初に仕えてた人……

 

「ちょっと。さっきからこいつ何なの。田舎者にしても無礼が過ぎるわよ?」

「……遠く離れた地の出でね。この辺のしきたりに疎いのよ。お詫びするわ」

 

国と時代が違うんだ

いろいろわからないのも仕方ない

だからなるべく小声で理央に話してたんだけど一刀は前の方にいたからな

 

「一刀さま、それと正騎さまも。この先の広間では出来るだけお控えくださいませ」

「苑州とは違いますわよ。いくらお姉様たちと言えど、何かあった時にはかばい立て出来ませんので」

「ああ。出来れば姉者や季衣の隣に…………」

 

春蘭と季衣は護衛役を引き受けてくれたこともあって、最後列を黙ってついてきたんだけど

 

「…………!」

「…………♪」

 

あっ、こっちみてなんか嬉しそうになった

しかも手招きしてるし

 

「正騎さまにはわたしと星さまが付きますので、ご安心くださいませ」

「正騎殿に恥を晒す訳には行きませんからな」

「ありがとう2人とも。オレが何かヘマしそうになったらすぐに言ってくれていいから」

 

ここは都の宮中

やたら理不尽なルールなんかがあるはず、失敬したら首が跳ねるとかな

迂闊なことをしてみんなに迷惑をかけないようにしないと

まだ死にたくもないし

 

 

 

 

 

 

 

 

都の場内に入り恐らく皇帝の玉座がある室内に

こんな所、現代とは違いそのままになってるからもしそのままあれば博物館、美術館、もしくは世界遺産とかの観光地になるはず

 

「北郷、衛宮、我々はこちらだ」

 

秋蘭に従い、後列へと向かうオレと一刀

辺りを見れば、呂布や陳宮など見たことある顔もあれば見たことない顔もある

一刀は董卓さんの方をじっと見てるし、いや、それはわかる。なにせイメージの真逆の存在だから

でも栄華……ちょっと危ないぞ

苛立ちの雰囲気を感じる……玉座に一番近いあの人か、たぶん大将軍何進だろう

元々は肉屋だったが、妹が皇后になったから大将軍に上がれたただ運が良かっただけの人物

もし華琳みたいな優れた才能があればそれは運命だったかもしれないけどな

 

「遅くなりました、失礼!」

「誰だ!名を名乗れ!」

「あら。このわたくしに、名乗りが必要ですの……?」

「…………いいから早く席につけ、袁本初」

 

あんな態度なのに怒られないんだ

袁家といえば昔に名を残した名家ってやつらしいからな

特別な対応なんだろう

 

「これで全員揃ったな。では式典を開始する。天子様の御前である。控えよ!」

「正騎さま、わたし達と同じようにしてください。顔は上げてはなりませんよ」

「わかった、ありがとう」

 

理央達と同じように頭を下げる

かすかな衣擦れの音が聞こえる

一つじゃない……付き人でもいるのか?

 

「…………皆、此度は大義であった。今後も朕の西園軍を支える八校尉の一員として、一層奮励努力するように」

 

この声は……やっぱり皇帝も女の子か

布擦れの音が聞こえる、やっぱりそれぐらいしか出てこないのかな

 

「続いて、尚書令・劉協さま」

 

あぁ、式典だから何人もの挨拶が続くんだ

これはどの時代でも変わらないんだ

 

「皆の者、お、面を上げよ」

 

顔を上げてみれば

 

「…………まあ♪」

 

栄華が思わず声を上げるほど可愛らしい女の子が立っていた

 

 

 

 

 

 

 

ギスギスして悪い空気の式典もこれで終わり

大半の内容があの大将軍と思われる人の演説だったけど……

あの人が喋り出すと空気が冷たくなったのを感じたし正直出ていきたくなった

内容とか含めて栄華が怒り出すくらいだもんな

董卓さんによると八校尉は名誉官職

本来は黄巾党に対抗すべく設立された軍らしい

燈の話で天子の隣にいた人が何太后、その姉が何進ということがわかった

やっぱりあの偉そうな人は何進だったというわけだ

それから一刀、春蘭、季衣に珍しく栄華が怒られた

 

あの式典が終わって洛陽から戻ってきたオレたちは陳留で穏やかな日々を送っていた

けど、一つだけ平和とはかけ離れたことが起きたんだ

何進が殺されたらしい

天子の暗殺を企てて、それが露見されたと

 

「正騎さま。警邏も一回りされましたし、この後はどうなされますか?」

「それなりに時間もたっているし、ご飯食べに行こうか」

「はい!」

 

この子には……こういう話はあまりしたくない

心の傷は癒えてきているが、やっぱりまだ心配なんだ

だから今の平穏な時間をのびのびと過ごして欲しい……が、この子はあの司馬懿だ

 

