気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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役を羽織る者

 

 

 セイバー、ヤマトタケル········これは凄いな。雰囲気、そしてこの重圧。たったこれだけでも英雄として最高位にいることがわかる。

 もしかしたら、知名度補正によってここまで本領発揮しているだけかもしれないが、この状況においてはとても有り難い。

 

 発言からすると、俺の味方で違いない。奴を倒した後はわからないが、ここは一先ず共闘を―――

 

「シャルルマーニュ、汝は先に進むがいい。」

 

「―――!?」

 

 真名看破か!?ってかなんで俺の目的を知ってんだよ。柚葉の情報が共有でもされてんのか?

 ········ここは任せよう。俺もあまり時間がない。

 

「抜かるなよ」

 

 警戒しながらも背を向け、この場を後に――

 

「躊躇するな。汝は汝が信じることを成すがいい」

 

「·······了解した」

 

 意味がさっぱりわからないが、重要なことの筈だ。しっかりと心に秘めておく。

 未だ満足に動かせない体で飛翔する。

 友奈が何処にいるのかは不明だが、この先へ進めばきっとわかるはずだ。痛みなど無視して突き進め。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 草薙剣を握り、嘗て葬り去った記憶がある悪神と対峙する。まぁ、本当に記憶があるだけなのだが······。

 

「·········ふぅー、やっと肩の荷が降りたぜ」

 

 先程まで発せられていた重圧が息を潜める。まるで最初からそんなものはなかったかのように時が正常に動き出す。

 

「貴様········いや、そのような偽造······偽造とすら言えない·······なんだ、ソレは?」

 

「おいおい。てめぇに見せるのは二度目だろうが······これだから魚の脳味噌は高が知れてんだよ」

 

「あ゛······?」

 

 偽造というよりは、それそのものだ。もちろん、性格、技量、精神性······いくつか相違点があるにしても、それ以外のものは全て真のもの。ただの上辺のものでは断じて違う。

 

 クラス【役を羽織る者(プリテンダー)

 

 人類史から詐称した者としての烙印を押され、全ての生きとし生けるものを敵に回す英雄。それこそが⬛⬛ ⬛⬛という男の正体だ。

 

「さぁ、第二グラウンドを始めよう」

 

「いいだろう!貴様を落とし、堕とし、貶し、嚇し―――一塵の芥に変えてみせよう!アハハハ―――ッ!!」

 

 両者ともに嗤う。

 自身の力ですらないモノを我が物で扱う悪神を。憎き武人を羽織ったそこらに転がる石を。

 見下すように。嘲笑うように。死した瞬間の顔を想像するように。

 

「さて、いい加減この拘束も飽きたな·······清純たる身を凌辱されながら魂ごと尽きるが――」

 

 自身の足を切断し、そこから溢れる泥を用い汚染しようとするが時既に遅し。手を少し挙げた次の瞬間には全身を細切れにされ、上空へと散っている。

 

「白鳥 歌野。さっさと引っ込んでろ·······助力感謝する」

 

 最早、自身の事など誰も覚えていない。共に諏訪を守った戦友だとしてもそれは同じだ。そういう契約をしたのだから当然の結果·········それはあまりにも―――

 

「―――温い、なァ!!」

 

「黙って死んどけ」

 

 泥によって修復された体を再度断ち切る。だが、いくら再生し難い程に斬り刻もうと次の瞬間には原型の姿へと戻る。

 

 絶対に有り得ない光景だ。

 

「ん〜·······」

 

 攻撃を中止し、距離を取る。未だ繰り返される修復機能について思考する。

 

 悪神【悪樓】

 日本武尊(ヤマトタケル)の自慢の刀で退治された穴海に潜む魚のような形容をした神。上里 ひなたの泥を引き受けた際に俺の体内へ入った臆病者。

 

「あぁ、なるほど··········お前、本当に臆病だな。」

 

「貴様は臆病者以下ということだぁ!」

 

「認めてんじゃねぇか」

 

 誰かですらない顔で迫りくる臆病者を四分割に斬る。

 ⬛⬛の体ではなく上里 ひなたの体に巣食っていれば、このような蹂躙にはならなかったであろうに。もう少し先を見通す力があれば、誰も敵わない怪物が誕生していただろう。

 

「あ〜、ダル·········飽きたな」

 

 攻撃の手を止め腕をダラリと脱力する。そのようなチャンスを敵が見逃してくれるわけがなく

 

「抜かったな。貴様が最底辺の蛮人だぁ――ッ!」

 

 ⬛⬛の胸を悪樓の右腕が貫く。誰がどう見ても勝敗は決した。だが、⬛⬛は一切表情を変えず口から血を流している。

 悪棲の体を草薙剣が貫く。

 

「これが最底辺の叫びかぁ·······いい加減学習したらどうだ?」

 

「は―――?」

 

 その言葉が言い放れた瞬間、世界が轟音と共に光に包まれる。1km程離れていた柚葉さえも衝撃で飛ばされ、壁へ衝突する。

 

「―――壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

 

 

 

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