Illigal The Lilybell   作:Lycka

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#04:New partners to come

 

 

 

 

 

 

 

銃取引の現場にて、衝撃的な事件が発生した翌日。その事件を巻き起こした張本人であるリコリスが転属してくる日。朝から気合いを入れて準備をしていた千束に対し、御天は寝癖を付けたまま出発の準備を進めていた。それを千束に指摘され、渋々洗面所にて整えて顔を洗う。

 

 

 

そして、千束はゴミ捨てと店の買い出しをするべく御天とは一旦別れて目的地へ向かう。その後ろ姿を見えなくなるまで見届けてから、自分もそろそろ行くかと進まない足を強引にガレージに向けてリコリコへと出発した御天だった。

 

 

 

 

 

 

~喫茶リコリコ~

 

 

 

 

扉を開き、耳障りの良い鈴の音が店内に優しく響く。その瞬間が割と好きな御天だが、それを邪魔するが如く一人の嘆かわしい声が聞こえてくる。

 

 

 

「ここにも母となるべき才能が今、結婚という障害に阻まれているのよぉ......!!」

 

「おはようございます先生。ミズキは何やってるんですか?」

 

「いつものだ」

 

「今すぐ私に良い男を支援しなさぁ〜い!」

 

「もう手遅れなんじゃ───」

 

「なんだとぉう!?」

 

 

 

一瞬、御天に対して突っかかってきた様にも思えたが、先程から流れているテレビに向かってイチャモンをつけ始めてしまったミズキ。自分に絡まれると面倒臭さくなるのは火を見るより明らかなので、サッとスルーして自分のロッカーへ荷物を置いてくる。

 

 

 

荷物を置いて帰ってきた御天も偶には良いかとテレビに視線をやると、そこには"アラン機関"なるものと、そのアラン機関から支援されているアランチルドレンの事について触れられていた。ニュースキャスターや解説者達がこぞって褒め称える場面を見て、先程と同じように文句を言いつつ拗ねているミズキ。そんなミズキとは対照的に、ミカと御天は少し真剣な眼差しでテレビを見つめ、数秒経った後にリモコンへ手を伸ばした御天が電源を落としてしまった。

 

 

 

「あっ、何で消しちゃうのよ御天〜」

 

「愚痴るより先に行動しろ。それよりほら、お客さん来たぞ」

 

「ん?お客はまだ───」

 

 

 

ミズキが言葉を言い終わる前に、再び鈴の音が鳴り見慣れた制服姿の一人の少女が入ってくる。しかしながら、その色はいつもの見慣れた赤色ではなく紺。リコリスで言うところの"セカンド"を表す紺色であり、黄色がかった白髪ではなく黒色のロングヘアの大人しそうな少女であった。

 

 

「......アンタ誰?」

 

「本日配属となりました井ノ上たきなです」

 

「来たか、たきな」

 

「あ〜、アンタがDAクビになったっていうリコリスか」

 

「クビじゃないです」

 

 

 

ミズキの言葉を食い気味に否定するたきな。そして、それに続いてたきながここに来た目的を語る。

 

 

 

「貴女から学べとの命令です、千束さん。転属は本意ではありませんが、東京で一番のリコリスから学べる機会が得られて光栄です。この現場で自分を高めて、本部への復帰を果たしたいと思います」

 

「それは千束ではない」

 

「それって言うな」

 

 

 

ミズキを千束と間違えたのであろうたきなは、若干早口ながら今の自分の気持ちや目標を交えながら挨拶を済ませる。途中から間違いに気付いた三人だったが、一先ず話を聞いてからミカが間違いを訂正する。そのミカにツッコむミズキだが、たきなの発言に対して笑いを抑えきれなかった人物が一人。

 

 

「そんで......貴様はさっきから何で笑ってんだ」

 

「いや悪いな。久し振りに笑わせてもらったよ」

 

「答えになってないだろうが、この顔だけ野郎!」

 

「あの......では千束さんは──」

 

「そのオッサンでもねぇよ!!」

 

 

ミカを見て"まさか"という表情をするたきなに再びツッコミを入れるミズキ。そして、順番的に目線を送られる御天。そのまま数秒経っても他の二人は何も言わず、御天が二人へ"否定してくれ"と合図を送るもミズキは無視、ミカは"自分で何とかしろ"と言わんばかりの表情をしていた。

