二人、この世界にて   作:一般ラインハルト

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2話 探索

怪しく輝く空の下を、二人で歩く。

やはり虫一匹もいない世界では、風の音以外に何も感じない。

 

「いや〜、なんだか懐かしいなァフーシャ村!」

「…そうだね。」

 

空中に浮かぶフーシャ村。

昔見た記憶の中では、青い空が広がるのどかな場所だった。

それが今では、あの怪しい空のせいで落ち着きがない。

家畜も村人もいないこの場所は、もはや恐怖すら感じてしまう。

…第一、近づくとすぐに違和感がわかった。

このフーシャ村はフーシャ村のようで何かが違う。

よくよく見れば違和感がある。

その正体は、ルフィが先に気づいた。

 

「あり?ここって魚屋のおっちゃんの店だよな?」

 

本来魚屋があったそこは、ただの倉庫になっていた。

ルフィに言われて初めて思い出した時だった。

目の前の倉庫が歪んだかと思えば、そこには魚屋があった。

 

「すげー!何だ今の。」

 

ルフィは目を輝かせてるが、私はそれどころじゃない。

それだけじゃない。風車のあるはずのとこに小屋が。

家のあるはずのところに空き地が…。

場所によっては、靄がかかったかのように歪んだ場所もある。

明らかに変なところをルフィが指摘し、それに気づくたびに風景が修正される。

どうやら昔の曖昧な記憶がそのまま再現されているようだ。

ルフィの指摘のおかげで、フーシャ村は少しずつ解像度が上がっていった。

 

そんな中、二箇所だけははっきりとしている場所があった。

一つは港。すぐ目の前で海の途切れているこの港は、私がフーシャ村に上陸していたあの港だ。

あのとき、初めて私はルフィに会った。

今でもその記憶は強く残っている。

 

 

そしてもう一つが、この酒場だった。

シャンクスも私もルフィもよく来ていたこのマキノさんの酒場は、今でもはっきりと覚えている。

3人で並んで食べていたカウンターも。ルゥ達が騒いでいた席も、あのとき歌ったテーブルも。

何もかもがあのときのままだ。

 

「懐かしいなァ、マキノや村長元気にしてるかなー。」

あちこちを眺めながらルフィが言う。

 

「…ルフィは、最後にいつ二人と会ったの?」

「二年前だな!船出の時に見送ってもらってそれっきりだ!」

 

ルフィは既に2年もの間海賊をしていたのか。

私がまだこの島で呆然としていた頃には、ルフィは立派な海賊になっていたのだ。

…そんなことすら、私は知ることが出来ていなかったのか。

 

 

「なァウタ!せっかくだしあれやろう!チキンレース!」

「え?」

まさかのこんな時にチキンレース?

本気でルフィの思考回路は分からない。

「…追う役がいないんだけど。」

「あ、そっか。じゃ早食いにしよう!」

「…分かった。」

指を鳴らせば、懐かしいチキンが出てくる。

昔マキノさんが用意してくれたものと同じ匂いだ。

 

 

「「321!」」

合図と共に一気に口に入れていく。

やはり単純な早食いではルフィの方が早い。

「はいジュース!」

「ありがとう!…あ!」

「はいご馳走さま!」

ジュースをあげた隙に完食する。

いつもどおりの勝ち方だ。

「ずりィぞウタ!」

「出た、負け惜しみ〜!」

何度も、つい先日もやったやり取りだ。

昔はよくこうやっていたと、少しの間だけ懐かしい気持ちになれた。

 

 

「よし…それじゃ肉も食ったし、次のとこ行こうぜ!」

「あ…うん。」

 

ルフィが手を伸ばして次の浮島に行こうとするのに掴まる。

基本移動はこれで済ましてしまっている。

 

 

(…楽しかったな)

先程の勝負のときだけは、悩みを忘れてしまうことができた。

心から勝負を楽しめた。

…ずっとこうなら良かった。

 

でも、それは一度ルフィが拒んだはずだった。

…なのに、何故ルフィはこれほど元気なのだろう。

出ることを諦めてるわけではないはずなのに、何故…。

 

その答えは、まだ見つけられなそうだった。

 

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