二人、この世界にて   作:一般ラインハルト

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今回のタイトルは3回に分かれそうです


5話 煩悶(壱)

「……それじゃ、行くよ」

「おう!」

船の上で、再びルフィと額を合わせる。

あのあと少し実験してみたところ、どうやらこうすることで相手の記憶をウタワールドに映し出すことができるらしい。

私もこんなのは初めて知った。

と言っても、仮に知っててもやる相手などいなかったのだが。

 

額が合わさった途端、景色が一変する。

ここは確か…あのフーシャ村の近くの海だ。

少し向こうの水平線にはフーシャ村が見える。

その場で座り込んでいる私の右手は、ルフィと繋がれている。

こうしていれば額を合わせずともそのまま記憶を映し出せるのだ。

一つ残念なのは、何故か波の音やカモメの声は聞こえるのに人の声が聞こえないということだが。

 

改めて港をよく見ると、一隻のボートが海に出ている。

その上に乗ってるのは……

 

「…あんた、あれで海に出たの?」

「ん?おう!!」

「…無謀すぎない?」

あんな小さなボート一つで海を渡れると思ったのだろうか。

そんなことを考えていると早速1つ目の障害が現れる。

昔ルフィとの勝負で見た近海の主だ。

大きな口を開けて迫ったそれに対し、ルフィが伸びる拳を突き出した。

 

「…わ…ほんとに一撃…」

「な!!おれのパンチはピストルみたいって言ったろ?」

いや、普通にピストルなんかより強いのではないか?

そんなことを考えながら近海の主が沈むのを見届ける。

やがてルフィが、両手を高らかに上げ…

 

「海賊王におれはなる!!…懐かしいなァ」

隣のルフィが再現してくれながらも、当時を懐かしんでいる。

 

「…あれ、そういえば、もう目の傷あるんだね」

ルフィの体はよく見るとたくさんの傷の跡が見えたが、

その中でも目立つのが2つあった。

一つは胸のバツのような形の傷、もう一つは左目の下の傷だ。

 

「あァ、目の傷はもっと昔だからな」

そうルフィが言うとと同時に、また少し風景が変わる。

フーシャ村には変わりないが、港には大きな海賊船がある。

忘れもしない、故郷とも言うべき船…レッドフォース号だ。

その船首に、小さな影が立っている。

 

「…あ、ルフィ」

自分のよく知るルフィがいた。

船首に登ってしまって危ないのではないかと思ったが、

その片手にあるものを見てギョッとしてしまった。

 

「…ルフィ?あのナイフどうしたの?」

どこかで見たことある気もするナイフが握られている。

何かを言うシャンクス達を他所にルフィがそれを目元に向け…

 

─その後のことは、少し覚えられていない。

 

 

 

「なあ、そろそろ泣き止んでくれよウタ…」

「……うるさい馬鹿」

本当に馬鹿だ。

何が根性を見せてやるだ。あんなのただの馬鹿だ。

おかげでシャンクスが山賊に侮辱されたのもルフィがそれに怒ってたのも、

いつの間にか悪魔の実を食べてたのもあんまり入ってこなかった。

 

 

…買い物をするルフィの光景を眺める。

先程実験ということで最初に共有したのは、

私がフーシャ村にいたときと…ルフィがエレジアからフーシャ村に帰った赤髪海賊団とのやり取りだった。

あのときはルフィもシャンクスも荒れて喧嘩して、その後ベックマンのおかげで和解したらしい。

なんとか仲が戻ってよかったとも、私抜きで仲直りした二人に寂しくさも感じたのもあったが、

こうしてゴム人間も気にせずフーシャ村で元気に過ごせていたルフィを見ると少し安心した。

 

 

そう思った矢先、シャンクスの左腕がなくなった。

 

 

「…ウタ…シャンクスの腕のことはほんとに悪かったな」

「…謝らなくていいよ」

泣いてるのはその光景がショックだったからだ。

シャンクスが後悔してないのは分かるし、

ルフィを責める気もない。

 

「…ここで、帽子貰ったんだ」

シャンクス達のフーシャ村での最後の出航の時、泣きながらシャンクスから帽子を受け取るルフィ。

この時の約束を、今でも互いに覚えて進んで来たのはとても凄いことなのだろう。

 

それからまた時間が随分進んだ。

その間はどうしていたのか聞いたが、ルフィはまた今度教えてやると笑っていた。

…どことなく、ぎこちない笑い方の気がした。

…が、それを考えてる暇はなかった。

 

「…ちょ、あんた渦に巻き込まれてるじゃない!?」

「いやー、この時は死ぬかと思ったなー、アハハ!!」

「笑ってる場合!?」

 

…どうやらルフィの旅路を見るのは、相当疲れそうだ。

 

 

 




to be continued 『煩悶(弐)』

回顧録(東の海〜アラバスタ編)
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