エタるつもりはないので最後までお付き合いしていただけると幸いです
「んむ……どうすっかな〜」
「………」
フーシャ村等の探索を終え、エレジアに戻り…ある建物で、休憩をしていた。
相変わらず腹が減ったと、ルフィはまた肉を食べ始めている。
聞いたら一日5食と言っていた。どれだけ食べるのだろう。
…ひょっとしたら、先程のチキンレースも手加減されていたのだろうか。
「ロビンは他に出方ねェって言ってたからな…なんか新しい方法考えねェと」
…この世界から出る方法など、はっきり言ってあるとは思えない。
それこそ思いついたのはトットムジカだったが…あの手は無理だ。
トットムジカを呼び出すには、あの楽譜が必要だった。
が、あの時所持していた楽譜は呼び出した魔王と一緒に消えてしまっていた。
既に訪ねてみた地下書庫のどこにも存在していない。
そうなれば、もうその手は無理だろう。
なにより、ルフィがそれを嫌がった。
「あれは駄目だ、ウタが大変なんだろ?」
…死んでしまった自分に何を変な気遣いをしているのだろう。
だが、こちらの世界をルフィ一人で対応させるのも、
現実世界のシャンクス達に三度あの魔王と戦わせるのも確かに気が引けてしまう。
やはり、この手は無理だろう。
そう思い悩んでいると、肉を平らげて寝ていたルフィがよし、と、突如顔を上げた。
「そしたらそうだな…」
「尻の穴探すか!?」
「何言ってんの!?」
いきなりほんとに何を言い出すんだこの男は。
大体なんの尻を探すんだ
「そりゃお前、出るなら尻の穴だろ!!…そういや昔大蛇に食われたときも尻の穴探そうとしたな〜」
「いやいや、なんでそうなるのよ…!?」
大体なんだ大蛇って。
人を食らう蛇なんているのか。
「というか、仮にここがなんかの体内だとしても消化されて尻の穴から出なくていいじゃん!!せめて口から吐かれるとかでも!!」
「吐くのは大変だろ!!」
「いや、なんの心配してるの!?」
ほんとになんて会話してるんだろう。
ゴードンが聞いていたら品がないと窘めてきそうだ。
相変わらずルフィはなんかズレている。
それにつられてこちらまでツッコミがズレてきた気がしてきた。
「う〜ん…やっぱナシか」
「そりゃそうでしょ…」
やっと諦めがついたらしい、何を思ってそんな手を思いついたのか。
…違うか。
「…ごめんね、本当に」
分かっている。ルフィとてこの八方塞がりの現状をなんとかしようとしているのだ。
そのために馬鹿らしいアイデアでも思いついたなら端から試す心構えなんだろう。
…そんな状況に追い込んだのは、ほかでもない自分だ。
「気にすんなよ、お前が好きでやったわけでもないんだしよ…また別の手でも考えるか」
そう言ってまた寝そべる。
…最後は望まなかったとはいえ、最初は大勢を巻き込んでこれをやろうとしたのだ。
気にしないという方が無理だろう。
「…せっかくだし、なんか歌でも歌うか!!ずっと頭使ってても疲れるしよ!!ウタ、なんかないか?」
改めてルフィに聞かれて、思い至った。
そういえば、こちらの世界に来てからろくに歌も歌っていないのではないか。
…そんな余裕がなかっただけだろうが。
「…そうだね…そしたら…」
少しは、この気分も晴れるだろうか。
そう思って、口を開く。
『さぁ怖くはない 不安はない
私の夢は みんなの願い
歌唄えば ココロ晴れる
大丈夫よ 私は最強』
「私は最強」。
かつて自分を鼓舞する意味で作った曲。
…歌っても、心は大して晴れはしない。
それでもと、歌を口ずさみ続ける。
ルフィは、隣でゆっくりと聞いてくれていた。