 

 

「あのな、リコリスだって言うのにそもそも男な訳ないだろ」

 

「では、貴方はここの店員か何かでしょうか?」

 

「まぁそんなところだな」

 

「それと、たきなが探してる千束のパートナーでもある」

 

 

 

曖昧に答える御天を補足する形で説明するミカ。歴代最強と言われるリコリスの千束のパートナーと聞き、先程とは表情が変わり品定めするかの様に御天を見るたきな。しかし、そこには疑いや不信感等の負の感情は一切無く、単純に興味があるといった風な様子であった。そして、補足説明のパートナー発言に不満感をダダ漏らしている人物......ミズキがそっぽを向いて、聞こえるように嫌味を呟いていた。

 

 

「......ふん、一丁前にパートナー気取りすんなし」

 

「お前は早く人生のパートナー見つけろよ」

 

「なんだとこらぁ!貴様今すぐ締めてやろうか!?」

 

「二人ともやめなさい」

 

 

二人を宥めた後、各々自己紹介を済ませる。その中で、元DAの情報員であるミズキに元リリベルの御天について知ったたきな。これから一緒に色々と仕事をする仲間になるという事で、渋々話を続けたミズキと御天。

 

 

「嫌気が差したのよ。アンタらみたいな孤児をリコリスみたいに育ててるキモい組織に」

 

「はぁ......そうですか」

 

「俺に関しては───もう一人の自己紹介が終わってからにするか」

 

 

話し始めた御天だったが、少し間を置いてから何かに気付いた様子で店の扉に視線を向ける。それに倣って同じ様に視線を向けた三人。そして、段々と近付いてくる声に気が付いたミズキが"煩いのが来たぞ"と言わんばかりの表情を浮かべた。

 

 

 

その数秒後、三度鈴の音が店内に響き両手一杯に袋を抱えて帰ってきた千束。すぐに御天は千束が入ってくるなり手を伸ばして、それを察した千束は袋を手渡して一言感謝を告げる。というのも、普段の日常生活の中でも同じ様にしないと千束があれこれ文句を言うので、御天としても勝手に身体が動いてしまったという話だ。

 

 

 

「先生〜大変。食べログの口コミでこの店のホールスタッフが可愛いって。これ私のことだよね!?」

 

「私のことだよ!」

 

『冗談は顔だけにしろよ酔っ払い』

 

「アンタら歳上のお姉さんに向かってなんちゅー口の利き方してんだよ!」

 

 

 

千束と同時に御天にまでツッコまれてしまうミズキに、それを見て笑うミカとただ立ち尽くしているたきな。そんなたきなに気が付いた千束が声を掛け、今まで三人がスルーしていた顔の怪我についても触れる。

 

 

「どーしたのその顔」

 

「例のリコリスだ、話しただろ千束。今日から相棒だから───」

 

「この子がぁーっ!?よろしく、千束です!初めましてよね!?」

 

「あぁ、はい。井ノ上たきなです。去年、京都から転属してきて───」

 

「転属組かぁ〜優秀なんだねぇ!歳は!?」

 

「16です」

 

「じゃあ私の方がお姉ちゃんだね。あ、でもさんとかいらないから。千束でオッケー!」

 

 

 

ミカやたきなの言葉半ばに、若干暴走気味ではあるが自己紹介を済ませる千束。それほどまでに今日という日が楽しみだった事を、ミカやミズキを含めた三人は理解しており、その様子を見ながらお互いに笑い合っていた。

 

 

 

そして、先程の顔の怪我の経緯をたきなから聞いた途端、リコリコの電話を荒々しく掴み取り何処かへ連絡をする千束。その相手とは、取引現場での命令違反をしたたきなの顔に一発入れ込んだフキだと簡単に予想出来た。

 

 

 

「何も殴ることないでしょーが!」

 

「想像とは違ったか?」コトッ

 

「いえ、そんなことは」

 

「じゃあ、たきなは千束の事をあんな感じで想像してたんだな」

 

「そういうことでもないですけど」

 

「司令司令って......ちょっとは自分で考えなさいよ!」

 

 

 

ミカが淹れてくれた珈琲を飲みながら、千束の電話が終わるまで話そうと椅子へ腰を落ち着ける御天。三人で話をしている間も、千束は忙しなく身体全体でフキと会話しており、お互い言い合った後に投げやりに受話器を置いた千束。