「正騎さま、わたしに気を使わずにお話されても構いませんよ。現在の漢王朝の事で意見をお聞きしたいのですよね?」

「……やっぱり気づいてたか。でもオレは……」

「私はあなたの頭脳でもあります。あなたが分からない時はわたしが教え、あなたが迷われればわたしが導きます。わたしにはあなたというわたしの全てがいます。だから、わたしは前を進めれます。お傍にいない時はちょっとだけ不安で泣きそうになっちゃいますけどね、えへへ」

 

そう言ってオレに笑顔を向けてくれる

やっぱりこの子も強いな

オレだったら、硝子のように心が砕けてるかもしれないと言うのに

 

「わかった。じゃあ理央の意見を聞かせて欲しい」

「はい。まず霊帝陛下はご退位して、その妹君が献帝として即位なさった……なにか匂いますね」

「匂うって?」

「情報がないのでそこまではわかりませんが、何か裏がある気がします。そうせざるを得なかった、もしくはその方が誰かに利点があるか。それにあの董卓さまが力を手に入れたというのもおかしいのです。あの方が不正をおこなった役人の粛清をしている、それは考えられません」

「確かに、それはオレも思ってる。洛陽で会ったのが僅かと言ってもそんなことをするような人には思えなかった」

「はい。それと最後にですがこれはわたしの予想ですけど……おそらく戦が起きると思います」

「わかった、考えを言ってくれてありがとう。さて、美味しいご飯食べに行って、気分を変えようか」

 

街に繰り出すがさて、どこに行こうかな

理央は、聞いてもオレの食べたいものを優先しちゃうだろうし

 

「あれ、柳琳?」

 

あの後ろ姿はそうだよな

城のみんなは他の人と服装が違ったりするから間違えにくいからいいよな

 

「正騎さんに理央さん、街で会うなんて偶然ですね」

「はい!わたしたちは今からお昼を食べに行くのですが、柳琳さまはもうお食べになりましたか?」

「いえ、私はまだなのでこれからですよ」

「それならせっかくですし、わたし達とご一緒しませんか?」

 

もう今じゃ誰とでも仲良くしているな

元から丁寧な子だし、誰かを忌み嫌ったりしないいい子だ

希望を失いかけてた子がこんなに元気になって本当に良かった

それに柳琳も優しいからな、いつも理央のことを気にかけてくれてたのは知っている

 

「でも、二人の邪魔になりませんか?」

「全然構わないよ、それにご飯は大人数で食べた方が美味しいだろ」

「それならお言葉に甘えさせていただきます」

「柳琳さまは何か食べたいものはありませんか?実は正騎さまとなに食べるか決めてる最中でして」

「そうですね……、そういえば前に秋蘭さまに評判の所を教えて貰ったのですが、そこにしませんか?」

「秋蘭がオススメしてるならきっとすごく美味しいんだろうな。じゃあそこに行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここがそのお店か

……というより何か中が騒がしい気がするけど

中に入ってみるか

 

「こんにちはーって……あれ?」

 

一刀やら華侖もいるし華琳に秋蘭、喜雨まで

で、季衣がお店の子と何か争ってるけど

 

「喜雨、これ一体どういう状況?」

「あ、正騎さん。実はね──」

 

えっと、給仕の子が親友に呼ばれて街に来た

けれどその子とまだ合流出来ずに手掛かりが見つかるまでここで働いていた

そしてその親友が季衣で怒ってこうなったと

でもどんな理由だろうとお店の中で暴れていいわけじゃない

 

「おい、2人ともそこまでに──」

 

オレが喧嘩の仲裁に入ろうとした時、オレ以外の2人が先に喧嘩に入っていった

 

「連絡先なんて手紙くれた人に聞けば……ひゃぅっ!」

「そんなの先に確認できるわけ……ひゃふっ!?」

 

季衣と互角にやりあってた子をあっさりと引き離した……

何者だ?あの二人

 

「お初にお目にかかります、曹孟徳殿。私は顔良と申します」

「あたいは文醜!我が主、袁本初より言伝を預かり、南皮の地よりやって参りました!」

「……こんな場面で恐縮ではありますが、至急お目通りをお願い出来ませんでしょうか?」

 

顔良と文醜か

袁紹軍の二枚看板ってやつだったよな

袁紹からの言伝を伝えに来たってことは……

 

「……あまり聞きたくない名を聞いたわね。まあいいわ、面白いものを見せてくれた礼よ。席を用意させましょう。正騎、あなたはこの二人の戦いの見届け人として着いていきなさい」

「まだ続けさせるのか?」

「一度中断させて蟠りを残すよりは思いきりやらせた方がいいわ」

 

秋蘭は話を聞かせるために必要だろうし、オレが動いたの見かけたからオレに言ってきたんだろう

 

