真・恋姫†夢想 正義の後継者   作:シバヤ

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50話

 

オレは今、稟と燈の護衛として、劉備さんたちを安全な街道へと送っている

離れてはいるが他にも星と霞もいるから万が一ってことはないだろう

 

「お久しぶりです、衛宮さん!」

「ええ、お元気そうで何よりです」

 

さっきよりは明るくなってる

緊張も解けたし、あんな会話になったけど安全な街道を通れるんだ。一安心したのだろう

 

「洛陽では情報を、今回は護衛と、曹操さんの命令とはいえ衛宮さんにいろいろ助けられちゃっていますね」

「洛陽であなたたちの天幕に赴いたのは、オレがあなたに会いたかったからなんですよ」

「わたしに……ですか?」

「はい、あなたという人を見ておきたかったんです。オレと似てる気がしてたから」

 

人を助けたいという部分が共通してたんだ

だから劉備さんとオレは似ていた

 

「守りたい人たちを絶対に守る。そこが似ていると思ったのですよ」

「前にお話してくれましたよね、助けなければならない人がいるなら手を差し伸べますって」

「はい。……けれど今のオレは違う」

「えっ……」

「オレは、オレを信じてくれる大切な人を優先に助ける。例えば目の前に二人いて、片方が他人、片方が大切な人だったら大切な人を優先しますよ」

 

現代でも全ての人を助けるのが無理なのに、争いが耐えないこの世界ではもっと不可能な話だ

ならば、誰を助けなければならないかとオレは考えたからね

 

「二人とも助ける……それじゃいけないのですな?」

「それが出来るならそうします。けれどこの世はそう上手くできてない。一人を助ければ一人は犠牲になる、そういう世界なんですよ」

「でも、それじゃあ!」

「それに、大切な人を救ったり守れないようじゃ全ての人なんて救えないと思ったんですよ」

 

身近な人を助けられないようじゃ世界を救うなんて絶対に無理だ

理想が大きすぎると、その分人を巻き込むこともある

この世界に来ていろいろと教わったことだ

 

「……でも、わたしはわたしに付いてきてくれた民を、みんなを守ってみせます!」

「……それが、あなたの王として決めたことなのですね。わかりました、ならば見せてください。あなたの理想というのを」

「はい!」

「それともう一つ、あなたは一人で全てを背負おうとしています。けれど周りの人を信じ、頼ってあげてください。そして、助けが必要ならば助けてとちゃんと言うことです」

 

人助けをする人は周りに手助けしてくれる人がいるのに手を借りず、自分で全てやり遂げようとして壊れるからな

助け助けられる人が傍にいないと……全部体験談だし

 

「けれどわたし、今もみんなに助けられてばっかりで……」

「全てのことを成し遂げられるほど、人は強く出来ていないんですよ。華琳だって例外じゃない、春蘭や秋蘭、みんなを信じてるからあの子は強いんです」

「曹操さんも……、そうですよね!わたしなんて一人じゃ何も出来ないんだからみんなに助けてもらわないと!ありがとうございます、衛宮さん。また一つ勉強になりました」

 

笑顔で答えてくれたけど、さっきよりも雰囲気が違う

後は彼女自身が答えを見つけなければいけないんだ

……これでいいんだよな

 

「衛宮殿」

「関羽さん?」

「私には……貴方という人が、桃香様が何故貴方を気にしていられるのかがわかりません」

「オレと劉備さんは考え方は違うけど、志が似ているんです」

 

そこに困っている人が助ける

だけど他に優先するべき人が居たらオレはそっちを先に助け、劉備さんはどちらとも後先関係なく助けようとする

最後は同じかもしれないがそのための優先順位、切り捨てるかしないか、その間の過程が違うんだ

 

「だから桃香様は……。衛宮殿、私は桃香様の夢を、理想を叶えるため貴方を打ち倒し桃香様の元に連れて行きます」

「それならさっきの劉備さんの宣言した通りオレたちと戦って華琳を打ち負かしてみてください。そうすればオレという戦利品を含め、華琳が持っている物を手に入れ天下という理想に1番近づくはずですから」

 

だけどそう簡単に負けるオレ達じゃない

それに華琳は絶対に負けるなんてことを選んだりしない

 