 

 

 

「うっせぇアホ!」

 

「終わったみたいだな」

 

「よし!早速、仕事に行こうかたきな!」

 

「はい」

 

「あ、先生の珈琲飲んでからで良いよ。凄く美味しいから!」

 

 

 

それから、千束が着替え終わるまで三人で珈琲を飲みながら他愛ない話を続けた。数分後、千束がリコリスの制服に着替えてやって来たので、三人で仕事に行く事をミカに伝えて店を出たのであった。

 

 

 

 


 

 

 

 

「悪い奴じゃないんだけどね〜」

 

「親しいのですか?」

 

「うん。昔、リコリス棟で同室だった」

 

「昨日まで私もそうでした」

 

 

 

リコリコを出てから数分、現在は仕事を行うために三人で目的地に向けて歩いている最中。ずっと千束とたきなの二人が話しているのを、少し後ろで考え事をしつつ聞き流している御天。

 

 

そんな御天だが、いきなり話の矛先が向かってくる。勿論、そう仕向けたのはたきなではなく千束である。

 

 

 

「御天〜、たきなが聞きたい事あるってさ〜」

 

「ん?」

 

「いえ、特別気になった訳ではないのですが......リリベルとは何なのでしょうか」

 

「んー......分からん」

 

「いやいやいや、アンタ曲がりなりにも元リリベルでしょうが!」

 

 

 

話すと一日では足りなくなるほどの質問だった為、適当に返答をした御天だが残念ながら千束からのツッコミがきてしまい面倒臭そうに溜息をつく。その様子を見た千束から更にツッコまれて、御天がまた適当に千束をあしらうのを側で見ていたたきなから意外な一言が零れ落ちる。

 

 

「もしかしてお二人は、そういった関係なのですか?」

 

「えぇ!?たきなからはそう見える?やっぱりそう見えちゃう!?」

 

「放っといて良いぞ。俺達はそういうのじゃないから」

 

「ぶーぶー。たきなからも何か言ってやって」

 

「はぁ......つまり、千束さんの一方的なモノだと?」

 

「はいぃ!?どーやったらそういう結果になるのよたきな!」

 

 

それからも、元の"リリベルとは?"という話題からはかなり脱線してしまいつつも、一つ目の仕事現場に到着するまで三人で昨日の銃取引の件について話し合っていた。

 

 

そして、目的地へ到着するなり元気な声が聞こえ千束と御天の名前を呼んでいた。

 

 

「ちさとー!」

 

「みそらおにいちゃんもいる!」

 

「いらっしゃい、千束に御天」

 

「新しいお友達のたきなお姉ちゃんだぞ〜」

 

「たきなおねえちゃん!」

 

 

 

あっという間に、三人の周りを子供達が囲みワイワイと楽しげな声で三人を歓迎してくれる。千束は持ってきていた飴を子供達に配り、その間に御天は一人の男の子を肩に乗せ遊び相手となっていた。そして、たきなにも数人の子供が押し寄せ質問攻めにあっていた。

 

 

「きょうはなにしてあそぶの?」

 

「そうだなぁ......取り敢えず、このお兄ちゃんから逃げる鬼ごっこしよっか!」

 

「なんで最初から俺が鬼って決まってるんだよ」

 

「あれあれ〜?もしかして自信がないのかなぁ?」

 

「おにいちゃんじしんないの〜?」

 

 

 

いつもの様に御天を煽る千束を真似して、周りに居た子供達から同じ様に揶揄われてしまう。それを受けて、やっと重い腰を上げる御天だったが、少し間を置いて何か閃いた表情を浮かべ子供達へ語りかける。

 

 

 

「みんな足が速くて捕まえられる自信がないから、代わりにみんなで千束を捕まえるのはどうだ?」

 

「ちょいちょいちょい!?」

 

「おにいちゃんにさんせー!」

 

「じゃあ、きょうはおれたちがおにだな!」

 

 

 

先程とは打って変わって、子供達全員が御天の周りで鬼ごっこが始まるのを今か今かと待っている。対する千束はジトーっと御天を睨めつけているが、それを軽く受け流して、少しばかり空気となっていたたきなへ同じ様に語りかけた。

