気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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花結いのきらめき【19】

 

 

 

 

 

「アイツ·······」

 

 ⬛⬛と並ぶ白鳥 歌野を見て溜め息をつく。

 スマホの操作がわからず、アタフタしている間に終わると思ってたんだが········最近の若者は呑み込みが早いな。

 

「あーもう仕方ない。ちょっと修整入りまーす」

 

 お調子者かと疑われるような気の抜けた声で飛翔する。修整、と言ってもこれで三度目だ。バグだらけだな、まったく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先程とは打って変わって形勢逆転。二対一となり、シャルルマーニュが不利なのだが·······ほとんど一対一のようなものだ。

 

「勇者、そこを退け」

 

「絶対に退かないわよっ!ほら、⬛⬛!そんな諦めた顔しないで武器持って!ギブアップにまだ早いわよ!」

 

「下がれ、歌野」

 

「·················本当に、諦めたの?」

 

 いろいろな感情がごちゃ混ぜになったかのような顔で⬛⬛を見つめる。

 

「かふっ゛·······そいつは、もう諦めてんぞ。だから、さっさと殺してやれ······っ」

 

「士郎くん、あんまり喋らない方が·····」

 

「⬛⬛の二人目!?てか死にかけじゃない!」

 

 口に溜まった血を吐きながら、高嶋の肩を借りながら辛うじて立っている。いくら生存が決定しようと痛いものは痛い。ここは安静にするのが優先だろう。それはシャルルマーニュにも言えることだ。

 

「そういうことだ。俺はもう抵抗しない」

 

「だ・か・ら〜!まだ戦うのっ!そんなヘナヘナしないっ!さいっ、こうにカッコ悪いわよッ!!」

 

 カッコ悪い。その単語に三名が過剰に反応する。

 

「········カッコ悪い。そうだな、今の俺はカッコ悪かったな········そんじゃ、諏訪ジョークは辞めて本気出しますかぁ!」

 

 さっきまでの会話が茶番だったかのように雰囲気が一転し、シャルルマーニュへと啖呵を切る。

 

「友奈、遠くに離れるぞ」

 

「え?う、うん、いいけど·······?」

 

 未だ痛む胸の傷を歯を食いしばることで耐え、高嶋を抱き抱えて飛翔する。方向は知らん。遠ければどこでもいいという感じに樹海を翔けていく。

 

「あっ、ジョークだったの?ちょっと真面目で心配になっちゃったんだけど········」

 

「俺のジョークは最強だからな。てことで、さっさと離れてろ」

 

「オッケー!」

 

 目が据わったのを確認するとすぐさま勇者の身体能力をフルに使った速度で離脱する。

 

「悪い、待たせたな」

 

「問題ない。ここからは一瞬だ」

 

「だな」

 

 ジュワユーズが輝き、刀が燃え出す。

 

「冥土の土産に拝みやがれ」

 

「しかとこの目に焼きつけよう」

 

 その言葉を聞き、瞳を閉じ頬を緩ませる。そしてまた眼を開く―――開始の合図だ。

 

「過分を捨て―――

 重さを捨て―――

 疾きを捨て、テメェを知った」

 

「幻想の色彩。幻想の物語。

 されど―――」

 

 樹海が一変し、燃え盛る大地となる。幾千もの刀が刺さっており、戰場かと思わせる程の風景だ。だが、そのような場所でも光はある。

 

「随分と長くかかったがな·······

 刮目しやがれッ!」

 

「我が剣、我が勇士は君臨する―――ッ!!

 即ち―――」

 

 名も無い刀が粒子となり、彼の手に収束―――そして一本の刀と成す。これこそ全てを断ち切る究極の一。それに相対するは至高の十三連擊。

 

「剣の鼓動、此処にあり―――ッ!」

 

王勇を示せ、遍く世を巡る十二の輝剣(ジュワユーズ・オルドル)ッ!」

 

 

―――――――――――――――

 

 

―――――――――

 

 

―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宝具のぶつかり合いにより、周辺の樹海の根はボロボロ·······そんな形容が生温い程に荒れている。もちろん、そんな状況であれば大穴の一つや二つ出来る。

 

「かはっ·······あ゛、あー」

 

 大穴の底で発生練習をしている者が一人。どうやら、シャルルマーニュの宝具により、両腕、左足、胴体をやられたようだ。 

 

