驚くなよ?あんな白熱した戦いしたのに、まだ一県も開放してないんだぞ?赤嶺大丈夫そ?
俺と御影以外で千子 村正と名乗った者へ武器を向ける。鞭を使っていた勇者と樹海ではいなかった少女が庇ってはいるものの警戒は解かれない。
「皆、武器を降ろしてくれ。コイツはさっきの奴とは別人だ」
俺の言葉を聞き、渋々といったように武器を―――
「いや、俺と奴は同一人物だ」
一斉に再度武器が向けられる。
お前さぁ·······。
「一先ずだ。一先ず、御影を病院へと搬送しよう。生存という概念は付与されているが、それも時期に消える。さっさとしねぇと本当に死ぬぞ」
「ん?御影の体も俺みたく神樹の力で修復され······」
そんな訳がないと思いつつ、御影へと視線を向ける。
「ない。御影 士郎は人間だ。勝手にお前と同じ括りにするな」
椅子に座ったまま隣にいるひなたに寄りかかっている。よく見ると、その目は心なしか虚ろになっているような気がする。
「士郎、さん········?」
「―――――――――――。」
「士郎っ!」
それに気づいたひなたが御影を揺さぶるが無反応。しまいには、机に置いていた右腕が力なく落ちる。
「救急―――、いや、俺の方が速いな。俺が運ぶ」
即座に御影を抱え、廊下に出る。そして、窓からジェット噴射の如く加速する。
·········やけに軽い。斬られたであろう胸からは出血がないのを見て安心していたが、本当はもう出る程の血がないんだ。
くそっ、もっと早くに気づくべきだった。これは俺の失態だ。必ず拭わなければ。
シャルルマーニュが御影を抱え、病院へと走り出した後の勇者部。西暦組が落ち着きなく、そわそわとしているがそれ以外は先程同様だ。
「そんじゃ、自己紹介だ。さっきも言った通り俺は千子 村正。まぁ、本当は違うんだが·······もう存在しない名前なんでな」
「この状況で自己紹介続けるの!?」
「そりゃあ、なぁ?」
「そうよ。自己紹介は友達を作るための最初のステップなんだから!」
なんだこの諏訪トリオ。ボケ二人とツッコミ一人·····最高のコンビだな。M-1グランプリ優勝目指すか。
「ん?この声·······まさか、白鳥さんか?」
「オフコース、私が白鳥 歌野よ。それにしてもアナタの声、どこかで··········あっ、もしかして乃木 若葉さん?」
「あぁ、······あぁ!私が乃木 若葉だ!こんな形で会えるとは······」
白鳥 歌野と乃木 若葉。守護していた土地は違えど、同じ時代を生き、うどんとそばで競い合ったライバルだ。その結末は·········これを言うのは無粋というものだろう。
「どうして諏訪に若葉さんが··········あっ、そうだ。若葉さん、彼は⬛⬛ ⬛⬛。通話の時に言った通り、彼は私の仲間で―――」
「すまない、白鳥さん。もう一度名前を言ってくれないか?」
「⬛⬛ ⬛⬛」
早口過ぎたと思い、今度はゆっくりと口にする。
「·······すまない、もう一度頼む」
「⬛ ⬛ ⬛ ⬛」
ちょっと声が小さかったかと思い、今度は最大の声量で一文字ずつ伝える。だが、それでも若葉の顔は優れない。
「··········日本語で頼む」
「日本語よ、日本語!ジャパニーズラングエイジ!」
本来の英語であれば、日本語と言う場合japaneseのみでいい。言語という意味のlanguageはつけない。
「そこまでだ、歌野。言ったろ?俺の名前はもう存在しないってな」
「それは········古代言語になったという意味ですか?」
「いや、そんなものはない。ただ、俺がそういう存在ってだけだ」
樹がそう質問するが、すぐさま⬛⬛によって否定された。
「でも、私とうたのんは正しく言えてるよね?それって私達には適用されないの?」
「お前らは俺の名前を消される前に聞いてるからな。正しい発音さえ聞いてりゃあ、発音も正しくなる」
「なるほど?」
若干納得はしていないものの理由は大分把握出来た。歌野は感覚派なので、適当に頷いているだけだ。
「歌野と水都はー·······まぁ、いいか。それよりもまずは状況を説明してくれ」
「およ?私の晴れ舞台はスキップ?」
「今日のデザートはキウイにするね」
「それはほんとに勘弁してくれ。最悪吐くからな?」
この三人には勇者部の皆も苦笑い。
状況不明、敵多数という危機的状況でここまで呑気に談笑するのは世界広しと言えどこの者達のみだろう。
「······まぁ、良いんじゃない?ひなた、説明してやんなさい」
「いいんですか?士郎さんとシャルルマーニュさんを瀕死に追いやった人だと聞きましたが·········」
「風さん、それは流石に甘すぎないか?」
神世紀組は賛成。西暦組は反対。
御影を瀕死に追い込むというのはそういうことだ。ちなみにシャルルマーニュの事は、まぁたまにしでかすよね〜、という感じで片付けている。
「ん〜、決裂してんなぁ········よしっ、それなら俺が腹を斬ってやろう。それで文句はねぇだろ?」
このままでは進まないと思い、自身の命を贖罪とすべく刀を握る。またまた冗談を、と目を向けてみれば、その目は本気だと馬鹿でも気づかせる。
「⬛⬛が腹斬るなら私も腹斬るけど?」
「誰か介錯お願いしていいですか?」
「···········わかった、わかった。腹は斬らねぇよ」
歌野と水都がそう言った瞬間、斬る動作をピタリと止め、少しの間思考を挟む。そして、諦めたかのように刀を散らす。
「上里さん、説明した方がいいんじゃないかしら?あの顔で腹切られたら夢見が悪いわ」
「········そうですね。ここは一先ず情報共有をしましょうか」
その言葉に神樹館組は肩を撫で下ろす。正直、今の会話は非常に教育に悪い。シャルルマーニュがいれば、即刻部室から放り出していただろう。
説明開始から数十分後。至極丁寧な説明を聞き歌野は―――
「国盗り合戦してんのね!」
結局、端折りまくってそこに行き着いた。
ここで勘違いしないで欲しいが、歌野は地頭はいい方だ。ただ、脳の空きスペースが農業、そば、水都、⬛⬛でパンパンに詰まっているだけだ。
