真・恋姫†夢想 正義の後継者   作:シバヤ

37 / 53
36話

 

「ねぇ……」

 

誰だ?今日は非番、いつもより少しだけ長く睡眠を取るつもりだったんだが

ん?そういやこれ誰の声だ?なんかちょっと幼い様な女の子の声に聞こえたんだが

 

「ねぇ、起きて……」

「起きてはいるが誰……星?」

「おや、起きていましたか」

「えっ、今の声星なの?えっ?」

 

いつでもすぐ起きれるようにはしているがさすがに頭の周りが寝起きだから遅いのか?

星があんな声出すわけ……いや、星だから出せるかもしれないけど……もうわかんねぇや

 

「それもりも正騎殿、鍵をかけずにおられるとは不用心ですぞ。いくらすぐに起きれるとはいえ私が暗殺者なら、正騎殿は既にこの世にいない」

「ん?あぁ、その心配はないよ。城にはいくつか結界を貼ってるから。城の関係者には作用しないし、もし殺意があるような奴が侵入したら電流が走って気絶するようにしてあるからな」

「さすがは正騎殿。ですがもし私が暗殺しに来ていたとしたらそれは発動なさらないのでしょう?」

「そうだな。でもそんなことは万が一にも起きないさ。だってオレは星の事誰よりも信頼してるんだから」

 

短くも長くの間一緒に旅をして、いろいろと過ごしてきたからな

星になら戦場で命を預けることすら出来る

戦場にて星が傍で戦ってくれることが1番心強いことでもあるしな

 

「それでどうしんだ?何か用事があって来たんだろ?」

「え、えぇ。今日は正騎殿に付き合って頂きたいと思いまして」

「買い物?オレでいいんなら付き合うよ」

 

それじゃあ寝間着から普段着に着替えて、手持ちは財布……だけでいいか

……星が部屋から出ていこうとしない

 

「星」

「はい」

「今から着替えるから部屋から出て欲しいんだが」

「あぁ、お気になさいますな。兵たちの着替えで見慣れておりますゆえ」

「オレが気にすんだって!ほら出てった出てった」

「むぅ……」

 

なんで残念そうな顔すんだよ

一応ちゃんと鍛えてるとはいえオレの身体なんて見てもいいもんじゃないだろうし

それに星のような美人に見られるのは恥ずかしい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいいらっしゃい!南から来た珍しい品、見て言っておくれ!」

「おっ!衛宮の旦那!今日も新鮮な物が揃ってるよ!」

「すみません、今日は買い物じゃないんですよ。また来た時にはいろいろ買わせてください」

 

街に来るといつも色んなところから声をかけられる

警邏のために街を歩き回っているし、城や自分で使う為の買い物でも結構な頻度で様々な店に入ってるからな

特に食材を扱ってる店は何処も贔屓にしているからってことも大きいと思っている

 

「さすが正騎殿。皆の態度から正騎殿の人の良さが伝わるし正騎殿も皆と交流をしている事が伺えます」

「別に普通のことだよ。オレが好きなことを出来るのはお店やそこを開いている人がいるからこそだし、逆にオレたちが守っているからこそみんなは安心してお店を開いたり楽しく過ごせるんだから」

「そうですな。だからこそこの街は活気に満ちている。このような街は大陸中でも数える程しかありますまい」

「星がそこまで言うぐらいだからな、やっぱり華琳は凄いな」

 

ただ逆に言うと荒れていたり貧しい街が多いっていう表現にも聞こえる

華琳が天下を統一すればそういうのも減って、みんなが笑って楽しく過ごせる世界に近づくんだろう

 

「ですが、この街の治安が良いものは正騎殿のおかげでもあるのです。その正義の志が民を守っているのですよ」

「オレはやりたいことをやってただけさ」

「それが正騎殿の良いところです。ただそれ以外は鈍感故に、男女の機微などはもう少々察せるようにしていただければとは思いますが」

「精進するよ……?」

 

確かに結構気が付かないって事はあるから鈍感は分かるが、男女の機微……?誰かそういう変化が……一刀と華琳とかそういう事か?

