現代社会における影分身の使い所のなさよ   作:ヒモになりたいナマケモノ

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二話

俺用の子供部屋には勉強机が一つとテーブルが一つ、ベッドが置いてある。そしてそれぞれに分身体と本体が座っている。テーブルには宿題一号、勉強机には予習二号、ベッドには漫画を読んでる本体こと俺。分身体の勉強する鉛筆の音をBGMにすると漫画を読むのが大変捗る。

「なぁ本体」

「なんだよ宿題一号」

「記憶取り戻して一週間だけどさ、良い加減他の影分身の使い方考えようよ」

「あー、じゃあ考える用の影分身作るか。一回影分身解くぞ?」

「了解、それにしても影分身を追加で出せないの不便だね。一回解除してから一気に増やさないといけないなんて」

「まぁ仕方ないよ予習二号。これが多重影分身なら出来たのかもしれないけど、そこら辺の記述は原作にもなかったしね」

「ない物ねだりしても仕方ないよ本体、予習二号」

「それもそうだ、まぁいい解くぞ」

小さくボンッという音と少しの煙を残して分身体が消える。そして同時に俺の中に少しの疲労感と勉強をした感じが流れてくる。体験してわかったが経験値の共有というのは不思議な物で、表現が難しいけれど経験した内容の共有というよりは経験したという過去形の記憶が流れてくる感じだ。例えば宿題一号は宿題をやっている間ずっと「退屈」や「めんどくさい」と考えていたのだが、経験値共有した俺はその時の気持ちはなく「退屈だった」や「めんどくさかった」という記憶だけが共有される。まぁ本体の俺からしたら悪感情を抱くことがないのでいいことなのだが。

 

経験値の共有を確認して今度は3体の影分身を生み出す。

「影分身の術」

「「「ボンッ」」」

現れた影分身たちはそろって俺と同じ姿、服装をしているが一瞬でとてもがっかりそうな顔をする。

「「「なんだ俺が本体じゃないのか……」」」

「お前ら毎回それ言うよな」

「そりゃあ分身したての俺はほとんどお前と同じ存在だからな。本音は遊びたいさ。違うのは自分が分身体だって自覚があるかないかだけだ」

「まぁそんなもんか、それじゃあ右から順番に宿題用、予習用、考える用な」

「「「了解」」」

そう言うとそれぞれが定位置に移っていく。そして俺はまた漫画を読み進めていく。ほぼ逆行なせいで漫画はすべて過去に読んだことがあるものばかりだが暇つぶしにはなる。携帯でも持たせてもらえればまた違うかもしれないが、この年齢ではまだ早いと親から却下されてしまった。元の人生でも俺が携帯を手に入れるのは小学校を卒業する直前だったのでそれまで待つしかないだろう。

 

しばらく漫画を読み進めていると宿題一号と予習二号の勉強が終わったようだ。

「本体、今日の分終わったけど」

「あ゛~~、頑張った、手が痛いよ」

「お疲れ、じゃあ考え三号も入れて影分身使い道会議でもするか」

「ん、じゃあとりあえず俺が考えた案を出していってそれについて話し合う感じでいいかな?」

「「「OK」」」

ベッドの上に集まる俺たち、同じ顔が4人集まってる絵はなかなか気持ち悪い。

 

「じゃあ一つ目の案は未来の記憶保存ノート作成係」

「あー、良いかもね。俺たちは実質タイムスリップしてるんだから未来知識の活用は定番だよね」

確かに、よくある未来知識でチートはしたいかも。投資とか滅茶苦茶できるだろう。でもあんまり早くに動くとバタフライエフェクト?やらなんやらでうまくいかないのも定番だよな。

「じゃあそれは採用で。でも今は自由にできることも少ないから行動を起こすのはしばらく後な」

「了解、次の案は修行係」

「修行ってなんのだよw」

「今は特に思いつかないけど、スポーツとか始めたら単純な反復練習は影分身向いてると思うよ?しばらくは筋トレでもしてればいいんじゃない?」

「あーよさそうな気がするな」

筋トレなんて面倒だけど無駄にならないものの代表な気がする。ということで採用しようとするが、予習二号から待ったがかかる。

「待った、筋トレは多分意味ないよ」

「どういうこと?」

「俺今勉強しすぎて手痛くなってるんだけど、この手の痛みって多分本体に共有されないんだよね。今までの勉強でも手が痛くなった記憶はあるけど、分身を解いた後痛かったことは無いよね」

「なるほど、確かにそうかも」

「じゃあ筋トレしてもただしんどいだけで意味ないのか」

「じゃあ却下だな。分身といえど多分意味のないことはやりたくなくてさぼるぞ」

宿題一号の発言に驚いた俺は思わず聞き返してしまう。

「え?分身って命令拒否するの!?」

「そりゃあ俺たちも意思を持つ分身であって奴隷ではないからな」

「そうそう、俺たちもめんどくさいって気持ちはあるよ。」

「それでも命令に従うのは本体と同じ考えを持つからこそやらなきゃいけないってことが分かってるからだよ。誰かがやらなきゃいけないことならせめて本体じゃなくて分身体の俺たちがやらなきゃって思ってやってるだけ」

口々に分身が説明をしてくれる。経験値の共有だけではわからないそれぞれの考えがあるのか。

「お前ら、良い奴だな……」

「自分の分身に対して言う?それ」

「滅茶苦茶ナルシストだよ」

「まぁこっちも聞かれて初めて考えたことだから本体からしたら分からなかったかもね」

「とりあえず筋トレは無意味だけど何か反復練習の類が必要なら有用だと思うよ。本体は何かやりたいこととかないの?」

考え三号からいきなり聞かれるが、いまいち思いつかない。何か無いかとさらに考えると手元にある物に目が留まる。

 

「漫画……」

 

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