今、この時を以って天の神は打倒された。天の神の天蓋―――星屑や
世界が修復されていく様を揺れ動く地面に立ち、眺める男が一人········いや、二人。
「どうだっ!」
「いい刃紋だ·······まぁ、及第点つー所だな。」
300年間築き上げた刀を束ねた一刀を見定めるように様々な角度で査定していく。どうやら、お目に召さなかったようだ。だが、見つめるその顔はそうとは思っていないような気がする。
「ぐぅ····これでも駄目かぁ!」
「ふっ。コレは御駄賃として貰っていくぜ。次はもうちっとマシなもん作れるようにしときやがれ」
もう時期、千子 村正は座に還る。長かった······本当に長かった一仕事を終える。
「·······村正、本当に助かった。ありがとな」
「いい、いい。さっさとお仲間さんの所に行きな。待たせてんだろ?」
手でしっしっ、としているが実際は泣きそうで仕方ない。300年間見守った弟子のような者の門出なのだ。素人以下な弟子がこんな立派な一刀作り出した時点で涙線に大分来ている。
「ンじゃ、またなっ!」
「―――あぁ、風邪引くなよ」
「誰に言ってんだよ!」
ドンドンと背中が遠くなっていく。
村正の脳裏にこれまでの記憶が駆ける。自分に負けず劣らずの頑固者が七難八苦しながら刀を打つ姿はとても見応えがあった。少しずつだが、着実に上達していく様が特に。
「これで、見納めか········」
手に握られている刀を見る。
この一刀にアイツの全てが詰まっている。鍛錬の結果がコレだ。本物の草薙剣に見劣りしない美しさ。そして鋭さ。
「どうだい、神さん。人間の力も捨てたもんじゃねぇだろ―――?」
千子 村正であったでろう粒子が空へ昇っていく。彼にとって輝かしい日々は終わりを迎えた。
「―――····ン、ぁあ·····」
心地良い日の光を浴び、目を開く。その先には満点な青空が広がっている。
「ん〜······!」
体を思いっきし伸ばす。ふわふわな草むらの上と言っても地面の上に変わりない。寝る場所としては適していないだろう。
「起きましたか、士郎さん?」
「ん〜っ、あぁ······」
未だ眠っている脳味噌を起こしながら返事をする。眠気など感じない筈なのだが、久方振りの睡眠でつい熟睡してしまっ········久方、振り?
「さぁ、士郎。勝負の続きといこう」
「········おっ、いいぜ。今度こそ勝ってやんよ」
隣の木に立てかけられている木刀を手にし、若葉と相対する。側に座っていたひなたは微笑ましそうに俺達を見守っている。
「た〜ま、じゃなくて。ま〜た、若葉と士郎は勝負すんのか·········タマも〜!」
マタっち先輩が木の盾を手に装着し、駆け出そうとするが肩を掴まれる。その場から動けなくなる程の力で
「ダメでしょ、タマっち先輩。あれは真剣勝負なんだから」
「うえぇ〜········あ、はい、スミマセン」
反抗気味だったタマっち先輩も杏さんの圧力には敵わない。尻尾を丸め、その場に体操座りで座る。
「二人共ガンバレ〜!」
赤髪が特徴的な活発そうな子が二人へ声援を送る。その声援を受け、士郎は口角を上げ、若葉はやや照れるように目を逸らす。
「······ぁ···、·····。」
なにか言おうとするも自身を制するかのように口を閉じる。顔を顰め、視線を下に降ろす。
「俺が勝つからな〜!」
何を思ったのか、千景へ体を向け全力で腕をブンブンする士郎。相対していた若葉ですら少しの間、目を見開き士郎を見て········納得する。
「〜〜〜····!」
「良かったね、ぐんちゃん♪」
反応があったのを確認すると体勢を戻し、再び若葉へと視線を戻す。
木刀を両手で持ち、下段の構えをとる。
「それでは、私が開始の合図をしますね」
「いつでも構わない」
若葉は木刀を腰に添え、居合の構えをとる。両者ともに準備は既に終わっている。
「―――始めっ!」
「―――」
先に仕掛けたのは若葉。音速すら超えた居合が士郎の胴体へと吸い込まれていく。周りから見れ·······いや、見えただけ良いだろう。これはそれ程の技なのだ。
「―――ッ、ハッ!」
横に払われる一閃を空へと弾き、そのままの勢いで若葉へと木刀を振り下ろす。
「甘いっ!」
「はぁ!?」
木刀から手を離したと思えば、人とは思えない程のスピードで攻撃を避け、未だ落下していない木刀を再度手中に収める。そんなことをされれば、素っ頓狂な声の一つや二つ出るだろう。
「そこだ――ッ!」
木刀を振り下ろし、無防備になっている腕へと木刀を振るう。まず、常人では対処すら出来ないだろうが、彼は―――
「まだまだぁ!」
「なっ―――!?」
人を超えた英雄だ。不可能なことは限りなく少ない。
迫る木刀を逆手持ちに切り替えた木刀で一撃目と同じように空へと逸らす。予想外のことだったからか、数秒程の空白が生まれる。当然、そこを見逃す訳がない。
「終いだ!」
「ぐぅ······!」
―――木刀が宙を舞い地面へと落ちる。
「俺の、勝ちだなっ!」
そう子供のような笑顔で言い放つ。とても明るくて誰よりも眩しい笑顔で。
「獲ったと思ったのだがな········やはり、士郎は強いな」
「若葉もだろ。最初のとか反応出来なかったぞ」
お互いにお互いを称賛しながら、握手を交わす。互いに全力を出し合った結果だからこそ、そこに後腐れなど入る余地はない。
「タマもびっくりだぞ。若葉があんな速い居合をするなんてな〜」
「士郎さん。反応出来ない、って········それなら、何で弾けたんですか?」
「ん〜·········なんか、こう·····今っ!て感覚でわかったと言うか·······まぁ、ほとんど勘みたいなもんだ」
勘、ではなく彼が積み上げだ研鑽による賜物だろう。そこだけは彼にどれだけ誇って貰って構わないが······気づかないのならそれでいいか。
「勘、ってあやふやね」
「そういう所が士郎くんらしいね」
「勘=俺なのか!?」
凄く不服そうにしながらも優しく木刀を木へと立てかける。
勘=士郎········確かに、と全員がそう思った。
「はい、若葉ちゃん、士郎さん。水分補給は大事ですよ」
「おぉ·······助かるよ、ひなた。」
「おっ、ありがとな。」
ひなたが差し出した紙コップを受け取り、一気に飲み干す。それ程までに今の少しの勝負で両者ともに消耗している。
「さてと·····」
空の紙コップをひなたへ渡し、皆に背を向ける。
「ちょっと忘れもんしちまった。てことでちょっくら行ってくる」
「私も·········あぁ、気をつけてな」
伸ばしかけた手を引っ込め、笑顔で士郎を見送る。
左腕は消え、若葉と士郎以外の者達は風に乗って消えていく。
「次も俺が勝つからな」
「っ······、いいや私だ。今度は私が勝つとも」
もし、若葉の企てでなければ彼は誇りの侮辱と受け取り暴れていただろう。
風に靡かれる草むらを歩く。
この先に士郎が望む光景はない。だが、忘れ物をしてしまった。それだけで進む価値はある。だってそれは―――
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