 

「あ、趙雲さまに衛宮さま!新しい反物、手に入りましたよ!」

「ほほぅ。正騎殿、見に行ってもよろしいか?」

「もちろん。オレも着飾り物も最近何か作れないかと思ってたからちょうどいいし」

 

仕込んだから裁縫だってもちろんできる

日本にいた時と変わらないけど身の回りに女の子が多いわけだしな、服屋があるけれどオレも何か作れたらいいかもしれないし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、色んな店を覗いたり声をかけられたりでいくつもの店をハシゴして回る

日が真上近くと言ったところだな

 

「そろそろお昼だけどどうする?」

「正騎殿は昼食に何をご所望か?」

「特にこれといったものは思いつかないけど、メンマがある所がいいだろ?」

「さすが正騎殿。実はメンマが美味しい店を知っていましてな。そちらでよろしいでしょうか?」

「構わないよ。オレもメンマ作りの研究になるかもしれないし」

 

実はメンマ作り結構ハマった

星のためだけに作ってるんだが、いやそれはもう大層喜んでくれるからな

星が喜んでくれるのはオレもとても嬉しいし

 

「趙雲さま!」

「おお、貴殿か。書店の方は儲かっておるか?」

「おかげさまで。これは衛宮さまもご一緒で。つい先日司馬懿さまがいろいろ注文なされていきこちらとしても助かっております」

「理央が書店を探しておりましてな。私がこちらを紹介しておいたのですよ」

「そうなんだ、ありがとう」

 

城の書庫も種類は沢山あるが全ての本が置いてあるってわけじゃないしな

それにあの子のことだ、きっとオレが案内すると本を買ってあげようとするからオレには聞かなかったんだろう

実際そうしちゃうだろうし

 

「それより、角の細工屋から聞きました。この間向こうの長屋でゴロツキに絡まれた嫁を助けていただいたとか」

「……あぁ、彼女は貴殿の奥方であったか」

「良かったら後で顔を見に行ってください。あいつも喜ぶことでしょう」

「そんなことがあったのか。そういうのを取り締まるのがオレたちの仕事なのにすまなかった」

「いえ、警備隊がいるとはいえ全ての場所に人がいるとは限りません。今回はたまたま人がいなかった時に問題が起き私がいたから解決した。それだけの事です」

 

星には華蝶仮面の時以外にも助けて貰ってたってことだよな

確かにオレたち警備隊がいないタイミングには問題が起きないなんてすることは無理だろう

それこそすぐに移動できるか、何かしらの対策は考えた方がよさそうだな

 

「趙雲さま、衛宮さま。良かったらこちらも……」

 

と、警備のことをどうしようか考えていたところ店のおっちゃんがお盆に乗った徳利を出てきた

ん?これはどういう……隣を見ると若干だがいつもと表情の変化をしている星が

 

「……星?」

「あ、いや、これは、その……」

「いつもお世話になっているのです。たまにいらっしゃった時のおもてなしくらい、安いものですよ。本当ならば衛宮さまにもいつもおもてなしをしたいのですが警邏中はすぐに他のところに向かわれてしまいますので」

「……星?」

「えっと……ですな」

 

別に助けたからお礼を出してもらってそれを貰うなとは言うわけじゃない

ただこの表情、多分1度や2度所じゃなくたくさんお礼してもらってる事だ。この出されたお酒で

 

「好意を無毛にしろとは言わないよ。だけどそういうのが目的で人助けしてると思われないようにな」

「……それはもう肝に銘じております」

「酒代結構かかるようなら城……だと栄華がキレそうだよな、オレの方に言って貰えればお支払いするんで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後も支払いはすると言ったが、店主のおっちゃんが下がらなかったからこれからも贔屓にするという約束をして貰うことに。オレは飲んだらまずいことになるから断ったけど

