二人、この世界にて   作:一般ラインハルト

2 / 17
基本二日に一話投稿する程度のペースになると思います
よろしくお願いします


1話 混沌

「……何これ…?」

建物の外に出てみれば、この夢の世界の光景は一変していた。

曲がりなりにもちゃんとエレジアだった先程と比べ、

このウタワールドはところどころ歪みが見えている。

空はあの怪しい光に覆われ、温かい日差しを感じられない。

…何より、明らかに前のエレジアとは違う景色がが転々と浮島のようになっている。

少なくとも、エレジアに風車のある牧場などなかったはずだ。

 

「…あれ、フーシャ村…だよね。」

 

フーシャ村だけではない。いくつか、見覚えのない景色が出現している。

…いや、見覚えはある。あそこにできている町。

あれは確か遠い昔、シャンクスに連れられていった場所だ。

 

つまるところ、この世界は今、私の記憶の中の景色がツギハギになっているのだろう。

エレジアを中心に、かつての記憶がまばらに構成されてしまっている。

自分でどう念じても、それらが消えることはなかった。

 

「…そうだ、能力。」

 

この世界は仮にも私の世界、ウタワールドのはず。

この世界への干渉は何故かできないが、果たしてどこまで力が残っているのか。

頭の中にイメージを浮かべながら、指を鳴らしてみる。

 

ポンッ

 

「…出てくるね。」

 

どうやらある程度の能力はまだ残っているらしい。

食べ物、人形、お菓子。色々なものが次々と出てくる。

そうすれば次は…。

 

「…あれ?」

 

出してみた音符の兵士が、光を失ったと思えば崩れ落ちる。

後に残った鎧もすぐに消えてしまった。

どうやら彼らを呼ぶことはできないらしい。

バックダンサーもアニマルバンドも…ついでに牛も。

彼らはウタワールドに入った生き物だ。

そう考えれば出せないのも当然だろうが、まさか音符の兵士すら出せないとは。

 

…もしルフィがいなければ、この世界で私は本当に一人でいたということなのか。

 

「……何考えてるんだろう、私。」

 

頭の中をよぎった考えを消すように頭を振る。

…ルフィがいてくれてよかったなどと、馬鹿なことを思うんじゃないと。

 

「…ウタ。」

その時、ルフィも外に出てきた。

先程の慌てようはどこへやら、一転してまた落ち着いている。

 

 

「…あいつら、ほんとにこっちにはにはいねェみてェだな」

 

「……うん。」

 

 

どうやってかは知らないが、どうやらルフィもこの世界に自分達以外いないことを完全に理解したらしい。

何を言われるのだろう。

どうなじられるのか。どう責められるのか。

覚悟はしていても、果たしてあのルフィからの罵倒に私は耐えられるのだろうか。

帽子に隠れていた彼の顔があげられて…

 

 

 

 

「…うん!良かった!」

 

 

……笑顔のルフィがいる。

 

「…え?」

「よし、それじゃ行くか!」

 

そう言ってルフィが一人で歩いていこうとする。

 

「ちょ、ちょっと待って!行くってどこに…!」

 

確かにじっとしている性格じゃないのは分かっているが、

だからと言って今更この世界のどこに行くというのだろう。

 

「分かんねェ!でもとりあえず出る方法調べねェとな!」

「…出る?」

 

 

私は死んだ。

私が死んだ時点でこの世界はもう出る方法などあるとは思えない。

それはルフィも分かってるはずだ。

それを説明しても、ルフィは諦めるつもりはなかった。

 

「そうなのかもしれねェけどよ、もしかしたら他の方法もあるかもしれねェだろ?せっかくだから色々試してみるよおれ!」

 

そう笑ってルフィはまた歩き始める。

…何故あそこまで笑えるのだろう。

作り笑いなことくらい私でも予想がつく。

仲間と分かれて不安なはずだ。二度とここから出れないと恐いはずだ。

…私のせいだと、憎いはずだ。

 

「おーいどうしたウタ!はやく行くぞー!」

「あっ……うん。」

 

 

…なのになぜ、私にそんな笑みを浮かべられるの?

何もかもわからないまま、私とルフィのこの世界での冒険が始まった。

 

 

 

 

 




次回、0.5話
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。