「⬛⬛さんが敵·······え、いや、でも⬛⬛さんは私達と一緒に来ましたよ?」
「御影さんと同じ状況だった、ということですか?」
「でも、村正さんには私達についての記憶があるよね。それに同一人物だって、さっき·······?」
ちょっとコレは魔術関連、というよりは⬛⬛のスキルを知らなければややこしいな。さて、彼はコレをどう説明するか········
「俺には自分自身から記憶を受け継ぐ術があった。ただそれだけだ」
「確かにそれなら·······」
「それを習得すれば、アタシも未来のアタシから記憶を········名案じゃね?あっでも引き継いだところでだった」
「おいコラ」
その説明で納得するんか········まぁ、正確に言うならば、彼の称号剥奪というスキルの副作用なものだ。
『犠牲者』それがアイツの世界から与えられた称号だったようだ。ちなみにこっちの彼は『人理の防人』という称号を有している。
「ん〜、これは中々難しい〜········」
「だね〜···········簡単にまとめるなら〜········村正さんは何かの理由で造反神に仕えてたけど、今の村正さんは仕える必要がないから私達を攻撃してこない。そんな感じでいいのかな〜?」
「あぁ、そんな感じだ」
これには⬛⬛も感嘆したように頷く。にしても、凄いすぎだろ。
園子と銀はシャルルマーニュから具体的にではないけれど、世界の真意について少しは説明されている。まぁ、説明した当の本人ですら知らないことが沢山なのだが·······そこはどうでもいいか。
「てことで、俺の無害性は証明した。どうする?このまま殺し合うか?」
「こらっ。約束したのを自ら破らない」
「いつっ·····」
⬛⬛が妙な笑みを浮かべた瞬間、歌野が制裁パンチで黙らせる。これには⬛⬛も打たれた頭を抑える。
「まだ色々聞きたいことはあるけど········しょうがないわね。アナタもこれから勇者部の一員として頑張って貰うわ」
「ありがとうございます。是非こき使ってやってください」
「うおっと水都さん?」
「⬛⬛が最初言ったでしょ」
「あー·········やっぱ、あれなし。この部でこき使われるとか予想外にも甚だしい。俺じゃあ対処しきれんぞ」
「⬛⬛さんに拒否権はありませんよ?」
「ミト=サン?········あ、はい。精一杯頑張らせてい頂きます」
このやり取りで全員が悟った。この三人混ぜるな危険、だと·········なんなら、シャルルマーニュよりも問題児だ。
「ああもうしょうがねぇ。千子 村正の名に泥を塗らねぇように頑張ってやんよ。だが、戦力面には期待するなよ?」
その最後の言葉に全員が疑問符を浮かべたのは言うまでもない。
人知れず、しれっと死にかけてる御影·······ちょっと面白い。さて、それじゃあ出来てなかった補足をしますか。
・建速須佐之男命への祝詞
あれは本来真名開放時の台詞です。⬛⬛が言って、御影のが反応したのは誤作動みたいなもんです。
・対義逆転
本来なら問答無用で敗北が勝利になる。つまり、発動した瞬間勝利していた⬛⬛が死ぬ筈だったんですが、御影の草薙剣が空っぽだったので概念の付け替えだけに留まりました。それでも強すぎだろ。
人気投票をしようっ!←バカに付き合って下さい。お願いしますっ!
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シャルルマーニュ
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御影 士郎
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⬛⬛ ⬛⬛
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結城 友奈
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東郷 美森
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犬吠埼 風
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犬吠埼 樹
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にぼっ······三好夏凜
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乃木 若葉
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上里 ひなた
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高嶋 友奈
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郡 千景
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土居 球子
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伊予島 杏
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白鳥 歌野
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藤森 水都
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乃木 園子
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三ノ輪 銀
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その他(北野とか柚葉とか)