 

 

「決まりだな。ほら、たきなも一緒に千束捕まえるの手伝ってくれ」

 

「私もですか?」

 

「当たり前だろ。それともあれか、たきなも千束捕まえる自信が無いのか?」

 

「......やります」

 

 

それからというもの、千束が逃げる数十秒待った後に御天やたきな含む全員で追いかけて、御天の作戦通りに動いた子供達によって千束を無事捕まえることが出来たのだった。千束は"数の暴力だ"と文句を言ったが、対する御天は"立派な戦術だ"と返し鬼ごっこは終了となった。

 

 

「おにいちゃんばいばーい!」

 

「たきなおねえちゃんもまたきてね!」

 

「三人ともありがとうね」

 

「いえいえ〜。また三人でお邪魔しますね」

 

 

次のスケジュールまで時間が迫っていた為、子供達に見送られながらもその場を後にした三人。たきなは疑問を胸に抱えつつも、千束と御天の後ろを静かに着いていくのだった。

 

 

「エクササイズワンンヌ!!戸惑っています!」

 

『とまどっています』

 

 

「私と出身校が同じなので、私が話せる言葉は出来ると思います。あ、ロシア語は?」

 

немного(少しなら)

Чем ты(お前よりは)

 

「アンタには聞いてねぇよ」

 

 

子供達と無邪気に遊んだと思えば、次に到着したのは日本語学校。イマイチ状況が掴めず戸惑っているたきなの手を引いて、紹介を兼ねたミニゲームをするために教室の中へ入る三人。

 

 

ミニゲーム、と一口に言っても簡単なモノばかりであり、しりとり等の言葉遊びを主に行い間違いやコツを三人で手分けして生徒達に教えていった。そして、ゲームが終わり次第同じようにすぐに次の現場へと向かう。

 

 

「あぁん!?どこのモンだテメェら!?」

 

「......」

 

「ここは子供が来ていいところじゃ───うおっ!?」

 

「客人だ」

 

「......マジっすか」

 

 

"コウダ金融"とデカデカと書かれた看板を掲げ、玄関先には絞田組と書かれた板。最初に出てきた丸刈りのサングラスを掛けた、いかにも柄の悪い若者。一瞬、たきなは顔を顰めるが、全く動揺していない二人を見て少し冷静に考え待つことにした。そのたきなの判断は間違っておらず、こちらが何もせずとも奥の方から老人が出て来て若者の首根っこを掴んで黙らせる。

 

 

 

「新入りだ、許してやってくれ千束。御天も久し振りだな」

 

「こちらこそお世話になってます。逆に千束がいつも迷惑掛けてないか心配ですよ」

 

「迷惑なんか掛けてないですぅ〜。そ・れ・に!!急に保護者ヅラしないでよ!」

 

Не мило(可愛くないな)

 

「もっぺん日本語でゆーてみこらぁ!?」

 

 

 

ソファへ腰掛けた老人や、その周りに居る多数の人間を放って言い合いを始めてしまった二人。その様子を見て、老人が声高らかに笑いつつ未だ言い合う二人へ話しかける。

 

 

「やっぱり二人は仲が良いな!」

 

「そんなのじゃ無いってば!それよか仕事の話でしょ、はいコレご注文の品」

 

「おぉ〜、たっぷり入ってるなぁ」

 

「そうでしょ〜?上物ですよ」

 

 

二人の会話から何かを察したのか、隠し持っていた銃を取り出そうとするたきなを抑える千束と御天。その二人にも疑問と不安の視線を送ったたきなだったが、続く会話の中で珈琲の挽きたての豆である事が判明する。というのも、わざわざ直接的な表現を避ける千束にも非があるのだと御天は心の底で思っていたが、ここで銃を抜かせるわけにもいかず、図らずとも二人して同じ行動を取るという結末に至った。

 

 

 

「それで、其方さんは?」

 

「たきなさん。今日からウチで働く、私の新しい相棒!」

 

「ほぉ。全く、御天はこんなべっぴんさんが二人も居て将来困らないもんだなぁ!」

 

「ご入用でしたら、千束一人ぐらいならいつでも貸し出せますよ」

 

「私を物みたいに扱わないでよ」

 

 

 