まぁ理央も本を沢山読む子だし、色々買っていくだろう

 

「あの、正騎殿……」

「ん?さっきのことなら別に気にしてないぞ?」

「いえ、正騎殿にお金を払わすことは致しませぬ。ただ1つ頼みたいことが」

「頼みたいこと?」

「私のためにお酒を作ってくれませぬか?」

「……そう来たか」

 

酒は作ったことがない

オレ自身がほとんど飲めないっていうのもあるが、そもそも自宅で作ること自体がダメだったはずだ

ということで作ったことがないが、ここは漢の国だから法律も何も違う

それに場所だって城住みだから広さも確保出来る

 

「オレもできる訳じゃないから一から調べたりしなきゃならないし、まず何より華琳に許可を貰わないと出来ないけどそれでもいいか?」

「もちろんです。それに華琳さまなら正騎殿の作る酒にも興味があるでしょう」

「確かになぁ。それに華琳なら酒の作り方の一つや二つぐらい知ってるから教えてもらうのもありかもな」

「正騎殿も作れる物が増えることですし良いかと。私の無茶な頼み事ですので気楽に長くやって頂ければ」

「そこまで言うのなら……わかった」

 

星の頼みなんて少ないしな

それにこの時代だから宴会とかよくあるし、酒を飲む機会が多い

それに料理酒もあった方が作れる料理とかも増えるし、メリットは大きいか

 

「感謝致します!それからこれも渡しておきましょう」

「これって……」

 

なんだよこの目の周りだけ隠すような黒いマスクは……

なんか冬の……サンタがどういうのか説明する時に使いそう……いや、何を思いついたんだオレは

 

「正騎殿には華蝶仮面の同胞として私と街の平和を守って頂きたいのです」

「いや、オレはもう警備隊として守っていってるんだが……」

「それは分かっております。しかしそれは表の姿で本当は華蝶仮面と共に正義の化身であったとあればカッコ良いと思いませぬか?」

「えぇ……」

「こちらは渡しておきますので。正騎殿、今日は共に1日過ごせてとても充実致しました」

「こっちこそ楽しかったよ。また何時でも誘ってくれ」

「その言葉忘れませぬ。では私はこれにて」

 

楽しんでもらったようで何よりなんだが、これどうするか……

無くしたり捨てたりしたら絶対悲しむだろうから……管理はしっかりしておくか……

 

「正騎さまー!」

「理央か?仕事終わった後か?お疲れ様」

「はい。先程終わらせてお部屋に戻ろうとしたところ正騎さまをお見かけになられましたので!正騎さまはどこかお出かけになさってたのですか?」

「ちょっと星に誘われてな。街まで行ってきてたんだ」

「そうだったのですね。あぁそうだ、言わないといけないことが。正騎さま。急で申し訳ありませんが、正騎さまは明日もお仕事お休みなのでゆっくりしてくださいね」

「2日も休みになっちゃうけど大丈夫なのか?オレはもう別に怪我も治ってるし全然動けるが」

「こちらのことは大丈夫ですので。それと自分に素直になってみてください。あなた様のことはあなた様が一番よくわかるはずですから」

「それってどういう……」

 

どういうことか聞こうとしたけどそのまま走って戻ってしまった

明日何かあるのか……?

ん?、あれは桂花だ。ちょうどいい、ちょっと聞いてみるか

 

「桂花!」

「ねぇ正騎、明日のこと聞いたかしら?」

「仕事のことか?それならさっき理央から聞いたけど」

「そう。私も非番だから明日は私に付き合いなさい」

「えっ?」

「お昼前ぐらいに城門前で。それじゃ」

「わ、わかった」

 

なんかよく分からんが明日の予定が決まった

桂花と街に行くなんて確か始めてだからちょっと楽しみなんだが、一体何がどうなっているんだ?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。