現代社会における影分身の使い所のなさよ   作:ヒモになりたいナマケモノ

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十二話

結局盛大な二度寝をかました結果携帯を確認すると12時を回っていた。合計15時間以上眠ってしまった。今日は土曜日なので学校は休みだが平日だったら大遅刻をするところだった。携帯には父さんからのメールが入っており、昨日の俺の様子を心配してくれて、仕事があるので傍に居れないことを謝っていた。だけど昨日のことは100%自業自得、むしろ心配をかけてしまったことが申し訳ない。

 

ベッドから起き上がり、リビングへ向かうとラップをかけられた目玉焼きがあった。朝ごはんまで用意してもらってしまった。これはどこかで夕飯リクエスト聞かないとな。どんぶりにご飯をよそって目玉焼きを乗せただけの雑な目玉焼き丼を作ってかきこみながらそんなことを思う。

あっという間に食べ終わり軽く洗い物をしながらこれからのことを考える。分身から言われたように、やっぱりネットに作品をアップするのは時期尚早だと思う。結局俺は絵を仕事にする気なんて無くて、趣味の範囲で遊べればいいっていうのは最初から変わっていなかった。自分の手が痛くなるほど絵を描いたことなんてないくせにおこがましい。

勉強もそうだ。俺は転生してきてから何かを一生懸命にやったことがない。大変なこと、辛そうなことはすべて影分身に押し付けておいしいところばかり盗っていく盗人。そんな人間が本気で絵に向き合えるはずがなかったのだ。

これからどうしよう。昨日まではやる気だった勉強も絵も今回の一件でやる気が無くなってしまったというか、自分の手柄ではないものを誇れなくなってしまった。やる気といっても影分身に任せるだけの甘えきったクズが今の俺だ。なんだか前世よりも断然ゴミ人間になってしまってる。どうにかして更生していきたいがどうするべきか。

 

「……とりあえず今日一日くらい影分身出さないで生活してみるか」

 

洗い物を終えた俺はそのまま部屋に戻り押し入れに隠しておいた高校用の参考書を引っ張り出して勉強を始める。中学生になると宿題なんかはほとんど出されなくなったが、影分身にはその分予習に力を入れてもらっていた。いつもは各教科に一人ずつ付いてもらってたけど、今日は俺一人。とりあえず数学から進めていくか。

 

 

 

……飽きてきた、何分経った?まだ1時間しか経ってないのか。

いつも分身に任せてばかりで遊んでいたせいかこらえ性ってものが無くなってしまったようだ。だけどこれを分身たちは毎日やっていたのだから頭が上がらない。もう少し、もう少し頑張ろう。

そんなことを思いながら勉強を進めるとさらに3時間経過していた。合計4時間勉強した感想は「辛いしめんどくさいけど、今までサボってたからしょうがない。だけどもう二度とやりたくない。」だった。いつもやっていた影分身たちには頭が上がらない。

そろそろ父さんが帰ってくるので晩御飯の用意をし始めるが、明日からの影分身の使い方に悩む。俺がここまでだらけてしまったのは100%自分が悪いのだが、でも影分身が有ったからという所もあると思う。今日一日影分身に頼らなかったからといって俺の性根が叩き直されたかというとそんなことは無いはず。俺がすぐに元のようなダメ人間に戻るのは俺が一番わかっている。だからと言って完全に使わないのももったいないと考えてしまう。

 

「絵と勉強に使うのは禁止、家事は……手が回らないようだったら使うか。中学生は家事なんかやらないのが普通なんだからそこは大目に見よう。」

 

とりあえず自分の中の方針は決めたけれども、きちんと守れるだろうか?何か紙に書いて壁に貼り付けるか?いやでもそれだと父さんから見たら変な張り紙にしか見えないし…。少しずるいけどこれしか思いつかないな。

 

「「「ボンッ」」」

「じゃあ分身たち、よろしく」

「はいはい、じゃあいくよ。」

「本体、よく聞いてね。これからしばらく影分身を絵の練習と勉強に使用することは禁止だ」

「今までゴミ人間だったことをようやく自覚できたんだからまた元通りになるようなことはしないこと。」

「期間はそうだな、とりあえず一か月を目標にやってみようか。」

「じゃあ本体は一か月間家事手伝い以外に影分身を使用しないことを誓いますか?」

「ああ、誓う。」

「はい、確かに聞きました。」

「これを破った時は自分自身すら裏切ったってことだからね。」

「まぁそもそも分身をこんな使い方するのもどうかと思うけどね。」

「まぁそこはおまけしようよ。とにかく頑張ってね本体!」

「「「ボンッ」」」

 

これで俺は一か月間影分身をほとんど使わない生活を送ることになった。だらけ切った俺がどこまでできるかはわからないが、精いっぱいやろう。そして一か月たった後、まともな人間になれていることを願う。

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