それから程なくして組事務所を出た三人は、次なる目的地である警察署の予定時間まで少し時間があった為、近くの公園のベンチで休憩がてら水分補給をすることにしたのであった。

 

 

「あの、この部署は一体何をするところなのでしょうか?」

 

「ん〜......改めて聞かれると考えちゃうな」

 

「まぁ変な奴らの集まりだからな」

 

「スペック的に一番変なアンタが言うな」

 

 

千束とたきなが並んでベンチへ腰を掛け、対する御天は一人立ったまま話は続いていく。

 

 

「てっきり先生から聞いてるのかと思ってたよ」

 

「保育園、日本語学校、組事務所......共通点が見当たりません」

 

「......困ってる人を助ける仕事だよ!」

 

 

ストローで飲み干したトマトジュースを置いて話を進める千束。それを見て自分のゴミと、ベンチに置いたトマトジュースを持って公園のゴミ箱へ捨てる御天。側から見れば、千束のお世話係の様にも見えなくもない御天だが、朝の時と同じくして勝手に身体が動いてしまった結果の行動である。

 

 

 

「個人の為のリコリスですか」

 

「そうだよ。珈琲豆の配達も外国語の先生も、保育園の手伝いもみんなに喜んでもらえるでしょ」

 

「私達リコリスは国を守る公的機密組織のエージェントですよ?」

 

「おぉ〜、なんかそうやって言われると映画みたいでカッコいいー!」

 

「実際のところ、凶悪犯を処刑して回ってる殺し屋なんて言われてたりもするな」

 

 

 

御天の言う通り、国の平和と安全を守る為ならどんな殺しも厭わず躊躇無く行動するのがリコリスであり、ある種DAの使命とも言える。そして、そんな実態を隠す様にして成り立っているのが今の偽りの平和。それにウンザリしてDAを出たのがミズキであり、同じ様な組織の惨状を目の当たりにし千束と出会った事がキッカケで組織を抜け出したのが御天だった。

 

 

 

「そういう事が起こる時代ですから、私達が必要なんです」

 

「そうねぇ......そうなのかもねぇ〜」

 

「しかし、新しい電波塔が完成間近なのに何故残しているのですかね」

 

「壊れて出来た意味もあるんじゃない?」

 

「......懐かしいもんだな」

 

 

 

三人の目線の先にあるのは、10年前に起きた電波塔事件によって破壊されてしまった旧電波塔。新しい電波塔が完成間近であるにも関わらず、何故か10年前の姿のままで残されているのは確かに謎だった。

 

 

「そんなものあるのでしょうか?」

 

「さぁどうかな〜?でも、そういう意味不明なところが私は好きかな」

 

「だから意味不明な事してるんですね」

 

「あっはぁ言うねぇ!」

 

「まぁ間違ってはいないからな」

 

 

たきなにとっては今は意味不明な事かもしれないが、長く付き合いこのスタイルで仕事をしてきた御天からしてみれば普通の日常であり当たり前の光景でもある。そして、これからたきなもそう思える様になっていけば良いと、御天は応援の意味も込めて心の中で再び決意を固めた。

 

 

「とにかく、DAが興味持たなくても困ってる人はいっぱい居るの。だからたきな、力を貸して」

 

「小さな事から少しずつでも良い。たきなも千束のわがままに付き合ってくれ」

 

「ちょーいちょい御天サン?今何とおっしゃいましたかな?」

 

「予定にない事を突然増やしたり、気分でその日のやる事サボったりするのを"わがまま"と言って何が悪いんだ」

 

 

 

それから、既にたきなも見飽きる段階に入ろうとしている二人の会話に発展してしまう。少し考える風を見せたが、すぐに千束の手を取りベンチから立ち上がったたきな。嬉しそうな笑顔を覗かせる千束を見て、新たに二人にとっても大切な人が出来たと同時に、護るべき人でもあると認識を改めた御天。

 

 

 

「それで、他に質問はある?」

 

「......ありすぎますね」

 

「それは追々やっていくか」

 

 

 

そして、三人は先程よりも近い距離感で他愛無い話を続けながら警察署へと向かって行った。

 

 

 

 


Continuation:05→

 

 

 

 

 





主は銃の知識とか諸々に疎いので、勉強しながらの更新で遅くなりました。
ミカと一緒に珈琲飲みながらでも教えてもらえたら最高なんですけどねぇ。
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