気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 俺は戻ってきぞぉー!!



花結いのきらめき【23】

 

 

 

 

 日曜日、勇者部部室。今日も今日とて勇者部は活動日であり、村正以外の者は全員集合している。

 村正の所在は誰も知らず、本当に野宿したかは不明だ。

 

「黒耀家が全焼したみたいですね」

 

 ひなたのその言葉に雷が落ちたかのように反応する御影。シャルルは王様状態なためか然程動揺はしていない。

 

「廃棄物は焼却処分に限るな」

 

「しっかり分別しないと駄目よ?」

 

「もちろん、わかっているとも」

 

「なんでゴミ捨ての話に?」

 

 ゴミ捨て·······まぁ、あながち間違いではないな。不用品はゴミ箱に、でなければゴミが部屋に溢れかえってしまう。つまりそういうことだ。

 

「はいはい、物騒な話はそこまでにして話に入るわよー」

 

「はーい」

 

「了解っス」

 

 風の合図と共に各自席に着く。新たに加わった諏訪組によって勇者部総員十七名がどうやってこの狭い部室にいるかは不明だ。解き明かそうとは思わないのだろか。

 

「こき使え、って言っていたヤツがいないわね」

 

「確かにそうだな·········歌野、水都、なんか聞いてるか?」

 

「なにも聞いてないわ。ほんとに野宿したのかしら」

 

「私もです」

 

 まさかの二日目から欠席とは。不良少年待ったなしだな。当の本人は今頃パフェでも作っているのだろうか。

 

「ん〜······まっ、いいわ。そんじゃ、早速―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日の依頼であったお婆ちゃんからの要請へと向かった御影。散々パシられたが、傷が開く程のものはなかったためなんとか熟せた。そして、大量のバリエーション豊富な飴を報酬として受け取った。

 

「ったく、あの婆ちゃんは人使いが荒れぇ」

 

 一人、愚痴りながら夕暮れ時のあぜ道を歩く。右脇には飴が詰まった瓶が抱えられている。そういう部なため、無駄働きでも良かったが断りきれなかった。だからこうして、片手を塞いで持ち帰っている。本来なら一人の時にはこんなことはしない。

 

「―――やっ。奇遇だね、四国の大英雄」

 

 ほんの数秒前まで一緒にいたかのような気さくな挨拶。だが、当然彼女とはそんな関係ではない。なんなら殴り合う関係である。

 

「········お前は一々俺のことを四国の大英雄だとほざいてんな。そんなにこの称号が欲しいのか?」

 

「いや、全然そんなのじゃないよ?ただ私は凄いな〜、って思って尊敬してるんだ」

 

 そこまでの事はしていないと本気で思ってる御影にとってはそんな大それた称号を名乗るのは心外である。実際は称号顔負けの事をしているのだが·······。

 

「へぇ、そうかい。それで?今日は俺になんの用だ?」

 

 構えは一切変わらずだというのにこの威圧。まるで頭部に銃口を突きつけられたような感覚すらある。

 

「今回は戦闘目的じゃないよ。してもいいけど········貴方がその体ですれば、間違いなく死ぬよ?」

 

「死ぬ前にテメェの首折ってやるよ」

 

 さらに威圧が重くのしかかる。これには流石の赤嶺も肝が冷えたのか、煽りはこれまでにし本題へと入る。

 

「ほんとの目的は質問しに来たんだ」

 

「··········答えれる範囲で応えてやる。さっさと言いやがれ」

 

 戦うのは得策ではないと判断し、質問を答える方へとシフトチェンジ。威圧を消し、赤嶺の言葉に耳を傾ける。

 

「村正さん、最期はどんな感じでした?」

 

「········あんな奴でも芯はあった。それに殉じて死んだのであれば、後悔はねぇだろうさ」

 

「そっか······村正さんは潔く逝っちゃったか。それは良かった、のかな·······」

 

「さぁな。良し悪しは当事者のみが語れるものだ。俺達がいくら考えても仕方ねぇ」

 

 あの時、彼が笑っていたのか。幸せだったのか。そんなことは誰にもわからない。だけど、満ち足りていたと思いたい。そうでなければ悲しすぎるだろ。

 

「·········それじゃ」

 

「子供は暗くなる前に帰るんだな」

 

「―――――――うん」

 

 何気なく言い放った別れ際の定番フレーズに何か思う所でもあったのだろうか。目を見開き、なにか御影に別の者を重ねるかのような間があった。

 まぁ、そんな切り捨てた思い出はあるはずがなく。走り去っていた風と共に彼方へと飛ばされてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『子供は暗くなる前に帰るものです。さっ、帰った帰った』

 

 とても優しい声と共に脳内を駆け巡る思い出。だが、いくら思い出そうが彼はいない。もう死んでいるのだから当然だ。だと言うのに私は―――

 

 ずっと取れない取っ掛かりが出来た。御影が言い放ったあの言葉のせいだ。

 

「やっぱり、親子だなぁ·······」

 

 そうボヤきながらマンションの階段を上がる。そして、角にある部屋の扉の前まで行き、鍵を開け玄関へと上がる。

 ここは造反神によって用意されたこの世界での私の家。前までは同居人もいたが·······とうにいなくなった。

 

 ご飯何にしようかなー、と考えながら靴を脱ぎ、居間へと歩いていく。当然電気などついており········おり?

 

「―――よっ、おかえりさん。」

 

「··········はい?」

 

 死んだと思っていた者が生きていた。その場面に出くわした当事者の気持ちを百文字で答えよ。

 無理だろ。最低でも五百字はいるぞ。

 

(アイツ)は正真正銘死んだが、アイツ()は生きてる。まっ、そんな所だ」

 

「いやいや、そんな説明じゃ誰も解んないよ?」

 

「いやー、俺も家なくて困っててさ。てことで元同僚のよしみで助けてくれ」

 

 赤嶺の疑問など全て無視。答えようとすれば、日が明けるということもあるが本心としては説明したくない。元々⬛⬛ ⬛⬛は死んでいなかった。それでいこうとゴリ押しを選択したようだ。

 

「·········あー、もう。早くご飯作って。私、肉じゃがで」

 

「あい、わかった。一時間ぐらい待ってろ」

 

 ここは甘んじてこの妄想を受け取ることを了承。というよりかはそれ以外が選択不可能であった。なんと狡い。

 そんな狡い奴はのっそり立ち上がり、キッチンへと歩いていった。オーダー通り、肉じゃがを作るのだろう。

 

「はぁ·······」

 

 そんな後ろ姿を眺めながら、溜め息を一つ零した。

 

 

 

 

 

 

 

 





 沢山の飴は勇者部全員で別けたとさ。

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  • シャルルマーニュ
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  • ⬛⬛ ⬛⬛
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