「わかった、そういうことなら引き受けるよ」

「正騎さん、私もいきます。怪我をした時のようにすぐに手当て出来るようにしないと」

「わかったよ柳琳。それじゃ季衣とえっと……」

「あっ、私は典韋です」

 

典韋ときたか

なるほど、季衣と仲がいいって言うのに納得がいく

 

「じゃあ典韋、移動しようか」

 

オレ達は人がいない所に移動したんだ

この2人の力で争えて、周りに被害が出ないとなると……結構な広さは必要だな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直本気の季衣を抑えられるか微妙だし、同じような力を持った子がもうひとりいるとなる

つまりほぼ無理な状況だから星を呼んできた

後は更地となる平原の修復作業をするために真桜を

そこからの二人の戦いといえば凄かった

木が吹っ飛んだりして見てるこっちにも破片とか飛んできてそりゃ危ないもんさ

 

「なんでウチまでここにいるんや……」

「あの二人の周り見てみ。後々修復作業が必要だろ」

「あぁ……あれは副隊長1人だと骨が折れるやつやな」

 

あの二人の周りは岩が削れたり、木が折れたり、クレーターが出来たりとそりゃもう凄い

後々の作業骨が折れそうだな

 

「星さま、季衣さまが武器を振り下げたら前方右側から大きい岩が飛んできそうです。正騎さま、その後に破片が少量飛び散るはずですのでその除去を。少量とはいえ大きさから危ないと思われますので」

「わかった」

「うむ」

「なぁ、なんで理央はこっちに向かってくる物がわかるん?」

「ただ観測しているだけですよ。あの二人は力技が主ですからね。そこから周りの地形の変化などから予測し読み当ててるだけです。もし星さまみたいな速さ主体なら見えませんし、ある程度離れてるから出来てるだけです。知識の無駄遣いみたいなものですよ」

「十分凄いことです理央さん」

 

サラッと凄いこと言ってるよなこの子

と言ってもあの二人は相当長くやり合ってそう

はやく華琳たちの話終わってくれないか

 

「どう?調子は」

「あ、お姉様」

「見ての通りですわー」

 

華琳が来た頃にはあの二人の周りに木というものはなく飛んでくるものも地面の土埃や破片だけで、大きいものは飛んでこなくなってきたから安全に見ていることが出来てた

 

「ちょぉりゃああああーーー!!」

「どぉりゃぁぁぁぁぁーーー!!」

 

と思ったらそんなことはなかった

またクレーターが大きくなったぞ今

あの二人がやり合ってる中、華琳たちがどのような話をしていたのか聞いたところ

これから都に移動することになった

そう、つまり反董卓連合軍が出来てしまったんだ

 

「……どうやら予想通り戦が起きてしまうようですね」

「でもオレたちがやることは変わらない。相手は訓練された正規の兵……今までのようにはいかないよな」

 

黄巾の乱までは相手は山賊や一般の人々

けれどここからは本物の戦となり相手は素人じゃない本物の兵士だ

生半端な覚悟じゃ、理想じゃ絶対に死ぬのはわかってる

 

「ちょぉりゃああああーーー!!」

「どぉりゃぁぁぁぁぁーーー!!」

 

さっきより音が凄いな

さすがにそろそろだと思うけど

 

「………きゅう」

「………うみゅぅ……」

「相打ちか……」

 

やっと終わったらしい

すぐに柳琳が二人に駆けつけて薬を塗ってあげてる

あれだけやりあったのにこれだけで済んだんだ、すごいな……

その後、華琳に真名を授けて華琳も真名で呼ぶように言っていた

新しい子、典韋が仲間に加わったんだ

でもこれからまた新しい戦が始まる……

今回は敵に呂布と張遼と名高い武将がいる

聖杯戦争に呼ばれてもおかしくない本物の英雄か……

 

「少し先のことはその時になったら考えるとして……今はこっちやるかぁ」

 

クレーターやら、吹っ飛んだ岩や木々

それらを片付けつつ元の形になるべく近づけなきゃ行けない

さすがにこれは……めんどくせ

 

「真桜、やるぞ」

「しゃーないなぁ、後片付け出来そうなのウチと副隊長しかおらんからなぁ」

「力仕事なら私でもお力になれましょう。正騎殿、指示を頂ければ」

「わ、わたしは力仕事は出来ないので……お役に立てず申し訳ありません……」

「なに、適材適所というやつがある。理央は私たちが戻った時に茶でも出してくれればそれでいい。すまんが柳琳、理央を連れて先に戻っていてくれ」

「わかりました。行きましょう理央さん」

「はい……みなさん、お怪我をなさらないでくださいね」

 

何気に星って理央にいろいろしてくれてるよな

なんか姉と妹みたいにも見える気がする

みんな仲良くやってくれてるみたいで何よりだ

さて……作業をやるか

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