「次に会うのは戦場になるでしょう。敵対する方に言うのもおかしいかもしれませんが、絶対に生き延びてください」

「もちろん。次に戦う時までにはオレは関雲長という武人に追いつく……いや、追い越して見せます。オレはオレの理想のために」

「……貴方と話してみて少しわかりました。貴方は桃香様と同じ強さを持っている。だからいつかは敵対しておらず戦場以外で話がしたいものです」

「オレもです。だから関羽さんも絶対に生きていてください」

 

お互い生きて乱世を終わらせることが出来たら……桃園の誓いをしたであろう桃の花が満開のような場所で話し合ってみたいな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私たちが案内出来るのはここまでです」

「本当に、ありがとうございました」

 

州境まで来て、案内が出来るところまで来たから後は劉備さんたちが自分たちで益州に向かわなければならない

次に会う時は、蜀という国になっているのか

 

「本当なら戦いたくはないですけど、次に会う時は戦場ですね」

「そうですね……でも、わたしたちは負けません!あなた達を乗り越えてみせます!」

「わかりました。その時はオレの理想を、あなたたちにぶつけます」

 

これだけの覚悟、理想があるなら大丈夫かな

後は彼女が良い方向に進んでくれるのを祈るだけか

 

 

「それでは、オレたちはこれで失礼します。理央、行こう」

「はい」

 

蜀と戦う時はきっと一筋縄じゃいかないだろう

でもその前に、今は袁紹との戦いに備えなければいけない

あの大軍を相手にするんだ、出来る準備はしっかりしておかないと

 

「……衛宮さん!」

「何ですか……っ!?」

 

劉備さんの可愛らしい顔が突然目の前に、唇に柔らかい感触が、それからいい匂いもして……

オレ今キスされた!?

 

「えっ、ちょっ、その……!」

「わたしの真名は桃香って言います。衛宮さんにはいつか、わたしの理想を受け止めて欲しい。だから曹操さんに勝ってわたしの隣にいてもらいます。さっきも言いましたけどわたし達は……負けません!」

「……ならオレことも正騎と呼んで欲しい。桃香の理想じゃ華琳には届かないことを、オレたちが全力で相手をしてやる」

 

小を捨て大を取る

この世界はそうしなければ救えないものが多い

だからこそ、オレは華琳の力になってその小を徐々に減らしていって、天下を取ったその時に大陸のみんなが幸せに笑って暮らせる世が実現する

そう考えているからこそ、劉玄徳……桃香達蜀に勝たなければいけないんだ

 

「正騎さま、行きましょうか」

「そうだな……?」

 

なんだ?今一瞬寒気がしたというか……

何かこの後にとてつもなく危険な事が起きる気が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさい。敵のとはいえ護衛お疲れ様、早く戻って私たちも休みましょ?」

「あ、あぁそうだな。桂花も明日に備えて休んでいかないとな」

「?」

 

さっきの事で動揺しすぎだぞオレ……!

あれは不意打ちで、オレの心はこの子達の為にある物なんだから、慌てる必要は

 

「桂花さま、さっき正騎さま劉備と口付けしてました。それから真名も呼ぶようにって」

「理央!?」

「あらそう。……正騎、どういうことか説明してくれる?」

「違うんだ!あれは不意打ちオレも対応出来なかったというか……!」

「そこに座りなさい」

「……はい」

 

地面の上で正座をする

めちゃくちゃ硬いから足が痛い……

誰か、誰か助けを……!

 

「貴方たち何をしているの?」

「華琳!ちょうどいい所に!「正騎が劉備にたらしこまれたのでお説教しています」助け……」

 

結構早口で言ったのに遮られたぞ

だがまずい、桂花の言葉の方が全部いい終わってしまった

頼む我が王、助けてください

 

「……」

 

華琳はオレから見てもわかる位の美少女だ

そんな女の子がとびっきりのスマイルをこっちに向けてきた

あぁ……これは「諦めなさい」って言っているようなもんだ

 

それからお説教は軽く続き、星や栄華に柳琳と色んな子に見られ、城に戻ったら桂花の部屋で数刻にも及ぶ長い時間お説教の続きが待っていた

なんでだ…………

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