気持ちのいいバカ(偽物)をブチ込んでみた   作:王勇を示す者

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 御影が須佐之男に言われた事の補足
 本来(現実世界)なら答えを得ずに天の神に丸呑み。その後刀を打つと共に見出す。だからシャルルとの初対面でもなんら警戒せず、めっちゃ気軽に話しかけてます。のわゆ一話の御影に近い、かな?



花結いのきらめき【27】

 

 

 

 

 

「んじゃ、おやすみー」

 

 時刻十時前。そんな時間に眠りにつこうとするのはもちろん御影。お爺ちゃん並の早寝早起きだ。

 ちなみに神樹館組はパジャマ会をやって、そのまま寝てしまったのを杏が確認している。諏訪組はー·······気づいたら寝てた。

 

「ああ」

 

「はい、おやすみなさい」

 

「夜更かしするなよー」

 

「するか。お前らも寝坊しないように寝ろよ。特に千景」

 

「私を何だと思ってるの?」

 

 飛び火が凄まじいカーブを見せてるな。これは怒っても問題ないだろう。というか怒れ。

 

「ぐんちゃんは私が寝かしつけるね♪」

 

「ぇ·······」

 

 おっと、千景の胸が高鳴り出したが大丈夫か?鼓動が1秒に十回に届きそうではあるが大丈夫だろう。いつもの恒例行事だ。

 

 談話もそこまで。共有スペースに設置されている大きな机を西暦組で囲む。その光景はさながら円卓のようだ。そして数秒間の沈黙をリーダーである乃木 若葉が破る。

 

「建速須佐之男命が言っていた··········アレは事実なのだろうか······?」

 

「“士郎さんは狂っている”、それを証明するためには何処が狂っているのか探さないといけないでしょうね」

 

 議題は御影について。でなければ彼女達が夜更かしすることはない。夜更かしはお肌の天敵、だからな。

 

「········何処も狂ってなくないか?」

 

「私にもそう見えるんですが········ありえないかもしれませんが、建速須佐之男命の勘違いって説もあるかと思います」

 

 それはない。断言出来る。

 あんな自信満々に神が言ったのであれば事実だ。事実でなければいけない。神の発言とはそれ程までに重責を伴うものだ。

 

「··········」

 

「·······他者のもの·····他者って誰かしら」

 

「言葉から察するに私たち。それか四国の人々、そこらだろうか」

 

 高嶋は沈黙を決め込み、千景と若葉で考察する。

 今出揃っている情報の中で一番有力なものは建速須佐之男命の発言。逆を言うとそれ以外の考察は意味を成さない。そもそも―――

 

「―――狂っている場所を見つける必要はねぇ。まず見つめ直すのは基点だ。御影 士郎というな」

 

「「「「!!?」」」」

 

 間違いなく御影の声。だが、あまりにも雰囲気が逸脱している。すぐさま振り返り、真相を確かめようと視線を向ける。

 

「·······村正さんですか。どういったご要件で?」

 

 同じ背格好であったとしても左腕の有無で判断可能。あと雰囲気。ということで御影ではなく村正のご登場だ。

 

「家の神さんが迷惑かけたようだからな。詫びだ」

 

 ドサっと黒いエコバックが机に置かれる。その中身をすぐそばの椅子に座っていた高嶋が覗き込む。

 

「ソフトクリーム?」

 

「近場のコンビニで買ってきた」

 

 袋一杯に入っているソフトクリーム。置いてあったもの全部を買ってきたのだろうか。目測ではあるが一人三個はたるだろう。そんな袋をひなたが冷蔵庫へと持っていき、取り出しながら仕舞っていく。

 

「そんじゃ、俺はこれで」

 

 エコバックを受け取り、これで用は終わったとばかりに踵を返そうとするが―――

 

「ちょっと待ってくれ!」

 

 机を叩く程の勢いで立ち上がり、村正へと静止をかける。それに従うように村正は足を止めた。

 

「·········御影について話せ、ってか?」

 

「ああ·······」

 

「ん〜········まぁ、いいぞ」

 

 ▼村正が仲間に加わった。

 これはめっちゃ心強い。だって、男だぞ。流石に女子会で男子を徹底研究するところなんて·······普通にありそうだな。これ以上はよしておこう。

 

「貴方がさっき言った基点って何?」

 

 座ろうとするも椅子がなく座れない村正へ千景が問いかける。あれ程まで裏ボスみたく登場したのであれば意味がある筈だ。なければお笑いもん。

 

「狂っている、ってのは他者の常識から逸脱している状態だ。やっている人は至って真面目。だが、それがどう映るかは他者の常識次第」

 

 人間は自身の常識に当て嵌まらない。もしくは理解出来ないものに恐怖を抱く。それが転じて狂っている、という表現になる。この場合、自分から狂っている奴は論外とする。

 

「偏見の目をなくして士郎さんを見る。まずはそこから、ということですか?」

 

「偏見の目とかはどうでもいい。ただ御影の常識はなんなのか、それを考えるだけだ」

 

「士郎くんの常識·········」

 

 相手の心象を大まかに把握するのは戦闘時も重要だ。相手がどんな戦法を取り、どう武器を扱うか。それがわかるだけでも戦局は有利に進む。

 