「ジュワユーズと真っ向から競り合った感想は?」

 

「ガヌロンの所を掻い潜って一閃·······それなら、いけると思ったんだがなぁ·········」

 

 自身と瓜二つの者と死に体で語り合う。だが、痛みは慣れている。発狂することはない。

 

「まっ、左腕は持っていけたんだ。誇っていいと思うぞ、俺は。それにカッコよかったしなっ!」

 

「自分に言われても嬉しくねぇよ······」

 

 溜め息をつきながら、肩を竦める。もうジョークなど言う余裕なんてない。

 

「おっ、歌野がお前を探してんぞ」

 

 奥底でも聞こえる程の大声で自身の名を叫んでいる。

 彼女が自身の名を呼ぶなんて、何百年振りだろうか。頬がニヤけてしょうがない。

 

「このままやり過ごすさ。樹海が解けたら、後はお前がなんとかしてくれ」

 

「········もう偽る必要はねぇさ。お前の敗因は自分の本心すら騙したことだ」

 

 樹海の根と根の間から光が差し込み始める。どうやら、彼女が力任せに掘り返しているようだ。

 

「確かに役を羽織る者(プリテンダー)は世界を騙す者に与えられるクラスだ。だがな、いくら自分を偽ろうと本当の物は残さないといけない。そうだろ?」

 

「·········あぁ、そうかもな。そりゃあカッコ悪いよな」

 

 好きな子の前でカッコつけたいのはどの世代でも共通していることだ。彼であっても変わりない。そう思うと、今までの行為が黒歴史に入りそうだ。

 

「よし·······それじゃあ、俺は帰る。ゆっくり休んどけよ」

 

「そう急ぐな。ほれ、俺の称号でも貰っておけ」

 

「うおっ、とと·······自分の称号を雑に投げんな。まっ、有り難く貰っといてやるよ」

 

「おう」

 

 称号を受け取り、体内へと入れる。その際にこれまでの記憶が流れ込んでいるが、今は無視する。

 霊体化し、彼女とすれ違いになる形で樹海へと出る。

 

「··········」

 

 体が粒子となり、散り始める。これにて造反神からの依頼は終了。まぁ、終了とは言っても完了したとは言っていない。当然、報酬など―――

 

「――⬛⬛っ!」

 

「·········はぁ、アイツ」

 

 木々が折れるような音と共に一人、⬛⬛がいるちょっとした空間へと入り込んでくる。

 

「よかったぁ゛〜!まだ生きてるわね?!それじゃ、早く上がらないと――」

 

「いや、大丈夫だ。此処でいい」

 

 ⬛⬛を抱えて飛ぼうとする歌野を静止し、再度座り込む。その言葉を聞き、一度は顔をくしゃっと歪めるがいつもの顔へと戻る。

 

「そっか········ここから私とみーちゃんで頑張るわ。⬛⬛はゆっくり休んでちょうだい」

 

「歌野」

 

「大丈夫、安心して。絶対に私は······私達は最後の一瞬まで―――」

 

「歌野ッ!!」

 

 何処を見つめているのかわからない目をこちらへと向かせる。今ので大分体力を使ったが、まだ余裕はある。話したいことは話せる。

 

「まず落ち着け。絶対に人を攻撃するな。しっかり話を聞くんだ」

 

「···········うん」

 

 簡単に。解り易いように簡素に伝えていく。

 

「気を楽にして。自由時間を楽しめ。馬鹿騒ぎしまくれ。周りを困らせるぐらいになっ!」

 

「······う、ん·······う゛、うんっ!」

 

「大丈夫。俺は大丈夫だからな。絶対に早とちりすんなよ!」

 

「あったり、まえ·····〜っ、····!」

 

「絶対に勝て。負けるな。俺みたいに本心を騙すな。辛いときは辛いでオッケーだ。以上っ!」

 

 伝えたいことを伝え、粒子となり消える。遺されたのは彼女一人。彼には見せませいと我慢していた涙が滝のように流れる。

 

「もう、ほんとに、ズルいんだからぁ········」

 

 ―――花弁が舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セイバー、千子 村正。召喚に応じ参上した。まぁ、その········なんだ。同じ顔で暴れたよしみだ。こき使ってくんろ。てことで武装を解いて欲しいんだが······あっ、駄目?そりゃあ困ったな·········」

 

 

 

 

 

 

 

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