「とりあえず御影について話せ。そっから俺が考えよう。あ、一応念を押しとくが誇張せず話せ。隠すのも駄目だ」

 

「それなら私が話します」

 

 記録語りなら私が、とひなたが理候補し昔話方式で話し始める。

 ⬛⬛はどのような人物がどのような行動をし、どのような影響を与えのか。そんな簡潔な情報を神樹から伝えられている。だが、それだけでは考察は不可能。なら聞くしかないよな。

 

 一時間後。時計の短い針が十を超えたあたりでひなたの昔話は終了。ここからは考察するのみ。

 

「ふーむ········。最初は好青年で段々と荒く······どういう人格形成·········いや、村正か須佐之男の影響か。そして左腕損失後にブースト······ははーん、さては草薙剣を使ったな?真名開放とは流石だ。んで不祥事········左腕落とし······いいないいな。思い切りがいい。今らへんの性格はこの時からか········となると真名開放は一度と考えた方が·········いや、でもそれだと最終決戦で獅子座に勝てねぇし·······ああ、そこで須佐之男退去か。タイミングばっちしだな。

 よし、質問してくぞ」

 

「お、おう。答えれる範囲で答えよう」 

 

 あまりの情報量に口すらも総動員で記憶に刻み込む姿は他人から見ればヤバい人だ。と、このように人の常識とはこういうものである。

 

「御影が不祥事を起こした時の感情は?」

 

 初っ端からそれかぁ、と思いつつ千景へとアイコンタクト。少し眉間にしわを寄せながら頷く。

 

「多分あれは一周回ってたわね」

 

「怒りが一周回ってたか」

 

 他の皆が一周回るという表現に首を傾げているがそのまま進行。

 

「その後謹慎喰らったとか聞いたが、その時御影は大暴れしたか?」

 

「いいえ、してませんね。神官の指示に素直に従ってました」

 

「悪いことをしたと思ったか、どうでも良かったのか。だが········まぁ、普段を見るにどっちもだろうな」

 

 善悪の認識は世間一般的。それなら何故斬ったのか、という疑問が出てくる。であればそれが次の議題だ。

 

「なんで斬ったのか解る奴いるか?」

 

「········千景をバカにされたから、だと思う」

 

 重い口をタマがなんとか開き、その問いへ答える。控えめに言ってあの事件はクソだ。御影の行動は正しくはないが正しいものの筈だ。

 

「ほーん·········いいね。勇者足り得る奴だ。だがまぁ、そこまでいっても自分を悪とするか·········思い切りが良いのか悪いのか、わっかんねぇ奴だ」

 

 やったのならば間違いとするな。後悔するな。するのであれば自身の仲間に馬尾雑言を浴びせられる光景を指を咥えて眺めてろ。

 

「········よしっ、大まかに出来たぞ」

 

「本当か?!」

 

 おお、仕事が早い。流石は心理戦のようなもので御影を殺した奴だ。と言っても、アレはほんとに初見殺しに全てをかけたもののようなものだ。次はない。

 

「御影の常識は世間一般的なもの。それとお前らを第一とすること。多分そんな感じだと思う」

 

「?·······常識は二つあるものなんですか?」

 

「いや、ないが?なに言ってんだよ。常識が二つや三つあるわけねぇだろ」

 

「「「????」」」

 

 常識は二つや三つない、だと言うのに御影の常識は二つ。おおっと、なんだか不味い方向へ転がっている感覚がするな。

 

「うーん、そうだな········『ヨーロッパの火薬庫』の風刺画見たことあるか?」

 

「ありますけど······」

 

「すいません、私まだそこまで行ってなくて······」

 

 何故唐突に歴史の勉強?と不思議に思いながら、来るであろう例え話に耳を傾ける。ちなみに杏は中学一年生のためまだ範囲ではない。

 

「バルカンという国の名を刻まれた瓶から溢れかえる溶岩を他の国々が蓋の上に立って押さえつけてる風刺画だ。

 それでこっから例え話だが、瓶の中にあるのが御影と世間一般的な常識。それをお前らが押さえつけてる·······いや、瓶の中は御影一人か?まぁ、そこも何時かわかるか」

 

 イメージし難いという方は『ヨーロッパの火薬庫』で検索をお勧めします。

 とりあえず村正がなにを言いたいかと言うと、御影 士郎という男は常に自身の行動に制限がかかっている。

 

「多分そこらだろうな。お前らの話を盗み聞きした感じ須佐之男が狂っていると評したのは」

 

「··········」

 

「·······どうしたら、いいのかな······」

 

「これに関しちゃー、お前らのせいじゃない。ただ、時間がなかった。自我を持ち一年········これが生後一年であれば言葉を発声できるようになったぐらい。それで········お前らは一歳児になにを期待している?」

 

「それ、っ、は······」

 

 いくら思考しようがその問いに答えなどない。そもそもお前たちが出すものではない。士郎の理解者振るな。ただ与えて貰っただけの奴らが。

 

 

 

 

 

 

 





 何話後だろうか。最高の喜劇を見れるので楽しみにしておいてください。

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